ウマ娘の世界に生まれたら何をするか。
レースに参加する?それとも、あえて遠巻きに見守る?ウマ娘に生まれた場合や、一般人として生まれた場合などによって、取れる手段は様々だ。
例えば関係者になれば、ライブの曲や振り付けを教えたり出来るかもしれないし、体調を管理する医者になれるかもしれない。スタッフとして様々なメンテナンスに携えるかもしれないし、学園外の関係者として彼女らのサポートが出来るかもしれない。それとも、彼女らを推すファンになれるかもしれないし、努力を重ねてトレーナーとして一緒に栄光をつかめるかもしれない。
可能性は間違いなく無限大であろう。
さて、では私はどうなのか?
間違いなく言えるのは、ウマ娘から実馬を知りいろいろな意味で競馬のファンになった多数いるオタクの一人。推しはトウカイテイオーである。
幸い、なにがしかの力のお陰様でウマ娘の世界にこぼれ落ちたしずくの一つになることが出来た。しかも、ウマ耳持ち。TS転生、ウマ娘化。よくばりセットと言ったところであろう。
「トチノステラ!!なにボケっとしてるんだ!次、詰まってるよー!」
「あら、ごめんなさい。よろしくおねがいします」
「よろしい!では、タイム計測!1600メートル!位置について、よーい」
ドン!首を下げて、一気に身体を前に倒す。そして、完全に身体が倒れる前に、もう一歩踏み出して、トップスピードに乗せる。ダートの地面に蹄鉄が食い込む。いやこれがねぇ、気持ちいいのよ。全力で走れるってのが実に良い。ウマ娘の本能。走る。走る。走るぞー!って具合で、気づけばコーナーを抜けて、ゴールを切っていた。
「…良いタイムだ。このままいけば、きっと中央トレセンも夢じゃないぞ!」
「ありがとう。頑張ります」
「うんうん。頑張って!さ、次!メイカハギノ!位置について!」
スポーツクラブの教官の声をBGMに、クールダウンのストレッチを行って空を見上げる。
「感謝感激、神様最高」
私がこの世界で何をするか。それは唯一つ。中央トレセンに入って、名ウマ娘とお知り合いになる。できれば、アグネスのデジタルさんとお友達になって、ウマ娘について語り合いたい。それが私の1番の夢だ。
それに、只でさえ美しいウマ娘たちが周りにいる。もし、中央に入れなくても、地方で楽しくやれる自信がある。大先輩の言葉を借りるのならば「捗るぅうううう!」である。じゅるり。ぐへへへ。
「…凄い顔しているね?ステラ」
「あ、ハギノ。どうだった?」
「んー。今のままだと中央は厳しいかも。ステラは?」
「中央もイケルかもって」
「うお!羨ましい!」
タイム測定を終えたメイカハギノ。彼女は私よりもスタイルが良く、ぶっちゃけ美しい。惜しむらくは、タイムが伸びないことぐらいだ。原因は正直判らない。ただ、本人曰くどうも地面がしっくりこないらしい。もしかすると、ターフ専門の御御足なのかもしれないなぁとぼんやりと思っていたり、いなかったり。
「じゃ、シャワー浴びて私は上がるね。ステラはどうする?」
「もうちょっと皆の走りを見るよ。捗るからね」
「そっか。ま、ほどほどにね?またあした!」
「うん。また明日」
彼女の背中を見送りながら、手を振って見せる。いやぁ。ウマ娘と会話が出来るっていうだけで実に幸せである。