ガチャと俺のプライベートプラネット 番狂わせの召喚王 【第1巻発売中!】   作:太陽くん

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もう終わりだよこの宗教

山田ドラゴンガチャ王国を支える主要産業は飲食業、ハンター業とそれを支える製造業、そしてカジノ業の4つである。

 

 

ホムンクルスたちはその有り余る体力からダンジョンの魔物を狩り、それを飲食店に卸してお金を稼ぎ、腹いっぱい食べたら残りのお金をギャンブルに使い、そうして儲けたお金で商品や武器防具を買い込んでダンジョンに向かう。

 

4つの産業はこのような関係で回転し成り立っており、ホムンクルスが山田ドラゴンガチャ王国の国民の大半を占めているため他の産業を引き離してすさまじいスピードでこれらの業界は発展している。

 

そんな4大産業の一つ、ギャンブル業界なのだが、ここ最近ガチャ賭博と言うものが流行っている。

 

ガチャ賭博のルールは非常に簡単。俺がガチャから手に入れるアイテムの種類や順番、レアリティを予想するという物だ。

 

俺がガチャから手に入れたアイテムはすべて妙物管理機構によって管理され、一部の情報以外は公開されている。

その情報から、これまでどの種類のアイテムが何回排出されたかを計測し発表。ギャンブラーたちはこの数値を元に次の日にどの種類のアイテムが排出されるか予想するのだ。

 

 

俺はカジノが配信しているアプリでガチャ賭博に関する情報を見てみると、『建物』『食料品』『武器』『スキル』『機械』などの賭けられる種類とこれまでの排出回数、倍率などが記載されていた。

 

 

俺も願掛けとして、SSRに賭けようとしたのだが、エラーが起きて賭けることができない。何度も試してみても賭けることができず、諦めて他のレアリティに賭けようとしたが、それも不可能だった。しかし俺以外のホムンクルスたちは問題なく賭けられている。俺はガチャ賭博支配人ホムンクルスに問い合わせた。

 

 

 

 

「あ、山田さんはダメですよ。ガチャ賭博は参加禁止です」

 

「え、なんで」

 

「そりゃ、あなたは一応幸運の神なんですから。もし幸運パワーが発動して当ててしまったらギャンブルが成立しません」

 

 

う、うーん。そう言われると何も言えない。一応俺は神様として信仰されているし、実際俺もその影響力でアンデッドにしたり転生した天使たちや一部ホムンクルス達から支持されるためにその神っぽさを利用している。

 

まぁ確かに、幸運の神様がラスベガスのカジノに来たらラスベガス中のカジノが搾り取られ破産することを恐れて休むだろう。

 

正直言って俺は神様じゃないし、幸運の力とか運命を操る力なんてないのだが。

 

…あれ、でも麻雀やトランプとかは参加させてくれるよね?何でだ?

 

 

「山田様は欲深いですからね。運が良くても心理戦で負けますから」

 

 

ぐぬぬ。何とも言えない。実際俺は欲深くて、大穴を狙ったり、高得点の役を狙って敗北している。

 

俺が少し反省していると、一人の女が俺に泣きついてきた。運命教会最高司祭のアリスである。

 

「あーーー、山田様⁉なんで昨日ユニットを出してくれなかったんですか!おかげでお小遣い全部なくなったじゃないですか!うわーん!!」

 

「本当に神様パワーって存在すると思う?最高司祭だろこいつ」

 

「う、うーーーん、確かに…この人運命教会のトップですよね。あんまり勝ててないしなぁ…」

 

「ああ、今月の食費が…またダンジョン潜るかぁ」

 

よっこらせとため息を吐きながら、アリスは近くの椅子に腰掛ける。

 

つーかこいつ、仮にも最高司祭だろう!お前強いんだからダンジョンで簡単に稼げばいいじゃないか!

まじめに働け!

