場面的にはアニメ第一話の前日譚的な感じです
秀華高校でも後藤を番長にさせたかったのでエンジェル伝説要素をぶちこんでおきます。黒田は犠牲になったのだ……犠牲(後藤)の犠牲にな……。
隕石によって文字通り消滅したクロマティ高校。今まで培ってきた最悪の評判により再建される話は微塵も無く廃校が決定。そして在学していた生徒達はそれぞれの学力に則って近隣の高校に転校されることとなりました。
そうして私は転入試験に合格し、元々の第一志望であった秀華高校に転校することが出来ました。クロマティ高校に通えなくなったのは残念ですが不思議なことに寂しいとか悲しいといった感情は有りません。過去を振り返らずに新しい高校生活を頑張るぞ!……と思ってる時期が私にも有りました。
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窓ガラスにFXで有り金全部溶かす人の顔が映っている。ヒドイ顔……まぁ私なんですけどね!あ"あ"あ"あ"あ"戻れ!時間よ!戻ってくださいお願いします!!
顔を溶かしたまま脳裏に浮かぶのは転校前夜のこと。私は来るべきイベント、『自己紹介』の台本を作っていました。私のような陰キャは台本が無いと人前で上手く喋ることは出来ません。
この自己紹介で私の高校三年間が決まる。ある意味で転入試験よりも難題な為に頭をフル稼働し台本を書き上げました。完成した台本を一字一句頭の中に入れて明日を迎えるだけ……の筈でしたが布団の中に入っても、色々と悪いことを想像してしまい寝付くことが出来ません。
このままでは初日から寝坊して遅刻。クラスに居づらくなって中退ヒキニート……そんな暗い未来が待っていることでしょう。居ても立っても居られなくなった私は神山さんにロインをすることに決めました。
神山さんは私なんかと違い頭が良いので進学校である下北沢高校に転校しますが、真面目な転校生とジャンルで云えば同じ部類なので幾らかは相談しやすいのです。いや、ジャンルは同じかもだけど神山さんの方が数段優れています……調子に乗ってスミマセン。
神山さんは夜11時という遅い時間にも関わらず快く相談に乗ってくれました。そして私が書いた台本の校閲をしてくれたのですが……。
『うーん。これは言わない方が良いね』
まさかの全削除でした。
『なんでですか?自分で言うのもなんですが自信作なんですよ!?』
『まず、「クロマティ高校から来ました」って書いてあるけど……』
『アッハイ。自己紹介なので何処から来たかを……』
『言わない方が良いよ』
『えっ!?』
『僕らはクロ高に染まってしまって少なからず一般常識とはズレが有ることを自覚した方が良い。その上でクロ高から来た……なんて言ったらどうなる?入学する前の時を思い出して』
『入学する前……怖いイメージが有りました。でも皆意外と良い人たちでしたよ!』
『そう。そこだよ!僕らは内面を知ってるから特段気にしなくなったけど外から見たらやっぱり怖い存在なんだよクロ高は!起こった出来事を思い返してみてよ』
『分かりました……』
そう言われてみて改めてクロ高での出来事を思い出して見る。そういえば高校に入る前は喧嘩というものは見てこなかった……それがクロ高に入ってからは毎日のように喧嘩が起こるのを見ていた。あの時は『喧嘩は思った以上に起きず』と思っていたが……そうだった……そもそも喧嘩なんて起きないものなんだ普通は。
『異常ですね……確かに』
『分かってくれたかい?』
『というか私よく生き残れましたね……番長という立場だったのに……』
『まぁそこは……運が良かった……という事で良いんじゃない?』
神山さんの返信が少し遅かった気がしたが彼は台本に書かれた次の項目も指摘した。
『番長って肩書きも言っちゃ駄目だよ。それともう一つ。この長所の部分もダメだね。書き直しだよ』
『そうですか?友達思いな所が表せていると思ったのですが……』
『友達思い……それ自体は良いよ。だけど他校に拉致された友達を救う為に友達引き連れて襲撃するって云うのはちょっと……』
