魁!!ぼっち・ざ・ろっく!   作:レフリー

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書いた本人が言うのもアレですが前回のは迷走し過ぎた。


#14 脂質はナッツと魚類以外滅びたし

番長選手権が終わり束の間の平穏。次のライブで統一感を出す為に結束バンドのT-シャツを作ることになった。その際にぼっちちゃんの家に集まることになったのだが……。

 

「えぇーと。ここなんだよね?」

 

「……地図だとここのようですね……」

 

ロインに書かれた住所に来たものの私達の目に映るのは『大歓迎!結束バンド!』と書かれた横断幕が飾られた民家であった。

 

「まぁここだよね……結束バンドって書いてるし……」

 

「周囲の目がちょっと怖いので早速中に入りますか」

 

「そうだね。やれやれある意味リョウは運が良いというか悪いというか……」

 

「こんなに面白いんですからリョウ先輩も来たら良かったのに……何か用事でも有ったんですか?」

 

「あーちょっと急用が合ってね……おばあちゃんが今夜が峠で見舞いに行くんだって……」

 

「えっそうだったんですか!?おばあちゃん危なかったんですね……」

 

私は喜多ちゃんに嘘をついて誤魔化した。まぁ普段のリョウもこんな風に雑に誤魔化してるし隠し通せるだろう。あんな話を1から説明してもめんどくさいだけだし……。

話は数時間前に遡る。虹夏は喜多と合流する少し前、朝から補習だったリョウを迎えに下北沢高校に行った。補習をしている教室の中に入ると中はやけに騒がしかった。

 

見れば前田達と下北ではない制服、デス高の人と言い争ってるのが見えた。虹夏は思わず近くにいた神山に話を聞いた。

 

ちなみに神山は先生の代わりに生徒の監督を頼まれたとのこと……ここでも先生に頼られるほど頭良い設定である。

 

「何か有ったの?」

 

「伊地知さん。実はデス高の人達が喧嘩を売りに来まして……前田くんが対応しているのです」

 

「対応……というか口喧嘩しているように見えるけど……というかわざわざ乗り込んでくるなんて……何かやったの?」

 

「先日の番長選手権の結果が気に入らないと文句を良いにきたんです」

 

「あ"あ"っ!当たり前だろ!」

 

遠くで私達の会話を聞いていたデストラーデ高校の不良が叫ぶ。

 

「番長選手権で名前も知らねぇカスが優勝したんだ!黙ってられっかよ!!優勝者を出せ!ウチの山口とソイツでタイマンだ!!」

 

「俺が山口だ!!……で、最強の番長さんとやらはどこにいるんだ?俺を倒してから真の番長を名乗れ!!」

 

リョウが神山に指を指す。

 

「彼だ……」

 

「僕です」

 

そう言って神山は山口の前に出た。ちなみに余談ではあるが神山の趣味はラジオにネタを投稿するハガキ職人である(PNハチミツボーイ)。その趣味を知るものは林田と、その会話を偶然聞いてた山口ノボル(PNアジシオ太郎)の両名のみである。

 

(ハチミツッ!?)

 

山口の額に冷や汗が流れる。その様子から周りの不良も狼狽える様子を見せた。

 

「ち、ちょっと待てよ。何でこんな弱そうな野郎が真の番長なんだよ!?」

 

「そんなのこっちが聞きたい」

 

「色々と文句がおありかと思われますが私がチャンピオンです」

 

「フ……フフフ……」

 

突然の笑いに周りは声のする方向……山口を見る。

 

「……フハハハハハハハ!!」

 

「ど、どうしたんだよ山口!!何がおかしいんだ?」

 

(なるほどそういうことか……。つまり番長選手権ってのは表向きは真の番長を決めるということになっているが……実は最強のお笑いを選ぶ大会だったという訳だな……)

 

山口は眉間にシワを寄せる。

 

(それでこの天才ハガキ職人がチャンピオンになったということか……それならば俺も納得できる!!……となればこの勝負……絶対に引き下がる訳にはいかん!!)

