キヴォトスの皆様!お待たせいたしました!   作:全身鱗マン

11 / 15
お待たせいたしました!!


Ep.10 デッド・ストック・パラダイス

 

 

 

 摩耗しきった遠い昔の話だ。

 

 若い私がまだ若い俺だった頃、ある下町のアパートに住んでいた。それほど広くも綺麗でもなかったが、少なくとも面積に関しては、学生の身には充分な広さの場所だ。

 没交渉な人間だったし、学友とは少し離れた位置に暮らしていたので、訪問客と言えば宅配便の配達員か、さもなくば新宗教のパンフレットを握った人達だけだった。

 私はそれなりに孤独感を感じていたが、その手のコミュニティの誘いに対しては頑なに拒否し続けていた。今思えばそれは、宗教が云々以前に、何か契約を結ぶことに対する忌避感が根底にあったように思う。

 ゲームに課金するためにはクレジットカードが要る。車の代金や学費を払うにはローンを組まなければならない。雇用には雇用契約書に判を。

 約束に対して一定の責任を負い続ける事が、何よりも恐ろしかったのだ。それは魂を蝕み続ける毒のようにすら思っていた。

 

 

 

「あの……カクエさん?」

 

 並べられた長椅子に深く腰掛けて、不意に、祈るような姿勢になっていたかもしれない。私は顔を上げた。目の前にはステンドグラスが広がっており、その極彩色の逆光に、黒々とした人影が浮かんでいる。

 

「……あの……なにか変なところなどありますでしょうか……? そんなに見つめられると……」

 

 私はさっと視線を戻した。

 

「す、すみませんシスターヒナタ。素晴らしいものですね、この建築は」

 

 口からすらすらと出まかせが飛びだす。いや、別にその豊かな胸部にぽかりと口を開けた、謎の穴を注視していたわけではない。ただ神聖さを感じる荘厳な風景に見とれていただけだ。ヒナタさんの顔がぱあっと明るくなった

 

「はい……! 通功の古聖堂はその名の通り古い建物ですが、トリニティの伝統を感じさせる威厳があると思います! 連邦生徒会のご協力もあって、地上部はすっかり綺麗になりました」

 

 これなら式典にも相応しいかと、とヒナタさんは笑顔で付け足す。見ているだけで癒される笑顔を前に、私はゆっくりとうなずいた。

 来たるエデン条約の式典の場として、この通功の古聖堂が制定されたのは、つい最近のことだった。

 原作での動きを見るに、それはゲヘナを通したアリウス自治区の働きかけであった事に間違いない。

 

「暗いので足元にお気を付けください」

 

 私はヒナタさんの先導で地下に通じる階段を下る。架設されたLED電灯が、荒い地肌を見せる煉瓦壁を、蒼白く照らし出していた。触れるとひんやりとしていて、それに少し湿っている。足元も同様の湿度を帯びていて、うっかりすると足を滑らせてしまいそうだ。

 

 下りきった先は、開けたホールのようになっていた。その奥には祭壇状の構造物があり、数人の人影が作業に勤しんでいる。壁には夥しい数のレリーフが浮き彫りにされていて、所々に摩耗した文字が彫り込まれているのが見えた。

 ここでの作業のために、連邦生徒会の人材資源室の人脈を辿って、レッドウィンターの工務部の人員が派遣されてきていた。ヘルメットを被った彼女たちに挨拶を返しながら、ヒナタさんの報告を聞く。

 

「おっしゃる通り、この地下祭壇には七か所に分割されて古代語で条文が記載されていました」

 

「それがわかったということは、ウイさんを古書館から引きずり出すのに成功したんですね」

 

「はい。言われた通りに伝えたら酷くおびえていましたが……あれで良かったんですか?」

 

 目当ての条文がそこにあるという確証を得るために、古代遺跡の調査ができるウイさんの存在は必要不可欠であった。私がやったことと言えば、多少の報酬を用意したうえで、トリニティの闇(っぽい物を陰謀論で肉付けしたもの)をちらつかせただけである。利用させてもらっておいてなんだが、彼女の変な風に思い込む癖は少し怖いところがある。トリニティの闇も物によっちゃ怖い部分があるけど……。

