東方バトルロワイアル   作:野良猫3号

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生命遊戯@Lunatic

――さあ、遊戯《ゲーム》の始まりだ――

幻想郷史最も醜い異変が、一人の男「ZUN」の手により、静かに幕を開けた。

 

 

 

 

バトルロワイアル開始~紅魔館門前 PM13:20

美鈴は、館の門の前でいつも通り居眠りをしていた。

日差しは暖かく、風もない。

こんな絶好の昼寝日和に仕事などやっていられない。

彼女はそう思いつつ、門の扉に背を預けて目を瞑っていた。

その時だった。

「―――――!」

誰かの声が聞こえてきた。

どうやらこちらに近づいてきているようだ。

だが声の主は、まだかなり遠い位置にいるらしい。

その証拠に、段々大きくなっているはずの声がまだ小さいままである。

「ん……誰だろう?」

美鈴はその正体を確かめるべく、ゆっくり瞼を開いた。

そして視界に入ってきたのは――

 

「えっ!?」

突然目の前に現れた、少女の顔であった。

しかもその顔は、美鈴にとってとてもよく知っているものであったのだ。

何故ならそれは――

「咲夜さん?一体何を……」

十六夜咲夜のものだったからだ。

しかし様子がおかしい。

いつもならナイフを持って現れるのだが、今日はそれが無い上に、服装がメイド服ではない。

どこかの学校の制服らしきものを着ている。

「メイド長、おはようございます。何故外から?それにその姿は――」

美鈴は起き上がり、彼女に問いかけようとした。

が、

「……え?」

言葉を言い切る前に、彼女の意識は闇へと落ちていった。

一瞬の出来事であったが、彼女が最期に感じたのは頬に伝わる鋭い痛み。

つまりは平手打ちを食らったという事だ。だが――

「……」

その事実を知る術は既に無かった。

「ふぅ、これでよし」

咲夜はそう呟くと、美鈴の胸に刺さったナイフをそっと引き抜く。

「うぐぁ...?」

美鈴の口から苦悶――というよりかは既に生命を放棄しようとしている脳からの声――が漏れるが、それも直ぐに収まり、彼女は絶命した。

「あーあ、やっぱりダメね。もうちょっと力を付けないと」

咲夜はそう言うと、死体となった彼女を放置して館内へ戻っていった。

「さて、次はパチュリー様の部屋へ行きましょうか」

バトルロワイアル開始~紅魔館地下大図書館 PM13:25

小悪魔は本棚の整理をしていて偶然にも隠し通路を見つけてしまった。

奥には何かがあるようで、好奇心をそそられる。

だからといって勝手に入っていいわけがない。

まずは主のレミリア・スカーレットに相談すべきであろう。

そう考えた小悪魔は早速行動に移した。

幸いなことにレミリアはすぐに見つかった。

彼女の自室にいたからである。

「お嬢様、お話したいことがあるのですがよろしいでしょうか?」

「話?まあいいわよ」

「実は――」

小悪魔は事情を説明した。

「ふむ、面白そうだし行ってみたら?」

「ありがとうございます!では早速行ってくるので失礼します」

「はいはい、気を付けてね」

こうして、あっさり許可が下りた。

小悪魔は何か面白いものが見つかるかも、という期待と、何かあったらどうしよう、という不安を半々に抱きながら隠し通路を進んでいった。

暫くすると広い空間に出る。

そしてそこには、人影があった。

「!?」

「あら、貴女も参加者なのですね。私は東城瑛里華といいます。以後よろしくお願いいたします」

東城と名乗る少女は恭しく例をし、自己紹介を行う。

何故紅魔館に知らない人物が入り込んでいるのか、など疑問は尽きないが――

小悪魔は驚きつつもなんとか自己紹介を返す。

「これはご丁寧に。私は小悪魔のこあと申します。どうぞ宜しく」

二人は互いに自己紹介をし、握手を交わした。

「ところで、ここは一体何なのでしょう?」

「ああ、ここの事を知らないのですか。この部屋は『バトルロワイアル』の会場ですよ」

「ばとるろわいある?」

「簡単に言えば殺し合いです」

「……なるほど、面白い趣向をお考えになるのですね」

「はい、主催者は中々のやり手だと思います」

「確かに。……ところで、他の方々はどちらにいらっしゃいますかね」

「恐らく会場内を散策していると思われます。よければ共に行きませんか」

「そうですね。それでは行きましょう」

(警戒は解けないが、とりあえず一緒に行くしかなさそうだ)

