1回目のディスカッションは互いに腹の探り合いをするだけで何の面白みもない時間が過ぎ去った。竜グループに関して言えば集まるだけ無駄なのではないかと思う。葛城は作戦を看破されたにも関わらず話し合いに参加しないことを徹底、翔が試験に関係ない話を始めたかと思えば他クラスを煽る発言を繰り返し神崎と堀北が反論する。俺と有栖は二人で時間まで二人で仲良く夏休みの予定を決めていた。とはいえ、有栖は体が弱いから長時間の外出にならないように配慮する必要がある、かといって家を買ったことはまだ秘密にしておきたいから結局いつもの放課後みたいにどこかのカフェでお茶しようということになった。
「何の進展もない話し合いだったな」
「そんなことないと思いますよ」
「その心は?」
「各クラスの方針がわかりました。これをうまく使えば葛城くんを失脚させるのは簡単になります」
「なんで君らは仲良くできないのかな・・・」
「違う思想は相容れないものですよ。それに咲耶くんだってクラスメイトと仲良くできないじゃないですか」
「それは違うぞ。俺の場合はただ単に興味ないだけだ。それなりに仲のいいやつはいるし何ならチャッ友だっている」
「お相手は一之瀬さんですよね?」
「よくわかったな。成り行きで連絡先を交換したんだが彼女との会話は中々飽きない話題が多い。交友関係が広いから知ってるのか静かに過ごせたり寝ることができるスペースのある店を教えてくれる」
「私とはあまりチャットしてくれないのに・・・・」
「そんなことしなくても大体一緒にいるから直接伝える方が多いだけだろ」
俺の言葉で恥ずかしくなったのか有栖の顔が真っ赤に染まる。普段は優雅に振る舞うけどたまに見せる照れ顔は見ていて可愛いしこっちまで恥ずかしくなってくる。
「間違っても一之瀬さんに誑かされないでくださいね」
「誑かされるって・・・ただの友人だぞ。それにこの学校の性質上、他クラスとの恋愛なんて不可能に近いだろ」
「咲耶くんは例外ですよ。多額のpptを所持しているあなたはその気なればいつでもクラスを移動できる、あなたがいなくなったら私はどうなってしまうのでしょうね」
「そんなこと絶対にないから安心しろ。俺が移動するよりAクラスに来てもらう方が楽だろ」
瞬間、周りの空気が変わったように寒気がした。もちろん発生源は隣にいる子なわけで
「やっぱり咲耶くんは一之瀬さんのことが好きなんですか?じゃないと今の発言はしないと思うんですけどどういうことですか?」
「いや、今のは「言い訳しないでください」・・・すまん」
「咲耶くんは乙女心をもっと理解するべきです。でないといつか刺されてしまうかもしれませんよ」
怖っ。有栖はいつからヤのつく性格になったんだよ。そんなことを考える俺の下に爆弾もといメールが送られてきた。送り主は一之瀬で・・・うん、一之瀬には悪いが寝てたことにして無視しよう。端末をしまおうとすると
「雪上くん?」
俺殺されるかも・・・・。
「本当に一之瀬さんとは何もないんですね?」
「坂柳さんが心配するような関係じゃないから安心して」
「私が心配してるのは未来の話です。あなたがこの先咲耶くんに惚れないという保証はないでしょう?」
「それはまぁ、そうかも・・・・」
「一瞬でも修羅場になると思った俺がバカみたいだ。それと隣で恋バナするのはやめてくれないかな・・・非常に居た堪れないんだよ」
俺がいるのに俺との関係について話すとか実は二人揃ってアホの子なのでは?
