魁!!ぼっち・ざ・ろっく!   作:レフリー

19 / 22
四天王のフェイスペイントの説明ってムズいっすね。なので省略します。漫画で確認してください。


#18 地獄寄りの使者

かつてクロマティ高校と呼ばれる最凶最悪の高校が存在していました。その悪の巣窟には私たち一年生の上級生である二年生も一応います。

 

その二年の中にあって極悪非道の限りを尽くし二年生全体の頂点に立った男たちが存在した……その名もクロマティ四天王

 

彼らはクロマティ廃校後、私と同じ秀華高校に転入してきました。

 

そんなクロマティ四天王でしたがどうやら重大な問題が発生しているとのことで空き教室で会議を開きました。

 

そう……四天王なのに五人いるということです。

 

伊賀・勝(愛称イガちゃん)

福富・功男(トミー)

百合ヶ丘・新(ユリー)

民山・次郎(タミー)

能智・雅宏(特になし)

 

「……とりあえず着席」

 

リーダー的ポジションの伊賀さんが言うと周りの四天王も席に座る。ちなみに私の分の席は用意されていない為に私は隅っこで立ちっぱなしである。

 

文句の一つも言いたいのですがロープで縛られた上にガムテープを口に貼られてるために物理的に話せれません。尤もここで何か言ってしまえば会議の邪魔をした罪で死刑になるのでそもそも話しませんが……。

 

「どうするんだよイガちゃん……!!確かに四天王が五人いちゃあ話にならねぇ」

 

トミーさんが話を切り出すと伊賀さんが答える。

 

「単純に考えれば一人邪魔なヤツをクビにすればいい……まぁ……それを決めるのは難しい。だが……一つだけ言えることがある」

 

そう言うと伊賀さんが能智さんに指を指した。

 

「お前のメイクが浮いているということだ」

 

「えぇっ!?オレぇ!?」

 

「どう見てもお前だけ明らかに違うぞ能智……」

 

他の人がハードロックに居そうなメイクをしているのに対し能智さんだけ何か……プロレスに居そうなメイク。明らかに浮いています。

 

「ひょっとしてお前、自分だけ目立とうとしてねぇか?」

 

「いや……そんなつもりはなかったんだが……申し訳ねぇ……。だがよ……一言いわせてくれ。オレのメイクが浮いてるとか浮いてねぇとか以前によ」

 

能智さんがメンバー全員の顔を見る。

 

「オレらの存在そのものが学校で浮いてるんじゃねぇかな?イガちゃんどう思うよ」

 

「……まぁそれはさておき……」

 

「オイ!!ほっぽらかしかよ!!」

 

怒る能智さんに伊賀さんが話す。

 

「いいか思い出せ……オレ達はこれまで『不良とロックの融合』という思想のもとでやってきた……確かに今それはちょっと後悔してる部分もある……今さらメイクも落とせねぇし……」

 

淡々と話す伊賀さんに周りの四天王も少し冷静になる。伊賀さんが話を続ける。

 

「だがよ……このスタイルで確固たる存在感をアピールできたのもまた事実だ……。その証拠に今やオレ達は近寄りがたい存在として秀華でも恐れられている」

 

「ちょっと待った……それについては意見がある」

 

トミーが伊賀さんの話に割り込んだ。

 

「この間さ……小耳に挟んだんだが……オレら『近寄りがたい』じゃなくて……『近寄りたくない』……って言われてるらしいんだよね。それってちょっとさ……」

 

ユリーが焦ったような表情を取る。能智もメイクの上から冷や汗を垂らす。

 

「ホントか?」

 

「『近寄りがたい』と『近寄りたくない』じゃえらい違いだぞ!!」

 

「ま……それはさておき」

 

また流されたよ!!

 

あっけらかんと話す伊賀さんに二人が突っ込んだ。

 

「かつてオレらは二年の頂点にいた。それは紛れもない事実……。しかし秀華ではどうだ?完全に遅れを取っちまってかつての威光が見る影もない。そう……コイツのせいでだ!」

 

「むー!?」

 

そう伊賀さんが指を指す。指された方向が私の方ということもあり四天王の人達が私の方を見る。思わず私も後ろを見てみるが後ろは壁で何も無い……私かっ!!

 

マズイ……せっかく影に徹して話が終わるのを待っていたのにまさか私に振られるとは……途中までは大丈夫だと思って油断した!!