 

 

「おまえ、教会の金使ってないだろな?自分の金でやれよ」

 

「ち、違います!あいつと違ってちゃんと自分のお金でやってますよ!」

 

「あいつ?」

 

「ああ、あの人ですか。あそこです」

 

 

ホムンクルスが指を刺す先には、一人の男がいた。神父である。

 

 

「ふふふ、やはり私の祈りが届いたようですね。」

 

神父の周りには、金を奪い取られたホムンクルスギャンブラーやカジノスタッフたちが倒れ積み重なっていた。どうやら神父に搾り取られたようである。

 

「ああ、最高司祭様。これ領収書です。ギャンブル費と神殿と神器の建設費です。決済しておいてください」

 

 

神父が最高司祭に領収書を渡す。こいつはどうやら勝手に教会の資金を使い込んでいるらしい。

 

 

「ああ、また勝手に神殿を建設したのですか…」

 

「ええ、山田神の威光を知らしめるために必要ですから」

 

「つーか、ギャンブルで勝ったなら、その金を使ってくださいよ!何で教会のお金で神殿を建てるんですか!」

 

「失礼な。ギャンブルで稼いだお金も教会の建設費に使っていますよ」

 

 

 

う、うーん。どうやら神父は教会の金でギャンブルをして稼いでいるらしい。でもそのお金で教会の施設である神殿を建てているようだ。自分のために使ってないからセーフか?

 

 

「あいつ教会に暮らしてますからね」

 

アウトか?

 

 

 

 

「ねえ」

 

その瞬間、俺たちは即座に臨戦態勢に入った。

俺は魔王装備を顕現させ居合の構えに入り、ホムンクルスは盾を中心に結界を貼り司祭は瞬時に俺たちにバフを撒き、神父も魔術で自身を強化する。

 

 

気配が全くしなかった!馬鹿な!この俺が気配を感じることができなかった!

 

なんという殺気だ。ただものではない!殺意のオーラで顔が見えないが、相当の腕前だ!

 

観察すると、その人の手には、ガチャ賭博予想権。武器に賭けていたようだ。

 

 

…うん?

 

 

「私が貰ったアイギス、いいねこれ。よく切れる」

 

 

ま、まさか。

 

「もっと武器が欲しいなと思って賭けたんだけど、負けちゃった」

 

こ、コイツセブンか⁈

 

「アイギスだけじゃ、足らない。もっと強い武器やアイテムが欲しい。頑張って」

 

「はい…」

 

「あとこれ」

 

セブンは木箱を俺に投げる。木箱からは血の匂いが漂っていた。

 

「あ、あのこれは…」

 

「さあ?前線に出てた天使の偉そうな奴。とりあえず首とったから」

 

そうして、セブンは天使を狩りに戻った。

 

 

「セブン様の怒りを抑えるために黄金像を中庭に作りましょう」

 

 

賛成!!!!

 

 

 

 

 

 

というわけで、ガチャの時間である。

ううむ、ガチャ賭博のことを意識すると周りのホムンクルスの期待がこもった視線が痛い。

さあて、無料ガチャ!

 

 

 

ガタンッ

 

 

 

 

 

 

 

R『貝塚』

 

 

貝類を日常的に食べていた大昔の人々が、食べ終わった貝殻と他のゴミを長い間捨て続けることでできた場所。ゴミ捨て場と貝の加工場などの説がある。

貝殻以外にも、食べ物の残り滓や壊れた土器や道具などが発見されている。

 

 

 

 

 

出現したのは、辺り一面に広がる貝殻の山だった。

 

うーん、俺の思う貝塚って、小さな穴の中に貝殻が溜まっているというスケールの小さな物だったのだが、出現したのはゴミ処理場のような、想像以上に大きい貝塚だった。

 

 

俺は石灰石のようになった貝殻の山を歩く。

 

特に建造物もなく、貝殻の山が広がるだけ。

しかしレアリティはR。これはどういうことか。

 

 

…まぁ、俺も経験者だ。

そろそろガチャからどういう物が出るか予想はできる。

貝塚の山の中から、超古代文明の遺産やオーパーツが発掘でもされるのだろう。俺はホムンクルスに発掘作業を命令した。

 

 

 

 

 

 

 

その後、発掘調査が行われ、貝塚から魔剣などのアイテムが出土した。やっぱりな。

 

しかし一つ予想外のことがあった。

 

どうやら、ガチャから排出された貝塚はこの貝殻の山だけで無く、貝塚を中心としたこの辺り一帯がエリアとして出現したらしい。

 

一見何もない所でも、地面から建造物や水路の跡が発見された。

 

