新しい環境に怖がっていた私を励まし見送ってくれたお母さん、お父さん、ふたり、ジミヘン。入学式を終えて私は自分のクラスにいるのですが、環境が違いすぎて早速ながら中退したくなりました。
周りを見ればドラマや漫画でしか見たことない不良ばかり。クロマティ高校は最近共学になったので私のように女子もいるのですが、流石クロマティ高校に入学するだけあって猛者しかいません。
うぅ……どこでもバンドできるって思ってたのに……手が震えてギターピックが上手く持てません。
「あっ」
そう思っていたら早速ギターピックを落としてしまいました。やってしまった……早く拾わないと目を付けられて殺される。しかし、ギターピックは私の手に戻りませんでした。私が持つよりも早く隣の席の不良が拾っていたからです。
「あ、ありがとうございます」
意外と優しい人もいるんだなと思いながら受け取ろうとしましたが、その不良はギターピックを口に入れて食べてしまいました。
「なっ!?」
不良がニヤリと笑っています。なんということでしょう……クロマティの生徒はヤバいと思っていましたがここまでヤバいとは思いもよりませんでした。しかしこのまま呆然とすることもできません。このままにしてれば次の標的は私となりこの小説はスプラッタ作品となってしまうでしょう。
この飢えた不良の腹を満たす為にも私はギターケースから予備のギターピック(徳用16枚セット)を取り出し、不良の前に置いておきました。すると不良は私を睨み付けた後、ギターピックを見つめ、手に取り、全てを口の中に放り込んだのです。
バリバリと音を立てて頬張る不良に私は改めてクロマティ高校に恐怖を覚えました。(食べ終えた不良は私に何もせず席に戻って突っ伏し寝てしまいました)
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担任の先生がやって来るとクラスの代表を決めるように言って、そのまま職員室に戻っていきました。この場合、普通は先生の立ち会いで行われそうなものですがクロマティだからということにして飲み込むことにしました。
「よしクラスで一番強い奴を決めるか」
林田と呼ばれる特徴的なモヒカンの男子が言い出すと周りの不良達も賛同の声を上げます。おかしい。クラス代表を決めるはずが彼らの中では最強を決める戦いに変換されたようです。いや、正確に言えば歓声を上げているのは男子だけでなく女子も上げています。元気ですね。
「落ち着けお前ら。先公が言うには今日中に決めねぇといけねぇ。クラス全員で戦っていたらとても間に合わない」
「じゃあどうするんだ林田」
「そこで過去の実績に基づいて四人の男女をピックアップしておいた。それがこの四人だ」
そして名前を呼ばれた方々が中央に集まりました。岩石を思わせるような屈強な男子。しなやかさを感じさせる金髪の女子。進学校にいそうな真面目に見える男子。髪の毛がボサボサで根暗そうな女子(私)……私!?
「ちょっと待ってください……」
真面目そうな男子(神山)が声をあげる。私も声を上げようと思ったが人前で声は出せれないので神山さんの後ろに立ち疑問を持っているように頷いて見せる。
「何で僕がノミネートされているんですか……」
「バカ野郎コッチのセリフだ!!さっさと下りねぇとぶち殺すぞ!!」
不良の怒声に周りの人たちも同調している。どうやら私達がここに立っていることに不満を覚えているようです。しかしこれは助かりました。このままでは最弱ナメクジの私が殺されるのは火を見るよりも明らか。ここは大人しく下がっておきましょう。
「神山と後藤を推薦したのは俺だ」
「林田!?」
「俺らはワルとして今まで生きてきた。あらゆるワルを見ても恐怖を感じなくなっちまった。だがコイツらを見ろ!クロマティにいながら普通そうな見た目をしている。逆に怖くないか?」
「林田、無理して言ってないか?」
「例えばライオンの群れの中に一匹だけ……この場合は二匹だが……元気に暮らすウサギがいたとしよう。そのウサギはスゲーウサギだと思わなねーか?」
「なるほど!!それはスゲーウサギだ!!」
周りの不良達が頷き始める。なんだか雲行きが怪しくなってきました。
「つまりだ……俺はお前らの中に棲む悪魔が見てえんだよ!!」
「よく分からないのですが……」
そんな訳で神山さんの抗議も空しく私達四人で選ぶことになりました。そしてその選別方法なんですが。
「……で肝心の『最強』はどうやって決めるんだ?」
「やっぱ喧嘩だろ!」
「むむむむむりです出来ません!」
ようやく出せれた拒絶の言葉。しかし誰も耳を貸してくれません。声が小さかったのでしょうか。あるいは聞く気が無いのでしょうか誰も見ていません。いやむしろコレは逃げるチャンスなのでは?
