魁!!ぼっち・ざ・ろっく!   作:レフリー

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二期発表されたので遅ればせながら記念に投稿します


#20 プロジェクトG:始動篇

平日の午後。授業を終えた後藤は下北沢高校の校門の前にいた。全身がピンクの後藤は下校時間ということもあり、帰る下高生から注目を浴びていた。

 

「うぅ……なんで私がこんな面倒なことを……」

 

顔すらピンクに染めつつ後藤は昼の休み時間、いつもの階段の裏側で昼食を食べていた時に黒田に言われたことを思い出す。

 

 

~回想~

 

『後藤さん。すいませんよろしいでしょうか』

 

『よ、よろしくありません……』

 

『実はですね……』

 

『あ、聞いてくれないパターンなんですね。ままさか……軍団絡みですか……?』

 

『はい。実は今日なんですが下高の奴らとミーティングが有りまして……普段は俺が行っているんですが代わりに後藤さんが行って欲しいんです』

 

今日はバイトや結束バンドの練習もないオフの日。動画投稿の為に家に帰りたい後藤はテキトーな理由を付けて断ろうとする。

 

『な、なぜ私が行かないといけないんですか……そもそも今日はSTARRYのバイトが……』

 

『有りませんよね。伊地知の姐さんに確認は取っています』

 

『なっ……⁉』

 

なぜ連絡先を知っているのか。というか姐さんってなんだよと思った後藤は聞こうと思ったが黒田は先に答える。

 

『いざという時……例えば後藤さんがバイト中で連絡取れない時とかに連絡とれるようにロインの交換をしただけです。姐さん呼びは後藤さんがお世話になってる人なんですから一応敬称を付けただけです』

 

『そ、そうですか……ところでどうして黒田さんは行けないんですか』

 

『実は今、No.3の奴が軍団を割ろうとしているなんて話を聞きましてね。ちょっとソイツに話を訊いとこうと思いまして……』

 

『そ、そうですか……』

 

『そういう訳で今から行ってくるんでお願いします!では!』

 

『あっ!ちょっ‼』

 

後藤の制止の声を聞かず黒田は立ち去った。

~回想終わり~

 

 

「うぅ……どうして私がこんな目に……」

 

「あれ?ぼっちじゃん。どうしたこんな所で」

 

「リ、リョウさん⁉な、なんで……こんな所に?」

 

声を掛けられたので後藤が顔を向けるとそこには青髪と性格に反比例する美貌を兼ね揃えた美少女。山田リョウがそこに居た。山田が片手を少し挙げ後藤にワケを尋ねる。後藤はそれに答えた。

 

「……なるほどね。じゃあ私と話せば良いよ。私はここのNo.2だし……」

 

「そ、そうだったんですね」

 

後藤は世界が思いのほか狭いことを改めて思い知るがふとある疑問を浮かべる。

 

「と、ところで神山さんは?た、たしか神山さんがここのNo.1だったと思うのですが……」

 

「神山は補習だよ」

 

後藤は驚いた。

 

「あ、あの神山さんが補習⁉し進学校とは聞いていましたが……難しいんですね」

 

「いや、そうじゃないよ。神山の頭脳はピカイチでさ。先生の代わりに補習授業を受け持ってるんだ。これが分かりやすいくて良い先生をやってるよ」

 

「そ、そうなんですね……スゴいですね」

 

「あぁその補習授業を受けてる私が言っているんだ。神山はスゴいよ。あぁそうそう。今回のミーティングなんだけど手短にしよう。神山に早く終わらせて補習に戻ってくるよう言われてるからさ」

 

「わ、分かりました。と、ところでミーティングとは一体なにを話せば良いんでしょうか?は初めてなのでよく分からないんです」

 

「別に大した話をするわけじゃないよ。近況報告とか他校の動きとか意見交換とか」

 

「そ、それで良いんですね……というかそれならロインじゃ駄目なんですか?て、手間が掛かると思うのですが……」

 

「あ~黒田の奴はスマホ持って無いから。たぶんそれが原因だと思う。たぶん」

 

「な、なるほど……じゃあ早速話しますか……私は特に軍団とか他校に興味ないんで話すこと有りませんけど」

 

「あぁ無い?それならそれで良いよ。私も一つだけでさ」

 

「ひ、一つ?」

 

「うん。最近ここらで『悪魔コンビ』とか言うのが暴れてるらしいから注意しよう……ただそんだけ」

 

「あ、悪魔コンビ……?ど、どういった特徴なんですか?」

 

「たしか二人組で一人がグラサンのオールバックで、もう一人がスキンヘッドで……」

 

それはオレらの事か……?

