★おまけ★
「……というわけで、未来さんは今日の午前中にもう、アメリカに行っちゃったの」
「なるほど。発つ鳥跡を濁さず、というわけだ。彼女らしいと言えば、そうかも知れないね」
「しかし左からしてみれば、今度ばかりはさぞかしショックだろうな」
「やっと悪女じゃない女の子と知り合えたと思ったのに、その矢先のことだもんね……」
「翔太郎が彼女をどう思っていたのかは、行動から見てもわかる。ハーフボイルド故に、惚れっぽいとも言えると思うけど」
「うーん……実は、未来さんからスカイプの番号とかメアドとか、色々もらってるんだけど。翔太郎くんには、まだ内緒にしといた方がいいのかな?」
「僕は内密にすることに賛成だ。彼女も気にはしてるだろうし、FBIの新人特別捜査官ともなれば、暫くの間は多忙を極めるだろう。それに、間未来にはパートナーがいるんだからね」
「俺も賛成だ。左には、頭を冷やす時間が必要だろう」
「ん、そうよね」
-翔太郎外出後、鳴海探偵事務所での会話-
えと、おまけの会話劇ではどれを誰がしゃべったか、すんなり判別がついたでしょうか?
というわけで、めでたく「仮面ライダーW・追われるS」シリーズ完結の運びとなりました。
作者の日吉舞より、改めてご挨拶を申し上げます。長きに渡る連載期間中より、ここまでお読み頂いて誠にどうもありがとうございました。ついでにあと少しばかり、このあとがきという名の戯言にお付き合い頂ければ嬉しいです。
一言で言うと、こんな長い話をよくぞ飽きずに書き切ったなあ、という感じです。毎日毎日ちょこちょこと通勤電車の携帯端末で書き続けてたんで、八割以上は電車の中で書いてた計算になるのかな?書いている間、苦しいと思ったことは殆どないです。全体を通して、私自身がすごく楽しめましたね~。やっぱり、原作が大好きだからだろうなあ……
この作品を書き始めたきっかけは、本作のヒロインである未来が登場する別シリーズのオリジナル作品の紹介文を書いたところ、雰囲気が仮面ライダーに似ていると読者の方に言われたこと。そこから「あ、じゃあ本格的に書いてみようかな……どうせなら、一番ハマったWでやっちゃえ!」と勢いだけで手をつけ始めたのが運のつき、というか。
しかしいざ書き始めてみるとそれまではさほどでも、と思っていた「W」への作品愛がどばーっと溢れてしまい、このボリューム。ちょっとやりすぎたかも知れません。読者の方々が引いていないことを祈るばかりです。
作者の個人的なことばかり書いていてはアレなので、ここから先はメインキャラについてちょっと書いていこうかと思います。
半分こ仮面ライダーWの左側、翔太郎。
彼はこの話のメインであり、主人公です。誰が何と言おうとも主人公!
巷では女子人気はフィリップくんの方が……とか言われてますが、シリーズ本編でも主役は翔ちゃんです!ぜいぜい。
とはっきり主張するまでもなく、目立たせていた翔太郎です(笑)。Wの中では一番好きなキャラクターなので、つい贔屓目にしちゃいましたね。その割には情けなかったりするシーンも多かったかという気もするのですが、その分だけ本気になったときのカッコ良さを目立たせることはできたのかな、と思っています。
優しさゆえに非情になりきれず、半熟のハーフボイルド。
それでもそんなところが翔太郎の魅力だし、一番書きたかったポイントでもあるので、それが読者の皆さんに伝わっていれば嬉しく思います。
で、右側に当たるフィリップくん。
出番としてはだいぶ控え目になっていたかと思うのですが、暴走しがちな翔太郎に突っ込みを入れたり、諌めたりする役目はテレビシリーズを踏襲しました。あとは、家族の話題に関して敏感というところもそうですね。
個人的に気に入っているのは、ラスト・ドーパントとの戦いで嬉々としてロボットを改造したり、仲間の裏をかいた作戦を成功させてしてやったり!となったりする場面です。フィリップくんの少年ならではの無邪気さと、それに引っ張られる形の空気の読めなさなんかは、書いていて面白かったなー。
二号ライダーに当たる照井くんは、実は当初の予定ではここまで話に絡ませるつもりがありませんでした。それでも、ラース・ドーパントとの戦いで親子絡みの問題が出てくると未来と正面衝突したりして、人一倍情に厚い男という側面が強調されるかたちとなりましたね。
あとは亜樹子とのバカップルっぷりでしょうか。戦闘中はすっ飛んで彼女を助けに行ったり、人質に取られた亜樹子を前にして激怒したり、と……家族を既に失っている彼は、とにかく婚約者である亜樹子のことを大切に思っているんじゃないか、という作者の予想で動いていたんですが、翔太郎以上に熱い一面を持つライダーになったなあと思っています。
鳴海探偵事務所の紅一点、亜樹子については、ヒロインの未来との絡みもあって自然と出番が多くなりました。きっと女の子同士、立場も似た者同士で仲良くなるんじゃないかと思いまして。
比較的ドライな未来との対比で、ストレートに感情で動くキャラとして書いてました。亜樹子がヒロインとなる「てりやき」二次創作以外だと、ここまで出番が多いのは珍しいという声も頂いていたのですが、本編中のキャラはできるだけ差別なく動かしたいと思っていたので、これは嬉しい指摘でした。