 

「そうだ。この後藤のせいでオレら四天王は影が薄くなっちまってる!こんなにキャラが立ってるのに……!」

 

「イガちゃんどうする?せっかく後藤を捕まえてあるんだ……消すか?」

 

「むー!?(け、消す!?)」

 

過去最大でヤバいです……抗議しようにも口にガムテープを貼られてる状態じゃどうしようも有りません。かくなる上は優しく殺してもらえるよう……目で訴えるしかないですね。

 

「むー!」

 

「ほう……こんな絶望的な状況だというのに睨み付けてくるとは……さすが軍団を率いるだけはあるな」

 

伊賀さんの勘違いに違うと唸り声をあげますが私の思いはねじ曲げられ間違った意味で伝わってしまう。

 

「くっくっく……戦意は衰えずか……『ピンクの悪魔』の名に恥じないだけはあるな。だがそれでこそ丁度いい」

 

「丁度いいって何がなんだ?」

 

トミーが伊賀さんに尋ねる。

 

「四天王の追加メンバーにだ」

 

「むー!!(何でだよオイ!!)」

 

「おいおい何でだよただでさえ五人も居るのに更に追加かよ」

 

能智さんが嫌そうな顔をする。

 

「あぁそういえば元の話は四天王なのに五人いるって話だったな……まぁここまで来たら五人だろうが六人だろうがどうでもよくなってきたな」

 

「だがよイガちゃん。確かクロ高に居た時ちょろっと言ってたが、その時はデブにしようかな~って言ってなかったっけ?」

 

「そういえばそうだったな……」

 

伊賀さんが頷く。

 

「昔はどんなグループにも必ずデブが居た。バンドのドラム、野球のキャッチャー……言ってみればデブというのは一つのアクセントとしてなくてはならない存在だった。当時のオレはそんなかつての時代の流れに乗ろうと思っていた」

 

「ちょっといいかなイガちゃん」

 

「何だ能智?」

 

「最近さ、喧嘩していないせいか腰回りに贅肉が付いてきてよ……何か太ってきたな……って」

 

「「「…………」」」

 

伊賀さん以外の三人が顔を合わす。そしてトミーが代表して話した。

 

「お前そこまでして目立ちたいのか……?」

 

「いいか能智。オレの言っているデブはそんなもんじゃない」

 

伊賀さんが話に割り込む。

 

「えっ?じゃあどんなデブなんだよ」

 

遠くから見てもはっきりデブと分かるくらいのデブだ!

 

そう言ってどこから取り出したのか伊賀さんはフリップに絵を描いて説明をした。

 

そこには四人の棒人間と一人のデブが描かれていた。

 

「なるほど……確かに一人ぐらいデブが居るというのもアクセントになるかも……」

 

「区別もしやすいしな」

 

「良いアイデアだと思うが何で止めたんだ?」

 

「欠点に気が付いたからだ」

 

「欠点?」

 

「デブは汗をかきやすくてメイクのノリが悪い……メイクはオレらのポリシーだからな……考慮しない訳にはいかない」

 

「なるほど……それで女路線に舵を切ったという訳か」

 

「そんな感じだ」

 

「確かに有る意味デブを入れるよりかは良いかも知れねぇ」

 

能智が賛同する。タミーも頷いた。ヤメテ!

 

「だがこの後藤というのは性別は女とはいえ恐ろしい見た目だ。四天王に相応しくないと思うが……」

 

否定はしないが恐ろしい言うな!

 

「トミーお前な……今の時代、容姿を理由に選別するのは間違っている。大体オレらはメイクするんだから容姿なんて関係ないだろ」

 

伊賀さんは腕を組む。ん?ということはまさか私の顔も?

 

「そもそもクロマティの時、二年にはほとんど女子が居なかったから採用しなかった……ただそれだけの話よ」

 

「そうだったのか……」

 

「だいたいオレは今まで四天王のアンバランスさに憂いていた。戦隊ヒーローでさえ女性がレギュラーな世の中なんだ……四天王に女をいれてもいいじゃないか。色も丁度ピンクだし」

 

コイツまさか見分けの良さで判断してんのか!?

 

「そんな訳だ……これより会議を始める。議題は後藤のフェイスペイントをどうするかについてだ!」

 

……は?私の顔に皆さんと同じ様なメイクを……イヤだァ~!そんなことしちゃったら周りから人が消えてしまうじゃないですか!