 

 ヒナタさんは、壁に穴を穿って設置されたリード線を見上げていた。不安そうな色が見える。

 

「既に私どもの上層部からの許可は出ていますが……本当に壊してしまうんですね」 

 

「直系であるところのシスターフッドの皆さんには心苦しいですが……」 私は連邦生徒会のジャケットに突っ込んだ手の中で起爆装置のスイッチを弄ぶ。「もはや新しいエデン条約には、ユスティナ聖徒会の遺産は要らないんです。変な風に利用されてしまうのは、トリニティの大先輩がたも本意ではないでしょう」

 

 納得したヒナタさんは、安全確認をしたうえで工務部の生徒達と引き上げていった。

 私もじきに安全地点まで退避しなければならない。だが、これから壊してしまうものをもう一度見つめておくくらいの事は許されるだろう。

 

 ぼんやりとレリーフを見上げる。その意味は分からないが、なにか悪しきものと良きものの相克を表しているように見える。

 苛烈な統治を敷いたとも言われる聖徒会は、一体何と戦っていたのだろう? ふとそう考えた。

 

「もうちょっとウイさんと話しておけばよかったな……」

 

 彼女の中での私のイメージはきっと、底の知れない腹黒政治家で固定されてしまっただろう。仕方がないことだが、仲良くなる芽がつぶされてしまうのは、元プレイヤーとして少し寂しい。

 

 

(で、なんでこの手の輩ばかりと仲良くしてるんだろう)

 

 

 私の聴覚は、先程から不快な音を捉えていた。まるで家鳴りのような、あるいは固定が甘い椅子のような、木材が絶え間なく軋む音が、先の見えない通路の向こうから近づいてくる。

 

「おお……政治家。この出会いは奇遇ではない」

 

 カタコンベに通じているのだろうか? 祭壇の後ろの先の見えない暗がりの中から、木偶人形が近付いてきていた。一言で言うなら、モーニングを着たマネキンだろうか。異形感を伸長する双頭の下は、瀟洒な蝶ネクタイで飾られている。

それはいかにも芸術家のゲマトリアらしいこだわりだった。

 

「マエストロ」

 

「私の名を知るのか、その野蛮な利器で、美しい遺跡を破壊しようとする為政者よ」

 

 私は足元を見つめていた。灰色の湿った地面が広がっている。

 

「腐った権力者がモニュメントを破壊しようとするのは歴史の常ですよ」

 

「確かに。しかしそれは一体、どこの歴史だ?」

 

「さあ」 私は問い掛けを半ば無視した。わかり切った話だったからだ。

 私の脳内には、砂漠を行くラクダが描き出されていた。その向こうでは、ナポレオンが軍刀を振り上げている。彼がスローモーションでサーベルを振り下ろすのに呼応して、ピラミッドの側面が盛大にはじけた。ダイナマイトに点火されたのだ。

 

「あなたがたこそ、どこから来たんですか? シュルレアリスムの悪質なパロディ集団」

 

我々はどこから来たのか(D'où venons-nous ?)我々は何者か(Que sommes-nous ?)我々はどこへ行くのか(Où allons-nous?)か……これは手厳しい」

 

 マエストロは愉快そうに軋む音を立てた。私は早くこの会話を終えたくて、ポケットの中で起爆スイッチを押すタイミングを伺っていた。

 

「それで、用件はなんですか。芸術とその他を天秤にかければ、その他の方が傾く凡人です。崇高な芸術家の時間を費やすのには値しない」

 

 マエストロは道化のように手足を広げた。それはまるで、ステージの闇に吊るされた操り人形のようでもあった。私は席がたった一つしかない天井桟敷にて、それを眺めている。

 

「そなたはもう一人の先生のように、私の芸術の理解には至らないかも知れぬ……しかし、協力者として不足はない。芸術家の背後にはいつだってパトロンの存在があったものだ」

