ハケン・ユーティリティ   作:ジョイン君

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彼女の後方師匠面


依頼内容:部活動の大会に向けた活動の臨時講師※特別任務!⑤

『それではついに決勝戦です!!この大会を制するのはオリオンチームか!?はたまたテイルズ・サガ・クロニクルチームか!?泣いても笑っても最後の試合!!それでは両チーム先鋒の方は配信台で試合を開始してください!!』

 

「よーし!決勝戦も華麗に3タテ決めちゃうんだから!まぁ見ててよ!」

 

 胸を張ってそんな宣言をしたモモイは配信台へ悠々と歩いていく。

 

「またお姉ちゃんは調子に乗って…でもがんばって!お姉ちゃん!」

「モモイ!がんばってください!!」

 

 チームメイトの二人はモモイの背中に声援を送る。

 

「がんばって…!モモイ…!」

「攻めてる時のモモイケンジは全キャラ有利!一気に押し切っちゃえー!」

 

 ユズとぼくもモモイに声援を送る。

 

「任せてよー!!」

 

 モモイは笑顔でこちらにサムズアップをして筐体へと座った。

 

『それではカシオペアの拳決勝戦!1P側はオリオンチーム、先鋒のホワイトフェイ!2P側はテイルズ・サガ・クロニクルチームのMOMORIAケンジ!試合開始してくださーい!!』

 

 実況の指示に従いモモイがスタートボタンを押す。

 逆側の台に座る相手もスタートボタンを押し、各々が自分のキャラクターを選択。

 モモイはカシオペアの拳の主人公ケンジ。

 対戦相手はミドリも使用しているフェイだ。

 

『開幕はホワイトレイの2DとMOMORIAケンジの低ダ*1JDが噛み合っていくー!!その後の2Bはつながらないが軽いお見合いから低空JB!!今度は2Bがつながって遠Cヘビからきっちり拾ってHJコンまできっちり決めてセイエイで〆て起き攻めJB!ここはホワイトレイがきちんとガードして昇竜で暴れを通していく!ブーストはないので追いかけるがMOMORIAケンジの受け身JDに引っかかり再度のお見合い!!MOMORIAケンジ低空JB!ホワイトレイはきっちりガードして続く2Bもガードするが遅らせ2B2Dに当たってしまいケンジがムソウをつけて立ち回りを強化していくぅ!!』

 

 開幕の差し合いはモモイが有利を取った。

 相手を端まで追い込んでダウンまでコンボを完走、その後の起き攻めは相手の暴れで五分に戻されたがその後の触りあいに今度は相手の暴れを咎めるようにあえて遅らせた打撃を出し、動き始めの相手にカウンターヒットをさせる、足払いまでつなげてダウンを奪うと同時にゲージを消費して超必殺技のムソウを使用。

 この技は相手の攻撃に対してガードとは別方向の決まった方向にタイミングを合わせて倒すことでその攻撃を無視して透明になったケンジが相手の後ろに回り込むという技だ。

 失敗するとガードができずそのまま攻撃を食らってしまうが成功して相手が隙の大きい攻撃をしていた場合は技の成立後、ケンジが先に動けたり、相手の技によっては反撃が確定するという立ち回り強化技だ。

 これを使われるだけで相手キャラによってはかなり行動を制限されるため、ダメージこそないものの非常に強力な技だ。

 

『空中受け身を読んだ受け身狩りのヒエイケンはフェイのJBに潰される!!攻撃判定が出っぱなしの技は強い!その後ホワイトレイはJB!?低ダが出なかったかー!?しかし上りでJB出したのに下りもJB!!何か対空をしようとしたMOMORIAケンジにヒットするがその後の2B2Dはつながらずガードが間に合う!MOMORIAケンジ低ダJB!着地後の2Bは相殺*2するが一瞬気まずい間の後にMOMORIAケンジがダッシュ2Bを通して蛇コン!フェイがピヨる*3がバニ〆で星を取ってコンボを完走!起き上がりに近Bを重ねてヒット確認から弱ウジョウ!浮いたフェイを遠Dで拾ってセイエイで星を取ってダウン追い打ちにテンハで星を3つ取ってラウンド先取!!きっちり星を稼いでえらい!!!!』

 

 それな!!!!!えらい!!!!!

