隠れ家にやってきて、3日が経った司
少し痛い目を見ながらも、新しく加わった仲間、
宵崎悠人、シャルと共に街を散策していたところ、
謎のサーヴァントと遭遇、襲われていた女性の死亡
そんな事実を前に、司達は対策に向けて、
作戦会議をするのだが―
〜隠れ家〜
『…………』
カレン「…まったく話し合いが始まりませんね」
一言も話さない司達を見て、サーヴァント立ちは無理もないことだとは思う。
司と悠人はまだ魔術士になったばかりで死体を見慣れていない。
シャルロットも2人より早くにマスターになったが、それは数ヶ月しか変わらない。
つまり、全員人の死に耐性がないのだ。
しかし、そんな甘ったれた事、この女には関係ない。
カレン「…いつまでそうしているかは知りませんが、既にこの事件と同じものと見られるものが今回も含め3回おきています。」
司「ッ…!」
カレン「恐らくは近いうちにまた同じ事件が発生する。それなのにそこでただぼ~っとしているだけですか?随分とまぁ…」
司「……」
そうだ…これで終わりじゃない。あいつはまた別の人を襲う!
それなのに、こんな所で落ち込んでいたらそれこそ駄目だろ!
そんな司と同じ考えなのか、悠人もシャルも意思の籠もった瞳でカレンを見つめる。
司「…情報はあるのか!」
カレン「…」フッ
「…こちらを」
そう言って机の上に束となった紙を置く。
見てみると、今までの事件の被害者の性別、持ち物、家族構成
などの情報がびっしりと書かれている。
悠人「…すっごい個人情報書いてある…」
司「こういうのって警察とか偉い人しか見れないんじゃ…こんなのどうやって…」
カレン「…知りたいですか?」
万円の笑みを浮かべるカレンを見て、"結構です"と返す。
絶対に真っ当な方法ではないことはわかった。
とりあえず、資料を一つ一つ見てみる。
シャル「…見てみると、共通点全然ないですね。血液型も生まれた月も違う。」
ランサー「持っていた持ち物にも、特徴は見られませんね…」
性別、年齢…すべてバラバラ…
共通点なんて…ん?
司「これって…」
シャル「どうしたの司?」
司「家族構成、みんな子供が一人いるなって」
ライダー「あら、本当だわ」
シャル「けど、対してそれだけじゃ…」
共通点としては薄いよなぁ…
それが共通点だったら、今頃あちこちの子持ちが殺されてるし…
アヴェンジャー「…それもいいが、もう一つ気になることもある。」
司「気になること?」
アヴェンジャー「奴のクラスだ」
クラス?
シャル「クラスって、バーサーカーでしょ?」
アヴェンジャー「確かに状況から見ればそうだが、俺はなにか違和感を覚えた。まるで…何かを付け加えたような…」
ランサー「…それなら私も1つ気になったことがあるのですが」
悠人「…ランサー?どった?」
ランサー「悠人に瓦礫が落ちてきた時です。あの時、何もしなければ悠人は死んでいた」
「だが、あのサーヴァントは悠人を守った。そこに何かヒントがあると思ったのです。」
ライダー「それならアタシも、」
「防いでいる時感じたのだけど、本気で狙ってわいなかったと思うの」
悠人を守ったし、攻撃も本気ではなかった…それに付け加えられ――
司「ん〜わからん!!」
シャル「…とりあえずこの事件の被害者を調べてみよう」
「もしかしたら何か他に共通点があるかもしれないし」
司「…そうだな。じゃあシャルは一人目の被害者」
「悠人は二人目」
「俺は三人目の被害者について調査する」
「コレでいいか」
『あぁ(うん)』
ライダー「そこの方?」
「は、はい!何でしょうか!」
ライダー「この方はについて聞きたいのだけどー」
「あの人、あんまり近所では評判よくなかったわよ」
ランサー「というと?」
「夜にねあの人の家、子供の泣き声が聞こえてー」
アヴェンジャー「…その情報は確かか?」
「あ、あぁ、よく一人で暗い時間歩いてたからな…」
司「…一人で」
アヴェンジャー「…そうか情報感謝する」
「…」(こえ〜〜!?)
