仮面ライダーW 追われるS   作:日吉舞

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罪を背負う者 -17-

「がっ、外人さん?」

「未来の仲間って、あっちの人なのかよ!」

 

 どこから見ても完璧な白人である若い男が微笑みながら近寄ってくると、亜樹子はまだ混乱の渦中にある翔太郎を盾にして自分はその背に隠れてしまった。

 

「ほ……ほらほら、翔太郎くん!英語英語!」

「俺かよ!」

 

 鳴海探偵事務所の所長だといつも偉そうに言っているのだから、こういう時こそ前に出るべきではないのか。英語に自信がないのはお互い様だ!

 身を差し出された翔太郎が亜樹子に対し咄嗟にそう抗議しようとしたが、あと数歩の距離まで来て足を止めた外国人男性の表情が不審そうに曇った。

 

 目の前の白人男性がどんな人物であろうと、未来の仲間であることは間違いない。

 翔太郎は後で文句を未来に言うつもりで覚悟を決めると、何故か帽子やネクタイに姿勢まで直してから正面に向き直った。

 

「あ……え、えー、マイ・ネーム・イズ・ショータロー・ヒダリ……アイアム……お、おい、探偵って英語で何て言えばいいんだよ!」

「えええ?わ、わわわわ私に聞かないでよ!」

 

 しかしすぐに単語に詰まった翔太郎に話を振られた亜樹子が、意味もなくおろおろと辺りを見回す。

 そして思いついた策は、興味津々でこのやりとりを見守っているフィリップを引っ張ってくることだった。

 

「じゃあ、フィリップくん、ねっ!」

「そ、そうだ、天才のお前が替わりにしゃべれ!」

「何で僕が!」

 

 亜樹子に続いて翔太郎にまでボーダーのシャツの袖を引っ張られ、フィリップがつい声を荒げた。人見知りが激しく知らない人物との会話が苦手な自分を押し出そうとするなど、無謀にもほどがある。

 フィリップがやはり思ったことを口に出して反撃しようとしたが、先の亜樹子と同じように前面に立たされたフィリップの後ろに隠れた翔太郎は、頑として動こうとしない。

 

「俺が日本語を後ろでしゃべるから、お前は内容の通りに英語でしゃべればいいだろ!」

「僕は通訳じゃない!」

「大丈夫、大丈夫!フィリップくんは天才なんだから、できるわよ」

「僕に知識があっても、会話には役に立たないんだ!第一、言語能力と知識というのは……」

 

 騒ぎから一人取り残されている照井と、激しいやり取りを続けているフィリップら三人とを見比べていた若い白人男性が申し訳なさそうに口を開いたのは、この時である。

 

「あのぉ……非常に盛り上がっているところを申し訳ないのですが、日本語で全然大丈夫ですよ。私はとっくに帰化した日本人ですから」

「へ?」

 

 変なシャツを着た白人男性が訛りが全くない流暢な日本語を話したことに、オーバーアクション気味で喚いていた翔太郎たち三人の動きがぴたりと止まる。

 どちらかと言うとのんびりとした調子でしゃべってきた白人男性は、困ったような笑顔を浮かべて右手を差し出した。

 

「ご挨拶が遅れましたが、本日皆さんのサポートをさせて頂きます。リューと呼んでください」

「あ……ど、どうも」

 

 まだ唖然としていた翔太郎が、はっとして男性の手を握り返す。

 リューと名乗った男性は続いてフィリップ、亜樹子、照井ともにこやかに挨拶を交わしていたが、特に驚いていなさそうだったのは照井くらいのものだ。着ているシャツからすると勘違いした日本かぶれの外国人という印象が拭えないのに、物腰は落ち着いていて、それ以上に隙がないことが何となく窺える。

 

 彼の背は翔太郎より十センチは高く、赤いシャツの袖に隠れた腕は細いながらも逞しい筋肉がついているようで、握手をした時の手にも古傷が目立っていた。

 未来の仲間ということは、この男もやはり軍の極秘プロジェクトの一員であるということでもある。もしかしたら、とんでもない人物なのかも知れない。

 そう翔太郎が思い至ったところへ、ヘッドライトの光の中にひょっこりと未来が姿を現した。

 