 決勝戦第一試合としては最高の立ち上がりだ。

 モモイの強みが存分に出ている。

 格ゲーは基本的には触り合いからはじまり、触った後は如何にそのまま押し切って勝つかだ。

 ラウンド先取をしてしまえば相手もその分委縮してさらに勢いのついたモモイが押し切れる可能性も上がる。

 

『さぁラウンド2はMOMORIAケンジが前の試合で使わなかった豊富なブーストゲージを生かして開幕ブー2Bで触りに行く!!2Bを刻んで低ダJB!ホワイトレイなんとか立ちガードするがその後の2Bにたまらずガーキャン!…ケンジがムソウをとってー、ガンザンリョーザンハ!?どうしてその技を出してしまったんだー!?せっかくのフルコンチャンスを棒に振ってしまったが中段なのでなーぜーかーヒットして起き攻め低ダはホワイトレイがリバサ昇竜で切り返す!!空中受け身で位置を入れ替えてフェイの奇襲の流星パンチはガードしてるぅ!!着地にケンジが足払いを重ねるがフェイのガードが間に合ってここで最大溜めバニ*4をするもホワイトフェイはアジってる*5!!えらすぎるぅ!!その後もブーストで固めを継続するMOMORIAケンジだが今度はホワイトフェイのガーキャンが通るぅ!!!起き攻め低ダJCを空かして通常投げ!端まで運んで昇竜ループで試合を決めに行くがちょっと浮きが低いかー!?落としてしまうー!!ここでMOMORIAケン落ち着いて起き上がりに2Bを刻んで蛇から近Dバニブーセイエイブー弱ウジョウブー一撃!!きっちり星3を削り切って一撃を決めて勝利したのはMOMORIAケンジィ!!』

 

「クリア!」

 

 画面内のケンジの一撃がヒットした瞬間ガッツポーズをするモモイ。

 

「お姉ちゃんやった!!」

「素晴らしいコンボですモモイ!!」

 

 ミドリちゃんとアリスちゃんが筐体に座るモモイに駆け寄って勝利を称える。

 

「最後の星3は危なかったね…」

 

「ね、あれフェイが隠れ肥満*6だから安定して入ってたけど普通の判定のキャラだと落としてたかも」

 

「でも勝ったね…!」

 

「うん、ガンザン出た時はどうなるかと思ったけど」

 

 ぼくとユズは今の試合を思い返し、お互い講評する。

 多少危なっかしい面もあったが終始モモイの強みを出せていたのでかなり良い結果だったんじゃないかな。

 

『それでは第2試合!勝者のMOMORIAケンジに対して出てくるのは次鋒アースブルータス!アースがブルータスを選択してぇ…第2試合開始ィ!!!』

 

「あー、とうとう当たったか、ブルータス」

「今日の大会参加選手には全然いなかったから…一気に勝負を決めないと厳しいかも…」

 

 相手選手が使用しているブルータスは今回の大会に参加するにあたっての不安要素の一つだった。

 というのもこのブルータス、操作難易度が高くトリッキーなキャラで、キャラランクは非常に高いのだが使いこなすのが難しい。

 部下二人を引き連れており必殺技に部下が地雷を置いたり地面に潜んだりする設置系と言われる技を使用するのだが…

 何よりこのキャラが不安要素である理由が結構致命的だ。

 格ゲーは昨今はそうでもないが、古いゲームなどはゲームセンターでの稼働を目的として作られる。

 人気が出ると後日家庭用に移植されたりするのが常で、カシオペアの拳もそのパターンだ。

 この移植というのが曲者で、もともとゲームセンターの基盤に合わせて設計したゲームを別のプラットフォームでも同じように動くようにするわけだが、これが必ずしも上手くいくわけではない。

 ハードのスペック差などの問題で完全な移植は難しいのだ。

 カシオペアの拳もかなり頑張った方ではあるが、この例にもれずゲームセンターの基盤とは一部仕様が異なっている部分がある。

 例を出すならステージの横幅、一部のバグ技の再現ができない、処理落ちが基盤と家庭用では異なる、一部の技が性能が変わってしまっている、などがある。

 

 そしてこのブルータスというキャラ、これが家庭用ではもう完全にベツモノみたいなキャラなのである。

 技のコマンドや見た目は変わっていないのだが、技の性能、判定などがゲームセンターの仕様とは異なってしまっているため、昨日の合宿での家庭用を用いた練習ではどうしても座学での説明のみとなってしまったのだ。