『未遂ですよ!?』
『未遂でも一般人は拉致や襲撃なんて発想は出てこないよ』
『アッハイ。分かりました』
『で新しく書く内容なんだけど。思ったのがさ、せっかくだしギター弾いてることを前面に出してみたらどうかな!バンドメンバー集める絶好の機会だと思うよ!』
『あ!その手が有りました!!』
こうして神山さんと相談しながら私は新しいノートに自己紹介の台本を書き完成。神山さんにお礼の言葉を送ってロインを終えました。私は安堵し、安心して床に着くことが出来ました。
今思い返してみて見ればここがターニングポイントだったのでしょう。この時ノートを予め鞄にいれておけば、あるいは古いノートを処分していれば未来は変わったのだと思います。
次の日、職員室で挨拶をした私は担任に連れられ教室の扉の前で待機。先生から呼ばれるのを待っていました。待っている間に頭の中で台本を反芻していたのですが、緊張のせいか大部分を忘れてしまった私はノートを見返すことに。見てみると中身は最初に書いたヤバい内容ではありませんか。
ノートを取り間違えた……。頭が真っ白になったその時。先生が声を掛けてきました。そこからの記憶は曖昧な物になっています。よほど忘れたかったのでしょう。しかし所々でクロマティだの襲撃だのと言った記憶が有りますので私は取り返しの付かないことをやらかした……それだけは確かなんでしょう……。
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せっかくの転校イベント。漫画やアニメならこの休み時間にクラスメイトが集まる筈なのに。一人も来ません。皆さん遠巻きに私を見てきます。
神山さんに相談しようと思ったのですが先程『大丈夫でしたか?』とロインが来たので思わず『大丈夫です!クラスの友達100人出来ました!!』と強がって言ってしまった為に相談出来ません。
あぁ。私の高校生活終わった……。そう思っていたその時、扉が勢いよく開かれる音がした。あいにく私には振り向く気力が無いので顔を崩したまま座ることにしました。が……。
「お前が後藤か」
「はははい!」
突然名前を呼ばれキョドりまくる私。無礼にならないよう急いで椅子から立ち上がり相手の方を見ると、クロ高で見たこと有るような顔つきの男子達が睨んでいました。
あわわわ間違い有りません。俗に言う喧嘩を売られてるという状況です。しかも周りの囁き声に耳を傾けるとどうやら目の前の男子は黒田という方で秀華高校の番長だそうです。ワルのエリート育成所のクロマティ高校ならともかく、普通の高校の(筈の)秀華高校でこんなのがいるとは思いもよりませんでした。
土下座をしようにも状況的に少しでも動いたら殴られそうです。こうなったら仕方有りません。意識を飛ばし後で結果だけを受け入れることにします。時間が解決する。そんなわけで私は気絶させていただきます。
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(コイツ……俺にビビってねぇだと!?)
黒田は目の前にいるクロ高からの転校生に驚いていた。喧嘩の実力は知らないが体格は一般的な女子高生と同等。いや、それ以下かもしれない体つき。顔は整っている方だが覇気を感じさせない……というより生気を感じさせない雰囲気をまとっている。
見ため通りに弱そう。それが黒田の、目の前の女子に対する評価だった……が。
(このアマさっきから動いてねぇ……そればかりか俺にガン返してやがる!?)
自慢ではないが秀華高校番長としてそれなりに経験はしている。その結果、自分の後ろにいる二人のように舎弟という存在も出来た。名実共にこの学校のNo.1なのだ。クラスに来たのも悪名高いクロマティ高校から転校してきた後藤に釘を差す為だった。
(間違いねぇコイツ!相当な手練れだ!……くっ!女子だからって油断した!!)
相手の出方を見る為、黒田が目の前の女子を睨み返しているとふと気が付く。後藤の口の中で何かが動いたのだ。最初は舌かなんかだと思ったが違和感を感じる。よく覗いてみますか?
