ドンブラザーズ×ウマ娘 俊足の残夢   作:ホシボシ

20 / 21
ドン五話 しゅんそくのザンム-3

 

 

テーンテテテーンテテテーン♪ テテテテーン♪

 

【HEROES MEETING】

 

【ドンブラ杯 決勝】

 

【阪神 アバター】【2200m】

 

………

 

 

『英雄決定戦、ドンブラ杯。名乗りを上げたウマ娘と戦士たちがこの世界の命運を賭けたレースへと出走します。アバター阪神レース場には、ヒーローの誕生を一目見ようと7万を超える人々が集まってきているとのことです』

 

【楽しみですね】

 

『現在一番人気はこの子、トラドラオニタイジン極』

 

【気合充分! いい顔してますね!】

 

『実力は負けていません。二番人気は財団Xマシュー』

 

【火花散らすデッドヒートに期待しましょう】

 

『注目はライスシャワー。夢の煌めきを握りしめました』

 

【私が一番期待しているウマ娘なんです。気合い入れてほしいですね】

 

『ゲートイン完了。出走の準備が整いました』

 

 

………

 

 

ガチャン!

 

【右回り◎】【道悪◎】

 

緑色の光がライスを包む。

その中で飛び出したのはやはりトラドラオニタイジンだ。

ワイヤーフレームの体とサングラスをかけた馬、アバターホースが駆け抜けて、一気に先頭に立った。

 

『各戦士、綺麗なスタートを切りました』

 

【みんな集中していましたね。いいレースが期待できそうです】

 

『まず飛び出していったのは一番人気トラドラオニタイジン極。これは余談ですが、鬼頭はるか先生に縁のある冗談社の社長さんはビールを飲むと確実に腹を壊すそうです』

 

【鮎が好きらしいですね】

 

『大きく離され続く二番手は6番ダイワスカーレット。一番に拘る彼女にとってこの順位は不服か。浅口トレーナーからの情報によると、最近はフラワーCさんと一日三回尻尾ハグをしないと不機嫌になるそうです』

 

【いいですね。私の性癖には合っていますよ】

 

『さらに13番サクラバクシンオー。猿原さんが俳句が好きということで彼女も一句作ったようなので発表します。バクシンやおおバクシンやバクシンや』

 

【風流ですね】

 

『うしろ16番は忍者おじさん。牧場を経営しているようでして、その中でも自慢のスピードスター、ギンシャリダンディに跨り参戦です。ギンシャリダンディはあのギンシャリボーイの直系ということなので期待も膨れ上がります』

 

【カオス競馬でおなじみの馬ですね。これがわかるということは、あなたもおじさんですよ】

 

『あっと、失礼しました。訂正があります。16番は忍者おじさんではなく、魔法おじさんとのことです』

 

【グリフィンドォオオオオオオオオオオオオル!!】

 

『はい?』

 

【失礼しました】

 

『ここで入ってきた情報によりますと、訂正があります。16番は魔法おじさんではなく、冒険おじさん。ということでした。重ね重ね、お詫び申し上げます』

 

【フルアーマーフクキタルの時に開運フォームがどうとか言われてましたね】

 

『緊急の訂正があります。16番は冒険おじさんではなく、星獣おじさん、あるいは銀河おじさんであるということがわかりましたが、いずれも(仮)だそうなので、正しくは王様おじさんであるとのことです』

 

【ウチの娘がもっふんのぬいぐるみを転売とわかりながら買っていました。罪深き世界です】

 

『えー、これにより、16番は忍者おじさん改め魔法おじさん改め冒険おじさん改め星獣おじさん(仮)改め王様おじさんと呼ぶことになりました』

 

【十八番ですね】

 

『中央並ぶまずは3番ニシノフラワーA 今日もトレーナーさんのお弁当でおなかいっぱいです』

 

【肉巻きポテトが好きですね。あのパサパサのヤツ】

 

『さらにニシノフラワ―B。玉野トレーナー共々おばけが苦手なようなので、温泉旅行に行った際にかけじくの裏にお札が貼ってあった時は、一緒に震えながら眠ったそうです』

 

【お化けは空気清浄機に弱いらしいですよ】

 