 

「……簡潔に。詩作ではなく、事実を」

 

 

「もしその約定を破壊せず、持ち続けるのならば、戒律の名義はアリウスのブルーブラッドでなくてもよいと考えている」

 

 

 私は目を見開いた。おもわず顔を上げ、木偶人形を見据える。マエストロの表情は見えず、ただギチギチと音を上げている。

 

「……しかし……それは……」

 

 まるで蛇を飲み込んだみたいに、その言葉はぐるぐると心中を駆け巡る。私は内臓が一気に重くなったような錯覚を覚えた。

 『戒律の名義はアリウスのブルーブラッドでなくてもよい』。それはつまり、条件さえ整えばETO(エデン条約機構)の盟主になれるという事。

 どういうつもりだ?と疑問に思う。マエストロはベアトリーチェに限定的とはいえ協力しているのではなかったか? 何を企んでいる?

 

「現代、芸術品にはその価値に応じて幾重もの保険が掛けられる。大いなる約束の成就のために、このピースは必要なのではないか?」

 

 私はもう一度レリーフを見た。マエストロの物言いに当てられたのだろうか? 私ははっきりとそこに刻まれた歴史を幻視した。

 パテル・フィリウス・サンクトゥスの三派どころではない。同じ羽根と光輪を持つ、沢山の人々が入り乱れ血を流す絶え間ない抗争の歴史だ。

 

「目的が見えません。だって、戦争も、闘争も、あなたにとっては芸術の一部ではないんですか」

 

「しかし、いかなる作品も、理解者が居なければ寂しい。たとえ崇高さが損なわれないとしても……」

 

 その時だけ不思議と、マエストロの高い背丈が、小さく見えた。

 

 

 

 

 気が付くと、私は誰もいない祭壇の前に佇んでいた。カタコンベへと通じる道は綺麗さっぱり消え失せ、元の壁に戻っている。

 振り向くと、一人の少女がこちらを伺っていた。その手はぎゅっと革鞄の持ち手へ食い込んでいる。どうやら心配をかけてしまったようだ。

 

「少しぼうっとしてしまったようです、ヒナタさん」 

 

 私は乾いたのどを振るわせ、頑張って明るい声を出した。

 

「……考えが変わりました。この遺跡はこちらで用意する場所に移設しましょう」

 

「えっ……!?」

 

 ヒナタさんの顔がぱあっと明るくなった。

 

「ありがとうございます、カクエさん!」

 

 その名の通り、まるで日向の花が咲いたかのような笑顔だ。私は無限に後ろめたくなりながら、ポケットの中で起爆装置を手離した。

 

「遺跡はこちらで移設保護いたします。エデン条約の新しい象徴、”ジックラト”にて」

 

 

 だから約束は嫌いなんだ。そう心の中で吐き捨てながら、私は湿った階段を登る。

 

 

 

 

----------------------------------------------------------------

 

 

 多目的施設ジックラト、またはエデン条約のための壮大なハコモノは、締結のXデイへ向けて急ピッチで建設が続けられていた。塔メインシャフトの直下、地下深くに設置された中央管制室が、その極限まで自動化された建設を統括している。建設の監督は中央管制室の本来の役割ではないが、柔軟な施設運用の可能性が表れていると、好意的に捉えることもできる。

 というかすでに莫大な投資をしてしまったために、もはやプラス思考じゃないとやっていけない。

 

『この調子なら何とか完成できるわね。幾つかのエリアの完成は放棄せざるを得ないけど……』

 

 カードキーを翳すと通過できるゲートの先、中央管制室に降下するエレベーターの中で、私は資料の整理に没頭していた。

 空中に投射されたリオ会長のホログラムが述べる通り、建設にはある程度の遅れが生じている。ジックラト周囲の海底よりもさらに深い地下に原因があった。

 

「まさか地盤深くに水脈が流れているとは。事前の調査で発見できていれば良かったんですけどね」

 