 

「よし!勝負を始めようじゃねーか!!」

 

「正気かよ!!マジでこんな奴とやるのかよ山口!?」

 

周りの不良が勝負をしようとする山口に驚きを隠せなかった。そんな中、神山はというと涼しい顔をしていた。

 

「分かりました。その挑戦、受けて立ちましょう」

 

「か、神山くん!?」

 

虹夏は争いをしてほしくなかった。

「では、始めましょう!!答えが分かった人は机の上にあるボタンを早押しでお願いします」

 

「クイズかよ!?」

 

回答席に座ったデストラーデ高校の不良がツッコんだ。ちなみにこの時、虹夏は大丈夫だと確信し回答席に座るリョウを置いて待ち合わせ場所に向かった。

 

一方の山口はというと神山の手腕に顔色を変えないようにするのに必死だった。

 

(殴り込みに来た筈なのにいつの間にかクイズをやらされている……さすがハチミツボーイ。何て面白い展開なんだ……しかも)

 

山口はシルクハットを触りながら思う。

 

(文句を言いつつもしっかりと回答用のシルクハットを被っている俺達も自分でツッコミたくなるくらい面白い……)

 

デス高の不良が言う。

 

「仕方ねぇ……百歩譲ってクイズをやるのは良しとしよう……けどな……神山と勝負をしに来たのにお前が司会者になってどーすんだよ!?

 

第一問です!!

 

神山は不良のツッコミに無視をして始めた。山口はまたも神山の手腕に舌を巻いた。

 

(話の広がらねぇ質問はシカトする……流石だぜハチミツ……お笑いだけでなくシキリも心得てやがる)

 

「第二十回超人オリンピックにおいて日本代表はウルフマン。では中国代表は誰でしょうか?」

 

ボタンが押された。押したのはデス高、石川だ。

 

「ラ……ラーメンマン!!」

 

「正解です」

 

「よっしゃあ!!」

 

そう叫ぶやいなや石川は山口に殴られ気絶をした。

 

「また石川が山口に殴られたぞ!!」

 

「何でだ!?」

 

(このバカが……この世界では正解なんて何の価値もねぇ……!!いかに笑いを取るかが重要なんだ!!今はアイドルでもボケる時代だっつーのにこのアホが!!……つまり我々にとって笑いこそが正解なんだ!!この言葉は俺がメジャーになったら後世に残るかもしれん……)

 

「では第二問!!『ヒトヨヒトヨニヒトミゴロ』は√2ですが……『ヒトナミニオゴレヤ』は何でしょう!?」

 

ボタンが押された。シルクハットから飛び出る回答者を表す『悪』の表示はリョウだ。

 

「ハイ山田さん!!」

 

……わかりません

 

(そ……それだよ視聴者が求めているモノは!!)

 

山口は気付かれないように静かに唾を飲む。

 

(思わず『わかんねーなら押すなよ!!』とツッコミを入れそうになっちまったアブねーアブねー。ツッコミなんて入れた日にゃコイツの笑いが際立っちまう。そうなりゃワリ食うのは俺だ!!)

 

山口は額の汗を拭った。

 

(思わずツッコミたくなるボケというのはキレのいいボケの証拠……ぬぅ……この青髪タダ者じゃねえぜ……)

 

「では第三問です。日本にある都道府県はすべて合わせるといくつあるでしょう?」

 

ボタンが押された。シルクハットの表示はリョウだ。

 

「ハイ山田さん」

 

スマホをポケットにしまったリョウが答える。

 

「さっきの答え分かったんだけど答えていい?」

 

「……ダメです」

 

(なッ!?さっきのボケをうまく引っ張ってやがる!!てコトはアレは伏線で計算し尽くしてのボケだったっていうのか!?コレは手強い!!)

 

「では最後の問題になります!!ちなみに最後の問題の正解者には三百万ポイントです!!」

 

神山の宣言にデス高の不良と山田が驚く。

 

「ええ!?」

 

「じゃあ今までの問題は何だったんだ!?」

 

(なるほど……多少ベタではあるがお笑い系クイズでは定番のセオリー……やはりバラエティーではその妥協も重要ッ!!やるなハチミツ!!)

 

「最後の問題です!!良く聞いてください。事の始まりはあまりに残虐なファイト―――」

 

神山が問題を読み上げている間、山口は回答ではなく別のことを考えていた。いや、ある意味それは回答でも有った。

 

(やはり最後はどう盛り上げてシメるかは俺のお笑い回答にかかっている……問題など聞く必要はない……正解などより笑いなんだ!!どうするッ!?)

