席に着いたぼくとミカちゃんにナギサさんがポットを手に取りカップへと注いで目の前に置いてくれる。
「いただきます」
「…いただきます」
カップの持ち手に指をかけ口に近づける。
強い香りがぼくの鼻から体へと染み渡るように広がってそれだけで少し落ち着いた気分になる。
むくれたミカちゃんはすでに一口カップに口をつけ、ほうと息をついている。
機嫌悪そうなのにちゃんといただきますって言えるあたりやっぱいい子なんだよなぁ。
そしてぼくもカップに口をつける。
暖かい紅茶を口に含んだだけで口から鼻を突き抜けるような主張の強い香り。
体に染み渡るような温かさ、普段飲んでいるペットボトルの紅茶に感じるような甘さはないが、それでもしっかりと感じる暖かな口当たり。
なるほど、美味しい紅茶ってこういうのを言うのか。
「よろしければお茶菓子もご一緒にお食べになってください。今日の紅茶のフレーバーに合うものをご用意してありますので」
「では遠慮なく」
ナギサさんの勧めにぼくはテーブルの上に所狭しと並べられた中から一口大に切ってあるサンドイッチをいただく。
シンプルなハムサンドはいただいている紅茶の味と香りと喧嘩をせずとても味わい深いものだ。
「あら…ふふっ、お召し上がりになる順番などは気になさらないでも大丈夫ですよ。今日は友人同士のささやかな茶会ですから」
ナギサさんはそうぼくに言ってからミカちゃんの方に目を向ける。
ミカちゃんはチョコレートやクッキーなどをもぐもぐと食べて笑顔を浮かべていた。
そしてぼくらの視線に気づいてまたむくれた顔に戻ってしまう。
あぁ、笑顔の方が可愛いのに。
「…それで?ナギちゃんは何か聞きたいことがあってこの子を呼んだんじゃないの?」
不機嫌です、という態度を欠片も隠さず唇を突き出したまま「この子」、とぼくを顎で指すミカちゃん。
「そうですね…だいたいの事情は把握しているのですが…形式上聞かないわけにもいきませんので。安納さん、お手数ですが先ほどの騒動についてあなたの言葉でご説明願えますか?」
ナギサさんが口をつけていたカップをソーサーの上に置き、こちらに向き直るように軽く腰を浮かせて座り直す。
「あーまぁ、必要ですよね、そういうの。えーっと…」
ぼくは最初から順に見たことをそのまま告げることにした。
「まず、お昼ご飯に購買のサンドイッチを買いましてね、食べる場所を探してたんですよ、シミコちゃ…図書委員の人はお昼休みも仕事があるからっていうんで屋外で食事をとれる場所を聞いたらトリニティ・スクエアの事を教えてもらったので向かいました。それでまぁ中央の噴水に目を奪われまして…絶対あの噴水の横で食べようと思って近づいたんですね」
いやあの立派な噴水の近くで食べるなんて最高に気持ちいいだろうなぁって思ったんだ。
お高いと思っていたサンドイッチの元を少しでも取ろうと絶対いい場所探してやるって躍起になってたのもある。
「でまぁ、噴水に着いたら周りには人が立ってるのに誰も座ってなくて、ラッキーと思ってベストポジションを探してぐるっと回ってたら唯一ミカちゃんが座ってる場所を見てぼくの中の運送会社の魂が囁いたんですよね、ここやでトントンって」
「…運送会社?」
気にしないでほしい、妙に距離近でフレンドリーな運送会社の事は。
「でまぁ、先客がいたので一応聞いたんですよ?隣いいですか?って。聞いたよね?」
ミカちゃんに水を向けると、
「まぁ、言った…」
「でまぁ、大丈夫って言われたのでそのまま座って買っておいたサンドイッチのえーっと」
「ポテサラ」
「そう、ポテトサラダのサンドイッチ食べたらポテトサラダがみっちり詰まってるしポテトに入ってる野菜はシャキシャキしてるしで…は?うますぎなんだけど?って感動してました」
「…なるほど?」
「で、その流れで次にハムサンドも食べたんですけどハムがちゃんとまんべんなく入ったボリュームのあるハムサンドとか都市伝説だと思ってたんでこれまた感動の嵐でした。ありがとうトリニティ購買!!」
「こ、購買のサンドイッチ、ですか…」
ナギサさんはなぜか笑顔に一筋汗をかいておられる。
最近とみに暑くなってきたからかな?
