関係有りませんがオリジナル作品ってムズいっすね。
放課後。悪魔コンビは悪態をつきながら帰路に就いていた。
「クソッ‼このオレ様がなぜ虹夏という女なんぞに煮え湯を飲まされなきゃならねぇんだ‼」
「まったくだな……俺たち『悪魔コンビ』を手玉に取るなんざいい度胸してやがるぜ」
「もう我慢ならねぇ!今度会ったら絶対に殺すぜオレは‼」
「落ち着け……後藤さんも言ってたろーが。アイツはタダ者じゃねーってよ……迂闊に動くな」
「けどオレは無性に腹が立つんだ‼」
「お前らしくねぇな……腹でも減ってるんじゃねぇのか?軽くメシでも食いながら話そう」
時山は大下の肩に手を置きながら近くの中華料理屋に連れていった。この店は最近オープンしたばかりで餃子が人気。二人が店に入った時も中は大勢の客で賑わっていた。
「いらっしゃいませ。何名様でしょうか?」
「二人だ。餃子二人前をくれ」
店員が店内の確認をすると申し訳なさそうな顔をした。
「すいません。ただいま大変混みあってまして……ご相席になりますがよろしいですか?」
「あぁ?仕方ねーな。どこの席だ?」
「こちらです」
「どうぞ」
その席には二人の因縁の敵。伊地知虹夏が座っていた。二人は思わず驚くが大下はすぐに顔を紅潮させ殴り掛かろうとするが時山が大下の前に手を出し制止する。
「そうやってすぐカッとなるのがお前の悪いクセだ。何度も言わせるな。迂闊に手を出せばヤツの思う壺だ。……いいか?虹夏とはいずれケリをつける。だが、今はその時じゃねぇ。楽しみは後に取っておくもんだ」
──それよりもだ、と時山は虹夏に目線を向ける。大下に殴られそうになったのだが虹夏は気づかずに黙々と餃子を食べている。まるで悪魔コンビよりも餃子で頭が一杯という感じだ。
「これはある意味でオレらへの挑戦だ。どっちが器がでかいか……先に動いた方が負けってことよ。分かるか相棒?」
「すまねぇ……ついオレとしたことが……」
「餃子二丁お待たせしました!」
「餃子も来たことだし……まぁ落ち着いてメシでも食おうや」
時山と大下は餃子を箸で掴み、醤油を付けて食べる。その時だった。時山の脳内に衝撃が走る。箸を置いた時山は思った。
──熱い……‼
冷や汗を流す時山に大下が声を掛ける。
「ん……どうした相棒?顔色悪いぞ」
「……いや別に」
と何もなさげな返答をするが内心では頭を抱えたくなった。──なんだこれスッゴい熱い……「落ち着いて食え」なんて言ったけどこんな熱いの食えねぇぞ──時山の額に流れる汗が冷や汗へと変わる。
周りに悟られぬように時山は正面と横を見る。二人は黙々と餃子を食べている。故に時山は焦った。この雰囲気で「ギョーザ熱くない?」なんて断じて言えなかった。
時山は一呼吸入れてもう一度餃子を掴む。気のせいだったと信じたかった。熱いのは表面だけで中身はそれほどでも無いと信じたかった。
──サクッ。パリパリの餃子の熱い皮を噛むと中からは肉汁が溢れた。いや──やっぱり熱い‼小刻みに時山は揺れた。そんな中で大下が時山に声を掛ける。
「なぁ相棒。日本征服の件なんだがやはりオレは時間を掛けすぎねぇ方がいいと思うぜ。時間を掛けりゃそれだけ反乱分子が増えちまう」
「あ……ああ、そうだな……」
時山は相棒の話に相づちを打つが餃子が熱すぎて何を言ってるのか理解出来てなかった。しかしここで時山はあることに気づく。なぜコイツらは大丈夫なのかと。いくらオレの餃子が熱くても周りと比べてそんなに差はない筈だと。
もしかしたらどこかに食べやすくする秘密が──そう二人を観察していると虹夏と大下は小皿に乗せた餃子に赤い液体を掛けていた。
あッ……‼ら……ラー油だ‼
二人は卓上調味料を餃子に掛けてから食していた。
時山はほくそ笑む。──なるほど……ラー油で餃子の熱を逃がしていたのか……なるほど種さえ分かればこっちの物だ。
二人の真似をして時山も餃子にラー油を掛ける。勝利を確信した時山は額に青筋を浮かべながら再び餃子を噛む。
……って熱い上に辛い‼
あまりの熱さで冷静な判断力を失った時山の額や頬には汗が滝のように流れている。それが冷や汗なのかカプサイシンのせいなのか本人ですら分かっていなかった。
口の中の辛さを静めようと水を求めて時山はテーブルの上を見渡すが水はおろかコップも存在してない。店が混雑していたせいで店員が忘れてしまっていたのだ。
せめてものプライドで「熱いから」ではなく「ノドが渇いた」ことにして店員にそれとなく気づかせるように時山は喉を押さえる。
「あ~ノドが渇いたぜ~ココの店員は気が利かねぇのかオイ⁉」
「す、すいません!今お持ちします!」
「分かりゃいいんださっさと出せ」
配膳をしていた店員が急いで厨房に行き、戻ってくる。
「ヘイお待ち!」
その湯飲みからは湯気が立っていた。よりにもよってホットのお茶を提供された時山は愕然とし額に手の平を乗せた。
次の日
時山と大下が道を歩きながら話し合っていた。
「日本征服にはもう少し兵隊を集めねぇとだが……どうする?昨日の店で餃子でも食いながら話するか?」
「……いや……今日はハンバーガーにしよう」
少しやつれた時山は別の店を提案する。先日の一件でしばらくは中華は食べたくなかった。そんな時だった。声を掛けられた。
「ねぇ」
「ん?」
「昨日はどうも……」
声を掛けたのは昨日の中華料理屋で相席だった黄色の髪の憎き敵。伊地知虹夏だった。
「お、お前は⁉」
「キミ達に話が有るんだけど……ちょっと顔を貸してくれない?」
「上等だ!一体なんの用だ⁉」
突然の提案に驚く二人だったが千載一遇の好機だと感じた。後藤からは手を出すなと言われていたが向こうが手を出して来たなら話は別。二人は虹夏に連れられ誰も来ない廃倉庫へと向かった。
廃倉庫に着き、周りに誰もいないことを確認する虹夏に二人は身構える。そんな二人の前で虹夏が口を開く。
「昨日の餃子って熱くなかった?」
「え?お前も⁉熱かったよな~⁉」
「………………」
絶句する時山を尻目に二人は話す。餃子が熱いという共通の話題があるせいか二人の会話は和やかな物で、最初は会話に入らなかった時山も無言でいるのが辛くなったので段々と会話に入りキツかった思い出(熱い餃子)が笑い話と変わっていく。
終盤になると学校のことや友達のことなど喧嘩とはまったく関係ない話をして盛り上がった三人は最終的に連絡先を交換し笑顔で解散した。
一人帰る中で時山は短く息をつき周りを歩く通行人にも聴こえぬように呟く。
「……じゃあその場で言えよ……」
口の中の火傷に思いを馳せながら時山は帰途についた。
ぼざろ作品なのに後藤がぜんぜん出てこない話でした。
覆面を被り後藤に成り代わった女の名前。
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マスクド後藤
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ジェット後藤
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後藤ザグレート