これは、昔の話
俺がまだ小学5年生のときに体験した非日常な話
スターを目指し、
妹を笑顔にしようとした少年の戦いの物語
自分の本当の想いを探す…物語だ――
〜学校〜
キーンコーンカーンコーン
「はぁ、はぁ!」ダッダッダッダッ
「天馬!今日一緒に遊ばねぇ?」
「悪い!今日は無理だ!」
「天馬!廊下を走るな!」
「ごめん!先生!」
早く、早く帰らなきゃ!
俺の名前は天馬司!いずれみんなを笑顔にするスターになる男!
あの日見たショーのスターのようになるべく、絶賛修行中だ!そんな俺が何故こんなに急いでいるのかというと今日は――
司
「咲希が帰ってくる!」
そう、妹の咲希が家に帰ってくる日だ
咲希は病弱でいつも病院にいる
俺の新しいショーを見せて、笑顔にしてみせる!
司「ただいま!」
よし、早速ショーの準備を――
「…司」
司
「母さん、どうしたんだ?」
「咲希のことなんだけどね、今日は…無理になったわ」
司
「!?、なんで!」
「熱が下がらくて、危険な状態らしいの…」
「お医者さんからも呼び出しがあったから今からお父さんと一緒に病院に行ってくるわ」
司
「だったら俺も!」
「司は家で留守番をお願い、帰ってくるのは夜遅くになるかもだから。」
司
「ッ……」コク
「ごめんね、晩ごはんは冷蔵庫の中だからレンジで温めて食べてくれる?」
司
「…大丈夫だ!いつもやってることだしそんな言わなくてもわかるよ、母さん。それより早く咲希の所に行ってあげてくれ!俺は、大丈夫だから!」
「そう?じゃあ行ってくるわね」
そう言って母さんは出ていった
司
「……クソっ!」
何もこれが初めてというわけではない、
だけど次会ったときの咲希の顔
悲しそうにして、作り笑顔を浮かべている
あの顔を見るのが辛い
どうして咲希がいつも辛い想いを!
…俺が咲希の変わりになれたらいいのに
そうすれば――
〜深夜〜
…眠れない
父さんと母さん、まだ帰ってこないなぁ
咲希…大丈夫かな
タスケテクレ~!?
!?…何だ?悲鳴?
何かあったのか?でもこの時間に外に出るのもなぁ
けど、何か困ってたら
嫌でも危ないことだったら〜〜
…窓から少し覗いてみるか
…この選択が俺の運命を決めるものだとは、この時の俺は夢にも思わなかった。
キンキン、キン、キン
「クッ!?」
二人の男がそこにはいた
ただその姿は現代にはありえない
一人は二本の槍を持ち、
顔の整った特徴的なホクロを持つ男
もう一人は体に赤黒い紋様の刺青があり、尻尾はまるで生きているかのように動いている。朱い刺々しい槍を使い
着実に二本槍の男を追い詰めていた
「まさか、ここまで、とは…」
「お前の真名も大体読めた」
「まあいい、これ以上は時間の無駄だ」
「さっさと死ね、ディルムッド・オディナ」
ディルムッド
「ッ!?」
朱い槍に魔力が集中していく
ディルムッド
「宝具か!?ならばこちらも――!」
「遅えよ」
朱い槍が男の指から解き放たれる
その槍は瞬く間にディルムッドに向かい心臓を貫いた
ディルムッド
「ガハッ!?」
ディルムッドの体は光輝き、消えてしまった
「これで3体目、さて後は――」
「掃除をしなくちゃなぁ」
男はゆっくりと後ろを振り向くと
そこには男がいた。
男は不運だった。ただ帰りが遅くなり家に帰っている最中この戦いを目撃してしまった。
「あ、ああ」
「悪いが、死んでもらうぜ」
「うわ〜〜〜!?!?」
逃げろ、逃げなければ殺される
男の中の生存本能がそう叫ぶ
「誰か、助けてくれ〜〜!?!?」
数分走り続け、男は後ろを見る
そこには追ってくる男の姿はなかった。
あれが何だったのかはわからない。だが今は
「ふぅ」
生き残れたことに安堵し息を吐く。だが――
「鬼ごっこは終わりでいいか」
「えっ」
男が己の胸の部分を見てみると、そこには朱い槍が突き刺さっていた。
そしてゆっくりと男は地面に倒れ込む
「……」
「手間かけさせんじゃねえよ、後は…もう一人いるな」
そう言って男はある一軒家を見た
司が覗くとそこにはサラリーマンらしき男が走っていた
その顔は遠くからでも、怯え、切羽詰まっているものだった。
ただ事ではない。幼いながらにもそれだけは理解した。
少しして男が止まり後ろを振り向く。
だが、振り向いた瞬間、男の後ろには刺々しい槍を持った男が立ち、サラリーマンの心臓を貫いた。
そして、ゆっくりと地面に倒れていった。
司
「ッ!?」
思わず手で口を覆う。貫かれた部分からは血が絶えず流れ
血の池を作っている。男は槍を引き抜くと、ゆっくりと
こちらを見た。
司
「〜〜〜〜?!」
その瞬間、司は窓から離れ隠れる場所を探す。
次は自分が殺される。そう確信して
何処だ、どこに隠れれば!?
