ガチャと俺のプライベートプラネット 番狂わせの召喚王 【第1巻発売中!】   作:太陽くん

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世界遺産の有効活用

あのメッセージが事実だとしたらそれはとんでもないことだ。

 

千人のこのゲームの参加者達。それが一人一人違う能力を与えられているという。

 

そしてこの色々と信用できない運営はゲームバランスの調整が下手クソだ。

 

どうしようもないくらい無能なのだ。馬鹿なのだ。阿呆なのだ。

 

与えられた能力には格差が存在し、上位陣とそれ以外ではどうしようもない、超えられない壁が存在していると思われる。

 

 

 

 

俺に与えられた能力はガチャ。そして4位の南雲というユーザーには神の召喚という、とんでもない能力が与えられているという。こんな物、どうやって対抗しろと言うんだ。

 

 

俺の配下で神に対抗できそうなユニットはヘルメス神のお地蔵様と、完全体ではない暴食の邪神ベヘモットだけだぞ。

 

どう考えても無理である、こんなもの、南雲にまともな神が一人でもいれば簡単に蹂躙されてしまうだろう。

 

スライムなら可能性はあるが、神相手に通じるかどうか。スライムは魔法など、非科学的な物の模倣や侵食は大の苦手だ。

 

ダンジョンだってスライムは模倣することはできないし、ダンジョンの様々な魔法的セキュリティを正面からハッキングすることはできていない。セキュリティの低い部分から侵食、迂回などをしているだけだ。

 

神を正面から侵食するなんて無理だろう。

 

 

しかし恐ろしいのはこれで4位だと言うことだ。つまりこいつ以上のユーザーが3人もいることになる。最悪だ。勝てる気がしない。

 

俺のガチャという能力、どう考えても外れである。中間発表での1000位も納得だ。

 

 

 

 

 

だが勝機が無いわけでは無い。4位が神を従えるというのなら、対神装備を量産して相性の差で押し切ればいいんだ。

 

俺は早速工房に向かった。もしかしたら対神装備が製造できるかもしれない。俺はいつの間にか工房の総責任者となった首無しに会いに行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「対神装備ですか?もちろん作れますよ」

 

 

「マジか!じゃあ早速作ってくれ!」

 

 

「少しお待ちを。ああ君、王にあれを」

 

 

 

そう言うと、首無しの背後で立っていたホムンクルスが、机の上に紅茶と茶菓子を渡してきた。

 

 

こいつ、ホムンクルスを従えてやがる。流石は我が王国内の『工房派閥』のトップなだけはある。

 

 

 

俺たちは茶を飲み、一息つく。美味いなこのお茶。

 

 

 

「しかし今作ることが出来るのは最下級の装備だけです。素材も設備も圧倒的に足りません」

 

 

「……それでも無いよりはマシだ。早速だが量産してくれ」

 

 

「無いよりはマシ?あなたはもうすでに対神装備を持っているではありませんか」

 

 

 

は?いや、そんな物持っていないぞ。

 

 

 

 

「神剣アイギスです」

 

 

あっ。

 

 

「あれには純度の高い神の力が込められている。あれならば神に対抗することも可能でしょう。ところでなぜいきなり神の話を?ダンジョンに神でも現れたのですか?」

 

 

俺は首無しに例のビデオレターの内容と、俺の能力であるガチャコールを使い、冷凍倉庫に置いてきた女神の死体を召喚し呼び出す。

 

すると首無しは明らかに動揺した。それほどまでにこの神に価値があるのだろうか?

 

確かに神だが、信号機の神だぞ?

 

 

「おお…女神の死体ではありませんか」

 

その声は感極まっていた。顔があったら泣いているだろう。

 

「失礼…おそらくは未来からのメッセージでしょう。ビデオの男はいずれガチャより排出される仲間でしょうね。しかし私に対してアンデッドとして使うなとは………」

 

「そうだ、戦争王ってのは何なんだ?お前がだいぶ前に話していた、6課の戦争屋と何が関係でもあんのか?」

 

「戦争王、戦争屋、戦狂い…彼には多くの名がありますが、全てロクでもないものです。彼の能力はネクロマンサー。死者を甦らせ、自身の手駒とする」

 

 

「それくらいお前でもできるじゃないか。最近はホムンクルスでもアンデッドを従える個体もいるぞ」

 

「違います。彼は甦らせた死者を進化させる。私のような、手を加えるのとは訳が違う。それにしても全く…彼女は未来で何をしているのやら…」

 