「で、そこで救世主登場ですよ」
「救世主?」
「はい、その救世主はポテトサラダやハムサンドなど花拳繍腿…たまごサンドこそが王者のレシピだと無知なぼくへ教えてくれたのです!!
「まぁ…」
ぼくの言葉にナギサさんはミカちゃんの方へ視線を向ける。
「いやいやいや!!!私その前に普段からそんな貧相なもの食べてるなんてかわいそうって言ったじゃん!?」
「トリニティのごはんとぼくの普段のごはんを比べたら貧相なのは事実なんだよなぁ…まぁ、そんな感じのアドバイスに感銘を受けてちょうど最後に食べようと思ってたたまごサンドを半分献上したんですよ、素晴らしいアドバイスのお礼も兼ねて。そこまで言うってことは好きなんだろうし。で、こうお互いの自己紹介も済んで仲良くたまごサンドを食べようと思ってたんですけどね」
ぼくはそこまで説明をしてからカップを持ち上げ紅茶を一口。
うん、おいしい!
「なんだか周りの高貴な雑木林からの騒音がひどくて。でも招かれた身で勝手に伐採とかしたら問題だよなぁって思ったので話せばわかってもらえないかなぁと声をかけていたらあら不思議、雑木林が左右に分かれ、なんと天使様が舞い降りまして。こうして楽園に招かれた次第でございます」
「あらお上手。紅茶のおかわり、いたしますか?」
「いただきます」
くすりと笑っておかわりを勧めてくれたナギサさんの気持ちをそのままいただいて微笑み合う。
この人面白い人だなぁ。
「…いやそんなおとぎ話みたいな話じゃなかったよ!?わけわかんないよ!?」
「あら…では
「…っ!…それは…」
「あっ、スコーンうめぇ」
新しくいただいた紅茶を楽しみながら少しづつ甘いものやお菓子の類も遠慮なくいただく。
いや普通にどれも美味いわ。
これが…上流階級…!!
「あなたさっきから何なの!?私のいう事全然聞かないし!私とは初対面なのに突然庇って!私がしたことなんてなんにも知らないくせに!!」
「えぇ…ミカちゃんなんでキレてんの…スコーンまだあるよ?」
いただいてたスコーンのお皿をミカちゃんの方にすっと差し出すが彼女の怒りは静まらない。
あ、でも差し出されたスコーンは食べるんだ…
育ちの良さってこういうところで出るよね、うん。
「…もういい、どこかの誰かさんがまた勘違いで的外れなお節介をしないようにイチから説明してあげる」
「ミカさん、それは…」
「ナギちゃん、
「…そういう意味で言ったわけでは、ありませんのに…」
ミカちゃんの言葉に悲しそうに目を伏せてしまうナギサさん。
「そういうわけだから教えてあげる、安納ハジメ。軽い気持ちで危うく皆からすべてを奪う魔女になりかけた愚かな一人の女の子の話を」
そう言ったミカちゃんは自分のカップに残っていた紅茶を飲み干し、どこか遠くを見るような目で語り始めた。
「…こうして女の子はギリギリのところで踏みとどまることができました。それでも女の子の犯した罪は消えません。女の子はこれからずっと、その罪を背負って生きていかなければいけないのです」
ミカちゃんの話が終わったようだ。
途中に何度か立ち上がったり、ナギサさんからのフォローの言葉を遮ったり、所々感情的になりかけたり、乱入があったりしたが今では自分の席に姿勢よく座り、目を閉じている。
「うへ、これ甘すぎない?」
「あぁ、それはそこの…そう、そのプレーンクラッカーに塗って酸味の強いフルーツを載せるのさ」
取り皿に取り分けたクリームチーズをスプーンで一口含んで顔をしかめたぼくにアドバイスをしてくれているのは百合園セイアちゃん。
途中から合流したセイアちゃんにめっちゃ甘いクリームチーズのオススメの食べ方を聞いたぼくはさっそく試す。
クラッカーのしょっぱさとキウイの酸味がチーズの甘さを程よい感じにしてくれる!これは美味!