 

……いや元々居ないか……。デメリット無しで草生える。

 

そう絶望しているとトミーさんが話し始めた。

 

「そうだイガちゃん。メイクについて訊きたいことが有ったんだ」

 

「ん?どうした?」

 

「この際言うんだけどさ正直メイクを付けてると色々不便なんだよ……バイトも受からないし」

 

「確かにそうだな……」

 

能智さんが同意するとタミーも頷いた。

 

「そこでなんだが家ではメイクを落としたいんだが……」

 

そうトミーさんが言うと能智さんやユリーさんが驚いた表情をする。

 

「トミーお前……!」

 

「まさか家でもそのメイクのままなのか!?」

 

えっ!?皆メイクしてないの?」

 

「当たり前だろうが!「何を言っているお前ら。ウチは24時間このメイクでやるのがポリシーだ」……マジかよ初耳だよ!

 

リーダーはため息をついた。

 

「まったく……遠足の時に言われなかったのか?家に帰るまでが遠足だと」

 

「……じゃあ四天王も……」

 

「あぁ。家に帰るまでが四天王だ。まぁオレくらいにもなると風呂と寝る時以外はメイクを付けてるがな。……さて」

 

伊賀さんが私を見る。こっちみんな。

 

「後藤よ……すまなかったな。話が脱線してしまった。さて肝心のメイクだがスカルフェイスというのはいかがk」

そうはさせないわ!!

 

絶対絶命。拒否権の無い伊賀さんの話を遮って会議室に入ってきたのは陽キャオブ陽キャ。喜多さんだった。

 

「後藤さんごめんなさい。探すのに手間取ってしまって……もう大丈夫よ!

 

そう喜多さんはキターン!と私に親指を立てた。

これは期待しても良いのか!?いや期待するしかない!!

あと出来れば猿ぐつわを外して!

 

「確かお前は後藤の所属しているバンドの……」

 

「結束バンドのギターボーカル……喜多郁代よ!話はざっくりと聴いたわ!」キターン!

 

「ほう……ならば話は早い。さっさと立ち去れ……これから後藤は四天王として活動をする。結束バンドとかいうチンケなバンドから脱退してな」

 

「そんな勝手許さないわ!」

 

喜多さんの怒鳴る声に伊賀さんは声を低くする。

 

「小娘……あまり調子に乗るなよ……」

 

伊賀さんがさっきの抜けた調子と打って変わって語気を強くした。喧嘩に慣れていない私でも分かる程の殺気に喜多さんは言葉が出てこなくなる。

 

「ふん…私生活までワルとロックを両立し極めようとしているオレらからすればお前のバンドはガキのお遊びみたいなものだ」

 

「…………」

 

「お前も後藤の演奏と噂を聞いたなら分かるだろう。友達同士の仲良しバンドには勿体ないって」

 

「くっ……!」

 

喜多さんは顔から汗を流し伊賀さんを睨み付けている。というか伊賀さん私の演奏知ってたのか……。まぁ学校で弾いてれば知ってるか。

 

「まっこれからは身の丈に合ったバンドをするんだな」

 

そう言って伊賀さんは自分の席に戻ろうとする。

 

私達の演奏知らないくせに!!

 

「今……何て言った?」

 

喜多さんもう止めて!殺されちゃう!!

 

秀華祭で貴方達よりも上手く演奏してやるって言ってるのよ!!

 

「ほう……こりゃ面白いジョークだな」

 

顔は笑っているが明らかに目は笑ってない伊賀さんに他の四天王の人達はどこか怯えた表情をする。明らかに伊賀さんは切れている。

 

「そこまで啖呵を切られたんじゃあオレらも引けねぇ。ならば秀華祭でオレらよりも上手い演奏を聴かせてもらおうじゃないか!」

 

えっ!!秀華祭で上手い演奏を!?

 

何を驚いているんだこの赤陽キャ!さっきお前が言ってただろ!?