『そして肩を並べる5番ニシノフラワ―C。すーちゃんと手を繋いで寝るのが安眠の秘訣だそうです』

 

【拍手をさせてください】

 

「続く7番はゼンノロブロイ。真庭トレーナーのイメージを聞かれてチェリーのような人と答えた件が波紋を呼んでいます」

 

【実は私も……フフフ】

 

「8番メジロマックイーンは評価点でいうとかなり低いウマ娘ですが、今回のアバターフィールドによって評価点が同じになっているため、注目のウマ娘ではあります」

 

【この前、スパチャをいたしました。メンバー限定放送も楽しませてもらっておりますぺこ】

 

『ほぼ後ろにつけている12番ビワハヤヒデ。ある二次創作家は彼女の声にメロメロだそうです』

 

【キャラクターソングがあるそうで、ガンダムの映像と合ってるとかでバズってましたね。ある二次創作家は競走馬の知識がない状態でウマ娘を始めたので、ナリタブライアンの姉がビワハヤヒデの友人であるナリタタイシンではないことに非常に混乱していました】

 

『うしろには2番ライスシャワー。謎のウマ娘です。データがありません』

 

【………】

 

『少し離れてドンムラサメ。バイクに乗っています』

 

【事故には気を付けてほしいですね】

 

中距離コーナー〇

アガッてきた!

尻尾上がり

弧線のプロフェッサー

 

『さあ各々が切磋琢磨する中で獲得したスキルも発揮されていくなか、二バ身離れたところに10番ハリボテノート。伝説のハリボテエレジーを彷彿とさせるフォルム。情報によりますとソノザさんが立ち寄ったのはホームセンター』

 

【おでんが食べたくなってきましたね】

 

『そして並んでいるのは14番メカハリボテノート』

 

【ハリボテノートと戦っていますね。大丈夫でしょうか?】

 

『9番ゴールドシップ、後方にて様子を伺います。王城トレーナーいわく、彼女は今朝、鞄からマチュピチュを出して、それをワニに与えておりました。するとワニは龍となり砂漠に水をもたらしたそうです』

 

【すごいですね(適当)】

 

『内から17番スピードの鬼・哲子(86)。一輪車での疾走です。健康の秘訣は白湯!』

 

【酸いも甘いも経験してそうですね】

 

『後ろでは15番、音速芸人ソニック勝村が余裕の笑みを浮かべている。一般人とは思えないスピードだ!』

 

【お得意のクラウチングスタートギャグが飛び出すんでしょうか?】

 

『あれ? 18番の財団Xマシューの姿がありませんね』

 

【本当ですね。あ、なにやら情報が入ってきました。出走直後にコースを外れ、逆走する形でゴール方面に向かったとのことです】

 

そう、マシューはコースをショートカットしてゴール前に立っていた。

 

「下らねー。茶番ですよこんなの」

 

ユニコーンゾディアーツとなる。

それだけではない。この世界で手に入れた鬼の力を注入した『オーガゾディアーツスイッチ』を押すと、一角獣にさらなる角が付与されて、巨大化していく。

 

「ユニコーンは処女に魅了され、それが偽物とあれば殺してしまう」

 

傲慢鬼。

巨大な三本の角が頭にある白い鬼に銀色の鎧が付与され、下半身は馬のそれという、ケンタウロスのような姿となった。

 

「幻想を信じ、不都合を見たくない人間どもを始末するにはふさわしい姿だ!」

 

傲慢鬼の頭にある三本の角が光輝いた。

ほどなくして両手に持ったレイピアを天へと掲げると、空が割れて、隕石のように黒い光球が降り注いでいく。

それらはコーナーに差し掛かったウマ娘たちに容赦なく襲い掛かっていく。

 

「なになになになによそれーッッ!!」

 

「ちょわあああああああああ!!」

 

スカーレットやバクシンオーは悲鳴を上げながら大きく左右に動いたり減速することでかろうじて攻撃を回避していった。

 

「曲がれぇええええええええええええ!」

 

一方観客たちは『祈り』ながらハリボテノートとメカハリボテノートを見る。

紡がれてきた歴史。

失敗の過去。それらが頭をよぎるのだろうが、彼らは誇り高き脳人の戦士たち。

ただの人間とは違うのだ。

四人は華麗なフットワークでコーナーを曲がりきった。

 