「うっま!?セイアちゃん天才か?????????」
「少しこういう機会に人より恵まれただけの賢しいと思っているだけの子供さ、私は」
「えぇと、お二人とも…」
フルーツチーズクラッカーに舌鼓を打ちながらセイアちゃんをヨイショするぼくとなんか達観したような事を言うセイアちゃんにナギサさんが少し困ったような顔で声をかける。
ミカちゃんは目を閉じた状態のままだったがなんかプルプル震えてない?
大丈夫?
「あぁ、終わった?ほらミカちゃんもずっとしゃべってて疲れたでしょ?今セイアちゃんから聞いたんだけどクラッカーにこのチーズ塗るのマジでヤバいからやってみ?
「そのような危険な食べ方を教えたつもりはないのだが…」
「あぁぁぁもぉぉぉぉぉ!!!人が真面目に恥ずかしい話してるのに途中からまともに話も聞かずにセイアちゃんとパクパクパクパク美味しそうにお菓子食べてぇ!!」
「いや聞いてたよ心外だな。あ、そのミカちゃんがさっき使ったミルクポットとってもらっていい?ぼくもちょっとナギサさんの紅茶にミルク入れたの飲んでみたくなった」
ミカちゃんは自分の座っている席のすぐ横にあるミルクポットをぼくの前にダンッと置…こうとしてギリギリ止まり、むくれた表情のままぼくの前に静かに置いてくれた。
育ちの良さ~~~~~~~~。
「聞いてたならわかるでしょう安納ハジメ!!私は悪い子で、悪い子には罰が与えられる。だからさっきのアレは私の自業自得でああいう風に何も知らないあなたに庇ってもらっても迷惑なの!…わかったんならもうああいう事はやめて」
「え、なんで?」
ぱちくりと目を瞬かせるぼく。
いやほんと意味わからん、なんで今の話でぼくがあの場で我慢しないといけないことになるん?
「…っ!やっぱり聞いてなかったでしょ!セイアちゃんが来てから二人でばくばくばくばくお菓子食べてばっかだったもん!!」
「ミカ、私は食べ方や組み合わせの指南をしていただけで食べていたのはほとんどハジメだったと思うのだが」
いやまぁ、途中からあ、これ長くなりそうだなって思ってお菓子を色々食べ始めたのはもしかしたら悪かったのかもしれない。
でもこれお茶会でしょ?途中から入って来たセイアちゃんにオススメとか聞いたらこの子のなんか独特な言い回しだけどなんて名前のお菓子でどういう食べ方がいいとかお菓子の歴史とか教えてくれるもんだからつい…
でも要点はきちんと聞いてたんだけどなぁ、仕方がない…
「えーと、ざっくりまとめるとミカちゃんがみんなで仲良くしようと思ったけど思ったより問題の根が深くて他の二人が手伝ってくれなそうだから一人でやろうとしたら悉く裏目に出ちゃって大変なことになった。セイアちゃんはケガしちゃうしナギサさんは怖がっちゃってそれでミカちゃんは無理そうだけど一人でがんばったらやっぱ無理でもうだめだーってなった時に先生が何とかしてくれて、ミカちゃんも悪かったところは謝ってこうして3人で仲直りしました、めでたしめでたし。って話だよね?それとぼくが我慢しなきゃいけないことに何の関係があるの??????」
「だから!!トリニティのみんなは私を責める権利があるでしょ!?」
「いや責められる原因がミカちゃんにあるのはまぁ理解しないでもないんだけど責める権利はないでしょ」
「ないですね」
「ないだろうね」