 

な……悪魔コンビ⁉

 

……え?こ、この人達が悪魔コンビなんですか?」

 

「うん間違いない……この間ウチの一年の不良がボコられてるのを私は遠目で目撃している!ヤバいやつらだ‼」

 

「ククク……下高のNo.2がいるとは手間が省けるぜ………………あれ?後藤さん……?」

 

後藤は山田の後ろで頭を抱えた。

 

「ちちょっとこっちへ!」

 

後藤は二人の腕を掴み山田と距離を取らせる。

 

「な、なんでここにいるんですか⁉と、時山さん!お、大下さん!」

 

彼らは黒田の元舎弟の時山五郎と大下次郎。グラサンのオールバックが時山でスキンヘッドが大下である。

 

「なんでって……まさか後藤さん……忘れてるんじゃないんですか?」

 

「…………え?な、何がですか?」

 

「茨城県を制圧したら返す刀で下北を制圧しろって後藤さんが命令したんじゃないですか‼」

 

「シーッこ声が大きいです……リ、リョウさんに聞こえます……」

 

後藤は思う──そういえばすっかり忘れていた……とにかく距離を取りたかったから遠くに行かせたんでした。まさかこの二人が悪魔コンビとは……命令した時はマッスルブラザーズと名乗っていたハズ。まさかこんな形で再開するとは……不覚‼

 

と、後悔すると同時にふと疑問に思ったことを尋ねる。

 

「と、というかココにいるってことはホントに二人で茨城を制圧したんですか?」

 

「はい。証拠として手土産に持ってきた学園艦(戦車付き)を後で渡しますね」

 

「アッハイ……」

 

──いらねぇーと後藤は口から出そうになったが堪えることができた。それは後藤の精神が強い訳ではなく、問題が後ろに居たからだ。

 

「ねぇ……」

 

二人と話していた後藤の後ろで山田が話し掛ける。二人と親しげに話している様に見える後藤に山田は訝しげな眼差しを向ける。そんな視線に後藤は額に汗が浮かびつつも二人に距離を取らせる様に手で押した。

 

「ぼっち……もしかして知り合い?」

 

「いいいいえ違いますよ‼そそんなワケ無いじゃないですか!」

 

後藤の強めの否定の言葉に山田は笑顔になる。

 

「そう。なら良いんだ。ただ……」

 

山田は真顔になり後藤の顔に自らの顔を近づける。何も知らない、下校している下高の生徒が黄色い悲鳴を上げる。傍から見ればキスをしているようにも見えて百合を想像させる光景だが山田の隠れぬ、というより隠すつもりの無い殺気に後藤は緊張のあまり背中を汗で濡らす。

 

「もしも、ぼっちの言葉がウソならぼっちの家にゴリラ三頭を送り込むことになるから覚悟してね」

 

「じ、冗談キツイですよリョウさん……勘弁してください。そ、それよりも!そ、そろそろ補習に戻った方が良いんじゃないんですか?り、留年なんかしたら虹夏ちゃんに殺されますよ。こ、この二人は私に任して戻って下さい」

 

「分かったよ……ぼっちは優しいね。ありがとう。ただ無茶はしないでね。何か有ったらすぐにロインして。ゴリラ二頭を援軍として寄越すから‼」

 

そう言うと山田は校舎へと戻っていった。山田が離れたことにより悪魔コンビが後藤におずおずと近づいてきた。

 

「一体なんなんですか?話の内容が全然見えないんスけど」

 

「わ、分かりました……今から説明します」

 

後藤が言い訳を考えていると思考の外から声を掛けてくる女が居た。黄色の髪をした、良い香りのする女子。伊地知虹夏である。

 

「やぁぼっちちゃん!」

 

「アッハイ……どうも……」

 

面倒な時によくも来やがったな、そう考えていると大下が虹夏を睨み付けながら後藤に訴える。

 