そんな事を思いながら、小悪魔は瑛里華の後に付いて行った。

 

***

一方その頃、紅魔館上空では霊夢達が飛行を続けていた。

その目的はただ一つ、『バトルロワイアル』の優勝賞品を手に入れるためだ。

「にしてもまさか優勝商品が幻想郷の秘宝だったとはね。

幻想郷縁起でしか見たことないけど」

「幻想郷縁起って何なのかしら?」

「幻想郷に住む妖怪や人間について纏められた書物だよ。

著者は稗田阿求っていうんだ」

「ふーん、よく分からないわね。それでその秘宝というのは?」

「なんでも願い事が叶うとかなんとか……」

「へぇ、そりゃ凄いじゃない」

「でも、そんなものが本当に存在するのかな?」

「……まあ、今は信じるしかないわね」

「うん。……おっと、そろそろ会場に着くみたいだ」

「よし、皆降りる準備をして」

魔理沙の指示に従い、全員が降下態勢に入る。

そして地面に着地したと同時に、

「お待ちしておりました。博麗の巫女様とその御一行」

一人の女性が待ち構えていた。

その女性は紫のドレスを着ており、背中からは黒い翼が生えている。

彼女は妖艶な雰囲気を纏っていた。

だが、それだけではない。

彼女から発せられる異様な気配に、三人は思わず身構えてしまう。

まるで強大な力を持つ存在と対峙しているかのように。

だがそれも無理はない。

何故ならその女性の目には――

――眼球が無かったからだ。

しかしそれでも尚、女性の存在は大きく感じられた。

一体何者なのだろうか? 三人とも警戒しつつ、まずは霊夢が口を開いた。

それは目の前の女性の正体を確かめる為である。

「あなたは誰?私達はここに入りたいんだけれど」

「そうですね。目的くらいは話しておいても良いですね」

そして彼女の口から放たれたのは、予想通りのものであった。

ひとつ。

――参加者の一人ということ。

ふたつ。

――主催者の使いだということ。

みっつ。

――この空間を作った張本人であること。

最後に、

――自分達を殺すためにやって来たということ。

それを理解した瞬間、魔理沙とアリスの顔つきが変わった。

先程までの穏やかな表情は何処へやら。

今では鋭い目付きで敵を睨みつけている。

だが、そんな中でも一人だけ平静を保っている者がいた。

それは霊夢であった。

彼女はいつも通り無関心といった様子で、敵を見つめ続けている。

その様子を見て、魔理沙は心の中で感嘆していた。

彼女は自分の力に絶対の自信を持っている。

だからこそ、この状況下でも冷静さを保てているのだ。

ならば自分も見習わねば。

そう思い、魔理沙は霊夢の横に並び立った。

そして、同じく戦闘体勢を取る。

するとそれに呼応するかのように、アリスも臨戦態勢に入った。

これで三対一。

いくら相手が強大とはいえ、こちらにも相応の戦力がある。

そう思って安堵したその時、霊夢達は信じられないものを見た。

なんと、眼球が視神経から肉付き、形作られ、ギョロリ、とこちらを見たのである。

これには流石に驚愕の色を隠せなかった。

そんな三人を見て、相手はクスリと嗤う。

彼女は笑っているのかも分からない、口角を限界まで引き伸ばしたひどく不気味な表情で霊夢達を見つめている。

しかし膠着状態も長くは続かなかった。

彼女は突然笑いだしたのだ。

これまでは只口を歪めていただけだったが、今度は心底愉快そうに。

一頻り笑い終わったあと、

――さぁ、楽しい遊戯を始めましょう。

彼女はそう言い残して、この場から消えた。

 




どうもはじめまして、野良猫と申します。
処女作&学生なので更新ペースはだいぶ遅いと思われます。
よろしくお願いいたします。
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