俺達は今、駅の通りを歩いていた。
俺はずっと地面を眺めていた。
アスファルトの感触が靴の下から伝わってくる。
会話はここに来るまで一言もなかった。
「孝之?」
いつの間にかぎゅっと繋いでいた手を離した蓮菜は俺の目の前に来て、今度は下から覗き込むようにして、顔を合わせた。
「なんだ?」
「やっぱショック受けてる」
多分、そうなんだろう。俺はこれまで、由奈一筋であったはずだ。
そんな俺は、由奈自身から否定の言葉を吐かれた。
今まで信じていたものは何だったか?それも今は思い出せないでいる。
「ちょっと寄りたいとこあるんだけど、時間大丈夫?」
「あぁ。大事なし。おけぃ」
「あらら、おかしくなっちゃった。これは、本格的にあたしの出番かな〜?」
にしし、とネオンの輝きに不釣り合いな、悪戯好きが顔を出す。
手は再び繋がれ、俺のことを引きずるように前を歩き始めた。
会話はまたまた立ち消え、冷たい夜の中、車のエンジン音や雑踏の足音、紫煙の臭いや蓮菜の手の感触が俺の五感を刺激していた。
しばらく連れられたまま歩いて行くと、ある場所に着いた。
「目的地、到着しました」
「カーナビかな?ってそうじゃなくて!ここここここ、、、、ラブホ!!!」
「あーら、中学生みたいな反応しちゃって、かわいい。まだ貴方もケツの青いガキのようね?」
「なに、熟練の女感出そうとしているんです!手、めちゃくちゃ震えてますよ!?」
「えぇい、口の減らない男め!良いからとっとと着いてきなさい!」
「俺くんの貞操の危機!?一体これからどうなっちゃうの〜〜!?」
お互い、とんでもなく緊張していた。部屋の入り方さえ戸惑ってしまうほどに。
そこは、全体的に赤みがかった黄色のような、ベージュ色の部屋だった。
「ベッドデカすぎィ!?」
バスルームはなんか透けてるし、テレビは大きい。道具も色々盛りだくさんだ。
「受付で書いたあんたの名前、何だったの?」
「中学時代に俺の左脳に住み着いていた、レフトウィングくんですけど?」
「過激なのが住み着いてるのね」
ふざけてなきゃ、緊張で何も出来なかったんだ。しょうがないだろ?
「そういえば言い忘れてたけど、お前の今日の格好、気合い入りすぎだろ」
そう、今日現れた時に一瞬誰だか分からなくなかったくらいに、こいつは身だしなみに気を遣っていた。
全体的に白が特徴的な服装で、白のブラウスと、前の閉まっていない白のパーカーや、ブラウンのロングスカートを着こなしていて、明るい印象を受けた。
髪型もいつもとは違い、ウェーブ掛けにしていた。
「由奈ちゃんに会うってなったら、それくらい気合い入れないとダメかなって」
そんなことを言いながら頬をポリポリと掻いていた。
「もうデートじゃんそれ......」
「あああああああああ!」
蓮菜が急にうずくまり出した。
「!?」
「由奈ちゃんのことぶっちゃったことが、今になって......」
「あぁ、そのことか。それは後で謝ろう。どんな理由であれ、暴力は良くなかったな。でも俺のために怒ってくれて嬉しかった。ありがとう」
俺は蓮菜のつむじに向かってそう言った。
うずくまっていた体の、顔だけを俺の方に向けると、「うん」とだけ言ったのだった。
そんなこんなでまず俺達は風呂に入ることにした、んだけど。
「明らかに透けてるんだよな......」
「透けてるよね......」
お互いの視線が交差することのない会話。だって恥ずかしすぎる。
「あ、あたしから入るよ」
「裸見ないでよねっ!?」
「こっちのセリフよ!」
そそくさとバスルームへ行く。といってもありがた...けしからんことに、同じ空間に風呂がありやがるので、俺はベッドに寝っ転がり枕に突っ伏すことにした。
衣擦れの音が聞こえてきて、俺の理性は瞬時にイカれそうになる。
今から、やるんだよな?男女の...その...。
え?ほんとに?夢...にしてはベッドの寝心地が良すぎる気もする。
シャワーの音が聞こえてきた。今あいつ、マジで裸なんだよな。
妄想がフル稼働して俺の股間は隆起した。
うわすごい......男の子って単純なのネ......?