 

…そして、ホムンクルスは仲間を増やすべく、回収された骨董品のうち、貴重な物ではなさそうな物をホムンクルス製造に利用した。

 

すると何が起きたか。

 

 

製造されたホムンクルスは『新生邪馬台国』と『古代邪馬台国』の2つの勢力に別れ、あろうことか彼らは対立し始めたのだ。

 

どちらも邪馬台国の正統な継承集団であることを名乗り始めたが、どちらも数十人規模の町内会レベルの集団である。そんな大層な集団ではない。

 

彼らからの手紙が俺に届いた。住所に邪馬台国町とあることにツッコミを入れようとしたが、もう疲れたのでスルー。

 

手紙の内容は、彼らが邪馬台国支族隊として天使との戦闘に参加するので、その戦働きでどちらが正統な邪馬台国か判断して欲しいとのこと

 

結局やっていることはいつもと何も変わらない!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

今日のログインボーナスが建造物確定ガチャコイン!

さぁ、レッツガチャ!

 

 

 

 

 

ガタンッ

 

 

 

 

 

HR『競馬場』

 

 

いつの間にか、至る所に馬券購入所と競馬鑑賞ができる施設が出現した。

 

競馬と聞いて、既に多くのホムンクルスが殺到し、受付のアンドロイド(⁈)相手に買っていた。

 

大迫力のディスプレイを前に、映画館のような席に座ってテレビを見ると、宇宙空間にある競馬場が映し出されていた。

 

当然ながら宇宙空間なので観客はいない。

 

俺は観測隊に調査させると、この星系の外にそれと思われる施設を発見したとのこと。

 

大きな競馬場と、コースと思われる宇宙空間に広がる広大な光の星の道、その他宿泊施設や牧場?などの複数の施設が確認できた。

 

 

しばらくすると、レース開始地点と思われる場所には十数人の騎士や馬、その他厩務員などが現れる。

 

 

…しかし、なんかそいつらは武装していた。馬とジョッキーは鎧を着込み、大きな槍や弓で武装している。数人は馬の上に乗らず、ソリのような物を引かせている。

 

なんか、既に様子がおかしいのだが。

 

 

不安を感じながら、宇宙服を着込んだオーケストラによるファンファーレが響き渡る。まるで古代のコロシアムのような、勇ましい音楽だ。

 

 

 

『G1  山田記念  アンリミテッドレギュレーション』

 

 

アンリミテッドレギュレーション?あっ。

 

レースが始まると案の定、騎馬同士が全力でぶつかり合い、馬がタックルして衝突し、騎手は槍や弓矢で相手を攻撃し合う。

 

安全性は大丈夫なのかと熱狂するホムンクルス達を無視してアンドロイドに聞くと、シールドが展開されてあり、シールドが一定の損傷を受けると失格になるので大丈夫とのこと。

 

 

なるほど、武装の重さや装備するアイテム、使う魔法によりシールドの強度が変わるのか。

 

重い鎧を着ると騎馬の速度が下がる代わりにシールドが強くなる。結構戦略性があって面白いじゃん。

 

 

しかし…

 

 

ギャンブルと戦闘狂ホムンクルス。出会ってはいけない2つが出会ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、ジョッキーとしてホムンクルスが専門学校に通いだした。

 

いつの間にかこの星にも宇宙競馬組合の支部が完成しており、ここでジョッキーの育成をするのだとか。

 

無重力空間を体験できる設備から、ルールや戦法を学ぶ学舎から宇宙を駆ける騎馬を育てる牧場など、宇宙競馬関連の充実した施設が整っており、ホムンクルス達は真面目に勉強していた。

 

『千瞳のスローン』さん曰く、彼らは良いジョッキーになるだろうと語ってくれた。

 

誰だよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

天空山脈墓所クラレント 南部軍管区 塹壕外の森 

天使視点。

 

 

「なあ、俺たちのやってることって意味あんの」

 

「黙って索敵任務に集中しろ」

 

「いやだってさぁ、異界の軍は北部に展開しているんだろう?正反対の南部になんかいるわけないじゃん」

 

「もしかしたら包囲網を突破した兵隊が潜んでいるかもしれん。それに異界の軍隊は転移魔法を使っているという情報もある。油断はできん」

 