一番責める権利がある可能性が高いナギサさんとセイアちゃんはすでに許してるというし関係各所への公式な謝罪も済んで所属していたティーパーティーからも除籍は決定しているというし。
これ以上ミカちゃんを責めるというなら相応の理由を用意するか、噛みつかれることを覚悟する必要があるのは当然だろう。
「そういうわけでさっきは状況がわかんなかったからギリギリまで我慢したけど今後は我慢せずにとりあえず黙らせる方向で行こうと思うんだよね。ミカちゃんに美味しいところ巡りに連れて行ってもらってる時にああいうのいたらめんどい」
「美味しいとこ巡りってあれ本気だったの!?」
「なんでそんなウソつく必要あるんですか?あ、モモトーク交換しようよミカちゃーん。食べ歩きとかできるような友達まだ全然いないんだよねー」
「あら、それでしたら是非私もご一緒したいです」
「ふむ、ティーパーティーでこうして集まることはあっても揃って外食などをしたことはほぼ記憶にないね。私も同行してもいいだろうか?」
呆気に取られているミカちゃんの横でぼくたち3人はモモトークのIDを交換する。
おぉ、シャーレで会った子たち以外ではじめてモモトークの交換ができてぼく嬉しい。
これは目指しちまうかな…友達100人…!!
「…なんで?」
ぼくが心の中で新たな目標を打ち立てているとミカちゃんはそんな言葉を漏らす。
「だって私、先生やナギちゃんやみんなのことを騙して…セイアちゃんなんて本当に危ない目に遭わせたのに…」
「あー、それなんだけどさ」
なんかまた自傷モードに入りそうなミカちゃんの言葉を遮る。
いやまぁ反省ができるのは悪い事ではないんだけどしすぎるのはよくないと思うんだよな。
それよりなにより。
「先生に
そもそもあの人は生徒の自主性を重んじすぎてる気もするんだけどなぁ。
まぁ叱る時は叱ってるようだし、その先生が動いて今のミカちゃんがあるというならきっとそれはもう叱って許した結果なのだ。
「あっ、もしミカちゃんがそういう風に悪口言われて喜ぶタイプだったんなら確かに余計な事だったかも…ごめん、そういう趣味があるっていう理解は示せるけど同意はできないからできればぼくがいないところでしてもらえると…」
「ないよそんな趣味!?」
「いや、本人すら気づいてない内心の発露、という可能性も否定できない…」
「セイアちゃん!?」
「そういえば反省部屋で3食ロールケーキにした時もあのミカさんが大人しく従ったのは今になって考えると…?」
「ナギちゃんまで!?あの時は私なりにちゃんと反省してたからだよ!?」
ぼくの冗談にナギサさんもセイアちゃんも悪乗りしてミカちゃんはたじたじだ。
こんなに素敵な友達に好かれているのに、ミカちゃんは自分が
「そうそう、ぼくはこう見えて結構腕が立つみたいなので、もしまたミカちゃんが悪い事考えたり空回りしそうになってもいざとなったら殴ってでも止めれるんじゃないかなーと思うんですよ」
「「えっ」」
ぼくの言葉にナギサさんとセイアちゃんが揃って驚きの声をあげる。
あぁまぁ、ぼくのこのちんまい見た目だとあまり説得力ないかもしれないね。
「…へぇ?自信あるんだ?」
なぜか不敵な笑みを浮かべて聞き返してくるミカちゃん。
「自信があるってほどでもないけど、まぁ巷では【銀髪鬼】とか言われてたこともあったので…それなりじゃないですかね?というわけでそういうお得面も踏まえてですね…ぼくと
とまぁ、自らの強みを少し掲示して交渉する。