『仕方がないわ。不必要な部分を合理的に切り捨てていきましょう』

 

 高層建築に耐えうる基礎やパイプラインを設置するために、埋立地のさらに地下に手を入れたところ、急に温かい真水が噴き出したのである。浸水のためリオ会長から借り受けた工事用ドローンがおしゃかになり、地下の数区画が立ち入り禁止となった。

 いくらヘイローを持っているからといっても、事故による溺死は免れない。ゲーム的に言うとスリップダメージでシールドが削られてしまう状態だろうか? ここキヴォトスにおいては、大量の水は銃や爆薬よりも危険なのだ。安全を確保した関係上、初手で工事が遅れてしまった。

 

「できれば完璧な完成を目指したいですね……この際ですからドローンの他に人の手も投入しましょう」

 

『人の手……』

 

 通話の向こうでリオ会長が言いよどんだのを感じた。

 

「やはり他人の力を借りるのは嫌ですか?」

 

『……ええ。忌避感があるのは認めるわ。でも、人の力を単に不確定要素と片付けたのが敗因だった』

 

 ゲーム開発部とヴェリタスの友情に敗北した経験は、確かにリオ会長へ何かの変化を齎したらしい。ずっと傍にいてくれたトキさんを失ったことも大きいだろう。錯覚していただけで、そもそも彼女は一人ではなかったのだ。

 

「では、こちらで何とか人手をかき集めてみますね」

 

 具体的には、また人材資源室長に手間賃を握らせることになるだろう。彼女は元々カヤ先輩の派閥にいたのだが、カヤ先輩が失脚したのち、綺麗にスライドしてきた組の一人だった。

 

 エレベーターのドアが開くと、真新しい廊下が続いていた。地上と比べて人の気配はないが、隅々まで明るく照らし出されているため、地下特有の薄暗い不安感はない。行き来する清掃ロボをかわしながら、靴音を深く響かせて進む。柱に支えられただだっ広い空間は、いざというときに職員の避難所として使えるようにも配慮されていた。シャーレに倣って職員向けのカフェもある。

 

 奥まったドアでまたカードキーを使うと、その先には中央管制室が広がっている。壁全面を覆う近代的なモニターにはキヴォトス全土の地図が表示され、その上部には現在のデフコンが緑ランプで表示されている。艦橋状に配置された各セクションの机は基本的に自動化されており、少人数でも運営できる設計となっている。が、基本的にはゲヘナ・トリニティ両校の人員が派遣されて来て駐在し、平時の任務にあたることになっている。エデン条約機構の中枢となるべくして作られた施設がここである。

 

 中央に設けられた丸机では、見慣れた顔が各々の作業に当たっていた。

 

「カクエちゃん……」

 

 カヤ先輩が幽鬼のような表情で私にすがってくる。あれからカヤ先輩はパジャマ状態を脱したが、連邦生徒会の服よりはラフな格好で業務にあたっている。深いクマは消えて健康になったようだが、それはそれとして机に突っ伏してヘバっていた。

 

「カヤちゃん先輩しっかり! 生徒会長の業務はこんなもんじゃないですよ!」

 

「人前でカヤちゃん先輩って呼ばないでください…… うう……生徒会長って泰然として座っているだけじゃなかったんですか……」

 

「しっかり!超人は書類にも負けない!」

 

 私はカヤ先輩の腰をバシバシと叩く。カヤ先輩はうう、とそのたびにうめき声を漏らした。

 

「相変わらず非力ですね……」

 

 うるさい! そう返事してカヤ先輩と格闘していると、うわぁあ!!と壁際からまた違う呻き声がきこえた。

 

「反省室から連邦生徒会に連れてこられたと思ったら、なんか謎の暗号を解析させられるわ、偉い人のイチャイチャを見せつけられるわ、どうなってるんですかー!」

 

 長いピンク色の髪を大きなツインテールにした彼女は、そう言いながらもすごい速度でノートPCのキーボードを叩いている。ケーブルの先は露出した壁の中の配線へと繋がっていた。

 