最後に、ヒロインの未来。
もともとはオリジナルSF小説の主人公で、不本意ながらサイボーグに改造されて戦いの運命を背負わされたという、ちょっと厨二っぽいキャラ?です。それでも読者の方々、特に女性のWファンの方にも受け入れて頂けたようなので、正直ほっとしました。男に依存しない自立したタイプのヒロインにしたので、それが良かったのかも知れないですね。
彼女はまず論理性を重んじ、あまり感情に流されないクールな戦士。一方でその裏には優しさと少女のようにピュアな一面を持った女性。しかし「追われるS」でサイボーグになったいきさつや、家族絡みのことになると激昂する本当の理由などは、詳しく書きませんでした。そちらに関しては、未来が風都に姿を現す以前のお話があるので(完結済です)、それを読んで頂ければ嬉しいなーと。
実はラストシーンの飛行機での一幕は、そっちのお話とちょっとだけオーバーラップさせています。そして、彼女が新米のFBI捜査官として連続猟奇殺人犯と対決するストーリーもあったり。こちらも完結済だし、後でリンクを貼っとこう。
んで、忘れそうになりましたが「追われるS」でのサブ軸とも言える、翔太郎と未来の間に芽生えた淡い想い。結局どちらもはっきりと告げることなく終わったけれど、番外編的な今回のお話ではこれが精一杯ということで(笑)。テレビシリーズの流れと同じく翔太郎があっさりとフられることになっちゃいましたが、実はこれも最初から決めてたことだったり。
いや、あの二人をくっつけちゃうのは色々問題ありですしね。本当は未来の方から翔太郎の方に近寄っていることが本編中で殆どなかったので、察しのいい読者の方はこの結末に気づいていたのでは?と思います。
それから、劇中の仮面ライダーの扱いについて。
基本的にはテレビシリーズになぞったフォームを出していましたが、Wについてはサイクロンメタルとヒートジョーカー以外の全フォームをほぼ出した形。アクセルに至っては、バイクフォームまで出せたので満足です。
ちなみに、個人的に一番好きなフォームはファングジョーカーだったり。それでも一番使い勝手がいいのはヒートメタルだと思っているため、このフォームが比較的多かったかなと言う気がします。
技は、大ラスの「ダブル・エクストリーム・ストライク」は完全なオリジナル技です(笑)。それまでもガンバライドにしか出てこない技とかも出したけど、気づいた人はいるのやら?
最後に、今回の話では書かなかった「七つの大罪」メモリの残り二本、「エンヴィー」と「グリード」について。
もともと七本のメモリ全てを出すつもりはなく、中途半端感は否めないかも……と思っております(汗)。漠然とどんなメモリなのかということぐらいは考えつつも、「ラスト」を倒した時点でああいう終わり方にしたため、敢えて続きを……というのはちょっと難しいかなと。
現在の時点では書くかも知れないし、書かないかも知れないとしか言えません。書いたとしても、未来がヒロインとして再び登場することはないかも知れないです。まあ、ぶっちゃけ何も決めておりませんので。気が向いたら書くかもなーというくらい(無責任で申し訳ない)?
それでも、読者の方々からこんな設定で書いて!とかの案をもらえたら、気まぐれに書くかも知れません(笑)。
とは言いつつも、現在このお話の続きに当る「仮面ライダードライブ」編のお話を現在執筆中だったりして……あっちは警察ライダーだし、同じ三条陸脚本だし、色々親和性があると思うので。
ただしかなりドライブ寄りの内容になることが決まっているので、純粋なWファンの方にはちょっと物足りないかな?という気もします。
私はドライブ編に手をつけるためにFBI物の長編も一本書いているので、多分大丈夫!……だと思いたいです(汗)。刑事ドラマならではの面白さも存分に盛り込もうと思っているので、楽しみにお待ち頂ければ……なんて。
さて、あんまりだらだらと書いていてもとりとめがなくなるので、そろそろ〆をば。
煩悩と妄想を垂れ流しっぱなしにした本作にここまでお付き合い頂いた読者の方、ブクマや評価、コメント、メッセージやツイッターで励ましをくれた方、公開前に毎回毎回試読してアドバイスをくれた某友人、かかわりのあった全ての方々に、心よりお礼を申し上げます。本当に、本当にどうもありがとうございました!
「仮面ライダーW」の作品世界を壊さぬよう、大事に書き上げてきた本作にて、少しでも作者の愛が伝われば嬉しいです。
新作掲載はいつになるか、どんなものになるかはまだわかりませんが、その時に皆様とまたお会いできることを楽しみにしております。あ、マイページ自体は毎日チェックしておりますので、メッセやコメントなどいつでも大大大歓迎です(笑)。皆さんの励ましいかんで、戻ってくる日は早まるかも?
それでは、またいつか!
二〇一五年九月某日 日吉 舞
・ヒロインの未来が主人公のSF小説「機会娘の心的外傷(トラウマ)」 http://ncode.syosetu.com/n9553f/
・「追われるS」のその後、未来渡米後のお話「機甲生体捜査官事件ファイル」 http://ncode.syosetu.com/n6648k/