しかしそこで客席に異変が起こる。

マスカレイドドーパントと呼ばれるマシューの部下がバズーカーを構え、コースにいる参加者を攻撃し始めたのだ。

 

「ソノニ! 弾丸が来る!」

 

「無茶を言うな! 前が見えない!」

 

「くッ! やむをえん!」

 

ソノイは変身。

剣でバーズカーの弾丸を弾いていくが、そこで空から光球が降ってきた。

 

「そ、ソノザ!!」

 

「はい!」

 

「違う! 返事をしてほしい訳じゃ──」

 

「あら情けない。それでも脳人の──」

 

余裕のそぶりを見せていたメカハリボテノートに跨る謎の男だが、彼の頭上にも光球が。

 

「「「「「「ぐああああああああああああ」」」」」」

 

ハリボテノートとメカハリボテノートは大破し、六人はコース外へ吹っ飛んでいった。

 

「ソニィイイイイイイイイイック!」

 

さらにソニック勝村までもが爆煙の中に消えていった。

 

「「「こ、こわいですぅ」」」

 

三人のフラワーは身を寄せ合って震えている。

完全に動きが止まっていた。

 

「おい! 中止するべきではないのか!」

 

ハヤヒデもブレーキをかけて周囲を見るが──

 

「甘い!」

 

忍者おじさんが走り抜けた。

 

「この中を抜けてこそ真のヒーローたりえるのだ!」

 

「無茶を……ッ!」

 

そこでハヤヒデは見た。

止まらず、むしろ加速するライスシャワーの姿を。

見れば、スカーレットやバクシンオーも悲鳴はあげているが、止まってはいない。

 

「これが英雄への試練! なるほど、一筋縄ではいきませんがッッ!!」

 

気が弱いと言っていたロブロイでさえ、自分の中に何かを見つけ、それを動力源として前に進んでいるようだ。

ハヤヒデは思わず震え、直後ニヤリと笑った。

理論を超えたものが頭をよぎる。

 

「そうか、これが感化か……ッ!」

 

ハヤヒデはメガネを整えるとすぐに地面を蹴って走り出した。

それを見たフラワーたちも顔を合わせ、頷きあう。

 

「プリファイだったら、ここで諦めたりしないから!!」

 

そう言ってフラワーたちは再び走り出した。

 

(そんな姿を見せられては、止まるなんて選択肢は選べませんわ!)

 

マックイーンもまた走り出す。するとそこにゴルシが並んだ。

 

「あいつセンスがねーよな。アタシでさえレース中は真面目にやってんだから」

 

「そうですわ! 神聖なコースで! 許せません!」

 

「よし! とくれば──トレーナー!!」

 

王城トレーナーが飛行してゴルシたちの頭上にやって来る。

そして飛来する光球をすべて吸い取ると、そこで目を光らせた。

 

「ど、どうなりましたの!」

 

「吸収したんだよ」

 

「ということは、それをそのまま!」

 

「ああ。テメェにぶつける」

 

「なんで!?!!??!?」

 

「ライバルは少ないほうがいいだろ。あばよ、マックイーン」

 

「最ッッ低ッッ! ですわぁあああああ!」

 

王城トレーナーは目から黒いレーザーを発射して、客席にいたマスカレイドドーパントたちを吹き飛ばしていく。

 

「んなわけねーだろ、冗談だよ」

 

「もちろん。信じていましたわよ」

 

(本当か???)

 

一方、他の席にいたマスカレイドたちも次々と倒れていく。

殴りかかるが、それをヒラリとかわして、ゼンカイザーブラックが炎の剣でマスカレイドたちを薙ぎ払っていった。

しかしこれでマスカレイドは払えたが、いまだ天から降り注ぐ光球は止まっていない。

それに、これははじまりでしかない。

傲慢鬼の妨害はまだまだ用意されているようだった。

 

「……!」

 

客席の一つに倉敷の姿はあった。

自然に目で追う一人のウマ娘。

すると声が聞こえた。

それは特別大きな声ではなかったが、それでも、まるで吸い寄せられるかのように耳に入ってきたのだ。

 

「フラワー!」

 

「フラワー!」

 

「フラワー! スカーレット!」

 