「なんですかこの女は⁉こいつまで『ぼっちちゃん』とか言ってますよ!後藤軍団の恐ろしさを分かってねぇのか⁉」

 

「つーか……まさかあの女と仲良くつるんでたりしてませんよね?」

 

「そ、そんなわけありませんよ……」

 

ウソである。本当は友達でなんなら同じバンドのメンバーでもある。しかし本当のことを伝えるとややこしくなることは火を見るよりも明らかだった。

 

故に後藤は頬に一粒の汗を浮かばせつつ二人を見据える。

 

──こうなればいつも通り……テキトーなこと言ってゴマカすしかありません‼

 

「よ、よく聞いて下さい!」

 

「「は……はい!」」

 

後藤が珍しく大声(当社比)を上げたのを聞いて二人は無意識に姿勢を正し傾聴する。

 

「あ、あれはとても危険な女なんです!こ、ここだけの話……アイツは既に二人殺してます

 

ええ!マジ⁉

 

「でも普通の女子高生にしか見えないんスけど……」

 

大下はとても驚いたが時山は慌てなかった。元々冷静沈着な性格ということもあったのだがあまりにも突拍子の無い話であったために逆に冷静でいられた。

 

「い、良いですか?ヤ、ヤバい人ほど普通の顔をしているんです……いわゆる擬態というヤツで。ほ、ほら詐欺師ほどスーツを着て身なりが良いと言うじゃないですか」

 

「さすが後藤さん。そんなヤベー女と対等に付き合うとは……」

 

「ア、アレは私に一目置いてます……お互いに牽制し合って手が出せない状態なんです。そ、そんなわけで二人も私の指示が有るまでは下高に手を出さないで下さい……特にあの虹夏という女には近づかないで下さい……ヤケドしますので‼

 

「「……はい」」

 

二人は頷くのを見て、後藤はひとまず帰路に着くことにした。しかし、残った二人は納得していなかった。バレないよう虹夏の後に付いていき喫茶店へと入っていった。

 

二人は監視がしやすいように虹夏の斜め後ろの席に座り観察する。機会が訪れれば襲撃を掛けることにした。

 

「後藤さんには止められたが……やはり放ってはおけない」

 

「ああ。というか俺はアイツがそんなスゲーヤツとは思えねぇ……」

 

時山と大下が話していると虹夏に動きが有ったので注視する。虹夏はアイスコーヒーを飲むために使った、くしゃくしゃになったストローの袋に水滴を掛ける。

 

するとくしゃくしゃになった袋が伸びてクニュクニュと動き出す。

 

「あ、あれはなんだ!」

 

「まるでストローの袋が生き物のようだ!」

 

二人はテーブルに備え付けになっていたストローの袋を取り出すと中身を近くに置き袋をくしゃくしゃにした。

 

「ちょっと俺らもやってみるか」

 

「そうだな。敵を知ることこそ勝利への一歩だからな。……え~とまずはストローを……」

 

時山が手順の確認の為に虹夏の方を見ると飲み干されたコップが置かれてるだけでそこには誰も座っていなかった。

 

「しまった!目を離した隙に逃げられちまった!」

 

「いや!まだ近くにいる筈だ!すぐ追いかけるぞ‼」

 

二人が席を立とうとした時、店員がトレーに商品を乗せてやって来た。

 

「お待たせしました。ホットコーヒー二つです」

 

「い、いかん。コーヒーが来てしまった!」

 

「仕方ない……とりあえず飲んでから行くぞ‼」

 

「おう!」

 

二人はコーヒーを急いで飲み干そうとした。しかし焦っていたせいか二人は忘れていた。そのコーヒーがホットであることを。

 

「「あちッ‼」」

 

悶絶した二人はしばらく動くことが出来ず、虹夏を追いかけることが出来なかった。翌日二人は口元を押さえながら秀華高校で後藤に報告した。

 

「「ヤケドしました……」」

 

「え……?そ、そうですか……」

 

後藤は冷や汗を流しながら返事をするしか出来なかった。

 

 




長くなるので前後編に分けます

覆面を被り後藤に成り代わった女の名前。

  • マスクド後藤
  • ジェット後藤
  • 後藤ザグレート
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