ミカちゃんはきっとまだ疑心暗鬼の霧に囚われて自分を信じてあげられないんだろう。
それでもあの時にぼくをどうにかして傍から離そうとしてあえて悪者になろうとした周りに誤解されても知らない誰かを気遣える素敵な子なのだ。
だから、ぼくはこの時彼女の事を信じてあげられる
「…ふーん?それならちょっと運動場に行こっか?そこまで言うんだから今から私と
彼女はそう言うと自分のついていた席の横に鞄と共に置いてあった彼女の愛銃であろう
「仰せのままに、お姫様?」
ミカちゃんのおどけた言い回しに乗ってそんな言葉を返すぼく。
席を立ち、入り口へと向かうミカちゃんの背を追う。
「ちょ、ミカさん!?ハジメさんまで!!」
「やらせておきたまえ、ナギサ。私には理解できないがああいう友情の育み方もあるというじゃないか」
「ハジメさんはシャーレからの客人なんですよ!?それにミカさんの事もご存じではない!何か間違いがあったらどうするのですか!!」
ナギサさんが慌てて後ろから着いてくる。
あーそうかぼくに何かあったら責任問題とか出ちゃうかもしれないのか。
先生ならそこまで気にしないと思うけど、なるべく穏便に終わるように努力はしますか…
「やれやれ…悪い方向には転ばないと思うのだがね」
セイアちゃんもナギサさんから離れた後ろから着いてくるようだ。
この時のぼくはこの後あんな目にあうとは思ってもいなかったんだ…
「はい!これ私のID!いつでも連絡してね!!」
「アッ、アリシャス…アッス…」
彼女から差し出された携帯電話を見ながら動かすことすら億劫な体に鞭打って自分の携帯電話のモモトークのアプリから彼女へ友達申請を送り、それが秒で受理される。
結論から言おう。
ボッコボコにされた。
「あっはは☆ハジメちゃんったらぼろぼろ~!!そんなんじゃ私が悪い子になろうとした時に秒殺されちゃうぞ☆」
「…ッス…精進します…」
「さ~て、敗者の罰ゲームは何にしよっかな~☆」
は?聞いてないんですけど???
「え、ミカちゃんそれは…」
「あ!じゃあそれ!そのミカちゃんっていうの禁止!!呼び捨てにして!!」
えぇ…(困惑)
いや無茶な罰ゲームってワケではなくてほっとしたけどさぁ…
「私より弱っちいのに私のことをちゃん呼びなんてダメー☆ほら、ハジメちゃん?」
呼んでみて?と言わんばかりに笑顔をこちらに向けてくる彼女。
クッソ煽るじゃん??????
いやまぁ彼女には傷らしい傷ついてないけどさぁ。
いやだってこの子めちゃくちゃ強いんだもん…
こっちも普段使いのSMGで対峙したんだけど、中間距離から撃ってもなんか笑いながら全部回避してくるし距離を離そうとしても全然離せないし。
起死回生の一発で被弾覚悟で突っ込んだら当然滅茶苦茶被弾してそれでも歯を食いしばって奥の手のプロテクトハーケンでね?彼女の持ってる銃を一回
彼女、そのまま横に打ち払われた反動を利用した回し蹴りでぼくの頭を思いっきり蹴り抜いてきたんですけどね?
一瞬意識飛びかけた瞬間にぼくが持ってたSMGは蹴り飛ばされて向こうの方に転がされるし、やばって思って蹴り飛ばされたぼくの銃に視線を向けた瞬間後頭部にゴリッと…その、彼女の持つ銃口が、ですね…
詰みです。
こうしてぼろ雑巾にされたぼくは彼女からの「まいった?」という言葉に肯定し、冒頭に戻った。
…情けねぇ~~~~!!
ぼく、実はちょっと強いんですよメガネクイッとか言っておいてこの体たらく!!