「おはよ、みんな」

 

 軽く手を挙げて一同に挨拶を送った未来は、トレーラーの後ろにあるコンテナ部に乗っていたのだろう、ドアを内側から開けて降りてきたらしい。

 彼女は既に蒼いパワードスーツを身に纏っており、顎から下は爪先に及ぶまでの全てが鈍い金属光沢を放つチタンに覆われていた。あとはヘルメットを被れば完全武装の状態で、顔が露出していなければロボットと見紛うばかりの外見である。

 未来は肌以外の生身の箇所であるポニーテールの髪を揺らしてリューに駆け寄ると、改めて皆の顔を見回した。

 

「紹介するね。こっちは私がいるプロジェクトで戦闘時の指揮と武装のメンテナンスをやってくれてる、田原隆三だよ。アメリカ人とのハーフなの」

「リューゾー?」

「なるほど……確かに日本人だ」

 

 リューのどこから聞いても日本人、という古風な本名を知った亜樹子がきょとんとした顔になり、照井が深く頷いてぼそりと呟く。

 しかし当のリューはかなりばつが悪そうで、仏頂面で隣の未来に文句を言っていた。 

 

「未来!本名をばらすのは止めて欲しいと、いつも言ってるじゃありませんか!」

「まだそんなこと言ってんの?いいじゃん、立派な名前なんだから!」

 

 どうやらリューは、自分の名前が気に入っていないらしかった。

 大概の日本人よりも丁寧で見事な日本語と欧米人の端正な顔、微妙なファッションセンス、年配の世代に多そうな名前のバランスが、何ともおかしい。

 未来とリューの軽口にまだついていけない男たちが様子を見守っていると、亜樹子が小首を傾げて照井とリューとを見比べていた。

 

「うーん……リューさんかあ。それだと、竜くんと紛らわしいかも」

「でしたら、ギークと呼んでくれても構いませんよ」

 

 亜樹子の独り言を拾ったリューが、今一度人なつっこくにっこり笑って見せる。

 しかしその呼び名は未来も初めて聞いたらしく、意外そうな表情を浮かべていた。

 

「ギークって、オタクってこと?」

「昔のあだ名ですよ、昔の」

「フォース・リーコン時代のコードネーム?」

 

 サイボーグ戦士からの鋭い突っ込みに、リューの声が不意に低くなる。

 

「しっ!まあ、そんなところです」

 

 ハーフの青年の一言だけで、未来は納得したように頷いた。が、驚いたのはそれを聞くとはなしに聞いた翔太郎である。

 

「おい……あのギークって、実はすげえ奴なんじゃないのか?」

「フォース・リーコンと言えば、米軍海兵隊の特殊部隊のことだ。そんな人材まで抱えているとは、驚きだね」

 

 翔太郎がフィリップにこっそりと耳打ちすると、天才少年もまだ雑談を続けている未来や亜樹子たちを興味深そうに見やった。

 海兵隊は、アメリカ軍の中で最も過酷な訓練と任務を課せられる組織であることで有名で、その名は軍事関連の知識に疎い翔太郎でも聞き覚えがあるほどだ。そして特殊部隊は、選りすぐった凄腕の隊員たちで構成されるエリート部隊である。

 一見すると浮世離れしたリューなる人物は、翔太郎や照井と変わらない若さで嘗ての部隊員であり、今は別の国の極秘プロジェクトにかかわっているのだ。その実力が優れているのは考えてみるまでもないことが、今更のように実感として湧き上がってくる。

 

 翔太郎とフィリップは同じことに思い至って互いに顔を見合わせていたが、そこに場違いなほど丁寧かつ呑気なリューの声が割り込んできた。

 

「ところで、今回の作戦内容を説明したいのですが。皆さん、一度中へ入ってもらってもいいでしょうか?」

 

