HUNTER × GHOUL   作:喰種好き

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第3次試験へ向かう飛行船内のお話。

個室を用意しました。


6.ヨナカ×ノ×ゲーム

皆がゆで卵を食べ終えた頃にはすっかり日が傾き、そしてもう一機の飛行船が傍に降り立ちここで不合格者と合格者で別れるみたいだ。

合格者はこちらへ、と案内された飛行船に乗り受験生達が集まるとネテロ会長と、地下道にてバッチを配ってくれた枝豆の顔の小人が来て

「さて、残った43名の諸君に改めて挨拶しとこうかの。ワシが今回のハンター試験審査委員会代表責任者のネテロである。…本来ならば最終試験で登場する予定じゃったが、一旦こうして現場に来てみると……なんとも言えぬ緊張感が伝わってきていいもんじゃ。せっかくだからこのまま同行しようかの。」

とニコニコ笑った。話を終えたネテロ会長から1歩、横にいた枝豆の小人の方が前に立ち

「改めて2次試験合格おめでとうございます。

次の目的地へは明日の朝8時に到着予定です。こちらから連絡するまで各自、自由に時間をお使いください。また、皆様の為の個室を御用意しましたので今から鍵をお渡しします。落とさないよう、お気を付けてください。」

と説明をし、鍵を渡し始めた。

受験生達は鍵を受け取り各々移動をする。僕も鍵を受け取った後、

「ゴン!飛行船の中探索しようぜ!」と

キルアくんとゴンくんが走り去るのを見ていると

「元気な奴ら…俺はとにかくぐっすり寝たいぜ。」

「私もだ。長い1日だった…。」

とレオリオさんとクラピカさんが走り去る二人を見てくたびれていた。苦笑いしつつ僕は二人に声をかける。

「お疲れ様です。ゆっくり休めますね。」

「ああ…だが一つ気になるのだが、試験は後どれくらいあるんだろうか。」

とクラピカさんがこぼす。(確かに…まだ何日もかかるのだろうか…それは…)と考えていると、横から

「その年によって違うぜ。試験の数は審査委員会がその年の試験官と試験内容を吟味して決める。だが…まぁ大体平均して…5つか6つぐらいだ。」

とトンパさんが声をかけてきた。

「まぁそれならあと3つか4つくらいってわけか。」

「ならなおのこと今のうちに休んだ方がいいな。」

とクラピカさんレオリオさんが話す中、トンパさんはそれを否定するように揺さぶりをかける。

「案内係の"次の目的地"がもしかしたら飛行船(ここ)かもしれないし、連絡が"朝8時"とは限らない。ここでも気を抜かない方がいいぜ」

そう言ってトンパさんはこの場を去った。

(それは、ない。が………"受験生達"が何もしない、という訳はないだろう。そこを気をつければいいかな。)と結論した僕は顔を上げ、2人に

「クラピカさんレオリオさんまた明日。おやすみなさい」とこの場を後にした。

 

 

***

廊下を歩きつつ、"もしも"の為に軽く中を見た方がいいかなと考えていると中から人の騒音が漏れる部屋を見つけ、そこのドアを開けるとどうやら食堂のようだった。ちらほらと食事をする受験生がいる。

僕はそっと鼻先から口元にかけ手で覆って見ていると

「おう!兄チャン、なんか食べるか?」とカウンターに立っているコックに声をかけられた。

「えっと…ではコーヒーをください。」

「あいよっ………ほれ、コーヒーだ。」

コーヒーを手に取り、礼を言って早々に食堂を出る。部屋の方へ向かいつつ廊下を出ると、外の景色を眺めているゴンくんとキルアくんを見つけ、咄嗟に角に隠れる。(キルアくん…ヒソカを臭いで分かると言ったり…もしかしたらこの場で何かするかもしれない。もしゴンくんを傷つけるようなら、その時は…)と親指で人差し指をポキリと鳴らした。

 

 

***

角で耳を澄ますと喰種の身体能力によって、すぐ傍で聞いているように二人の話し声が鮮明に聞こえてくる。

「キルアのさァー」

「んー?」

「キルアのお母さんとお父さんって何してる人なの?」

「殺人鬼。」(殺人鬼…?)

