実力見せる前には睡眠を   作:さかなヒロシ

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半分くらいは試験に関係ないな


船上試験②

『厳正なる調整の結果、あなたは優待者に選ばれませんでした。グループの一人として自覚を持って行動し試験に挑んでください。本日午後1時より試験を開始いたします。本試験は本日より3日間行われます。竜グループの方は2階竜部屋に集合して下さい』

 

試験の説明がされた翌日朝8時、学校から送られてきたメールを確認すると俺が優待者ではないことを告げるメールが送られてきた。確認すると同時に有栖から電話がかかってくる。

 

『おはようございます』

 

「おはよう、残念ながら優待者じゃなかった」

 

『私も違いました。優待者は『厳正な調整の結果』というところから何かしらの法則性がありそうですね」

 

「公平性を考えると各クラス優待者は3人いるのは予想がつく。それ以外はわからん」

 

『他の方からの情報を待つしかありませんね。試験の時間までどこかでゆっくりしませんか?』

 

「そうだな、とりあえず朝食にするか。迎えに行くから準備していてくれ」

 

『わかりました。咲耶くん、酔い止めを飲むのを忘れないでくださいね』

 

「わかってる」

 

学校から買った酔い止めを飲んでから着替えを済まして部屋を出る。流石に飲んですぐ効果が発揮されるわけないので非常に辛いが我慢するしかないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

有栖を迎えに行ってレストランに入るとそこそこ人がいた。どの席からも特別試験の話をしているのか周囲を警戒しているように見える。そんなに気になるならここで話すなよ。俺たちは比較的静かな席に座り注文をしようと店員を呼ぼうとしたが

 

「すいませーん!!注文したいんですけどー!」

 

どこかに煩い非常識が湧いたようだ。当然レストラン内の空気は悪くなり、声の主を睨みつける。そこには清隆を含めた4人がいることからDクラスであることがわかる。清隆、お前はあんなのと一緒にいるのかよ・・・・

 

「お前ら、Dクラスだな」

 

「あ?だったらなんだよ」

 

「いいか、ここはお前らみたいなクズが来る店じゃない。クズにはジャンクがお似合いだ。ハンバーガーでも食ってろ」

 

「テメェ、ハンバーガを馬鹿にしてんじゃねぇよ!」

 

相手がDクラスだとわかった途端にマウントを取る戸塚もあれだがテスト前に図書館で見た赤髪は成長していないのか?

 

「弥彦、くだらない挑発はやめたまえ」

 

「葛城さん・・・」

 

「夏休みとはいえ生活態度で減点されることも考えられる。Aクラスの生徒としての自覚を持て」

 

すぐに葛城が嗜めたから治ったもののやっぱイラつくな。

 

「有栖、ちょっと行ってくるわ」

 

「わざわざ関わりに行くなんて珍しいですね」

 

「かもな。すぐ終わらせる」

 

俺は先ほどの騒動があった席に近づく。俺に気付いたのか双方から睨まれるが気にしないことにした。しかし向こうはそうはいかないようで

 

「雪上、わざわざ何しに来たんだ」

 

相変わらず戸塚は坂柳派を敵視しているのか突っかかってくる。

 

「お前らのせいで空気が最悪なんだ。今すぐ出ていってくれ」

 

「はぁ!?俺よりも先にDクラスのクズに言えよ!」

 

「もちろん言うつもりだから安心しろ。出て行くのはお前と赤髪、大声で店員を呼んだ3人だ」

 

「俺たちもかよ!」

 

「当たり前だ。店員さん、ちょっといいですか?」

 

「はい、なんでしょうか?」

 

たまたま近くにいた店員に声かけるとすぐに反応してくれた

 

「大声出して周りに迷惑かけた客がいるんですけど50万pptで退出させてください。足りなければ言い値で払います」

 

「なっ!おい、どう言うことだよ!」

 

「言葉の通りだ。この学校ではpptで買えないものはない、だから俺はお前らの退出義務を買った。早くこの店から出ていけ」

 

俺の言葉に何も言えなくなったのかこちらを睨みながら出て行った。ちなみに清隆ともう一人のDクラスの生徒も一緒に帰っていった。後で清隆には謝っておくか。

 

「・・・何か言いたいことがあるなら言ったらどうだ」

 

「今のは非人道的な行為だ」

 

「かもな、けど実は俺1pptも払ってねぇんだわ」

 

「どういうことだ」

 

「簡単に言えば同調圧力。俺はちゃんとポイントを払う気でいたからああ言ったが俺の言葉が引き金となり周りから出ていけという視線を向けられた。あいつらはそれに耐えられなくなって俺がポイントを払うよりも前に自分から店を出て行くことにした。お前がポイントを払えと言うならここで学校側に払おう。どうする?」

 

「・・・・いや、やめておこう」

 

「いい判断をしたな。また試験の時に会おう」

 

席に戻ると有栖が笑顔で迎え入れてくれた。余程葛城派の醜態が嬉しかったのだろうか。

 

「随分無茶をしますね」

 

「無茶って程じゃない。あんなの船酔いを我慢するより簡単だ」

 

「それにしても良かったのですか?」

 

「何が?」

 

「今のやり取りで咲耶くんは50万ppt以上所持していること、それは躊躇いなく出せるほどpptに余裕があることを多くの人が知ることになりました。あなたを警戒する人も少なくないでしょう」

 

「まぁその時はその時だろ。俺は静かに寝れるなら文句は言わないようにしとく。アクシデントがあったけど朝食にするか」

 

「そうですね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いよいよ試験の開始前になった竜グループの部屋に入るとすでに揃っていて俺が最後のようだ。有栖は隣に手招き、葛城は無言で俺を睨む。王様はニヤニヤしててちょっとキモ・・・気持ち悪い。BとDクラスは何故か俺を警戒するように見ている。やっぱ朝のことは広まってるよなぁ・・・。