 鳴海探偵事務所の二本柱たる男たちの当惑をよそに、当の本人は至極マイペースであった。

 

 

 

 

 

 

 

「すごい。よくこの車内に、これだけの機材が積んであるものだ」

 

 仲間が連れ立ってトレーラー内部に一歩踏み込んだ途端、感嘆の声を上げたのはフィリップであった。

 未来がリューに頼み込んで手配したという作戦用のトレーラーは、さながら移動式の小型指令本部と言ったところであろう。いくつも据えられたラックに多数のサーバとネットワーク機器、通信機材が完備され、簡単なメンテナンス用の作業台と電動工具までが揃えられている光景に、天才少年は好奇心を抑えられないようだった。

 

 フィリップは興奮した様子で前に立っていた翔太郎やリューを押し退けて、狭い通路に駆け込んでいく。彼はここが他人の庭であるのにもかかわらず奥へと進んでいき、天井まで届くサーバラックに収められた機材のLEDが静かに光っているのを、目を輝かせながら見回した。

 

「これは……キャタピラ式の遠隔操作ロボットなのか?」

 

 そして作業台の上に小型のロボットらしい二つの金属の塊があるのを目ざとく見つけ、今度はそれに見入って呟く。

 

「手前にあるのは壊れてますけど、よくわかりますね。それから、遠隔操作というのはちょっと違います。メインの稼働はセンサーとAIを連動させた、半自律動作式なんですよ。センサーやカメラも結構いいのを積んでますから、色々な目的に使えるんです」

 

 フィリップが舐めるようにロボットを眺め回しているところに、リューからの説明が入った。

 数十センチ四方、高さ二十センチ程度の小さなロボットは、まるでキャタピラだけで構成されているように見える多目的戦術支援マシンである。

 

 これはリューが整備も担当しているもので、今回の作戦にも使う目的で持ち出してきたものである。通常は未来に追装備の武器や予備のマガジンを届けるのが主な用途であったが、高感度のカメラアイで視界を共有したり、毒物センサーで毒ガスの検知を行ったりすることもできる、実に頼りになるマシンであった。

 

「実に興味深い!メモリガジェットのつくりともまた違うのか……これは、僕が知っているロボットよりも随分小型だ。ここまで複雑な構造をこんなに小さなボディーにまとめられるなんて、素晴らしい」

「私たちのプロジェクトの協力会社には、ロボット開発をメインにしているところがありますから。これは、マイナーチェンジを行ったばかりの最新機種なんです」

「ふうん……」

 

 振り返りもしないフィリップは、最早リューの更に続いた説明を聞いているのかいないのかわからない。フィリップはそこで一言こぼしてから黙ってしまった。代わりにもっと作業台に近寄って、ロボットを食い入るように眺めている。

 

 指令役をつとめるリューが使うと見える小さなデスクの側に他の五人は固まって立ち、フィリップの様子を呆れたように見守っていた。トレーラーの中は大人の男女六名が入るとかなり手狭ではあったが、フィリップが通路の奥へ自主的に引っ込んでくれたため、互いの肩がぶつからない程度の隙間は確保できている。

 

「あ、いじるなら壊れてるやつだけにしてくださいね」

 

 そして今にもキャタピラロボットへ手を伸ばしそうになっている少年に、リューが念のためかもう一声かけた。それを了解の声と取ったのであろう、フィリップは天真爛漫な笑顔をこぼれさせてキャタピラの表面に指先を触れさせていく。

 しかし彼がこの状態では、いつまでたってもリューからの説明が始まりそうにない。痺れを切らした翔太郎が、ロボットをそっとひっくり返そうとしているフィリップを呼び寄せようとした。

 

「おいフィリップ!物色してないで、こっちに来いって!」

「僕はここでこれを見ながら聞いてるよ」

 

 顔は上げず声に喜色を滲ませて、フィリップが応える。翔太郎がやれやれと首を振ると、だめ押しのつもりらしいリューの注意がもう一度飛んだ。

 

「好奇心旺盛なのはいいですが、間違えて今日使う予定のを壊しちゃいけませんよ」

 