「そうですよね。私という存在がいながら他の女に現を抜かすなんてことしないと信じてますから」
「坂柳さんって嫉妬深い?」
「かもな。意外で可愛いだろ」
「ここで惚気るなんて雪上くんも大概だね・・・・」
一之瀬に呆れられたんだけど・・・。
「そういえば何の用だったんだ」
「チャット見てないの?夏休みになったら買い物に付き合ってほしいなって」
「買い物?」
「うん、雪上くんに相談したいこともあって」
「相談なら俺よりクラスメイトとか同性の方がいいだろ」
「買いたいのは寝具なんだよね。最近、肩が凝りやすくてね、疲れが取れやすいものを買いたいなって。雪上くんそういうのに詳しいでしょ?」
違うそれは疲れじゃない、君の女性的な部分が原因だ。有栖が冷めた目で君を見ているからすぐに話題を変えないと痛い目を見ることになるぞ(多分俺が)
「具体的には何が欲しいんだ?」
「具体的にって言われてもピンとこないなー。雪上くんはどんなこと意識して買ってるの?」
「やっぱり低反発かどうかだな。体に負担がかからないのは想像以上に楽だし、俺も夏休み前に結構良いやつ買ったぞ」
「また新しいの買ったんですか?無駄遣いは許しませんよ」
「必要経費だ。と言ってもちょっと奮発して予想以上の出費だが今回の試験で元は取り戻す予定だから問題ない」
「つまり優待者が誰か分かったと?」
「法則はまではわかんないけど竜グループに関しては多分合ってると思う。櫛田桔梗だ」
「そう思った根拠はあるんですよね?」
「笑顔が出来過ぎてることが問題だな。竜グループには各クラスの顔みたいな生徒が多い、一之瀬みたいな例外もあるけど。Aクラスは当てても意味ないから除外するとして優待者になったら隠そうと表情に変化が出るだろ。特にリーダーが崩れたなんてなったら他のグループにも影響が出るから尚更な。翔みたいなタイプもいるけどあいつのことは無視すると割り切った場合、他のメンバーが普段通りすぎる。となると普段から表情を作るかそれに近いことをやってる奴が最有力候補、全員が友達なんて取り繕ってないと無理だろ?」
「私はそんなことないと思うけどな」
「元から表情を作っている彼女が一番可能性があるということですね」
一之瀬は純粋というか何というか、いつか騙されそうだな。
「あぁ、これで翔が優待者だったら俺は恥ずかしい推理をしたバカってことだ」
「それはそれで良いと思いますよ。幸いここにいるのは私と一之瀬さんだけですし」
「他の人に言いふらしたりしないから心配しなくていいよ」
「それじゃあ試験を終わらせ──」
言い終わる前に学校からのメールが送られてきた。確認すると
『猿グループの試験が終了致しました。猿グループの方は以後試験へ参加する必要はありません。他の生徒の邪魔をしないよう気を付けて行動して下さい』
マジか・・・流石に勘で当てるやつはいないだろうから法則を見つけたってことか。
「猿グループって誰か優秀なのがいるのか?」
「多分Dクラスの高円寺くんじゃないかな?彼すごく優秀だけど協調性にちょっと問題があってね・・・」
「じゃじゃ馬かよ」
「一番乗りを逃したことを内心悔しがってる人と同じですね」
何でバレてんの?
「顔に出てた?」
「あなたの考えてることは分かりやすいです。一之瀬さんも表情を見るに同じ気持ちでしょう」
「あはは・・・・結構負けず嫌いなんだ」
恥っず!しかも正攻法で先越されるとか敗北感すごいんだけど。
「やっぱ終わらせるのは無しだ。俺も法則を見つけてやる」
「そういうところが好きですよ」
「にゃっ!二人ってそういう関係だったり?」
一之瀬が赤面するのかよ・・・・
「
「俺が恥ずかしくなるだけだから終わりだ。夏休みは基本暇だから一之瀬の予定に合わせる。空いてる時に誘ってくれ」
「うん、また連絡するね。坂柳さんもまたね」
「はい、今度は二人でお話ししましょう」
一之瀬と別れて有栖と歩き出した俺は頭の中で必死に法則性について考えた。
他の方の作品だと有栖&ひよりが多いけど有栖&一之瀬もありだと思うんです。そうなったら原作9巻をどうしようかともなるのでそこは追々考えます