ゲームワールド / ザ・セカンドライフ   作:祐。

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『極上の卵を求めて』報告

 《のどかな村》

 

 少女の姿になったノアを連れて、武器屋に訪れていた自分。そこで店主の旦那と会話を交わす中で、メインクエストのクリア報告に関する内容を話し込んでいく。

 

「アレウス・ブレイヴァリー! 話は聞いているぜ。あのドン・ワイルドバードに勝って、ワイルドバードの卵を納品したみてぇじゃねぇか!」

 

「はい、なんとか無事にメインクエストをクリアすることができました。とは言いましても、俺ひとりの力では達成できない依頼だったことは確かです。仲間達の助けはもちろんとして、こちらで購入した盾が大活躍しまして……今回はそのお礼を伝えたくて、こちらに立ち寄ったものですから」

 

「そんな謙遜しなくてもいいんだぞ? 新米冒険者という身でありながら、ドン・ワイルドバードと渡り合えるそのポテンシャルは素直に認められるべきだ。お前さんの活躍は村中で噂になっているよ。皆がアレウス・ブレイヴァリーという期待の新星に会いたがっている。このあとにでも、顔見知りの連中んとこへ覗きに行ってやってくれ。依頼とかでお前さんの世話になった連中だ。きっと、お前さんに会いたがっているぞ」

 

「分かりました。……改めまして、今回のメインクエストではお世話になりました。また、こちらを利用させてもらいます」

 

「おう! アレウス・ブレイヴァリーがひいきにしてくれている店となると、噂を聞きつけた輩が殺到しそうだな! 宣伝効果もバッチリで文句無しのパーフェクトだ! また立ち寄ってくれ。お前さんのレベルに合った装備をオススメしてやるよ」

 

 気さくな旦那と会話を終え、ノアを連れて踵を返していく。そうして表通りを歩み始めていくと、少し離れた場所でこちらを待っていたラミアとメーが声を掛けてきたものだった。

 

「コレで報告は終了ですかねー。というワケで、メインクエストお疲れ様でした。最初こそはアレウスさんに期待なんかしてませんでしたけど、新米冒険者さんながら意外と役に立ってくれて、ウチとしては大助かりでした」

 

「アレウス君おっつー! 短い間だったけど、君と組んだパーティーはなんか充実してて好きだったな~! 今まで冒険した人達の中でも、アレウス君は特に私達と合ってるような気がしたからさ、正直な話、ここで君とお別れするのはちょっと心苦しいなと私は思うワケなのだよ」

 

 淡々と喋るラミアと、こちらへ軽いボディタッチを行ってきたメー。ラミアがその様子を適当な眼差しで見遣っていく中で、メーはこちらの顔を覗き込みながらそれを提案してくる。

 

「そこでなんだけど、アレウス君。もし君が良ければだけど、私達とは定期的にパーティーを組んでもらえないもんかな?」

 

「えっと、それって……?」

 

「今回はこれでパーティーを解散するけれど、私達はズッ友として今後も付き合っていけると嬉しいなぁ~……なんて。そんなワケだから、必要があれば私達を呼んで! パーティーを組みたい時なんかは、声を掛けてくれれば駆けつけるから!」

 

 直後にも、テロップで『ラミア・エンプーサをパーティーに呼ぶことができるようになりました』と表示され、続けて『メー・イシュタールをパーティーに呼ぶことができるようになりました』のメッセージが映し出された……ような気がした。

 

 実質的な仲間とも言える、心強い新たなメンバー達。2人をいつでもパーティーに加えることができるようになったことで、自分はお礼を口にしていく。

 

「ありがとう。2人の力は本当に頼りになるから、遠慮なく呼ばせてもらうよ」

 

「あは、りょっか~い。私達を呼びたい時は、酒場で手続きを済ませてくれればいいから。まぁ、チュートリアルとしてこのあとすぐ私達を呼んでもらってもいいからさ、君の冒険に私達も加えてくれると嬉しいな」

 

 小悪魔風でありながらも、この時はちょっとだけしおらしい様子を見せてきたメー。彼女のデレに近しい表情にラミアは視線を投げ掛けながらも、再びこちらに向きつつセリフを投げ掛けてくる。

 

「ウチはあまりそーいう性分ではないんですけど、アレウスさんの見違えるような急激な成長は不思議と、傍で見てみたいなと思えました。……それでは、ウチらは一旦この辺でお暇します。アナタの冒険に加われる時をお待ちしておりますから、必要な場合は気兼ねなくお声がけください。パーティーメンバーを呼びたい時は酒場に向かう。この先、必須となる知識となりますので、一応、覚えておいてくださいよ。では、また」

 

 それを告げて、ラミアは背を向けて歩き出した。

 彼女の動作を見て、メーも「んじゃ、まったね~!」と手を振りながら離れていく。そうして歩き去る2人の背中を見届けてから、自分は隣に佇んでいたノアへと話しかけていった。

 

「これで、今回のメインクエストは完全にクリアかな。この状態で酒場に向かえば、ラミアとメーをパーティーメンバーに加えられるみたいだし、目的はしっかり果たせて一件落着って感じかな」

 

「あぁ、この瞬間にもキミは『極上の卵を求めて』を完全に攻略したと言えるだろうね。まずは、お疲れ様。ボクが見込んだ人材なだけはあるよ! まさか本当に、今の時点でドン・ワイルドバードを倒してしまうとは思いもしなかった。今回の件でキミの功績は一層とこの世界に広まり始めて、アレウス・ブレイヴァリーという人物に対する評価は右肩上がりで爆増真っ只中だ! ……ただし、想定を上回る活躍によって大いなる期待を寄せられた分、以降に託されるメインクエストやサブクエストは相応の難易度を伴ってキミに立ち塞がることだろう」

 

「うわ、そっか。今回のメインクエストは明らかに身の丈に合っていない依頼だったけれど、それをクリアした今、これが今後の適正として難易度が設定されていくのか」

 

「キミは理解が早くて実に助かるよ。今回の件で満足しているようでは、この先にて待ち受けるクエストで苦戦すること請け合いだろう。……ドン・ワイルドバードは、まだまだ序の口なボス敵だった。次回からは一段と手応えのある強敵が立ち塞がる以上、ここで悦に浸っている場合ではないことをキミに理解してもらう必要があるからね」

 

 クリアしたクエストのレベルによって、この先の難易度が変化していくシステムらしい。

 常に適正のクエストが更新されていくシステムを、実際に体験することで思い知らされた自分。この事実に少しだけ怖気づくようツバを飲み込んでいく一方で、それだけ充実としたコンテンツに恵まれた今の環境に、ここで立ち止まってはいられないというやる気スイッチが入ったものだ。

 

 まだまだ更新の余地がある。それは装備だったり立ち回りだったり、ヴィジョン『ブレイヴ・ソウル』の使い方だったりと、今からでも十分に強くなれる強化や研究が、課題として残されているとも考えられるだろう。

 

 アレウス・ブレイヴァリーの冒険は始まったばかりだ。

 “この世界”に無限の可能性を見出し、強まる探求心に突き動かされるよう足を進めていく。そんなこちらの様子にノアが透明感ある微笑みを浮かべていく中で、ぴょこぴょことした足取りでついてくる少女を連れた自分は、のどかな村に留まらない新たな旅路へと駆り出したものだった。

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