異世界猟奇者〜プレデターは新種のオーク!?獲物を求めてどこまでも!〜 作:青もんた
〝俺達〟は生まれながらの狩人であり、戦士だ。
始まりの種族は何だったか分からないが、強靭な身体を持ち、自分達が生まれた星のあらゆる過酷な環境に適応した。
先祖の部族はかつて大量の奴隷を召し抱えていた。
知性の高い部族を屈服させるのには苦労したらしいが、俺達が棍棒を振るうだけの馬鹿じゃない事が分かると協力的になった。
先祖には壮大な夢があった。
いつまでもいつまでも、永遠に狩りと闘いを続ける事だ。
歯応えのある獲物を狩る事と、部族の中で認められる誇りある試練、装備、そして寿命と全ての環境を超越する更なる強靭な身体。
科学が発展しても、俺達の本質である狩りと闘いを求める暴力性は変わらなかった。
身内でも戦士長の座を求める決闘や戦争は頻発していた。
寿命が伸びた影響で狩りの多様化、侵略した種族との交配、数多の戦争の果てに俺達はより進化し、高度化した生物となった。
その頃には故郷の星は破壊し尽くされ、ボロボロで大した獲物も無い上に、狩場としては狭すぎた。
身内同士で狩り合うのも手段がマンネリ化していた。
先祖は頃合いだと考えて巨大な船を造って戦士達を乗せて星を離れる事にした。
この故郷の星は戦士達の墳墓として残し、名誉ある死を遂げた各部族長及び戦士長の先祖が、それぞれ得意とした武器と共に眠っている。
墳墓そのものが新米戦士達に対する試練として設計されているのだ。
種族は問わない、強力な戦士、もしくは獲物をこの世界に生み出す為だ。
最新の研究で、この宇宙には複数の宇宙があり、未知なるエネルギー、物質、生命体に溢れている事が分かっている。
俺達の部族は全ての宇宙を狩り尽くすべく、旅を続けるだろう。
そしてその旅の途中で〝俺〟が生まれている。
さぁ、今日の獲物は何だ?
〜〜〜〜〜
とある星を侵略し、狩りをした。
あまり文明も発展しておらず、つまらない狩りになってしまった。
今は別の惑星に向かうべく、宇宙船で移動中だ。
俺達は最新の武器を使う時もあるが、基本的に数十m圏内、至近距離での狩りのみを行う。
威力の高い武器で相手が気付かぬうちに虐殺するのは、戦士達に蔑まれる行為だ。
相手が気付くか気付かないか、反撃してくるギリギリを見極める狩りこそが生き甲斐だ。
稀に反撃して戦士を倒す種族も居る。
そういった者を戦士、若しくは歯応えのある獲物として認めて部族から武器を渡す事も稀にある。
話の通じない怪物ならば狩り尽くだけだ。
宇宙船は現在、ワームホールを抜けているところだ。
俺は戦士長に尋ねた。
「次の星には、我々に匹敵する種族が居るのか??あまりにも弱すぎて身体が鈍ってしまう。」
戦士長も頷く。
「ああ。俺も最近は装備の点検だの、船の整備の進捗を監督だの、馬鹿馬鹿しい仕事しかしていない。ハデに暴れ回って殺すか、名誉ある死を迎えるか。先が見えん旅だ。早く『偉大なるアルファ』の様な戦士に至りたいものだ。」
『偉大なるアルファ』とは先祖の更に先祖にいたと言う、白き無双の戦士の事だ。
マユツバの伝説と言われてもいるが、あらゆる種族が平伏したという。
「エルダーであり、戦士長になって、狩りを統率するのはつまらないだろう?アンタはいつも最前線だ。」
「そうだな。戦士長なんぞ、所詮ヘルムのデザインと機能がちょっと違うくらいでしかない。この身体こそが最強の武器だ。」
「同意する。」
肩に取り付けるプラズマ・ブラスターやサーマルビジョンも狩りを盛り上げる為の小道具でしかない。
やはり接近戦。
槍やガントレット等のメレーウェポンによる流血、そして返り血こそが、最高の栄誉。
突然、警告灯が光り、宇宙船が揺れ始める。
危機は異常を検知し、制御を失いワームホールの航路を外れている。
「まさか、重力嵐か??」
「グハハハ!!運が悪いな!このままでは砕け散る!まだ狩りは始まってすらいない。」
戦士長は直ぐに指示を出す。
「これより俺は戦士長ではなくなる!全員、セパレートポッドに搭乗し、コールドスリープに入れ!!お前らの栄えある狩りを見れないのは残念だが、宇宙の果てまで朽ちるまで狩り尽くせ!さらばだ、戦士達よ!」
こうして、俺は永い眠りに入った。
このまま死んでしまうのか?
死ぬのが怖い訳ではない。
狩りが出来ないのが残念なだけだ。