「両方とも?」

「ぷっ…あはは、お前面白いな!マジ面でそんなこと聞き返してきたのお前が初めてだよ!」

「え?だって、本当の事なんでしょ?」

「……なんでわかる?」

「なんとなく。」

「……ハァ--一。おかしいなぁ、どこまで本気かわかんないコっていうのがチャームポイントだったのに。」

「ふーん。」

「…オレん家さぁ、暗殺家業なんだよね。家族ぜーんぶ。そん中でもオレ、すげー期待されてるらしくてさ、でもオレ嫌なんだよね。人のレールに敷かれるってやつ?だから、『自分の人生は自分で決める。』って家族に言ったらさー家族キレまくって、んでケンカになって母親の顔面と兄貴の脇腹を刺して家出してやったんだぁ!」

「…。」

 

 

(暗殺一家。思ってた以上に凄い子だったんだな…。

でもこの事を自白するって事は…ゴンくんの事を…信頼、している?)なんとなくキルアくんは大丈夫なのかな、と部屋の方へ足を傾けた時、僕の後ろから心臓を貫かれたと錯覚する程の鋭い殺気を向けられ、一瞬体が硬直しドッと汗が吹き出す。

そしてその殺気を放った当の本人は、反対側つまり僕からみて前方の方からキルアくんゴンくんに向かって「どうかしたかの?」と歩いていた。

殺気に反応して振り向いた一一こちらの方を向いていた二人はネテロ会長の声に顔を戻す。

ゴンくんが「あれ?ネテロさんこっちの方から誰か近づいてこなかった?」と首を傾げる。

「ふむ?よく分からんが…そっちで息を潜めて見ている者はおるな。」とネテロ会長は答える。

「……。」

殺気を出したのは僕じゃないんだけどな…渋々角から二人へ顔を出した。

「なーんだ!カネキさんか!」とゴンくんは声をあげるが、キルアくんはこちらを見ずに鋭い眼差しのままネテロ会長に「素早いね。歳の割に。」と言った。

「今のが?ちょこっと歩いただけじゃよ。」

「…なんか用?じいさん最終試験まで別にやることないんだろ?」

「そう邪険しなさんな。退屈なんで遊び相手を探してたんじゃ。」

とゴンくんの元へ来た僕の事も見つめつつ

「三人ともどうじゃ?初めてのハンター試験の感想は?」と話を変えて聞いてきた。

「……なかなかやりごたえのある試験でしたね。」

「うん、楽しいよ!想像と違って頭使うペーパーテストみたいなのないし。」

「オレは拍子抜けしたね。もっと手応えのある難関かと思ってたから。次の課題はもっと楽しませてくれるんだろ?」

「はてさてどうかのー。」

とシラをきるネテロ会長に無駄だと思ったキルアくんが「ゴン、…カネキさん行こーぜ。」と後ろをむくが、

「まぁ待ちなさい。…おぬしらワシとゲームをせんかね?もし、ワシのゲームに勝ったら…ハンターの資格をくれてやろう。どうじゃ?」

とネテロ会長が発言し、キルアくんの歩が止まる。

「……その話、本当?」

「うむ、ワシの権限を使えば造作もない。」と笑う。

少しの間を置いてキルアくんは

「暇つぶしにならなかったら容赦しないからな。」

と振り向いた。「オレも参加する!」とゴンくんも手を挙げる。

「おぬしは?」とネテロ会長が僕を見た。

ハンターの資格が本当に貰えるかはさておき絶対この人には勝てない。ので僕の答えは…

「すみません。僕は参加しません。ですが…良ければ観戦しても?」と聞くと

ネテロ会長はニヤリと笑い

「勿論じゃ。なんなら途中参加もokじゃぞい。では移動しようかの。」

と言って歩き出す。

 

 

***

何も家具が置かれてない部屋に着き、ネテロ会長はバレーボールを取り出して

「ゲームの内容じゃが…この船が次の目的地に着くまでの間に、この球をワシから奪えば勝ちじゃ。そっちはどんな攻撃も自由!ワシの方からは手は出さん。」

と球で遊びつつ説明した。キルアくんが

「ただ取るだけでいいんだね?じゃオレから行くよ。」と確認し、

「御自由に。」と返答を受けるとゆっくりと歩き出した。

(!?なんだこれ…キルアくんがたくさんいるように見える。残像?影分身?もし仲良くなれたら教えて貰おうかな)と見ている中、キルアくんが球を目掛け飛び出す。が、ネテロ会長は軽々と避け続ける。