思考の全てに寒気がして、ついには考えるのを止めた。
そして、仰向けになったところで意識が途絶えた。
「孝之、起きろ〜!」
目を開けると、蓮菜が俺の顔を覗き込んでいた。
「ビクン!」
「うわ、キモ。」
ビ、ビビった......。俺、寝てたのか?度胸ありすぎだろ...。
「大丈夫、孝之?白目剥いて気絶してたんだよ?」
「くそっ裸見損ったじゃないか!(ははっ、情けないな、心配かけてごめんな?)」
「本音が漏れてるよ......」
「すまん」
頭も覚醒してきたところで俺はある異変に気づいた。
「お、おま、お前!バスローブ一枚じゃないか!襲われたらどうするんだよ!!」
「いや、さっきからこの姿だったけど?」
呆れた、とでも言わんばかりの顔だった。
「だって、今からさ......?その、やっちゃうんだよ?あたし達......」
さっきとは打って変わって、恥ずかしそうな顔をしながら、太ももをもじもじさせていた。
俺は逃げるようにして、
「あーっとその前に、俺も風呂入ってくる」と言った。
「孝之から他の女の匂いがする。早く洗って来て!」
「そんな訝しげな目で俺を見るな。相手だって分かってるくせに。あ、見ちゃダメだから、ね?」
「おえっそんな自分の両肩を抱いて言わないでよ......」
ダダダダと俺はゴキブリの如くシャワーに向かっていった。
バスルームの中は、もくもくと湯煙が上がっていて、さっきまで本当に蓮菜が入っていたことを実感させた。
シャワーを浴びながら俺は考え事をした。
本当に一線超えてしまって良いのだろうか?というかそもそも、何でこんな事になったんだ?
勢いでここまで来てしまった事に今更過ぎる後悔をした。
シャワーから上がり服を着ると、バスローブ姿の蓮菜はベッドに座って、こちらに手を振っていた。
その光景が何だかとても艶っぽくて、そこにいるのは本当に蓮菜なのか、分からなくなった。
そんなことを思ったのも束の間、いつもの蓮菜が俺に話しかけて来た。
「あたしだけバスローブって、これじゃあ誘ってるみたいじゃん!!」
ちょっと違ったかも。
「いや、その......だな?これおかしいってやっぱり」
何のことを言っているのかわからないみたいな顔をされた。
「だからそのー、この状況がさ。おかしくないか?何で俺達、ラブホにいるんだ?」
「だからそれは、傷心した孝之の心を慰めようと思ってね?」
サバサバとした笑顔だったが、少しだけ顔が強張っているような気がした。
「それはありがたいけど、やり方があるだろ...」
「あたしって狡い生き物なんだよ?使える物、何でも使うんだよ?」と、物憂げな表情で言った。
「今なら落とせるかもって?」
「そうだよ。今なら落とせる、だから攻めたんだよ」
俺は蓮菜が座ってるベッドの前で立ち尽くしていた。
「ほら、おいでよ孝之。寒いんだよ、このベット。孝之が温めてよ......」
俺はヴァンパイアに魅入られた人間のように、ベッドへと吸い込まれていった。
なぁ由奈、俺はお前が二人目の恋だった。初恋は勿論、佐藤蓮菜だ。
そんな初恋ともう一度向き合えるチャンスがあったならさ、掴んでみてもバチは当たらないんじゃないか?