 

「そうだ!秀華祭でより観客を盛り上げさせたほうが勝利だ!後藤のことは二度と勧誘しない。まぁ無理だろうがな」

 

不遜な態度で指を指す伊賀さんに喜多さんは腕を組んで受けてたつと強気な姿勢で頷く。

 

「せいぜい後藤との最後の日々を楽しむんだな」

その後、私は解放された訳だが問題は解決していない。この赤陽キャの勝手な言い分で決まってしまった提案は無茶苦茶だ。さすがの私も一言抗議しないと気が済まない。

 

「むー!(き、喜多さん!)」

 

「怒らないで!自分でもバカだったって思ってる……」

 

しゅんと目を落とす喜多さんに私はハッとする。もし私一人では交渉すら出来なかっただろうことを。

 

会議室から解放されても尚、喜多さんの足は震えていた。私でもちょっぴり怖かったのだから喜多さんは尚更のことだろう。

 

そんな喜多さんが恐怖に苦しみ震えながらも伊賀さんに立ち向かって私を守ろうとしてくれた。

 

ならば私は応えるしかない。喜多さんの献身に報いる為に!私の居場所を守るためにも!

 

「むー(喜多さん)」

 

「後藤さん……」

 

私の差し出した手を喜多さんが握る。皮膚が固くなってる。良い手だ。

 

「むー(ま、負けるわけにはいきませんね。き、共同戦線と洒落こみましょう)」

 

「頑張りましょう後藤さん!……ところで一つ良いかしら……?」

 

「むー?(アッハイ……なんでしょう?)」

 

「手が自由になったわけだしそろそろ猿ぐつわを外して欲しいわ。何を言ってるのか良く分からなくて……」

 

「むー!?(今までの会話通じて無かった!?)」

 

猿ぐつわを取り外し私は喜多さんに改めて自分の想いを告げた。正直どうなるのかは分からない。だけど……。

 

私たちは是が非でも四天王に勝たなければなりません。難しい道ですが覚悟を決めて頑張らなければなりません!

その後、私達は虹夏ちゃんやリョウさんにも事情を話した。最初、私は友達に余計な重荷は背負わしたくないと言いたくなかった。

 

しかし、喜多さんの考えは違った。

 

「友達だからこそ秘密にしたくないの」

 

その一言で私は二人に伝えることにした。

 

虹夏ちゃんは苦笑い。リョウさんは四天王に興味津々と別々の反応をしたがともかく秀華祭に向けて練習を頑張るという考えは一致した。

 

「そういえばぼっちちゃん。その四天王って人達は演奏上手いの?」

 

「アッハイ……上手です」

 

「虹夏が知らないのは無理ないかもしれない」

 

リョウさんが頷きながら近づく。どうやら知っているようだ。

 

「四天王は主にハードロックで活躍している。私達とはジャンルが少し違う。それに彼らはあまりライブをしない。皆の前で演奏するのはもっぱら動画配信だからな」

 

「高校生でありながら登録者数100万人を超えて海外にまで評判が届く大人顔負けの実力者ですね」

 

喜多さんがネットで仕入れた情報を話す。

 

「げぇっ!?そんなのが相手になるのか~」

 

虹夏ちゃんが天を仰ぐ。

 

「というかそんな所から勧誘されるなんてぼっち、中々やるんだな」

 

リョウさんが私に視線を向ける。その目からはこっちに居るより四天王に移った方が良いと言ってるかのようです。しかし……。

 

「わ、私は皆さんとロックがしたいんです!し、四天王の方には行きません!」

 

「そこまでは言ってないけど……言いたいことは分かったよ」

 

「じゃあぼっちちゃんがやる気出してるみたいだし……やりますか!」

 

こうして私達は時間の許す限りを練習につぎ込んだ。

 

そして迎えた秀華祭当日。私はというと……。

 

更衣室の中に居た。

 

クラスの催し物のこと……すっかり忘れてた……

 

私は渡されたメイド服に恐怖。思わず手が震える。どうしよう……単純な恐怖だけなら四天王以上だ……。吐きそう。

 

逃げたしたい……。こんなミニスカ履きたくないんじゃぁ~。私の太ももに需要なんて無いやろ!

 

だけどここで逃げ出す=秀華祭に出ない。つまり無条件で私は四天王入りが確定してしまう。

 

脳裏に結束バンドの皆の顔がちらつく。

 

そうだ。もはや私の想いは皆の想いなんだ!こんなメイド服ごときで止まることなんて出来ないんだ!

 

意を決して私はメイド服に着替えた。

 

 




不意討ちとはいえあの後藤を生け捕りにした四天王イガちゃんは劇中最強キャラという設定にしています。後藤でも勝てません。

覆面を被り後藤に成り代わった女の名前。

  • マスクド後藤
  • ジェット後藤
  • 後藤ザグレート
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。