家の中で隠れられる場所、そんなの――
バリン
ッ…ガラスの割れた音が聞こえた。
そして次に聞こえてきたのは、
「悪いが坊主、逃げ場なんてねぇよ」
無慈悲な死神の声だった。
振り向くと、そこには先程サラリーマンを殺した男がいた。その瞳は生気を宿さない虚ろな目、だがその中には俺への殺意が感じ取れた。
次の瞬間、俺の体が中を舞っていた。
何が起きたのか、理解ができなかった。
そしてゆっくりと、腹部に強烈な痛みが走る。
そこで俺は自分が蹴り上げられたのだとわかった。
「がはッ!?」
やばい、逃げないと!?
殺される!?
そう思っても、体が動いてくれない
「チッ、狭い場所じゃ槍もまともに動かせねぇ」
「まぁ、大して支障はないが」
「…悪いな坊主、見ちまったもんが運の尽きだ」
「諦めて死ね」
男はゆっくりとこちらに近づいてくる
俺、ここで死ぬのか?
スターにもなれず、咲希を笑顔にもできずに?
……ごめん咲希。俺、もうここで――
咲希
『お兄ちゃん!』
司
『ん?どうした咲希?』
咲希
『私ね、元気になったらお兄ちゃんと一緒に買い物に行ったり、いっちゃん達と遊んだり、家族で旅行に行ったりいろんなことがしたいんだ』
司
『…咲希』
咲希
『…できるかな?』
司
『もちろんだ!咲希が元気になったら、買い物だって好きなだけ行ってやる!』
『父さん母さんも咲希のためだったら旅行だって連れて行ってくれる!』
『一歌達も、一緒に遊んでくれるさ!』
咲希
『本当!』
司
『もちろんだ!他にも、いろんなことして遊んでやる!』
『約束だ!』
咲希
『うん!約束だよ、お兄ちゃん!嘘ついたら、針千本飲ませちゃうからね!』
司
『いいぞ!俺は約束を絶対に破らないからな!』
!まだだ
司
「…まだ死ねない」
「あぁ?」
司
「約束したんだ、一緒に買い物をするって」
「旅行に行ったり、沢山遊んだり色んな事をするって」
「それに、俺はスターになる男だ…」
「こんなところで死んでたまるか!?」
絶対に死ねない!スターは…こんな所で逃げないし、諦めない!
「…いい目だ…昔もお前と似たような奴とあった気がするぜ。この聖杯戦争が普通のものなら、てめぇはマスターだったかもな」
「せめて、楽に死なせてやるよ」
男が槍を振り下ろす、この一瞬がとても長く感じる
だが、最後まで生きることを諦めてたまるか!
『ほう、面白い』
……痛みが襲ってこない?
恐る恐る目を開けると、そこには男の槍を防ぐ
光輝くカードがあった。
「これは……」
男は直ぐ様後退する
『覚悟はあるか?』
!?、この声は……
『生き残りたければ、俺と契約するしかない』
『だが、契約したら最後、貴様は戦い続けなければならない』
『多くの物を失い、後悔し、泣き叫んでも逃げられん』
『それでも契約する覚悟が貴様にはあるか?』
……やってやるよ
覚悟なんて、もうとっくに出来てる!
契約でもなんでも、やってやるから、力を貸せ!!
『クク、クハハハハ!!』
『いいだろう!ならば我が名を呼べ!』
『アヴェンジャーと!天高く叫べ!』
司
「…来い!嫌、来てくれ!アヴェンジャー!」
右手が光輝く、そしてカードの光がさらに強くなり
魔法陣のようなものが地面に現れる
そして、段々と人の形が現れていく
「クハハハハ!!」
「ばかな!?サーヴァントだと!?」
緑の帽子に、マントをたなびかせ
黄色の瞳をした白髪の男が現れる。
そしてゆっくりとこちらを向き、問いかけてくる
「俺を呼んだな!サーヴァント、アヴェンジャー」
「召喚に応じ参上した」
「問おう、貴様が俺のマスターか?」
…この日は俺の運命の日となった