その様子を見たキルアくんは歩きをやめ、跳躍し、片足で着地したネテロ会長の軸足へ思い切り回し蹴りを放った。僕でも怯むだろうその攻撃は…逆に何故かキルアくんが回し蹴りをした脛に手を押えいってぇ〜!と蹲る。

しばらくして立ち直ったキルアくんは

「鉄みたいだぜ。あのジーさんの足!」

と涙目でゴンくんの元へ向かった。

「よーし!次はオレの番!」とゴンくんは軽く準備運動をして飛び出す。が…ネテロ会長の手間で勢いよく跳躍したせいで天井に頭をぶつけ頭を押さえて座り込んだ。その様子にキルアくんが

「ジャンプ力がすげーのは分かったからちゃんと加減して飛べよゴン!せっかくジーさん油断してたのに。」と野次を飛ばす。

 

 

***

それから3時間程、交代しながら汗だくの二人が球を取り合っていた。既に0時を回り、

「これでは埒があかんのー二人いっぺんにかかってきてもいいぞよ。なんなら三人でもな。」

とネテロ会長がさらに挑発した。二人は挑発に乗り、二人がかりになるが中々球は取れない。そんな様子を僕はコーヒーを飲みながらずっとネテロ会長を観察し続けていた。

突然、ゴンくんが声を上げ、蹴りあげた。ネテロ会長はそれを避けるが、なんとゴンくんは靴を器用に脱いで強引に顎を蹴った。僕だけでなくネテロ会長も動揺したようで、その隙を縫って後ろに回ったキルアくんが頭を蹴り、ネテロ会長の体勢が崩れた。すぐさまキルアくんが球へ飛び出すが、ネテロ会長はすぐに体勢を整え球を遠くへ蹴り飛ばし向かう。ネテロ会長が球を取る瞬間、

ゴンくんがもう片方の靴を器用に飛ばし球に当てさらに球が離れる。そして遂に「もらったァー!」とキルアくんが叫び手を伸ばす。

次の瞬間、ネテロ会長が球を手に取っていた。

 

(ッ!今のは…鯱と同じだ…全く見えなかった…。鯱…。)鯱の動きが見えず『遅いぞ童!』と言われゴボリと吐血した時がフラッシュバックする。

 

(なんじゃ、今のは。観戦を申し込んだ小僧から一瞬…。)チラリ、ネテロはカネキに目を向けた後、

「努力賞、といったとこじゃな。」と二人に声をかけた。

 

***

ネテロ会長が球を取る前にいた場所には足跡型に凹んだ床が残され、それを見たキルアくんが

「やーめた。ギブ!!オレの負け。」と脱いでいた上着を手に持った。

「なんで?まだ時間はあるよ!今のだってもう少しだったしさ。」

というゴンくんにキルアくんは呆れながら

「…ったく。何もわかってねーなお前。あのジィさん右手と左足ほとんど動かしてないんだよ、今のまんまじゃ1年中追っかけ回したって球なんか奪えっこない。」

「え!?」と驚愕するゴンくんと、

「なんじゃバレておったか。上手く隠してたつもりだったんだがの。」と認めるネテロ会長。

認めたネテロ会長に

「ハッ、トコトンムカつくジィさんだぜ。…行こーぜゴン」と諦めた顔でキルアくんは呼びかけるが

「あ、オレもうちょっとやってく。」と先程のやり取りを無視するような物言いにお前はバカか、と書いたような顔で

「おん前!オレの話聞いてた!?ムダって言ってんの!ただ時間と体力が奪われるだけ!球なんて無理!」と大声でゴンくんに唾を飛ばす。

「うん。球はもういい。」と真顔で答えたゴンくんに、は?とキルアくんが固まる。

「まだ時間あるし、それまでにネテロさんに右手ぐらいは使わせてみるよ。」と言うゴンくんに深いため息をつき、

「あっそう…わかった、がんばりな。オレは先に寝るから。」とキルアくんは部屋を後にした。

 

 

***

(スッキリしないなー…………ま、仕方ないか。あれ以上やってたら殺してでも球とりたくなっちゃうもんな。)

 

 

