ディムザンバラは不思議な空間にいた。
場所はナザリック。自分たちが作り上げた一大拠点だ。しかし見慣れない人物、いや、見知っているがおかしいことがあった。
NPC達が会話しあい、活発に動き回っている。
ありえない光景だ。ナザリックはゲームの話であるし、NCPはあくまでプログラムで会話するはずがない。
もっとおかしいのはリーダーのモモンガであった。モモンガは彼らを使い、世界征服を始めてしまったのだ。彼はそんな人物であったか? ディムザンバラは何度も思い出そうとする。しかしそんな人物には到底思えないのであった。その間もモモンガは、どんどんディムザンバラを置いて先へ進んでいく。
最初の村で姉妹を救ったモモンガに称賛を送った。
冒険者との旅で寂しさを覚えるモモンガに詫びを入れた。
シャルティアと戦うモモンガにハラハラした。
蜥蜴人と戦争をするモモンガに苛立ちを覚えた。
王都の襲撃に困惑するモモンガに大笑いした。
ナザリックを囮に使ったモモンガに憤った。
そして、虐殺を経て、王となったモモンガを——心配した。
モモンガは、鈴木悟は自分と同じ一般人だ。自分と同じ苦境に喘いでいた仲間だ。だがそれがどんどん人間離れしていく気がした。見た目通りの化け物のようになっていったのではないか。そんな不安がディムザンバラを襲っていた。
モモンガさんは何が望みなのだろう。
何の為に王となったのだろう。
そして、ディムザンバラは再び旅立つモモンガを見ていた。そこの女王と思わしき少女と何やら話している。そうしてまた戦争をして、少女を寝室に連れ込んだ。そしてその時、ディムザンバラは初めて自分を見られたのを感じた。この少女は何かを持っている。だからだろうか。ディムザンバラは必死でこの少女に願った。
——モモンガを元の優しいモモンガに、鈴木悟に戻してやってください! そうなれば俺の全てが、どうなろうとかまわない!
そして少女は叫んだ。
「いいえ、違います。魔導王よ、目覚めるのはあなたです!」
少女の叫びと共にディムザンバラは自分が溶けて、大いなるものと一つになるのを感じた。そうしてすべてが一つになって、モモンガを通り抜ける。何かを巻き込んで、通り抜けていく。そして通り抜けた先から散っていくのだ。
ディムザンバラは散りゆく意識の中、倒れるモモンガを見る。
その顔は髑髏のままであったが、鈴木悟の表情が重なって見えた。
——もう大丈夫だ。
そう感じたディムザンバラの精神は溶けていった。
元よりこの世界にあった何かに。