ボッコボコですわよ!!
見てお嬢様!ぼろ雑巾が転がってましてよ~~~~~!!!!!
「ね~ぇハジメちゃん!早く~~!」
「…そっちはちゃん付けなんだ…」
「弱っちいからね☆」
クソァ!!
なんも言えねえわ!!!
「ミカさん…言いすぎですよ…」
思いっきり蹴倒されて砂や土で汚れたままの状態で立つのも辛くて仰向けに寝っ転がっているぼくの顔をナギサさんがきっとこうなると予測して持ってきてくれたのであろう濡れタオルで拭いて介抱してくれる。
「わぁ、うそうそ!銃をその手にはめる奴で打ち払われた時とかすっごいびっくりしちゃったよ!!あんなことされたの初めてだったから思わず無意識で手加減抜きで蹴っちゃった☆」
センス◎でも積んでらっしゃる????????
キヴォトス在住の人はね?普通あれ食らったら一瞬ひるむか距離を開こうとするんですけど?????????
初めて食らったソレを利用して反撃してくるんじゃねーですよ!!!!!!
「やぁハジメ。私の友人の得意分野に意気揚々と飛び込んで思いっきり遊んだ気分はどうだい?」
「故郷に帰ったドン・キホーテって気分」
それはもう現実を思い知ってしまったとかそういうね。
よっこいしょっと。
倒れ伏したぼくの横にしゃがんでぼくの顔を覗き込みながら問うセイアちゃんにぼくはそう答えながらぼくの顔を濡れタオルで拭いてくれているナギサさんにもう大丈夫ですよ、と手でジェスチャーをして意思表明。
ため息をつきながら濡れタオルをぼくの手に渡してから離れてくれたナギサさんを確認してから立ち上がる。
撃たれまくった全身は痛むし、蹴り飛ばされた側頭部はいまだにジンジンとぼくを苛んでる。
ぼくは自身の服についた砂や土を払って彼女が立っている方へ向き直す。
濡れタオルで手を拭って、彼女へ手を差し出す。
「いやぁ…ぼこぼこにされてざこざこのざこであることを思い知らされたよ…でも色々勉強になったし楽しかった。また遊ぼう、ミカ」
少し不安そうにしていた
「…うん!また遊ぼう!ハジメちゃん!!」
そういったミカはぼくの差し出した手をスルーしてそのままぼくを思いっきり抱きしめたのだった。
「いたたたたたたった!!!!痛い!ちょっとミカ痛い!!力強い!!つよい!!!」
「ミカさん?嬉しいのはわかりますがもう少し手心というか…」
「しかしナギサ、ハジメもミカの抱擁に合わせてミカを軽く叩いて応えているようだしあの言葉は一種の照れ隠しなのではないかね?」
「セイアさん、あれはタップ*1です」
これがぼくと聖園ミカとその親友二人との出会いの一部始終。
ほっとけば際限なくモモトークのメッセージを送ってくるし。
気づくのに遅れると勝手に悪い方に捉えてすぐに謝るし。
結構人をおちょくってくるけどそれは気安さと信頼の裏返しでちょっとめんどくさいし。
こうして人を呼び出すとき、わざわざ待ち合わせ場所に着いてから呼び出しをかける気にしいな、身内を優先ばかりして自分をないがしろにしがちな優しい子。
ぼくの大切な友人の一人でぼくがキヴォトスではじめて
さて、そんなミカからの呼び出し、それがトリニティだというならきっと彼女の親友の二人にも関わる内容なのだろう。
果たしてどんな話が飛び出してくるのやら。
この時のぼくはまさかこの後のお茶会であんな意味不明な依頼をされるとは思っていなかったのであった。
ミカってゲームで相手の攻撃回避するとき笑いながら無理無理~って言ってくるんですよね
あとEXスキルのカットインで毎回名シーン思い出させてくるのずるくない?
誤字、脱字報告、高評価ありがとうございます。
励みになります。