 

 そのため、対戦動画を見ながら説明をしたり、座学的な学習が主で直接そのキャラを使っての対戦は行っていなかった。

 まさか決勝で初めて当たるとは…

 

「攻めあぐねてるね、モモイ…」

「明らかに空ぶって判定が終わってるように見えたバニに低ダで突っ込んで食らっちゃって日和っちゃってるねぇ。ぼくもあれ初見で食らった時キレそうになった」

 

『第一試合とは一転!なかなか攻めることのできないMOMORIAケンジ!!体力差はアース優勢!地雷とダガを設置して飛び道具で牽制!ケンジは当身で飛び道具を跳ね返して対応するが要塞になったブルータスに触るのは容易ではなぁぁぁい!!飛び道具の隙をついて果敢に低ダから攻めるMOMORIAケンジのJD先端が当たるが着地地点には地雷が置いてある!!このゲームは空中で攻撃を出すと着地硬直でガードできない時間が発生します!覚えていってください!!!』

 

 ブルータスへなんとか攻撃を当てたモモイのケンジが着地時に置いてある地雷に硬直中にヒット確定して浮かされ、攻撃を食らったものの先に動けるようになったブルータスに追撃され、死にはしなかったもののもう弱い攻撃を一発でも食らえば負けてしまう程度に追い込まれてしまう。

 なんとか空中受け身をして距離を離すモモイのケンジだが…

 

「あっ」

「あっ…」

 

 ぼくとユズの声が重なる。

 

『MOMORIAケンジギリギリで生き残ったがここでアースブルータスが突進部下召喚からのダム決壊!!止まった時間の中を部下だけが動いてガードモーションをとっていないケンジを殴ってラウンドを先取していくぅ!!お手本のようなチートダムでした!!』

 

「なんでアイツ暗転中に一人だけ動いてるのぉぉぉぉ!?」

 

 モモイの悲痛な叫びが響く。

 このゲームは超必殺技を使用すると画面暗転と共にそのキャラクターのカットインと専用背景が表示されて両キャラクターの動きがその間止まる演出なのだが…

 ブルータスの部下の突進攻撃は実際にコマンドを入力してから部下が画面に出てきて相手に突進して攻撃をする必殺技なのだが、この部下、なぜか前述の動きが完全に止まっている時間も関係なく動いて突進攻撃してくる。

 この際画面の暗転の時点でガードを入力していないとこの突進攻撃が確定で当たってしまうのだ。

 そしてブルータスの超必殺技、ダム決壊は発動して少しの時間をおいてから地を這う飛び道具がたくさん相手に飛んでいくといういわゆる出し得技なのでこのテクニックを使う時にはほぼこの技で使用されるため、一連のテクニックを誰が呼んだかチートダムと呼称される。

 

 ちなみにモモイの叫んでいたアイツとは今説明したブルータスが召喚した部下のことである。

 

 その後もモモイはなんとか食らいつこうとするが第一試合と流れはそこまで変わらず、どうにか一矢報いてコンボを一度完走するが、その後の起き攻めで打撃を重ねた際にこれまた部下を犠牲にすることによってガード時の硬直をほぼ無視してすぐに行動できるテクニック、通称ダガキャンによって普通ならば取られない反撃からフルコンボを食らい敗退した。

 

『アースブルータスの勝利ィ!!チートダムにダガキャンを使いこなし非常にレベルの高い動きでした!!』

 

「あーもークソゲーじゃん!!!」

 

 相手に完全に翻弄されてわからん殺しされたモモイは非常にご立腹のようだ。

 

「お姉ちゃん落ち着いて…」

 

「ミドリ!あのバニほんとインチキってレベルで判定残ってるよ!地雷とかも置かれたらどうしていいかわからないし!!」

「地雷は小足とかで消せるよお姉ちゃん…」

「えっ!?うそ!?忘れてた~!?」

 

 あーうん、忘れてたんだろうなぁとは思ってた。

 当然その地雷を消すための行動を咎められることもあるんだがまったく行っていなかったので多分忘れてたんだろうなぁとは。

 これがモモイの弱点でもある。

 良くも悪くもムラッ気が強い。

 負ける時は一方的に負けたりする。

 