「ロブロイ!」

 

「ハヤヒデ!」

 

「バクちゃん!」

 

『Gold Ship! Mejiro McQueen!!』

 

なんてことはない。

トレーナーがただ自分が担当するウマ娘の名前を呼んでいただけだ。

だがそこに、とても大きな意味があるように思えた。

 

「運命の出会いなんだ。少なくとも、そう信じてる」

 

たぶんきっとそれはトレーナーの誰かが言った。

美咲かもしれないし、真庭かもしれないし、あるいは違うまだ見ぬ誰か──

今日もログインボーナスを受け取った誰かかもしれない。

 

「たとえばフラワーAは美咲だったから傍にい続けたいと思った。ロブロイは、真庭だったから強くなれた」

 

「………」

 

「トレーナーも姿形は違えど同じなんだ。ウマ娘たちとは違って『存在』そのものさえ違っていたとしても、その中には確かに共通するものがある」

 

「それは?」

 

「ウマ娘の運命を変えること。それが彼、彼女らを『特異点』たらしめる根幹。その中にあるエネルギーの正体こそ──」

 

「神の……力」

 

すべてのトレーナーが抱いている想い。

 

”最高に面白いレースを作ろう”。

 

それを想いを受け取ったウマ娘たちは力の限り走り抜ける。

それがこの妄想世界に生きている自分たちにできる。最期の証明なのだ。

 

「じゃあもう断言しちゃおうかな」

 

真庭がニヤリと笑った。

 

「俺のウマ娘が一番速いですよ」

 

「ほざいてろ!」

 

瀬戸内がニヤリと笑い、そして全員が続けた。

俺の、私の、僕の、小生のほうなのだと。

そして耳を澄ませると、観客もまたウマ娘の名前を呼んでいた。

 

「しゅあああああああああ!!」

 

一方でそんな想いを背負ったウマ娘たちを猛スピードで追いかける女がいた。

みなさんご存じ、あのスピードの鬼・哲子である。

哲子は今も時折、考える。

銀行員という安定を捨てて一輪車に手を伸ばしたのは間違っていたのだろうか?

彼女はいろいろなものを犠牲にしてきた。

愛、友人、そして──

それでもなお、一輪車に乗り続けた理由があるとすれば

スピードの向こうにしか見えない景色があったからである。

 

「ぐああああああああああ」

 

加速した哲子を阻むように光球が地面に直撃した。

爆発に飲み込まれ、哲子が闇の中に消えていく。

 

【MOMO】【URA】【KIN】【RYU】

 

「!?」

 

【CLIMAXFORM】

 

青い翼を広げた仮面の戦士が飛び出してきた。

そう、哲子は『特異点』だったのだ。

彼女に憑依したモモタロスが変身した戦士こそ、仮面ライダー電王・超クライマックスフォームなのである。

 

「俺! ここにきて参上! 見つけたぜ! 財団X!!」

 

「電王……ッッ!!」

 

モモタロスは鬼だ。

そしてどうやら鬼ごっこの『鬼』でもあったらしい。

しかし傲慢鬼とて、捕まるわけにはいかないのだ。

吠え、角にエネルギーをチャージさせると、直後電王の頭上に落雷が起きた。

 

【Charge And Up】

 

轟音の中、電王もまた胸部アーマーから大量のミサイルを飛ばしていた。

ダメージを受けて墜落する電王だが、一方でその攻撃はしっかりと傲慢鬼に直撃している。

 

「グゥウウウウウウ!!」

 

傲慢鬼の頭にある角が、三本とも、割れていた。

その時、傲慢鬼は聴いた。

馬の鳴き声、アバターホースの声を。

 

「何を想う? ウマ娘たち!!」

 

独走状態のトラドラオニタイジンが叫んだ。

 

「それが全てとは言うまい!!」

 

このままならば何のこともなく、トラドラオニタイジンが勝って終わりだ

 

「共に学び!」

 

ウマ娘が言った。

 

「共に成長し!!」

 

ウマ娘が言った。

 

「共にッッ、勝ちたい!!」

 

ウマ娘が、吠えた。

それは、すべてのウマ娘が。

それは、すべてのプレイヤーが望んだ──

 

「ライスは! 前に進むんだぁあッッ!!」

 