[洞察→成功]
それは舌では無かった。それは口内の暗闇に潜む『ナニカ』であった。漆黒を思わせる色彩を持ち、体はまるでスライムのように蠢き後藤とは独立した意思を持っているかのようだった。そして黒田は気づく。黒田を睨んでいたのは後藤ではなく『ナニカ』で有ったことを。深淵に見つめられた黒田はSAN値チェック。
[SAN値チェック→失敗6ポイント減少]
[アイデア→成功]
黒田は目の前に有る『ナニカ』が現実に存在していることに気づく。そしてそれは人間ではなく、種を越えた存在であることも認識してしまう。一時的な狂気が黒田を襲います。
[パニックからの逃走]
『ナニカ』を認識し『ナニカ』に見つめられていることに気づいた黒田は目の前の事実に耐えられずパニックに陥り叫び声をあげながら後ろにいた取り巻きを押し退け逃走します。戦闘終了。お疲れ様でした。
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叫び声を聞いて私の頭は覚醒しました。前を見ると黒田さんの姿は既に無く、取り巻き達が捨て台詞を吐いて教室の外に出ていくのが見えます。
体に痛みが無いということは殴られてはいないということなので良かったです。にしても、一体何が有ったのでしょう。クラスメイトがざわついているのでそちらに顔を向けるとその方向にいたクラスメイトは全員顔を背けてしまったので聞くことは出来ません。またもや私の知らぬところで全てが終わってしまいました。
慣れてきたのかもはや心の中で慟哭することなく静かに私は自分の席に戻りました。そしてそのまま突っ伏し寝たフリをして次の授業まで、これから先どうするかを考えることにしました。
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「く、黒田さん……大丈夫ですか?」
「あ……あぁ大丈夫だ……」
放課後の校舎裏。黒田達は集まってタバコを吸っていた。震える手でタバコを持ち灰を落とす黒田に舎弟達が心配そうに声を掛ける。黒田は気丈に答えるが声は頼りないものだった。
「なんなんスかねあの後藤という奴は……」
「わからん……」
黒田は短く返すとタバコを吸った。最初は浅く吸っていたが段々と落ち着きを取り戻し、深く吸う。それを数度繰り返すと舎弟達に顔を向けた。
「いいかお前ら……。後藤には手を出すな」
「分かりました……しかし良いんですか?」
「何がだ?」
「いえね、周りから見れば僕らは後藤から逃げたように見えるじゃないですか。このままで良いのかな……と」
「あーまぁ別に良い。そもそも俺は女は殴らん主義なんだ」
「そ、そうですか」
初めて聞いたが悟らせないように表情を隠す。
「まぁお前らが焦る気持ちはよく分かる。だがな俺はお前らより先輩だ。だから分かる。後藤の奴……間違いなくヤクをやっている!」
「ヤク!?クスリですか!?」
「あぁ間違いねぇ……あの生気の無い顔がまさにその証拠よ」
黒田は笑いながら腕に注射をする素振りを見せる。もっとも顔色は青ざめておりそうであると信じたかっただけかもしれない。口内にいた『ナニカ』を信じたくなかったかもしれないがそれを見ていない舎弟は調子よく話す黒田に話を合わせた。
「ヤク中だったんですね後藤は……」
「だからいいな?あんなヤバい奴になんか関わるんじゃねえぞ。どうせ直ぐに病院か年少に行くんだからよ」
「分かりました……しかし」
「なんだまだあんのか」
「いえ……ただ後藤から来た場合はどうすんのかなと」
「ふん。その場合はだ」
そう言って黒田は缶ジュースを飲み干すとぐしゃりと握り潰した。
「潰すだけだ」
舎弟達は静かに歓声を上げた。表情も先程よりも明るくなっている。
「まぁ安心しろ。いくらヤク中が相手でもいざとなりゃお前らの先頭に立って後藤の奴を叩き潰してやるからよ」
そう言って黒田は潰した空き缶を遠くに放り投げる。舎弟達は勇気有る黒田を褒め称えていると耳にしてしまう。近くで空き缶が蹴られる音を。黒田達は音のした方を見るとそこには後藤が立っていた。抱え込むように丸太を持って黒田達を見つめていた。
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私は空き時間を使っていかにして好感度をあげるか考えていた。昼放課になった時、一人になれる所で一つの策を思い付いた。
「ギャップ萌えだ!」
皆さんはハロー効果というものをご存知だろうか?これは心理学の一種で簡単に言えば普段悪いことをやってる不良が捨てられている猫を助ける。それを見た人は不良のことを良い奴だと思うアレのことである。
この古事記にも書かれているこの戦術で私はたちまちクラスの人気者となりバンドを結成してチヤホヤされる生活を送って見せるんだ!
とは言ったものの都合よく猫なんて捨てられている訳もなく私の作戦は早速暗礁に乗り上げた。そこで私は考えた。簡単な所から始めよう、と。
現在、私の株価は最低をいっておりほぼ底値である。逆を言えばちょっとしたことでも私の株価は急上昇するという意味でもある。……言ってて悲しくなってきた。
早速私は先生に許可を取り放課後、校庭の美化活動に励むことにした。私のゴミを拾う姿を見て、学校を綺麗にしている姿を見て、私を良い奴だと思ってほしい!!
