無人島に到着した俺たちは先生の指示でAクラスから順に船から降り、端末の回収と細かいボディチェックがいかにも何か試験をしますという雰囲気だった。相変わらずというかDクラスは騒がしいが本当にただ無人島で遊ぶだけだと思っているようだ。真嶋先生がみんなの前に立ち
「ただいまより本年度最初の特別試験を開始する」
「「「えええぇぇぇぇ!!」」」
やっぱりなぁ・・・・てか煩いな!
試験の概要は至っていシンプルだった。今回の試験で特別に配布される300cpを使い7泊8日自由に過ごすこと、マニュアルが一冊渡され物資をポイントで購入することで使用することができ、使わなかったポイントは終了後にcpに加算される。何も買わなければ最初に配られたテント、簡易トイレなど以外は全て自分たちで調達しなければならない。勿論我慢すればいいというわけではなく環境破壊につながる行為だったり体調不良でリタイアするたびにポイントはマイナスされる。Aクラスは有栖が参加でき何ため初めから30ポイント引かれてのスタートだ。さらにこの試験の特別なことは島にあるスポットを占有することで試験終了後にもらえるポイントを増やすことができるそうだ。スポットの占有にはクラス内で決めたリーダーに支給されるカードキーがなければいけないらしくリーダー以外が占有しようとしても意味がない。また、試験終了前の点呼の際に他クラスのリーダーを指名することができ的中すれば50cp獲得できるが外せばマイナス50cp、他クラスに指名されればスポット占有で獲得したボーナスポイントもなくなる。つまりこの試験はハイリスクハイリターンかローリスクローリターンどちらを取るかが重要になるだろう。
有栖だったら絶対リーダー指名狙うよなぁ・・・。今回有栖は参加しないし葛城が仕切ることになるからそんなにポイント増加は見込めない、さらに有栖の派閥から妨害もされるだろうから最下位になる可能性もある。俺にとってマイナスしかなくね?
先生からの説明が終わり試験が始まる。葛城たちは早速移動を始めたようだが当てはあるのだろうか。とりあえずついていくが何も楽しめそうな感じがしないな。それにまだ酔いの余韻が残ってる・・・・。
「雪上ー」
「最悪の気分なんだから話しかけんな殺すぞ」
「姫さんがいないっていっても悪すぎじゃね?」
「酔っただけだ」
「あらら、それはドンマイとしか言いようがないな」
「で、なんの用だ。今なら2万で話を聞いてやる」
「嘘だろ!?それに用があるのは俺じゃなくてだな・・・・」
「鬼頭隼、お前とは一度話がしたかった」
「雪上だ。話は聞くがとりあえず後にしてくれ。最低でも酔いが覚めてからだ」
「了解した」
そういって鬼頭は先に行った。あいつの顔怖すぎじゃね?本当に高校生?
「あいつは有栖の側近なのか?」
「あぁ、あいつは身体能力が高いから頭脳よりは武闘派だ。うちの陣営は運動できるやつの方が多いぞ」
「確かに頭脳派はいらないな。有栖一人でどうとでもなる。橋本もわかるだろ?」
「確かに姫さんは凄え、けど今更なんだってそんなこと?」
「確かに有栖は天才だ。少なくとも俺が出会ってから一度も満点以外をとったところを見たことがない。この学校で運動能力最弱のハンデを背負ってなおAクラスに配属された、その意味がわかるか?」
「・・・・なるほどな。Aクラスの基準を大きく上回るほどの能力があるってことか」
「そういうことだ。俺に関しては本当になんでAクラスなのかは分からんけど」
「確かに、この四ヶ月だけ見れば協調性とか最低近くだろうな。なんせ初日の自己紹介すらすっぽかした奴だ」
「名前なんて後からいくらでも知れる、知らない場所に迷い込んだら情報収集は基本だろ」
「迷い込んだって小説みたいだな」
「あながち間違いでもないだろ。それよりどこに向かってるんだ?」
「さぁ?とりあえずこのまま着いて行こうぜ」
俺たちがたどり着いたのは洞窟だった。確かにひらけた場所じゃないのは有利だ。それでも占有は早すぎないか?他のクラスがどこにいるか分からないんだぞ。
「葛城」
「なんだ、気になることでもあったか」
「流石に到着してすぐに占有はしなくても良かったんじゃないか?」
「いや、そうかもしれないが・・・・・」
「なんだよ、他のクラスに取られる前に取った方が良いだろ!」
「・・・・・リーダーは戸塚なんだな」
「あぁ、流石に俺だと怪しまれるからな」
「だろうな。それで?」
「何が言いたい」
「誰にも見られてないと言い切れるか?他のクラスもスポットを探して探索してるはずだ。たまたま近くを誰かが通るかもしれない、たった二人で洞窟に入ったなんて言わないよな?」
「っ!だが占有前に周囲の確認はした」
「そうか・・・・点呼には参加するから自由に行動させてもらうぞ」
「待て、今はクラスで協力していくべきだ。勝手な真似が許されると思ってるのか」
「俺はお前と有栖の決着がつくまで何もしない、イコールこの試験でも何もしない。俺が積極的になるとしたらpptに得がある時だけだ、じゃあな」
後ろから戸塚の怒鳴り声が聞こえるが無視して洞窟を出た。とはいえ試験は始まったばかりだし各クラスの方針とか分からないまま動くのは体力の無駄だな。適当にどこかで寝るか・・・・。
橋本に起こされるという最悪の目覚めによって点呼の時間に間に合った俺はその時に葛城から衝撃的な話を聞かされた。
「みんなにはこれを見てほしい」
そう言って葛城は紙を取り出す、その紙は契約書のようで簡単に説明すると
・CクラスはAクラスに200ポイント分の物資を提供する
・Cクラスが入手したリーダー情報をAクラスに共有する
・上記二つが達成された場合、有栖以外のAクラスの生徒は卒業までの期間、龍園に毎月2万ppt支払う
ぱっと見だと得をしてるかもしれないが実際は損失の方が大きいだろう。まず初めにリーダー情報が嘘の可能性がある、もしくはリーダーが交代しているかもしれない。マニュアルをよく読めばわかることだが正当な理由をでっち上げてリタイアさせる、その後に新たなリーダーを用意することも可能だ。そうなればリーダー指名に失敗してマイナスを受ける。
次に問題なのは互いにリーダーを指名することが可能だということ。それがわかってるから龍園という奴は契約を持ちかけたのだろう。
最後は単純にpptを失うこと。シンプルで非常に重要なことだ。龍園は毎月78万pptを無条件で獲得できる。卒業までとなると78万×33ヶ月=2574万を渡すことになる。
今回ではっきりしたが葛城ではどれだけ時間があっても有栖に勝てないな。思わずため息が出てしまう。それに気付いたのか葛城が俺を睨みつけた。
「何か言いたいことがあるみたいだな」
「契約に関しては今更何を言っても意味ないだろ」
「その通りだ。しかしこの契約によって俺たちはポイントを消費せずに生活をすることができる。これで一気に他のクラスと差を広げることが可能だ」
「はっ!おめでたい頭だな」
「何か文句でもあるのかよ!」
「戸塚は黙ってろ。それじゃあはっきり言わせてもらうぞ・・・・・・今この瞬間から俺は有栖の味方をする」
以上、葛城を見限るの回でした。他クラスとの交流はまた次回