「やはり実際に戦うと違いがあるんですね…ブルータス、手強いです!でもモモイも最後は一矢報いました!!」

 

「そう、聞いてはいたけど思ってたよりずっと面倒だった!」

 

 アリスちゃんの慰めにモモイも先ほどの試合を悔しそうに語る。

 

「大丈夫…ブルータス対策は昨日ハジメちゃんとユズちゃんにつきっきりで教えてもらったから…行ってくるね」

 

 ミドリちゃんが次鋒として対戦台へ向かう。

 

『それでは決勝戦3試合目!今大会では唯一のアースブルータスに対するはミドリフェイ!!それでは準備ができたら開始してください!!』

 

 対戦台に座る直前、ミドリちゃんは後ろを振り向いてぼくとユズを見る。

 その表情は決意に満ちた力強いものに見えた。

 ぼくとユズは一瞬顔を見合わせた後、ミドリちゃんに向かって笑顔で頷く。

 ミドリちゃんも笑顔で頷きを返し、対戦台へと座った。

 

「ミドリ~!!私の分までやっちゃえ!!」

「ミドリ!がんばってください!!」

 

『開幕はアースブルータスのバニに対しミドリフェイがバックステップで距離を取る!』

 

 開幕にミドリちゃんは様子見を選択。

 空中でバリアを張る技や飛び道具、軌道を変える特殊技などを駆使して相手の意識のリソースを削いでいく選択のようだ。

 

『ミドリフェイの丁寧な立ち回り!地雷を置いて迎え撃つアースブルータス!地上の微妙な距離ではミドリフェイがグレイヴを振って牽制!これはわかっている動きだー!!!!』

 

 グレイヴとはカシオペアの拳のシステムのひとつで正式名称はグレイヴシュート。当てると相手が浮いて、そこから自分もハイジャンプで追いかけて追撃ができる打撃攻撃だ。

 フェイのグレイヴは判定がそこそこ強く相手の飛び道具を跳ね返せるため、ブルータス戦での地上での膠着状態に見せておくことで相手が安易に飛び道具を出すのをためらわせることができる。

 実際に何度か跳ね返してダメージを逆に取ったり、ガードをすると不利な状況で強気に振って相打ちを取ったりして一方的な展開を避けているようだ。

 

 モモイを攻めのプレイヤーとするならミドリちゃんは守りのプレイヤーだ。

 相手の体力よりリードしている時は無理をしない。

 状況ごとにどういう行動が辛いのかをきちんと覚えて最適な行動をするよう心掛ける。

 この試合もその基本を忠実にこなし、1ラウンド目はタイムアップで逃げ切り。

 そして2ラウンド目、ゲージを使い無理やり有利を取ってリードをした相手のブルータスだったが…

 

『ああーっとここでフェイの流星パンチで崩れるー!着地からきっちりと拾って昇竜で拾いなおし!落とさないー!じわじわと削れていたブルータスの体力がどんどんなくなっていくー!!きっちりとコンボを完走して溜まっていたゲージでキリサケからのダウン追い打ちでもう一回キリサケおかわり!この技は〆で使っても妙に減るんです!!ラウンドを2本とって勝者はミドリフェイ!!』

 

 フェイのキリサケ2連まで完走したミドリちゃんが両手を天に掲げガッツポーズ。

 姉妹で喜び方同じなのいいよね…

 

「ミドリナイス~!!」

「やりましたねミドリ!!」

 

 ミドリちゃんに駆け寄るチームメイト二人。

 ミドリちゃんはモモイとアリスちゃんにハイタッチをして、こちらに向けてVサイン。

 ぼくとユズもVサインを返す。

 

 ユズはほぅっ、と息をついた。

 

「ほっとした?」

 

 ぼくがユズに問うとユズはちょっと苦笑したような顔で答える。

 

「そうだね…やっぱり対策が一番甘いところだったからほっとした…ハジメがミドリに対策を教え込んでくれたおかげだね」

 

「ユズだって一緒に教えてたじゃん?」

 

 ぼくがそう返すと、ユズはふるふると首を振って、

 

「わたしだけじゃミドリにあそこまできちんと対策を覚えてもらうことは難しかったよ…ハジメがきちんと動画を見ながらミドリに教えてくれたおかげ」

 

「んじゃ、ぼくとユズの二人の成果だね。もちろん一番えらいのはミドリちゃんだけど」

 