そう思いながらゴミを拾っているとカンと音がした。顔を向けると奥の方に光る物が見えた。見るとどうやら空き缶が捨てられている。私は捨てられている場所を見て嫌に思えた。というのもその捨てられている場所が校舎裏だったからである。
最初に先生の許可を取った際、校舎裏には行かないようにと注意をされた。理由を聞くとよく不良がたむろしているからだという(クロ高よりかはレベルは低いと余計な一言付きで)。
そういうわけで行きたくはなかったが、空き缶が光に反射して輝いていて結構目立つ。こんな目立つのが残っていると後藤はゴミ拾いをすると言ったのに拾ってないとレッテルを貼られてしまうんじゃないか、下がりようがない評価が不動な物になってしまう。
もしかしたら不良の人達もいないかもしれない。私はパッと行って戻れば大丈夫と思い行くことにした。その道すがら花壇に目をやると丸太が落ちていた。先日の強風で折れたのだろう。
よく見ると花壇の花が丸太に押され折れようとしている。私は花の様な可憐で綺麗な物に妬みを持っているがこういう細かい所も対処しておけば評価も上がるだろう。
そう思い丸太を持ち上げようとするが……重い!これはかなりキツイ!!だけどこれを持ち上げれば私はきっと陽キャの仲間入り!人気バンド待ったなし!!そう思いながら気合いで持ち上げた。
限界以上の力で持ち上げたので足が小鹿のように震えているが問題無し!後はこれを焼却場に……いや無理だ重すぎる!やっぱり私のような陰キャは大人しくするしかない……。
持っていた丸太は後で先生に連絡しておけばいいやと花壇の外に置こうとすると私は足がもつれ勝手に前に進んでしまう。
「えっ!?」
足が勝手に前に進んでしまう。丸太を離そうにも丸太が丁度バランサーとなっており手を離せば転んでしまう!
「あわわわわ」
ようやくバランスを取り戻した時、私は校舎裏に立っていた。そして運の悪いことにそこには先程私に喧嘩を売りに来た黒田さん達がいた。私のことをめっちゃ睨んでくる!ヤバい!!
私は立ち去ろうとしたが再びバランスを崩し足が勝手に前に進んでしまう。よりにもよって黒田さん達の方に向かって!飛んで火に入る夏の虫。これが今の私を的確に表した言葉です。問題はその夏の虫が私という点なんですけどね笑助"け"て"!!
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!」
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数で押せばどうにかなると考えていた黒田は恐怖した。イカれた女こと後藤が奇怪な叫び声をあげながら丸太を持って突っ込んできたからである。黒田達は逃げようとしたが左はフェンス、右と後ろは校舎で逃げ場が無い。
「く黒田さん!後藤がやってきました!さっき言ったように潰しちゃってください!!」
「てめぇ!俺を前に押すな!!」
「母さん助けて!!」
三者三様の反応が繰り広げられるがそんなことお構い無しに後藤は近づいてくる。そして間近に迫った後藤に腰を抜かした黒田達の頭上を丸太が掠める。逆光で後藤の顔が見えなかったが自分達を睨み戦う気だろう。
もはや黒田達は戦意喪失していた。
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やってしまった!完全に喧嘩を買ったように思われた!私はその後の惨劇を想像し顔を崩していると黒田さん達が掠れた声で言ってきた。
「番長の座も何もかもあげます!なのでどうか……!」
「ゆ、許してください……どうか命だけは……」
「後藤様に従います……!」
見ると黒田さんと取り巻き達は涙を流し土下座していた。
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こうして転校初日に起こった騒動は幕を閉じた。しかし……。
「おはようございます後藤さん!」
「俺が鞄をお持ちします!」
「なら僕はギターを持ちます!」
「い、いえギターは私が持ちます……」
友達ではなく舎弟が出来てしまいました。周りの囁き声を聞けば……。
「後藤さんゴミ掃除をすると言って黒田達を片付けたらしいぞ」
「やはりクロマティ高校は恐ろしいな」
「後藤さんには近寄らない方が良いな」
クラスメイトはおろか学校中の生徒が私を遠巻きに見ています。底値だと思っていた私の株価が床を抜けマントルまで落ちた……そんな気がしました。
当学会では後藤ひとり=ニャルラトホテップ説を提唱しています。
初めてのアンケートにちょっとワクワクしている自分がいます。
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後藤ひとりを停学処分にさせたい
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結束バンドを停学処分にさせたい
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後藤ひとりを留置場に送りたい
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結束バンドを留置場に送りたい
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原作通り