私はピンクのツチノコになりコッソリ逃げようとしましたが誰かの足が前に有り通せんぼされています。
「どこへ行くつもりだい」
顔を上げれば先ほど中央にいた金髪の女子が威圧してきます。
「あ、あ、あ、あ、あ、あ」
終わりました。せめて優しく殺してください……。そして目の前が暗転し私は意識を手放しました。
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次に目を覚ますと知らない天井が目に映りました。
「ここは?」
「目が覚めたようだね。ここは保健室だよ」
顔を横に向けると顔色が悪い神山さんが椅子に座っていました。
「心配したよ。急に倒れたと思ったら気絶していたからさ」
「は、運んでくれたんですか?あありがとうございます」
どうやら私はあの騒ぎで気絶をしてしまったらしい。すぐに意識を失ってリタイアしたお陰か体はどこも痛くない。なんとか殴られずに済んだようだ。あっそういえば……。
「そ、そういえばクラスの代表は誰に決まったんですか?」
「クラスの代表?あぁそれは僕に決まったよ」
どうやら神山さんは見た目と違って結構やる人らしい。そんな人が真横に居ると思うと少し怖くなってくる。
「そ、そうなんですか……す、スゴいですね」
「いやいや、後藤さんに比べれば大したものじゃないよ!」
「え?」
「何てったって後藤さんは一年生全体の代表、番長になったんだから!!」
(え"え"え"え"え")
私は声にもならない叫び声を上げました。私が番長?どうして?困惑し顔がムンクの絵のようになっていると保健室の扉が勢いよく開かれました。そこから特徴的なモヒカンの男子林田さんが顔を出してきました。
「おーい神山。後藤は目を覚ましたか?」
「あぁ。林田君。目を覚ましたよ」
「おい後藤。大丈夫そうか?」
心配そうに林田さんは私に声を掛けてきました。神山さんもそうですが不良だからといって根元まで腐ってる人ばかりじゃないんですね。まぁそんなことはどうでも良いのです。私は勇気を出して訊ねます。
「だだ大丈夫です。け、けど、わ私が番長って、どういうことですか?」
「何って……勝ったから番長ってなったんだよ」
「林田君。後藤さんは番長になった経緯が知りたいんじゃない?」
そうですと私は首を頷く。
「そうなのか。まぁ乱戦だったしな」
乱戦!?
「大した理由じゃないけどな。騒ぎを聞き付けて周りのクラスもやって来てな。喧嘩になったんだよ」
ふむふむ。それで?
「それで後藤が……うぅ」
「大丈夫かい林田君」
頭を押さえる林田さんに、心配そうに声をかける神山さん。それで私は一体何をしたんですか?
「すまねぇ……俺の口からじゃとても……」
「あれは仕方ないよ林田君……まぁなんだかんだ有って後藤さんが番長になった……ということで納得してほしい」
そんなんじゃ納得出来ないよ!?なんだかんだの所が聞きたいの!何をしたの私は!?
「まぁそんなことよりクラスの皆が待ってるぜ!俺らの番長、後藤ひとりを!!」
何も分からず呆然としている私を他所に、手を取りクラスへと連れていかれる。クラスの皆は私の登場で大歓声を上げた。
「ご・と・う!!」
「ご・と・う!!」
「ご・と・う!!」
そうして私はクラスの中央に動かされ胴上げをされる。私は確かに人気者になりたかった!チヤホヤもされたかった!だけどこんな形で私の名前のシュプレヒコールは聞きたくなかった!!
「ご・と・う!!」
「ご・と・う!!」
「ご・と・う!!」
あ"あ"あ"止めろぉ!!私は……私は何をしたんだぁ!!?
秀華高校に出させたいな……文化祭に出させたいな……
初めてのアンケートにちょっとワクワクしている自分がいます。
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後藤ひとりを停学処分にさせたい
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結束バンドを停学処分にさせたい
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後藤ひとりを留置場に送りたい
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結束バンドを留置場に送りたい
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原作通り