 そんなことを言って二人で笑い合う。

 

『それでは決勝戦第4試合!オリオンチームはこれで追い込まれてしまったぁ!!オリオンチーム大将ファントムスノウのジン!ここから巻き返せるのかぁ!!それでは試合開始です!!』

 

 モモイとアリスちゃんがミドリちゃんに激励を送り対戦台から数歩離れる。

 ミドリちゃんは対戦台の椅子に座り直し、深呼吸をしているようだ。

 

「そういえばあのジンは今日初試合?」

 

「そうだね、ここまでブルータスの人までで全部勝ってるから…その人より後に出てくるってことは結構強い人かも…」

 

 確かにあのブルータスはコンボとかはかなり安定を取って安いルートを使っていたが立ち回りの基本とかはしっかりできていた。

 なんというか、格ゲー筋が発達しているというか。

 そしてその後に控えてるとなると、キャラ差的にはミドリちゃんのフェイの方が強いと言われているがキャラ差ががっちりと出るほど煮詰まったレベルには至っていないゲーム開発部のみんなだとどうなるかわからないだろう。

 

 

 

『ここでコマ投げが通ってしまうー!!きっちり一撃で追撃して勝ったのはファントムスノウジン!大将の意地を見せていくー!!!』

 

「くぅ…悔しい…!」

 

 試合開始と同時に距離を取ろうとバックジャンプをしたミドリちゃんにジンの代名詞の斜め45度に飛び蹴りを放つ無敵時間付きで当たり方によっては追撃までできる必殺技、ゴクトが刺さり、その後は怒涛の攻めで倒しきられてしまう。

 ミドリちゃんも昇竜などを駆使してなんとか対応しようとするが、相手はかなりフェイとやり慣れているのか、有効だが取れないまま1ラウンドは倒しきられ、2ラウンド目にミドリちゃんが先手を取るも起き攻めの低ダ打撃重ねに無敵時間が長く火力の高い超必殺技のゲイザーを食らってしまい、その後の起き攻めからコンボを食らってしまい、再度の起き攻めをガードしてしのぐも固めの途中にブーストによって無理やり近づいてきたジンのコマンド投げでガードを崩され、一撃必殺技を食らってしまったのだった。

 

「なんというか…」

 

「完全に噛み合っちゃってたねぇ…」

 

 ぼくとユズが今の試合を見て思ったことはそれだ。

 噛み合う、というのは格ゲーでは状況によって意味合いが結構変わってくる言葉ではあるのだが。

 今回の場合はミドリちゃんの選択と相手の行動が悪い意味でハマってしまった結果であろう。

 開幕のゴクトでまず有利を取ったジンは攻めてくるがミドリちゃんはここですぐに昇竜での切り返しを選ばずにガードをすることを選択、相手はその攻めですぐにコマンド投げでガードを固めるミドリちゃんの裏をかいた。

 その後も似たように、ミドリちゃんの読みがことごとく裏目に出てしまい、結果として一方的な試合展開になってしまった。

 2ラウンド目には先手を取れたミドリちゃんだが、1ラウンド目の展開に焦りもあったか、相手のゲージ状況などを考えずに安定しやすい低ダ起き攻めをしてしまい、相手の起き上がり無敵技をそのまま食らい、その後は起き攻めで読み負け、もう打撃を食らえないとガードを固めたところにガードを無視できるコマンド投げ。

 格ゲーというのは詰まるところ知識ゲーだ。

 当然操作精度も重要ではあるが、突き詰めると強い行動と弱い行動、メタになる行動がなんなのか、そういった知識量が最終的に重要なジャンルだ。

 

 では今の試合、ミドリちゃんと相手の間にそこまで差があったのか?というと実はそんなことはない。

 言ってることが違うじゃねえか!と思われるかもしれないが聞いてほしい。

 格ゲーは知識での殴り合いなのだが、要はじゃんけんのような部分もあるのだ。

 キャラの強弱や技の性能自体の差はあるものの、これをすれば必ず勝てる、みたいなのは、稀にしか存在しない。

 そう、稀にしか。

 

 稀にあるのおかしくない?クソでは?そもそもあの何もかもを狂わせたクソ移動技にあまりにも強い通常技の数々、投げのリターンでかいし当身は1フレだし空中の食らい判定が愛されボディってくらい薄いしやっぱトリは害悪なのでは