「彼女?さっきは彼って言っていたじゃないか。女なのか?」

 

「…今のは聞かなかったことにしてください。ところで、抜け毛くらいならいいですよね」

 

「うーん、まぁ、それくらいならいいんじゃないかな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日のログインボーナスは建造物確定ガチャコイン。

 

 

 

 

ガタンッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

UC『ピサの斜塔』

 

 

ピザじゃなくてピサ。イタリアのトスカーナ州ピサ県にある世界遺産、ピサのドゥオモ広場の一部。

 

傾いていることで有名。その傾きは約3.97度。

 

 

 

1173年に着工、100年以上かけて1372年に完成したのだが、建設中に既に傾き始めており、頑張って元に戻そうとしたもののどうすることもできず、結局傾いたまま完成した。

 

ムッソリーニは傾きはイタリアの恥だとして直そうとしたが失敗、その後も工事が行われたが根本的解決は出来ず、世界中の建設関係者からの助けを得てなんとか3.97度まで修正することに成功、今では安全も確保されているため中に入ることもできるという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

出現したのは、歴史ある雰囲気を持つ、傾いた白い塔だった。

 

直接は見たことないが、この特徴的な、風が吹けば倒れそうな優雅に立つ塔が、ピサの斜塔なのだろう。

 

周りには何も建造物がない中、青空の下、一本の塔が聳え立っている。

なかなかいい景色だ。

 

 

俺はピサの斜塔に入る。内部も白い石でできており、経年劣化なのかところどころ黒ずんでいる。

 

 

ピサの斜塔内部の螺旋階段を登ろうとするが、そこで気づく。この螺旋階段、上だけでなく地下に行くことも可能らしい。

 

ん?へー、ピサの斜塔って地下があるのか。知らなかった。

 

 

俺は螺旋階段を登ろうと考えたが、傾いた階段を上がるのは疲れそうだし面倒くさい。

 

 

なのでショートカットだ。スライム化した左腕をワイヤーアクションのように伸ばし、塔を登り最上階へと入った。

 

 

本来なら、そこには鐘があるはずだ。しかしそこには鐘がなく、その代わりに数多くのボタンやレバーが付いたコンソールがそこにあった。

 

 

これまでの歴史を感じる雰囲気とは違う、突然現れたコンソール。

 

俺は躊躇しながらも、真ん中の赤いボタンを押した。

 

 

 

 

 

 

ダダダダダダダダダダダダダダダダダダッッッッッッッッッ!!!

 

 

突然塔が上下に揺れ始めた。それもガタガタと地震のように揺れるのではない。遊園地のアトラクションのように上下に数メートル、凄まじい勢いで揺れ始めた。

 

 

俺は体を床と天井にぶつけながら、何とかコンソールの赤いボタンを押す。

 

すると斜塔の揺れは止まり、静かになった。

 

 

何なんだ今のは!

 

俺はピサの斜塔の螺旋階段を降り始める。最初の方は特に異常はなかったが、地下へと向かう螺旋階段はどこから現れたのか土で埋め尽くされ、奥に向かうことができなかった、この土はどこから発生したんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

調査の結果、これはピサの斜塔型ドリルだった。

真顔で説明するマッドサイエンティスト相手に俺は真顔では?と声に出していた。

 

何でもこのピサの斜塔の中心にある柱は、先端がドリルのようになっておりこの柱で地下の岩や土を削り、邪魔になった残土を螺旋階段を通じて放出するようだ。

 

 

最上階のコンソールを使い、ピサの斜塔の長さを伸ばしたり、短くしたりできるという。これでピサの斜塔は工事重機へと早変わり、今ではショッピングモール地下の駅を有効活用するため、地下鉄のトンネル採掘事業のために使われる予定だ。

 

 

 

…予定だった。

 

ピサの斜塔ドリルは魔法的な物でない限りは何でも砕いて進むらしい。

 

マッドサイエンティストは何を考えたのか、何もない空に向かって、コンソールで設定を弄ってピサの斜塔を起動した。

 

 

 

 

その結果、ガラスが割れるような嫌な音とともに空にヒビが入った。今の所は特に何も起きていない。

 

 

何やってんだ!馬鹿!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それでは、今日の無料ガチャ!

