「それじゃあ来てください」
ソファに座った有栖が自分の膝をポンポンと叩く。ここに頭を乗せろということだが少し躊躇ってしまう。
「ほら、早くしてください。いつもと同じようにすればいいだけですよ」
「そうなんだけど・・・・意識がはっきりしてる時にするのは初めてだからその・・・緊張っていうか・・・ね」
「つべこべ言わずに乗せてください。それともこの話は無かったことにしますか?」
「それは嫌だなぁ」
「ではどうぞ」
「・・・・・し、失礼します」
恐る恐る頭を乗せると柔らかい感触がした。有栖の反対側に顔を向けてるのにいい匂いがして心臓がバクバクしているし顔も赤くなってるだろう。
「そんなに畏まらなくてもいいですよ。もっとリラックスしてください」
「そんなこと言われても無理だって」
「しょうがないですねぇ・・・・・・ふぅ」
「はぅ!」
「随分可愛い反応をしますね」
「いきなり何すんのさ!」
「緊張は解れましたか?」
「それはまぁ、ありがと」
「それでは始めますね」
カリ、カリ、と耳かきで汚れを掻き出されていく。丁寧に行われる行為に心も一緒に綺麗にされるようにすら感じてしまう。
「結構溜まってますね。最後に掃除したのはいつですか?」
「冬休みぐらいだったかな」
「普段からこまめに綺麗にした方がいいですよ」
「えぇ〜」
「文句を言わない、清潔さを保つのは大切ですよ」
「はーい・・・・あ、そこ痒いからもうちょっとやって」
「はいはい」
俺のお願いも聞き入れながらやってくれていてあまりの気持ち良さに片耳ですでに大満足だ。
「こっち側はもういいですかね・・・・ふぅ」
「はぅ!それやるなら予め言ってよ!」
「お断りします。驚いてる昨夜くんは中々見れないので貴重なチャンスを逃したくありません」
「そうか・・・・」
「はい!それでは反対側を向いてください」
どうしよう・・・・上からだと有栖に真っ赤になってるであろう顔を見られてしまう、かといって下からだと足を見ながらになって変態みたいじゃないか。
「どうしたんですか?・・・あぁ、そういうことですか。自分に正直になっていいですよ」
今の有栖は絶対小悪魔なんてもんじゃない。俺は意を決して目を瞑り上から振り返る。今有栖と目が合ったら恥ずかしさで死ぬかも知れない。
「ふふ」
「・・・なんだよ」
「いえ、咲耶くんは恥ずかしがり屋ですね。耳掻きは色々な咲耶くんが見れて楽しいです」
「そうかい。それより早く始めてくれ」
「もっとこっちに寄ってください。そんなに隅にいてもやりづらいです」
「無理」
「無理じゃありません。ほら、早く」
有栖のお腹が目の前にある。さっきよりいい匂いもするしヤバい、とにかくヤバい
「よくできました。それじゃあいきますよ」
カリ、カリ、と再び汚れを掻き出されていく。
「なるべく早く終わらせてくれ。気持ちよすぎてこのままだと確実に寝ることになる」
「眠たくなったら我慢せずに寝ていいですよ」
「そうなると有栖も寝るのが遅くなるだろ」
「今日は咲耶くんの部屋で寝るので平気です」
「まだ予備の布団がないからだめだ」
「一緒にベッドを使えば良いのではないですか?」
「軽々しくそういうこと言うな。ったく、もうちょっと危機感を持ってくれ」
「咲耶くんにそんな度胸はないですし仮に何かあっても問題ありません」
「大アリだ。自分のことを大切にしろ」
「今の咲耶くんに言われても説得力ありません・・・・終わりました」
「ありがとう」
起きあがろうと頭を浮かそうとしたら押さえつけられた。
「まだです」
「今終わったって言ったじゃん」
「まだやりたいことがあるので仰向けになってください」
有栖に言われるがまま仰向けになると有栖が座る位置を斜めにして耳たぶを揉みはじめた。
「何してるの?」
「知らないんですか?耳にはたくさんのツボがあるんですよ。やるからには徹底的に癒してあげたいですから」
確かに気持ちいい。優しい手つきなのにしっかり刺激されている感覚がある。
「なんか癖になりそう」
「それは良かったです」
マッサージが終わり今度こそ起き上がった俺は有栖を帰らせようとしたが
「さっき私もここで寝るって言ったじゃないですか」
「冗談じゃなかったのかよ・・・・俺はソファで寝るからベッドは有栖が使え」
「?何言ってるんですか、咲耶くんもこっちで寝るんですよ。せっかく癒したのに無駄にするつもりですか」
「けど・・・・」
「けどもだってもありません。私の隣では寝るのは嫌ですか?」
そう言って少し涙目になる。これをされると断ることができない。
「分かったからそんな顔するな」
「ありがとうございます!」
なるべく端の方に入るが
「もっとこっちに来てください」
と有栖に抱き寄せられ頭を撫でられる。
「ちょっ!離せ」
「嫌です、おとなしくしてください」
有栖は体が丈夫じゃないから無理やり引き剥がすわけにもいかないしおとなしくするしかなさそうだ。
「有栖」
「何ですか?」
「何で俺を甘やかすの?」
「私がそうしたいからです」
「ちゃんとした説明をしてくれ」
「まだ秘密です。咲耶くんが隠してることを話してくれたら私も話してあげます。ですから・・・・」
有栖は俺の耳に顔を近づけ
「今は私に甘やかされることだけ考えてください」
「・・・うん」
そのまま撫でられ続けた俺は深い眠りについた
次はやっと、本当にやっとDクラスでます