「あ、コユキちゃん。解析の進捗はどうですか?」

 

 彼女はミレニアムハイスクールに所属する黒崎コユキだ。セミナー名義の債券が無断で発行された事件の主犯にして、質の悪い(そして不運な)問題児。そして暗号解析の天才だった。コユキちゃんはまたうわぁあん!と声を上げた。

 

「私だけ扱い悪くないですか!? そもそもなんでエデン条約を支える主幹システムが意味わからない言語で暗号化されているんですか~!」

 

「あ……それはごめんね。やむをえない事情があって……。三日以内に解読よろしくね」

 

 コユキちゃんはまたわめき声を上げた。もうなんか顔が絵文字みたいになっている。

 彼女がこの問題を解決できることは()()()()()()()()から、このような無茶振りをしている側面があった。

 

 私はかわいそうに……と他人事のように思った。早瀬ユウカさんから身柄を借り受けるとき、非常に速いスピードで話が決まったあたり、彼女の普段の扱いが透けて見える。

 それにしても、リオ会長の件といい、セミナーは横領されすぎではないだろうか。自分で言うのもなんだが、街ひとつ作る額を掠め取られているあたり、連邦生徒会よりも状況がひどい気がする。ユウカさんには強く生きてほしい。

 

「しかし、何もない状態から随分完成したなあ……」

 

 私は施設の状態がリアルタイムに表示されるマップを開き、そうごちた。

 運び込まれたまま地下に放置されている遺跡の破片といい、地下に潜って見えなくなったアリウス自治区の動静といい、不安要素は無数にある。だが、この手で何かを作り上げた実感は、私に安心を与えてくれていた。

 

「カクエちゃんは、元々建設関係の部活にいたんでしたっけ」

 

 そう尋ねるのはカヤ先輩だ。

 

「部活というか、中等部時代に土建屋をやっていてね……まだ会社は持ってるけど」

 

 私は目を閉じてこれまでの道のりを回想する。私には最初、何か別の目的があった気がする。だが建物や道路を作っていくうちに、故郷のあの百鬼夜行連合の寒村のような、災害に弱い生活インフラを根こそぎ改造してしまいたいと願うようになった。

 不幸を超克するために、政治の力が必要だったのである。極めて個人的な動機でここまで進んできたといえる。

 

「へえ~~、なんかよくわからないですけど、この絵も思い出の品だったり?」

 

 コユキちゃんは真新しい壁にかかった一枚の絵を指差した。油彩で描かれた骸骨の静物画だ。

 

「あれ? なんでこれここにかけてあるの?」

 

 見覚えのある品だ。しかし私にはここに設置した記憶がなかった。次長が持ってきてくれたのかな?と考えてみる。

 

「なんでって、カクエちゃんが掛けてたんですよ。一昨日でしたかね」

 

 カヤ先輩が書類と格闘しながらそう言う。

 

「え?」

 

 不思議と、全然記憶がなかった。無意識の愛着があるのかなあ、と思い、まじまじとその絵を見つめてみる。あまり意識していなかったが、なにか古代語で文字が書かれている。いや、これは……。

 

 急にサイレンが鳴り出して、館内マップの一部が赤くなった。襲撃者を知らせるポップアップが次々と表示される。

 まさかアリウス自治区の襲撃!? 頭の中に、ゲームの中で目にしたアリウススクワッドの面々が駆け巡る。まさかこのタイミングで襲いに来たのか?

 

 コユキちゃんの操作によって、すぐに監視カメラの映像がモニターに表示される。三番メイン通路が、まるで燃料をぶちまけられたかのように燃え盛っていた。いや、本当に焼夷剤をばらまかれているのだ。

 

「温泉開発部……!?」

 

 

 室内に生じた陽炎の向こうに、ゲヘナ学園の危険人物リストで見た人影が蠢いていた。その髪は周囲の廊下と同じ色の、燃え盛るような赤だ。

 

「いや~、開発しがいがある温泉だね!」

 

 カメラの映像はそこで途切れた。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。