それが、倉敷が追い求めていた──答え。

 

「くだらねーなーッ! 妄想共が偉そうに!」

 

傲慢鬼が地面を蹴って走り出す。

もはや邪魔や妨害ではない。

両手のレイピアで直接、終わりを下すつもりなのだ。

それを迎えるようにして、トラドラオニタイジンは『ゴールドンランス極』を構えた。

 

 

「人の世界であろうが、ウマ娘の世界であろうが! そこに心がある限り! たとえ幻であっても、それは嘘ではない!!」

 

 

ウマ娘たちの想いが、トレーナーたちの想いが。

そして、ウマ娘プレイヤーたちの想いがゴールドンランスに集まっていく。

 

 

 

 

 

 

「兄者」

 

「ああ、弟よ」

 

兄弟二人は青い空を見上げた。

 

「いい天気ですね」

 

「ええ、そうね」

 

手をつないで歩くニシノフラワーと美咲も同じように空を見る。

きっと今から、(たたか)う誰かも、同じように空を見ているかもしれない。

 

「ふふふ」

 

瑛子は嬉しそうにほほ笑んでいた。

ファンレターをもらったのだ。

そこには瑛子の漫画を見て、自分も漫画家になりたいと書いてあった。

彼女は嬉しくて何度も何度も手紙を読み返した。

すると目が疲れたので、休憩するために空を見る。

 

「本当は貴方の描写力と表現力を尊敬していてぇ」

 

「俺も都女史のアーティスティックな描写には勝てぬと嫉妬していてぇ」

 

肩を組みながら褒め合っているベロベロの雲雀と帝坂は二軒目に行く前にふと、空を見た。

 

「ふぅ、緊張してきたなぁ」

 

アッキーは自室で震えていた。

これから好きだったブイチューバーコラボ配信がある。

どうやら向こうが自分の作品のファンだったらしい。

失言しないだろうか、はしゃぎすぎないだろうか、荒れないだろうかといろいろ考えてしまう。

しかしこれでは面白い配信にはならない。

緊張をほぐすため、アッキーは窓から空を見た。

きっと今日も、あの空の下で誰かが走っている。

 

「………」

 

マツイ組やシライは刑務所から見えた空に目を細めた。

 

「あはははは!」

 

青い空の下で鈴木は笑っていた。

オフ会で集まった人たちとウマ娘のイベントに向かっている最中のことだった。

 

「………」

 

神宮寺はハンドルを握った。

快晴の下を走る。

大切な勉強会に向かうためだ。

今日も、明日も、誰かが前に進んでいるのだ。

あのターフの向こうでも。きっと。

 

「人々の思いを踏みにじろうとするお前には、永遠に理解できないことだ!!」

 

トラドラオニタイジンの背後に広がるウマ娘やトレーナー、プレイヤーたちの想いの映像。

それが次々に掲げた槍に募っていく。

あえて、一言でいうなれば、それは一つの青春だ。

客席にて見守るミッショナリーやティップ、二人のトレーナーや、萌絵がほほ笑む。

 

「銀河桃一!!」『ゴールドンロボタロ斬!』

 

槍先が青く燃え、さらに火力は上がり、赤紫色に輝いた。

 

「「「「「「「ドンブラファンタジア・極アオハル魂爆発バージョン!!」」」」」」」

 

突き出した槍から凄まじいほどの光が放たれる。

それは傲慢鬼が突き出したレイピアを一瞬で蒸発させ、その向こうにいるマシューに直撃した。

 

「うぎィゃァアアアアアアアッッ!!」

 

鬼は光に包まれ、跡形もなく消滅した。

 

「「「「「「「究極大勝利!!」」」」」」」

 

これでもう邪魔者はいなくなった。

 

「ダメ!」

 

ライスが叫んだ。まるで今、言ったトラドラオニタイジンの言葉を──

勝利宣言を否定するように。

 

「「「「まだです!」」」

 

「まだよ!」

 

「まだエンディングじゃありません!」

 

「させませんわ!」

 

「させるかァ!」

 

「理論で超える!」

 

「ここからがシン・バクシンです!!」

 

迸るカットイン。とでもいえばいいか。

すべてのウマ娘がドンブラザーズを睨んだ。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。