俺達は口づけを交わした。
「んちゅ......あむ......」
目を閉じて、延々と拙い啄むようなキスを続けようとしたが、俺の方から耐えきれなくなった。
俺は蓮菜の口腔に舌を入れ、教え込むように蓮菜の舌や歯茎を舐め回していった。
息が続かなくなったところで、お互いに口を離した。
「「ぷはっ!」」
そして目を開けて気づく、蓮菜が涙を流していたことに。
「やっぱり、キスだけは上手なんだ、ね。由奈ちゃんと、何回したの?」
そう言った口は、こっちが申し訳なるくらいに歪んでいて、その表情は涙を堪えようと必死だった。
それは、嫉妬なのかもしれなかった。
「数えられるくらい、かな」
「嘘つき」
嘘だった。
由奈と一緒に上手くなっていったキス、俺はその成果を蓮菜相手に試していた。
最低、だな。そんなことを考えてしまう自分に苛立ちを感じる。
「あたし達、最低、だね」
蓮菜は涙の跡が残った顔で笑む。
「ああ、最低だよ。特に俺の方がな。」
俺の方はちゃんと笑えているか、分からなかった。
「部屋の明かり、消してもいい?」
「ああ。頼む。」
今は俺も、そっちの方がありがたかった。蓮菜の顔を見るだけで罪悪感や背徳感で胸がいっぱいになりそうだったから。
手前のサイドライトの灯りだけ付けて、俺達は繋がりを求め始めた。
俺は服を脱いで、蓮菜はバスローブを脱いだ。
暗くはあったがライトのおかげか、すらっとしたお腹や膨らんだ胸が見えた。
「胸、触ってよ」
目の前の、同じ石鹸の匂いをさせた声の主に従う。
俺の右手が蓮菜の乳房に触れた瞬間に、俺の股間は勃起してしまった。
「ど、どう、かな?」
「すっげぇ、柔らかい。」
二人とも向かい合って寝ていて、俺の右手が乳房に触れている状態だ。
少し手に収まりきらないくらいの大きさで、不思議な感触だった。
お互いの荒い息遣いが聞こえる。
蓮菜の表情は暗くて見えづらかったが、照れているのだけは分かった。
「なんか、おっさんみたいな感想だね?」
「...」
さっきから由奈の顔がチラつく。
蓮菜の顔を見なくて済むようになってから、由奈の残像を見るようになってしまった。
俺はこのまま進んでも良いのか?
俺は思ったはずだ。蓮菜に身を任せたまま、流れで関係を持ってしまえば、破滅すると。直感的にそう思ったはずだ。
「孝之?」
「あ、いや、なんでもない」
そうは言いながらも、俺の思考の波は止まってはくれなかった。
このまま蓮菜と関係を持ったとして、由奈はどうなるんだろう。
そもそも俺は、蓮菜と付き合うのか?
由奈と別れてまでか?本当にそれで......。
「っ!」
蓮菜が俺の股間に触れて来た瞬間に、俺の恐怖は形になって現れた。
「......?孝之、やっぱり......」
「あぁ、ごめん。正直に言うと震えてる。土壇場になって言うことじゃないけど、怖い。このまま進むのが」
そう言うと、蓮菜は背中を向けて部屋の明かりを付けた。
「はぁ、やっぱそうなるかぁ〜〜!一応予想はしてんだけどさ?流石にここまで来れば大丈夫かなって思ったのに!!」
体は動いていなくて、顔はまだ隠れたままだった。
「お、おい?」
「この腑抜け!甲斐性なし!チキン!ビビり!ろくでなし!期待させるんじゃないぃ〜!!ひっぐ..ぅぁああぁあぁ!!!」
堰を切ったように泣き出した。
けど俺は弁解を続けるような姿勢で、蓮菜を言葉の刃で串刺しにしようとする。
「そっち向いたままで良いから、聞いてくれ。俺はやっぱり、由奈が好きだ。」
「聞きたくない!!」
「由奈が好きで、今も由奈を愛してる。そりゃちょっと落ち込むようなこと言われたけどさ。それだけで別れようって思えるような時間過ごしてないんだよ」
「だからぁ、聞きたくないってぇ......」
そうだ、俺達は時間で結ばれてる。俺達の共有した時間。それは何物にも代え難い、恋人の日々。
だって五年だぞ?五年も一緒の相手と居続けるなんて、好きじゃないとできないことだろ?