***

ゴンくん1人だけになり球は取れず時間が過ぎる。

そんな中、ゴンくんはフェイントをかけてネテロ会長の腹に頭突きし、頭を押さえ呻きつつ「もいっちょ!」と再度頭からネテロ会長へ向かう。

その様子に、ネテロ会長は"右手"を使って跳び箱の要領でゴンくんを避けた。

壁にぶつかったゴンくんは額に血を滲ませながらムクリと起き上がり満面の笑みで

「今、右手使ったでしょ!?」と聞き、「あ、うむ。」とネテロ会長が認めると

「やったァー!!勝ったァー!」

と両手を突き上げ、倒れるように寝た。ネテロ会長は自分勝手な物言いに頬をかきつつ勝ってはないんじゃがな…とこぼし、くるりとこちらに向き「おぬしはやらんのか?」と聞く。

「えぇ。僕も手も足もでないですから。」と残りのコーヒーを飲み干して答えた。

「そうかい、して…これどうしようかの。」

と下向いて仰向けで寝ているゴンくんを見るネテロ会長に

「僕が個室まで運びますよ。…見せて頂きありがとうございました会長さん。」と僕はゴンくんを抱きかかえる。

「じゃあおぬしに任せようかの。」とネテロ会長は部屋に設置された固定電話に向かった。

僕はおやすみなさいと一礼し、部屋を出てゴンくんの部屋に向かった。ベッドにゆっくりと乗せ、サイドテーブルに一言、紙に書き留めてゴンくんの部屋をでる。

 

 

***

僕の部屋につき、僕は洗面台にある備え付けの鏡に向かった。そっと眼帯を外すと今日一日、血の匂いを沢山嗅いだのもあり、赫眼ではないが瞳は赤くなっていた。そしてタイミング良くぐうぅと腹が鳴る。「…。」一瞬鏡に"見覚えのある女性"がくすくすと笑っているのが見えたように感じ、すぐに目を伏せベッドに潜った。もしも受験生が襲撃してきたらいけない、と緊張の糸を解かないように意識と理性を保とうとするが、それに比例するように体の怠さ、疲れに

ズブズブと泥沼のように意識が沈んだ。

 

 

 

***

『皆様、大変お待たせいたしました。目的地に到着です。皆様の準備が整いましたら操縦席前にお集まりください。繰り返しお知らせします~~~』

船内に鳴り響くアナウンスの声でガバリと僕は起き上がった。爆睡していたことに驚愕と自分に叱咤しつつ辺りを見渡す。

どうやら何もされなかったようだ。ホッとしつつベッドから出て身支度を整える。

部屋の中にインスタントのコーヒーの1杯分の個包装を見つけ、雑にコーヒーを作り急いで胃に流し込み部屋を出る。言われた場所に着くと、受験生達が集まっており傍までいくと

「おはようカネキさん!あの後運んでくれてありがとう!」

とゴンくんに声をかけられた。どういたしましてゴンくん。と返していると、

枝豆顔の案内係が「受験生の皆様おはようございます。全員集まったようですので、こちらから降りてください。」と扉を開け外に出て行った。

受験生達も外に降りるとそこはとても標高の高い人工物の搭の頂上だった。

案内係は全員降りたのを確認し、

「ここはトリックタワーと呼ばれる搭のてっぺんです。ここが3次試験のスタート地点になります。さて、試験内容ですが試験官の伝言です。"生きて下まで降りてくること"制限時間は72時間。皆様、頑張って下さい。」

と案内係は飛行船に乗り飛行船は飛び立った。

後ろから「カネキさん無事で良かった。」とクラピカさんが歩いてきた。さらに後ろからレオリオさんも。ゴンくんの後ろからも、

「ゴン!よっ」とキルアくんが歩いてきていた。

「クラピカさんレオリオさん…キルアくんもおはようございます。クラピカさん、先程の無事とは?」

「おお、俺も他の受験生達の噂話が聞こえたんだけどよぉ、飛行船内で二人の受験生がバラバラになってたらしいぜ。」

「ああ、私もその事だ。」

「ふーん」

「そうだったんですね…。」

(やっぱり受験生が…皆無事で良かった…。)

 

「…。」(カネキさんがやったのではなさそうだな…)

 

 

【三次試験 参加人数:41名】




次話ですが、1万字を超えてくる話が数話ありまして
それを平日に編集するのが厳しいので、
次回から、土日のどちらかの12:20分で投稿
つまり1週間に1回の更新となります。
よろしくお願いします。
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