もしかしたら明日は休みになるかもしれません
「咲耶くん、これから・・・・あらあら」
「・・・・・」すぅ
授業中はしっかり起きていたはずですが今は可愛らしい表情で寝ています。私の前だけにして欲しいという気持ちもあり皆さんにも知ってもらいたいというのもあります。
「坂柳、何してんの?」
「咲耶くんの寝顔を観察してます。神室さんも可愛いと思いませんか?」
「ぬいぐるみみたいだとは思う」
「そうですよね」
「こいつに用があるんじゃないの?」
「そうなんですけど別に急ぎの用でもないですし明日にします。学校で寝る姿はそう見られるものではないですから、神室さんも一緒に待ちますか?」
「別にいい、今日は帰る」
「そうですか、ではまた明日」
「はいはい」
神室さんが帰ってからも私は咲耶くんの寝顔を観察することにしました。それにしてもかわいい顔ですね。普段の目元はキリッとしてるんですけど、眠たくなってくるとだんだんとろんとした目になるんです。それに目に連動するように甘えん坊になるのがまたかわいいんです。普段から二人きりの時には甘えてくれますが何ていうんでしょうか、甘え方に差があるような気がするんですよね。意識がはっきりしてる時はどっちかというとリラックスのためというのが多いのに対して、寝起き直後などは人肌を求めるような甘え方をするんです。もちろん、私はどちらも好きなので今以上に私に甘えて欲しいですね。そしてゆくゆくは私無しでは生きられないくらい甘やかして差し上げたいと思うのです。
「ん・・・・あれ、学校?」
「おはようございます」
「有栖か」
「もうすぐ下校時間ですよ」
「そんなに寝ちゃってたか。悪いな、暇だったろ」
「そんなことありませんよ。咲耶くんの寝顔は見ていて飽きないので」
「そうかい、じゃあ帰る前にどこか行くか。待たせちゃった分何か奢るよ、拒否権は無いからな」
「では素直にご馳走になりますね」
奢るとは言ったもののどうしようか、まだ学校は二日目だしあまりに高いものだと怪しまれそうだ。少しカッコ悪いが今の時間はファミレス辺りが無難か。
「奢るって言っといてダサいかもしれないがファミレスに行くか。今ならあまり混んでなさそうだし」
「咲耶くんにお任せします。私はあなたと一緒ならどこでも楽しいですよ」
「もっとわがまま言ってもいいんだぞ。いつも甘えさせてもらってる分俺にできることならなんでも叶えてやる」
「何でもですか?」
しまった、これはとんでもないお願いされるかもしれない。
「では咲耶くんにお願いです、もっと私に甘えてください。これなら咲耶くんにもできますよね?」
「・・・・・はい?」
「聞こえませんでしたか?ならもう一度言います、もっと私に甘えてください」
「聞こえなかったわけじゃない、ちょっと理解できなかっただけだ。そもそも俺は有栖に十分甘えさせてもらってるぞ」
「それは知ってます、けど足りません。咲耶くんは甘えたくても我慢している時がありますから。別に迷惑だなんて思いません、咲耶くんに甘えられるのが好きなんです。ですのであなたが甘えたくなったら我慢せずに甘えてください」
「少し考えさせてくれ」
「わかりました。先に言っておきますけど断るなら私を納得させるだけの理由を言ってください、よろしいですか?」
「それ無理ゲーじゃん」
「万が一にも断られないようにする為ですから」
ほとんど決定してしまったお願いを何とかしないと俺はダメ人間になってしまう。これ以上有栖に甘えてしまったら二度と戻れない、本能がそう警鐘を鳴らしている。しかし有栖は紛うことなき天才だ。俺は天才を納得させなければならいのだ。
「有栖には一生かけても勝てる気がしないな、っと着いたぞ。」
「続きは部屋に戻ってからですね。それまでに私を言い負かせれるように頑張ってください」
ひとまず考える時間は確保された。とはいえせっかくの食事に考えごとばかりしては勿体無い。店に入った俺はオムライス、有栖はパスタを注文した。待っている間に思ったのはさすがは学生の味方ファミレス、俺たちが来たのは夕ご飯より前の時間だったが少ししたら一気に客が増えた。
「結構人が増えてきたな。食べ終わったらすぐに出たほうがいいかもな」
「そうですね、私も早く咲耶くんの答えを聞きたいですから」
「なぁ、やっぱり何でもっていうのはなかったことに『俺にできることならなんでも叶えてやる』「できませんよ♪」・・・マジか」
「咲耶くんの性格的にこの発言は予測できますので失礼ながら録音させてもらいました。私のお願いを聞いてくれるのであれば削除しますので安心してください」
「安心できないんだけど」
何て話してたら料理が運ばれてきた。
「先に食べてしまいましょうか」
「だな」
「「いただきます」」
俺たちはそれぞれ料理を食べ始めた。有栖はさすがお嬢様と言うべきか食べ方が非常に綺麗だ、ファミレスでも絵になるのだからどれだけ容姿が優れているかを改めて理解させられる。何て観察していたら有栖と目が合った。途端に手を止め笑みを浮かべる。もちろんイタズラをする時のだ。
「咲耶くん、口を開けてください」
「・・・・さすがにここでは止めない?二人きりじゃないんだし」
「だからやってるんです。こうすれば咲耶くんにはすでに私がいるというアピールになりますから」
「そこまで計算してんのか。しょうがない、一回だけだぞ」
「ありがとうございます。では、あーん」
「あ、あーん」
何これ、めっちゃ恥ずかしいんだけど。世の中のカップルみんなこんなことやってんの?
「なかなかクセになりますね。では、咲耶くんも私に食べさせてください」
「勘弁してくれ、恥ずかしすぎるって」
「どうしてもダメですか?」
「どうしてもだ」
「・・・今日は引いてあげます」
「どうも」
食事を終え帰宅するが
「有耶無耶にはさせませんよ」
ですよねー。
「さて、先ほどの話の続きといきましょうか」
「はっきり言うがあのお願いは断らせてもらう」
「理由をお聞きしても?」
「我慢しないと俺がダメ人間になるからだ」
「私としては咲耶くんがダメになっても構いませんよ」
「俺が構うわ!」
「なぜですか?」
「これ以上有栖に甘えたら本当に戻れなくなるって」
「そうですか」
「だから他のおねが「えいっ!」ちょっ!」
急に有栖に引き寄せられて胸に抱き抱えられてしまった。
「離してくれ!」
「嫌です。私が満足するまで大人しくしていてくださいね」
そう言いながら有栖は俺の髪を梳かすように優しく撫でる。その手つきは物凄く安心させるものですぐに抵抗する気が失せてしまった。
「どうです?私のお願いを聞いてくれるのであれば今以上に甘やかしてあげますよ」
「ダメだって、これ以上は有栖から離れたくなくなっちゃう」
「良いじゃないですか。ほら、だんだん気持ちよくなってきたでしょう?」
「うん、もっ・・・・と・・・」
「そのまま眠ってしまってもいいですよ」
「あ・・りが・・・・と・・・」すぅ
俺の意識はそこで途切れたのだった
有栖に甘やかされるシーンを増やしたいがために一気に関係を進めました