「俺は由奈が、好きなんだ......!」
「あたし、初恋だった」
蓮菜は嗚咽に声を詰まらせながら話し出した。
「こんなに気が合う男の子、他にいないって...。中学の頃にだって、一回仕掛けたのに、保留にされた!」
......。あの夢は正夢か。俺が忘れようとした想い出。
その追憶が俺や蓮菜を傷つけていく。
「それで、高校は別々の所に行っちゃって!だって、由奈ちゃんがいるって言うから、気まずくって......。あたし、逃げたんだ!!でもさ、そしたら何?何でお姉ちゃんと孝之が付き合ってるの?!あたしが最初だったのに!」
「ごめん。実は俺も、蓮菜が初恋だった」
そう言った瞬間、むくっと起き上がって、こちらに詰め寄ってきた。
「だったらどうして!!」
「情けない事に、お前から告白された時は、まだその気はなかったんだ。ちょうど高校入学したあたりに、俺ってあいつのこと好きだったんだなって気づいた」
「なん、だよ。それぇ......」
胸に寄りかかってくる体に、俺は安堵していた。蓮菜に逃げられないことが何よりの救いだった。だが、そんな優柔不断な俺に吐き気を感じる。
「ほんとにごめん」
「はぁ、やっぱ初恋って、実らないね?」
「ほんとにな」
それは俺も実感していた。だって俺達はお互いが初恋の相手だったから。
「あたしって、結構学校の男子から人気あったんだよ?告白もされたし」
「自分で言うか」
告白されたのは知っていた。呼び出されている時にタイミングよく出くわしたこともあった。その度に不快な気持ちになったのは、俺がもう...。
蓮菜は寄りかかっていた体を起こし、俺の方に目を向けた。
「あたし、ファーストキス奪われちゃったんだけど?」
「あっ!」
「あーもう冗談だって、そんな泣きそうな顔しないでよ!」
口調は明るかったが、顔は暗かった。
そのことが余計に俺の罪を重くさせた。
「でも俺は決めたんだ。誰に対して誠実でいるかってことをさ。だから由奈に誠実でいるためには、蓮菜には誠実でいてやれない」
「何も言ってないけど?」とムスッとした顔で呟いた。
「もう分かったよ。新島君のことは諦める」
「っ」
そう名字で呼ばれた時、俺の心は嫌だと叫んだような気がしたが、それは気のせいだ。
「でもね孝之、最後に一つだけお願い事聞いてくれない?」
なんだろう、と恐る恐る聞いてみる。
「今日だけは、今日だけはさぁ、孝之の彼女でいさせてよ。自分がどんなに惨めかなんて、分かってるつもり。でもここを出るまでは一緒にいたい...」
しまった、と思った。俺は喜んでいたから。
誰に対して誠実でいるのか、それを考えるならその願い事は聞き届けられない。
でも俺も人間なんだ。間違いの一つや二つ、多めに見てほしい。
「......わかった」
「っ!!やったぁ...ぅぐ...うぇええ〜!」
俺は蓮菜の彼氏として、その華奢な体を抱きしめることにした。
***
蓮菜も泣き止んだ頃、俺達はベッドの上で上体を起こして、話し込んでいた。
何故か俺達は、ずっと裸のままだ。下だけは着けているけど。
「そういえば今日、ずっと泣いてるか叫んでるかだった気がする」
心なしか枯れた声で蓮菜は呟いた。
「そうかもな。悪い、全部俺のせいだ。」
「そうだよ、謝って!代償は孝之の胸で!」
どん、と横顔を胸に乗せてきた。
俺達の恋人ごっこは本当に始まっていた。
「お前、さっきからその調子でよく飽きないな?」
そう言うと、蓮菜は俺に向き直った。
「飽きるとかないよ!というか今のうちに一生分楽しまないと!」
「なんか、目が血走ってるぞ......」
「ここから出たくないなぁ〜」
「いーや、朝になったら出るぞ」
「いやあああああ!」
「痛たたた!お腹つねるな!静かにしろ!」