 

 おっと危ない(ぼくはしょうきにもどった)

 

 まぁ基本知識でじゃんけんじみた攻防をする、読み合いなわけだが。

 これが妙に一方的に読み勝ってしまうパターンが存在する。

 特に初心者~中級者くらいのレベル帯でよくある印象を受ける。

 それに負けてる方の焦りも合わさって空回りが空回りを呼び、結果として一方的な負け方になることがある。

 

 今回の試合はその流れが色濃く見えた。

 それにプラスして相手がモモイと似たようなファンタジスタタイプだったことも合わさってしまった結果だろう。

 何戦か続けてやればいい勝負になるのではないかと思われるが、残念ながらこれは大会で一先の勝ち抜き戦。

 今回は運が相手に味方したということだ。

 

 

 

「ごめんね、アリスちゃんお姉ちゃん…悪い流れにしちゃったかも…」

 

「格ゲーならこういうこともあるよ!ミドリも一勝してるし最後のラウンドは惜しかった!!」

 

「はい!モモイとミドリに報いるためにもアリスは必ずこの戦いに勝利してみせます!!」

 

 落ち込むミドリちゃんにモモイがフォローをしてアリスちゃんはそんな二人の想いを受け、勝利を誓う。

 うん、雰囲気は悪くないしアリスちゃんも気合十分といったところか。

 

「ついに最後の一戦…だね」

 

「ここまで来たら勝ってほしいねぇ」

 

 ぼくとユズはみんなの勝利を祈る。

 アリスちゃんが対戦台に座る。

 

 モモイとミドリちゃんがそんなアリスちゃんを見守っている。

 

 

 

『それでは決勝戦最終戦!泣いても笑ってもこれが最後の戦いです!!』

 

「大丈夫です、モモイ、ミドリ。この勝負、絶対に勝利します…この勇者アリスとシャユウジャで!!!」

 

『オリオンチーム大将、ファントムスノウジンVSテイルズ・サガ・クロニクルチーム大将アリスシャユウジャ!!決勝の最終戦に誰がこのカードを予想したでしょうか!?それでは最終戦、はじめてください!!!!』

 

 そしてついに決勝戦、最終試合がはじまったのだった。

*1
低空ダッシュの略

*2
攻撃判定同士が同じタイミングにかち合うとどちらにもヒットせずに攻撃判定だけが消失するシステム。カシオペアの拳の制作会社の格闘ゲームにはよく搭載されているシステム

*3
短時間に攻撃を連続で食らうと気絶をして無防備になること。レバーガチャガチャと早く動かしたりすることで復帰時間を早めることが可能。元はスチューデントファイター2の同システム中、気絶したキャラの頭上にヒヨコが舞い、ピヨピヨというSEも合わさりピヨると言われるようになった。

*4
バニ=バニシングストライク。ボタン二つ押しでヒットすると相手を画面端まで吹き飛ばし当てた側はレバーを相手の方向に倒すと高速でダッシュして追撃ができる。二つボタンを同時押しすると構え、ボタンを離すか一定時間経つと発動。ボタンを離さずに一定時間まで溜めると直前ガード以外ではガードをしても一定距離ノックバックが発生し、このノックバック中に壁に当たるとガードが崩れその後のコンボまで確定してしまう。

*5
アジリティディフェンス。直前ガード。成立するとキャラの体が白く光り通常発生するガード時のノックバックを無効化し、ゲージも普通にガードするより溜まる。

*6
このゲームのキャラの食らい判定はキャラによってかなりの格差があり、フェイとケンジは明らかに当たってない位置への攻撃に当たったりするため隠れ肥満と言われることもある。




最後に書きたい内容まで書いたらえらい長さになりそうなのでいったん区切り
すいません!次には絶対終わりますから!!!


文中の2Bなどの表記はテンキーの方向に対応した表記方法です。
5を中心として2はテンキーの下側にあるので下B、しゃがみ弱キックですね。
カシオペアの拳は多分ABCDEボタンの5ボタン製で
A弱パンチB弱キックC強パンチD強キックEブーストボタン
のような気がするので今作ではそれに沿ってボタン表記やシステムを表現しています。
カシオペアの拳が実際に稼働してるPVとか来て違ってたら土下座しますんで…


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