 

「待たせたみたいだな」

 

「そんなことありませんよ。まだ開始まで少し時間があるみたいですし咲耶くんも他クラスの方と交流してみてはいかがですか?」

 

「君らがそんな楽しい会話してるはずないでしょ」

 

「それもそうですね」

 

「雪上、俺は別にお前と楽しい会話してやってもいいんだぜ」

 

「王様、その顔キモいからやめろ。それに会話って何話すんだよ」

 

「お前が持ってるポイントについてだ」

 

「いきなりだな。そういうのは試験が始まってからにしないか?今は普通の高校生がするような会話をしようぜ」

 

「それこそお前が言ってたあり得ないことだな」

 

「そうだな。たまには平和な学生生活になっ『ではこれより1回目のグループディスカッションを開始します』・・・て言った側から平和とは程遠いな」

 

試験開始の合図とともに葛城が口を開いた。

 

「Aクラスの葛城康平だ。今回の試験、我々は沈黙を貫かせてもらう」

 

葛城から放たれた言葉に他クラスは動揺を隠せないみたいだ。

 

「沈黙ってあなた何考えてるの!」

 

堀北がたまらず声をあげる。言うことはもっともだがちょっと声が大きいな。

 

「簡単な話だ。この試験で一番避けたいことは焦って優待者を外すことだ。しかし話し合いをしてしまえば忽ち疑心暗鬼に陥る。そうなるくらいなら初めから話し合わない方がいい。この学校は公平性を重んじていて各クラスに3人ずつ優待者がいるのは確実だ」

 

意外と論理的に案を出せるみたいだな。もちろんこの作戦にも欠点があるが他クラスは気づくか見ものだな。それより有栖はこの作戦に納得してるのかも気になる。隣にいる有栖の耳元に顔を近づけ小声で会話をすることにした。

 

「有栖はこの作戦に賛成してるの?」

 

「元々夏休みの間は葛城くんの指示で動くつもりでしたよ。それに従うかは別問題ですが」

 

「結局派閥ごとにやることが違うってわけか」

 

本当に仲悪いな。

 

「葛城くんの作戦には致命的な問題があるわ」

 

堀北が気づいたのか。王様の方が早いと思ったが意外だな。

 

「確かに誰も損をしないように見えるけれどそれはあなたがAクラスだからできることよ。全クラス同じ結果ということはcpの差も変動しない、卒業まであと何回あるかわからない特別試験を一回棒に振ることになるわ」

 

「葛城、今回は堀北の勝ちみたいだぞ。お前の作戦が全て明かされた。これでどのグループでも同じ作戦を実行することは不可能になった。いい加減守りに入る作戦はやめないといつまで経っても有栖に勝てない、それを自覚しろ」

 

実際この学校のシステム上守りに入れば不利になることの方が多い。

 

「あぁ、言い忘れてた。Aクラスの雪上咲耶。隣にいるのが同じくAクラスの坂柳有栖」

 

「皆さん、よろしくお願いします」

 

「王様、次は君だ」

 

「Cクラスの龍園翔だ。俺が全クラス潰してやるよ」

 

初めて知ったが翔なんて性格に似合わないかっこいい名前してるじゃないか。

 

「Bクラスの神崎隆二だ、よろしく」

 

「Dクラスの櫛田桔梗です、よろしくね」

 

「Dクラスの平田洋介、よろしく」

 

「Dクラス、堀北鈴音」

 

一通り自己紹介は済んだがこのメンバーで一体何を話し合えと?はっきり言ってこの学校バカじゃねぇの?

 

「雪上、さっき遮られた話の続きだ。お前のポイントについて話を聞かせろ」

 

「流石に所持ポイントは言えないけど稼ぎ方ならいいぞ」

 

「言ってみろ」

 

「まず入学初日に上級生のクラスに行くだろ」

 

「ちょっと待って、いきなり何の話をしているの?」

 

いきなり堀北が話を止めた。変なことを言ったつもりはないんだがな。

 

「何ってポイントの稼ぎ方の話だ。上級生のクラスに近づいたら端末の録音機能を使ってSシステムの概要を得る。その後職員室に行って情報漏洩をしない代わりにポイントを貰う、まぁ口止め料ってやつだ。誰でもできる簡単なことだろ?」

 

全員が開いた口が塞がらないみたいだ。隣の有栖はフフフと笑ってるけど。

 

「咲耶くん、それができるのはあなただけですよ。大半の生徒は10万pptに目が眩んで思考を放棄してしまいますから」

 

「そうか。とりあえず翔の聞きたいことには答えた。それじゃあ試験を始めるか」

 

「おい、気安く名前で呼ぶな」

 

「かっこいい名前なんだからいいだろ。それに翔の方が呼ぶ時短いから楽だ。やめて欲しけりゃポイント払えってな」

 

「・・・・勝手にしやがれ」

 

「じゃあお言葉に甘えて、早速だけど俺は優待者当てを狙う。早く終わらせて寝たい」

 

各クラスに3人いる優待者、厳正な調整、なぜグループ名が干支なのか、ヒントは多いが一つ一つ調べるのは面倒そうだ。有栖なら少しのヒントで分かりそうだが行動を起こす気配がない。今回の試験は勝ちを狙わないのか?




レストランのハンバーガー騒動を無理やり感あるけどねじ込みました。
試験では龍園を名前で呼ぶところまで、ちなみに咲耶くんは基本的に苗字と名前では短い方で呼びます。
あれ?一之瀬はと思ったけどそれはいつかのお楽しみということで
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