 これもまたため息をつきかけていた亜樹子が、やや引きつった笑顔で問いかける。

 

「えと……やっぱ、その場合は弁償?その他にまだ何かあったりとか?」

「私の首が飛びます」

 

 ハーフの青年からにっこりと穏やかな微笑みと共に返された返事が、冗談なのか本気なのかわからない。その裏にただものではない迫力を感じた亜樹子の表情が、笑ったまま固まった。

 緊張からきゅっと痙攣しそうな口角を必死に緩めようとしながら、彼女は更に具体的なことに突っ込んでいく。

 

「ちなみに、ひとつお幾らかしら?」

「このトレーラー全体で数億円ですかね。まあ、私の財布ではないので詳しくは知りませんが。これを無断で借用してくるのは苦労しましたよ」

「ひいっ!」

 

 本気の悲鳴を飲み込んだ際に、「女子中学生」所長の甲高い声が機械音で満ちた車内に紛れた。自分が今いる場所が大規模軍事プロジェクトの産物であることをようやく認識したのだろう、亜樹子は慌てて機械類からできるだけ遠ざかろうとして、照井の背に小柄な身を寄せていた。

 

 ただ、リューは特段亜樹子のことを気にしている様子はない。彼女のことよりも一向に作業台前から動く気配がないフィリップの方が注意を引くようで、薄手のパーカーに包まれた背中にちらりと目をやってから翔太郎の方へ向き直った。

 

「ところで、彼はブリーフィングに参加しなくても大丈夫なんですか?」

「ああなっちまうと、フィリップは他の話に耳を貸さなくなるんだ」

 

 事実上の保護者である翔太郎としても頭の痛いことだが、一旦何かに興味を持ってしまうと、フィリップはてこでも動かなくなるくちである。小さな子どもと同じぐらいに熱しやすく、反面飽きやすいフィリップに振り回されるのはいつものことだった。

 

「多分大丈夫だろう。後で俺たちが説明すれば済むことだ」

 

 それは照井にしても同じことで、更に彼は翔太郎よりも見切りをつけるのが早い。早々にフィリップのブリーフィング参加を諦めた若き警視の判断に従って、翔太郎も短く息をついてから話を切り出した。

 

「……じゃ、早速作戦内容の検討に入ろうじゃねえか」

「とは言っても、あまり検討の余地はなさそうですが」

 

 大仰そうに肩をすくめてから、リューが一同に司令官デスクへ集まるよう目配せした。

 メディア類の箱や分厚いマニュアル類が雑然と積まれた飾り気のないデスクに座り、リューがパスワードを打ち込んでパソコンのロックを解除する。

 

「今作戦用の資料を出しますから、奥のスクリーンを見ててください」

 

 言いながら、ハーフのオタク青年が手元の端末の操作を続ける。するとフィリップが屈み込んでいる作業台の横の空間に、突然端末と同じデスクトップ画面が現れた。ラックの中に、空間投射式スクリーンのモニター端末が据え付けてあるのだ。

 

 何もない空中に表示されたパソコンの画面に鳴海探偵事務所の一同は面食らったが、大型液晶テレビ並みの大きさがある画面を見るリューの準備は構わずに進められていく。鮮やかなブルーで彩られた「AWP」のロゴ画面が正常に表示されたことを確認してから、彼は簡単に描かれた建物の見取り図を見たことのないアプリケーションから開いた。

 

「先日頂いたデータから、運良くガイアメモリ工場内の見取り図を手に入れることができました。それに予想される人員の配置を重ねたものがこれです。どこに敵がいるかはあくまで予想なので、あまりあてにはできませんけどね」

 

 リューがパソコンの画面と空中のスクリーンを見比べながら説明すると、先の見取り図に幾つもの赤い印の点滅が重ねられた。

 工場の見取り図は地下一階から三階分までがあり、敵の配置が予想されるところは主に広い通路から見えにくい角の影や階段、エレベーター付近となっているのがわかる。それに加えて、図の外壁に近い場所にもところどころ印は認められた。