 

 

 

ガタンッ

 

 

 

 

 

 

 

R『問いかけ』

 

 

 

 

質問のこと。とあるスフィンクスは通りかかる旅人に対して、「朝は四本足、昼は二本足、夕は三本足。この生き物は何か?」と問いかけ、答えられない旅人は食い殺されたという。理不尽。

 

 

 

そんなスフィンクスの前に、オイディプスという男が通りかかる。スフィンクスが同じように問いかけるが、オイディプスは「人間」と答える。

 

するとスフィンクスは崖から投身自殺したらしい。人間こそがこの問いの答えだったのだ。

 

この問いはなぞなぞであり、朝と昼と夜は人間の一生を表している。

 

朝、つまり赤ん坊の頃はハイハイをして進む四足歩行、昼は成長して二足で歩き、最後の夜は老人となって杖をついて歩く、つまり3足歩行となるというわけだ。

 

分かるかこんな問題!

 

 

しかし一部の創作では引っ掛け問題として、そんな物は存在しないという答えも存在する。じゃあどうすればいいんだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カプセルを開けると、システムウィンドウが展開された。

 

 

 

●力が欲しいか…? はい/いいえ

 

 

 

はいっと。

 

 

 

 

 

………あ、特に深く考えず反射で押してしまった。

 

仕方ないじゃないか、力が欲しいんだから。

 

 

だが何が起こるんだ?ゲーム的に考えてみると、いいえを押しても何も起きないが、はいを押すと強化イベントなどに突入する、または欲深い物への罰として敵が襲いかかってくることもある。

 

 

ガチャから出る物なので油断はできない。

 

何が起きる…?

 

 

 

身構えていると、突然誰かが声をかけてきた。

 

 

「Hello」

 

ん?誰だ。

 

 

振り向くと、迷彩柄のタンクトップをきた、ムキムキマッチョの白人の男が立っていた。太陽のように笑顔だ。

 

 

で、でかい。こいつ身長とか体格とか筋肉とか、いろいろな物がでかい。圧がすごい。

 

 

 

 

「さあ、山田君!トレーニングを始めようじゃないか!力はすぐには手に入らない!怠けるな!さあ、私と一緒に鍛えよう」

 

そう言うとこいつはその筋肉が付いた太い腕で俺をつかみ、片手で軽々と俺を持ち上げた。

 

 

うわぁ!急に何をするんだ!

 

 

 

「さあ、君たちも来るんだ!君たちは生まれつきいい筋肉を持っているが、もっと鍛えよう!」

 

 

マッチョは俺を持ち上げ、周囲を傍観するホムンクルスに呼びかけながらショッピングモールの外に出ようとする。

 

それにつられて、ホムンクルスも大勢マッチョについていく。もっと主体性も持て!

 

というか、お前は誰なんだ!

 

 

鑑定!

 

 

●インストラクター グリムジョー

 

筋肉の専門家。体を鍛える指導を得意とするインストラクター。軍隊上がりの彼の指導は無駄のない実用的な筋肉を得ることができる。

 

 

 

 

 

 

ショッピングモールの外には、大きなジムが出現してあった。

 

そのジムにグリムジョーは中に入り、内部構造を知っているのか迷いなく進み続け、一つの大きな部屋にたどり着く。そしてその大きな部屋の奥にあるステージのような場所に立つ。

 

 

 

 

俺たちは何をさせられるんだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リズムに合わせてジャンプ、反復横跳び、正拳突き、体を捻る運動など、

脂肪燃焼エクササイズももうすぐ終わる。汗だくのインストラクターが、これまでのパワフルな音楽とは違う、静かな落ち着いた最後の一曲をかけ始める。

 

会場中には熱気と興奮が広がる。

 

俺を含むこのエクササイズの参加者は意志の力を絞り出し、汗を流し続けた。

 

筋肉が疲労困憊となりながらも、心地よい疲労感が体を包み込み、俺たちの目は充実感と達成感で輝いていた。

 

そして曲も終わりを迎える。

 

 

 

 

「さぁみんな、これまでよく頑張った!最後に一言、全ての力を使って叫んで終わろう!何を叫ぶかはもうわかっているな⁈」

 

 

あぁ、もちろんだ。最初こそ戸惑い、恥ずかしがったがもうそんな物は吹き飛んだ。

 

 

 

「せぇーの!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「ドラゴーーーン!」」」」

 

 

 

 

 

エクササイズが終わると、会場中に拍手が鳴り響いた。俺は周りのホムンクルスと笑顔で握手し、お互いの努力と忍耐を称え合った。

 

 

 

「いいドラゴンだったよ」

「ナイスドラゴン!」

「ドラゴンドラゴン!」

「すごいよドラゴン!」

 

 

 

 

 

…何だこれ。

 






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