 

「―――悪魔超人はミートの体―――」

 

(三択問題なら『四番です』と答えるが……ダメだ。ありきたりだ!!ならば問題を言い終わる前に答える……だがコレは『まだ問題の途中のです』というキレのいいツッコミが返ってこないとツラい……)

 

「―――V2チャンピオンのキン肉マンに―――」

 

(つまりツッコミを必要としないボケしかない……。しかもこの低レベルな客層を笑わせるために笑いのレベルの下げねばならないだろう……となればコレだ!!)

 

ボタンが押された。山口だ。

 

「ハイ山口さん!!」

 

山口は右腕の二頭筋を主張させて叫んだ。

 

パワーッ!!

 

「正解です!!」

 

え!?ウソ!?

 

その晩。山口は頭を抱えていた。

 

「何てコトをしちまったんだ……」

 

山口の悲痛な表情を『番長クイズ優勝』のメダルだけが写していた。

「√3です……と」

 

「喜多ちゃん。別にリョウを助けなくても良いよ」

 

リョウさんを除いた私達結束バンドは現在、次のライブに向けてのT-シャツのイラストを考えていた。

 

家族がはしゃぎ過ぎたせいで予想外に時間を食ってしまった。この遅れをどうにか挽回しないと……。しかし楽しかったな~あのツイスターゲーム……唐揚げも美味しかったし……。

 

この日有った出来事を思い返しつつ、黙々と皆とイラストを書いて数十分……遂に完成した。

 

最初に喜多さんが発表したのだが……正直あまり覚えていない。おぼろ気に輪郭は憶えているのだがそれ以外はどうにも思い出せない。

 

そういえばさっきから心が痛い。トラウマに残るようなことを言われた気がする……。ぐぅ!頭がッ!バグるッ!!

 

「おーいぼっちちゃん!」

 

「アッハイ何でしょう」

 

「いや、次はぼっちちゃんの発表だよ。イラストを見せて」

 

「わ、分かりました!……そ、それではどうぞご覧あれ」

 

私は自信作を二人に見せる。二人はおおうと小さく呟くと黙ってしまった。くくく。私の意外な才能に二人とも言葉がでないのであろう。

 

「お、おしゃれ過ぎますかね?え、演奏を見てもらうのにお客さん服ばっかり見てしまいそうです」

 

「た、確かに服を見そうだけど……ええーと後藤さん!その大量のファスナーと鎖は何に使うの?」

 

「ふ、ファスナーはピック入れに使えて鎖はギターストラップに使えます」

 

「意外と実用的だ……」

 

虹夏ちゃんが驚いた顔で私を見てくる。ふっ。私だってたまにはやるんです!

 

「で、では他に質問も反対意見も無さそうなので私の案で採用という事で……」

 

「待ってぼっちちゃん!もう少し話し合おうよ!さらに良い案が出るかもだし!」

 

「そうですよ後藤さん!まだ時間も有るし、もう少し煮詰めていきましょう!!」

 

「アッハイそうですね」

 

「ところで後藤さん」

 

「な、何でしょう?」

 

喜多さんが私に話し掛けてくる。

 

「後藤さんっていつも同じジャージだけど私服って無いの?」

 

「い、一応あります。お、お母さんが買ってきたものですが……私の好みじゃ無いので着ていません。も、もっぱらこのメーカーのジャージだけです」

 

そう言って私は後ろの衣装棚を開く。中には同じピンクのジャージが十着以上の予備が有り私を安心させる。戦いは数だよアニキ。

 

「す、すごっ!」

 

「こんなの一体どこで売ってるんですか?見たこと有りませんけど……」

 

「ね、ネット通販です。あ、アルストツカの高校の指定ジャージなので日本じゃ滅多にお目に掛かることは無いと思います」

 

「あ、アルストツカ……外国の感性ってよく分かんないね……日本人にはよく分からないよ」

 

「伊地知先輩……その言葉は後藤さんをちょっとディスってますよ」

 

「ご、ごめん……。ところでぼっちちゃん何で十着も有るの?予備を揃えるにしろ二、三着あればいいのに……」

 

「アッハイ実は輸入元のアルストツカがクーデターが起こりまして……貿易停止になる前に買いだめしておいたんです」

 