 皆がスクリーンに注目し始めたのを見たリューの解説は、更に続く。

 

「図の外周部に近いところで印がついているのは、付近に外部からの侵入可能な経路がある場所です。そして、外部へ通ずる出入口は通常ならここ。他に非常時に使用される通路が複数あります。強襲をかけるなら最も警備が手薄な場所からになりますが、今回は敢えて正面から行く方がいいでしょう」

 

 ハーフの青年技師はマウスのポインタを動かして一番幅が広い出入口を皆に示してから、作戦の本題に入った。

 彼がメインの出入口として扱った場所は見取り図のほぼ中央を走る通路につながっており、奥の方にあるエレベーターに直結している。恐らく、最も警備が厳重な場所でもあるだろう。

 そんなところを侵入経路の第一候補に挙げた理由を、照井が当然のように求めた。

 

「何故だ?」

「古い工場のようですし、小さな非常口が外から開けられるとは限りません。敵がどこに何人いるかも全くわかりませんから、下手をすればこちらが包囲されてしまう可能性が高い。それにこの見取り図から部屋の配置はわかりますが、内部の立体的な構造はわかりませんし、図に記されていない通路がある可能性もあります。もし戦闘中に敵が割り込んできて味方が分断されてしまったら、相手の思う壺です」

 

 すらすらと根拠を説明するリューの言葉に淀みはなく、表情も落ち着いている。

 何と言っても、彼は米軍海兵隊特殊部隊の元隊員だ。当時の経験を活かし、今回の作戦においても少ない情報から最善の策を導き出したという自信があるのだろう。風都を守る男たちも、仮面ライダーとして長らく戦ってきた過去はあるが、リューは戦うことを生業としてきたプロフェッショナルだ。彼の説明には、反論の口を差し挟めるような綻びは見当たらない。

 リューはわざわざ椅子をぐるりと回して振り返り、背後に立つ翔太郎と照井の顔を交互に眺めてからつけ加えた。

 

「ドーパントという怪人を効率的に倒すことは、あなた方仮面ライダーにしかできないと聞いています。敵の狙いが未来であるなら、味方が分散することは絶対に避けねばなりません」

 

 静かでありながらも力強いリューの言葉は的確で、迫力すらも感じさせる。しかしその裏には、初めて相まみえた翔太郎たちを疑うような響きは微塵も感じさせない。

 この司令官役を負う青年は、仮面ライダーの戦闘能力について未来から説明を受けたのだろう。そして、未来が信頼を寄せている若者たちが信用のおける人物であると判断したのである。

 

 未来は、恐らく数多の死線ををくぐり抜けてきたリューに、彼女の身を預けても良いと考えさせたのだ。きっと、AWPに属する彼らも強い信頼で結ばれているに違いない。

 照井は短い間にそう感じたことは特に顔に出さず、ただ頷いて見せた。

 

「……なるほどな。最初から敵の各個撃破を狙った方がいい、ということか」

「その通りです」

 

 若き警視の察しの良さに、リューも頷き返す。

 

「こちらが三人で戦うことは、敵も知るところでしょう。我々の戦力が一点に集中していれば、敵も対処できるだけの人員を割かねばならなくなる。結果として、早い段階でボス以外の主戦力を叩き潰すことができます。向こうが抱えているドーパントの数が少ないのであれば、それが一番の近道ということです」

「私たちも、ラスト以外のドーパントとの戦闘にあまり体力を使いたくないもんね」

 

 それまで宙に映し出された見取り図を見つめていた未来が、納得したように呟いた。指先まで蒼いチタンに包まれた手で細い顎を撫でる仕草は当然人間そのものだが、首から下はロボットの造形なのが何ともアンバランスな印象である。

 二人の戦闘要員がそれぞれ話を結んだのに続いて、翔太郎も自分なりの考えを口にした。

 

「要するに正面から固まって突撃して、出てくる奴は片っ端から倒せばいいってことだろ?」

「まあ、ぶっちゃければそういうことですよ。無茶をしない程度の力押しということで」

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