「転移したら時空干渉波でわかるじゃん…はあ、歩くの疲れた。なんで飛んだらダメなんだよ」

 

「空からじゃ木に隠れて地上が見えないからな」

 

「こういうのは同盟世界の奴らに任せろよ。あいつら基本翼がないんだから」

 

「同盟軍は根こそぎ北部軍管区に派遣されただろう」

 

「…そんなに状況は悪いのか。前線はどうなってるんだ?あまりいい話は聞かないけど」

 

「かなりきついらしい。戦線は後退に後退を重ねてるって話だ。だがあいつらはまだ山脈にも到達していない。犠牲は多いが、何とか戦争終了までは守りきれそうだ」

 

「だといいけどな」

 

 

 

………

 

「なあ、何かおかしくないか?」

 

「何がだ」

 

「いつもなら他の奴らと出会うのに、まったく会わない」

 

「ライトの光だって今日は見たことない」

 

「よく考えたら、空飛んでる奴らも少なくないか?というか、見える限りじゃ、一人もいない」

 

「なあ、本部に連絡してくれよ」

 

「おい、無視するなよ」

 

 

………

 

「おい、どうした」

 

「ハロー、ピースピース」

 

「えっ、誰だおま」

 

「グッバイ」

 

 

 

 

 

 

「俺たちがここまでこれたのはお前のおかげだ。最高だぜお前の能力」

 

「いやぁ、それほどでも」

 

 

殺人鬼ジェイド。当初は建設された牢獄に投獄することも考えたが、司法取引を行い、俺たちの部隊に入隊することとなった。

 

コイツが『俺たちが敵軍後方に忍び込めるルートを示せ』っていうだけでその条件通りの道が示されるんだ、まじで使える。

 

そんなコイツや俺たちの部隊長は十二魔将だ。

 

十二魔将。俺たちを生産した『ホムンクルス製造機』がガチャから排出される前に山田閣下に呼ばれた、始まりのホムンクルス12人。

 

彼らはそれぞれの好みの部隊を率い、自由に活動している。

そしてそれぞれが異名を所持している。

 

 

第1ホムンクルス『簒奪のワン』

第7ホムンクルス『鏖殺のセブン』

第8ホムンクルス『塵芥のエイト』

第12ホムンクルス『心臓のトゥエルブ』

 

 

 

じゃあ、俺たちの部隊長であるホムンクルスの二つ名は何かって?

 

 

 

魔王軍 敵地侵入破壊工作部隊

 

第4ホムンクルス『愉悦のフォー』

 

部隊入隊条件はギャンブル獲得賞金収益が一定の額に達した者のみ入隊資格が与えられる。

 

彼らは山田閣下と取引を行い、カジノでの税金の免除、ギャンブル特別区の設置、カジノの運営権などの特権と引き換えに大好きなギャンブルを行うことを一時放棄している。

 

 

彼らはギャンブルで養った思考誘導、情報操作、観察力を使い、敵軍に混沌を与える。

 

まぁ、ギャンブルと同じくらい戦うことも好きだが。

 

 

 

「おーい、お前らよく聞け」

 

「あ、部隊長」

 

「何事も始まりは派手にやらないとな。ショーは最初が肝心。索敵に出した兵隊が丸々失踪したんだ。インパクトとしては十分だろう」

 

 

「命令を下す。よーく聞け。俺たちの任務は単純だ。少しでも敵戦力を南部に誘引し、北部の負担を減らし士気を下げる。やることはいつもと変わらない」

 

 

 

「手当たり次第殺せ」

 

「見つかる前に殺せ」

 

「見つかっても殺せ」

 

 

「恐怖のどん底に突き落としてやれ」

 

 

 

 

 

 

天空山脈墓所 クラレント南部軍管区より

敵工作員による大規模な破壊工作を確認。死者千人規模、各地インフラの破壊、弾薬庫の起爆、司令部要員の暗殺など、被害は多岐にわたる。北部の包囲網が突破された模様。包囲網の強化及び東部西部軍管区に対し警戒の強化及び司令部に対して工作員の取り締まりを要請する。

 

 

中央部より

了解。工作員排除専門部隊、異端審問官を派遣する。

 

 

 

 

 

 

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