こうやって暗い雰囲気にならないのは、こいつが頑張ってくれてるおかげだ。
俺は蓮菜が泣いている時、結局抱きしめることしか出来なくて、話す勇気なんか出なかったから。
「余計なこと考えなくていーの!」
頬をつねられる。
「ふぁい」
彼氏に徹しようと思うほど、どう接すれば良いのかがわからなくなる。友達の距離感にすっかり慣れてしまっていたんだと思う。
「孝之は、本当にそのままでいていいから。変に意識されても気持ち悪いし」
「ほんとに俺のこと好きなの......?」
「あたしが好きなのは、いつもの空気ってこと!」
「わかったよ。蓮菜がそれでいいなら...ってらめぇ!お触りは厳禁って言ったでしょ!!」
蓮菜はわざとらしく拗ねたようにそっぽを向き、
「チクショウ!ダメだったか!」と言った。
「ダメだよ!俺だって結構いっぱいいっぱいなんだからな?それこそ、いつ襲ってもおかしくないくらいなのに......」
「だから、襲っていいんだって!」
そんな俺の言葉に痺れを切らしたのか、また俺の膨れ上がった股間を触ってきた。
「だからだめぇ!!?」
恐ろしい、この子。
そう、俺はお触り厳禁を条件に、彼氏彼女ごっこをオッケーした。
条件はとりあえず、ハグまでなら大丈夫ということで。本当はハグも勘弁してほしかったが、『泣いているところに勝手にハグしたのは孝之が先でしょ?だから、あたしにもハグくらいさせてよ』とのことで、しぶしぶ。
それを言われてしまうと、俺にもどうしようもなかった。
「孝之は、何かあたしにしてほしいことってない?」
唐突にそんなことを言われ、俺は戸惑った。
「してほしいことって言ってもな...」
あるにはあるんだけど、この場で言うには場違いな気がする。特に俺の立場上。
「やめとく」
「いいよ〜なんでも〜」
そう言って、またしなだれかかってくる。
「あ、あー、あ、あー、あ、あ」
「わかった、モールス信号ね?んん、好きって言って欲しい?」
「ホワイッ!?何故バレた?!」
「孝之のことなら何でもお見通しってこと」
だからといってモールス信号を見破って来るとか、普通思わないだろ。
「というかやっぱり孝之ってむっつりだね?言ってることと思ってること、全然違うじゃん?」
にしし、と悪戯好きの笑みだったが、同時にそれは、したり顔のようでもあった。
「し、仕方...ないだろ。俺だって、蓮菜のこと、好きだったんだからさ......」
蓮菜には申し訳ないけど、俺の初恋を完膚なきまでに終わらせるのに手伝ってもらう。きっぱり断るんだ、蓮菜の告白を。そして俺は由奈のところに......。
「好きだよ、孝之。愛してる。あたし、君に惚れてるよ?」
改まって言うのが恥ずかしいのか耳と頬を真っ赤にさせながら、しかし顔はずっと俺の目に向けたまま言ってのけた。
これは、想像以上だった。失敗だった。
さっきした決意は既に、遠い彼方のどこかへ吹っ飛んでいた。
「あ、りがとう。助かったから、もういい」
「あたしと同じくらい照れてるけど、絶対あたしの方が恥ずかしかったよ?」
蓮菜は目を合わせられないのか、きょろきょろとしていた。
そんな状況を打破しようと、
「俺、もうお前を過去に出来た気がするよ!」
と言って、俺はベッドから出ようとする。
「あー!待って待って!そんな無垢な少年みたいな顔して、裸のまま出て行こうとしないで!あたしがまだだよ!孝之にしてもらいたいこと、いっぱいあるんだからさ!」
「ひぃん......。もういぢめないで......」
「そんな目うるうるさせても気持ち悪いだけだよ!ほら、大人しくしなさい!!」
「あ〜れ〜!」
そうして俺達は寝るのも忘れて、やんややんやと騒いだのだった。あれ、趣旨外れてない?