「そ、そうなんだ……」

 

虹夏ちゃんが私と同じように声を詰まらせたりするのに親近感を感じた時、喜多さんが話し掛けてくる。

 

「そういえば私服はお母さんが買っているって言ってたけどどんな服なの?見せて見せて!」

 

「えっ!?」

 

「あっ!確かに気になるぼっちちゃんの私服姿!」

 

「えっ!!?」

 

それからはあっという間の出来事でした。私はジャージをひんむかれお母さんの買ってきてくれた服を着させられました。初めて着た服に二人はというと……。

 

「まぁ!」

 

喜多さんは感嘆の声をあげ。

 

「うんうん」

 

虹夏ちゃんは頷いています。

 

「「良いね」」

 

二人は私のことを褒めていますが何の辱しめでしょうか……。私のような陰キャにきらびやかな服なんて似合わないでしょうに……。慣れないことをしているせいか体が痒い……。息がしづらい。

 

「ねぇねぇぼっちちゃん!どうせなら前髪を上げてみない?デコ出したらもっとキレイだと思うよ!」

 

「名案ですね伊地知先輩!」

 

「えっ!?ま、前髪ですか?」

 

「もしかして伸ばしてたりしてる?」

 

「い、いえ……び、美容院は怖くて行けない系で……ただ長いだけです……」

 

「じゃあやってみようよ!何事も挑戦だよ!」

 

そう言って虹夏ちゃんは間髪入れずに前髪を上に上げました。その瞬間、私から一閃の光が部屋に溢れ私に数ヶ月前の惨劇を思い出させました。

 

前髪を上げるという拒否反応に体が付いてこず肉体は崩壊。私の体は崩れ意識を失いました。私の最後の記憶は倒れる呻く虹夏ちゃんと喜多さん。そして、そんな私達を見て無邪気に笑うふたりの姿でした。

結局Tシャツのイラストデザインは虹夏ちゃんの考えた服に決まりました。リョウさんが着ているからかっこよく見えますけど……。

 

黒地に白文字とシンプルなデザイン。味気無いのですがコレはコレで良いと思います。にしても……。

 

「次にぼっちちゃんは『に、虹夏ちゃんのにするなら最初からそうすれば良かったのに……』と言う!」

 

「に、虹夏ちゃんのにするなら最初からそうすれば良いのに……ハッ!?」

 

「だんだんとぼっちちゃんの考えていることが分かってきたよ。まぁとにかく服も出来たことだし……あとはライブを迎えるだけだね!」

 

「あの……伊地知先輩」

 

喜多さんが暗い顔をして虹夏ちゃんにスマホを見せた。

 

「どうやら台風が近づいているようで……ライブ当日に来るかもです」

 

「えっ!?」

 

せっかくここまで下準備をしたのに……ここまでの苦労が水の泡になってしまう。

 

「あっでも関東には直撃しないようだね」

 

「あっ……本当ですね!じゃあライブは大丈夫そうです!良かったぁ~!!」

 

喜多さんと虹夏ちゃんはスマホの天気予報を見て喜んでいる。リョウさんも心なしか喜んでいるように見える。しかし私は安心することは出来ない。

 

「あ、あのっ!」

 

「ん?どうしたのぼっちちゃん?」

 

「て、てるてる坊主!ね、念の為に作りましょう!」

 

勇気を振り絞って私は発した。すぐ私は後悔をする。せっかくの和気あいあいとした空気に水を差した言葉で有ったからだ。

 

相変わらず私は空気が読めない。そんな自分が嫌になる。

 

でも言わないよりかは良いと思いました。

 

でも、そんな私に皆はとても優しかったです。

 

「確かに後藤さんの言う通り作った方が良いかもしれないですね、どうなるか分かりませんし!」

 

「そうだね」

 

「じゃあ私道具を持ってくるよ!」

 

私はネガティブだから悪いことばかり考えてしまうけど。

 

「ぼっちちゃん大丈夫?」

 

「はははい!だ、大丈夫です!」

 

大丈夫だよね……?

ライブ当日。

 

神は死んだ。

 




次回はライブ当日を書こうと思いましたがライブに関しては原作やアニメが至高!付け足しは蛇足と思っているので触りだけで終えます。後日談的なことを書いていこうと思います。
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