〜隠れ家〜
あらかた情報が集まり、隠れ家に集合した俺たちは、情報を共有していた。
司「一回情報を共有するか」
シャル「うん。じゃあ一人目の被害者の人」
「ご近所関係はよくなかったみたい。いつもキレてて、すぐに手を出すから、恐れられてたみたいだよ。」
「事件の起こる前、路上で自分の子供に手を出して、通りかかった人達に止められてたって」
悠人「……二人目の人」
「奥さんと子供がいて3人で暮らしなんだって。けど夜な夜な子供の泣き声が毎日聞こえてたから近所でも有名だったみたい…」
ランサー「そしてその家に行ってみたところ、奥様や子供には身体の至るところに痣がありました」
「恐らくは虐待を…」
司「…そっか、三人目の被害者の人は、旦那さんを早くに亡くして、一人で子供を育ててたらしい。けど、幼い子供を家に何時間も放置して、ご飯もコンビニで買わせてたらしい…」
「暴力こそ振るわなかったらしいけど…これってネグレクトって奴だよな?」
調べれば子供への暴力や育児放棄の証拠が腐る程出てきた。
被害者の共通点は…
ライダー「…今の話の共通点として子供への虐待ね。」
ランサー「となると、あのサーヴァントの狙いは子供を傷つける者を殺すこと、ですか」
アヴェンジャー「さしずめ"子供の味方"だな」
子供の味方…あっ!
司「ーーだから悠人を助けたのか!」
シャル「僕達に矢を本気で当てようとしなかったのも」
「僕達が子供だったから?」
子供を守るために、虐げる人達を殺して…
動機がわかるとあまり悪い奴には思えない。
けどーー
司「子供のためだからって、殺すのはやりすぎだろ…!」
何とかして止めないと!
シャル「けど、どうするの?」
「攻撃も全部避けられてたし…」
アヴェンジャー「…舐めるなよ、シャルロット」
「あの速さならば、もう慣れた。二度目はない」
ランサー「同じく」
悠人「…本当に?」
自信満々に語る二人に悠人は疑惑の目を向ける。
司「まぁ本人達がそう言ってるし大丈夫だろ。それに駄目だった時はその時だ!」
悠人「……無責任」
シャル「…ほんとにね」
ライダー「けどそういうのも好きよ!わたし!」
司「そうだろう、そうだろう!」
悠人「…この天然コンビ」ボソ
ん?なんか今、不名誉な事を言われた気が…
気の所為か!
司「よし、行くぞ〜!」
シャル「待った!!」
司が玄関の方に走ろうとすると、シャルロットが突如待ったをかける。
司「とっとと、何だよ…シャル?」
シャル「いや、どこにいるか分かるの?」
司「あっ…」
アヴェンジャー「…考えてなかったのか」
カレン「はぁ…」
無計画な司にアヴェンジャーとカレンはため息をこぼす。
そんな二人の態度に、司は顔を赤くする。
司「じゃ、じゃあどこに行けばいいか、お前らはわかるのか!」
叫ぶ司にカレンは資料の中の一枚の紙を投げる。
司「これって…」
悠人「…住所?」
カレン「事件が起こった場所は全て一定の範囲内で起こっています。その住所は次に犯行が行われると思わしき場所です。」
次の犯行が行われるかもしれない場所…?
なんでそんな場所知って…
いや、そんな事どうでもいいか!
司「よし行くぞ!みんな!!」
そう言って走り出す司を追いかけるように、悠人とシャルも走って出ていく。
そして追いつくと、悠人は呼吸を整えて司に疑問を投げる。
悠人「…疑問に思はないの?場所知ってることについて?」
司はその質問に対して、穏やかな笑顔で即答する。
司「カレンさんの事を常識的に考えたら駄目だろ?こんな短期間であそこまで情報を取ってくる人に常識なんて考えるだけで無駄だしな!!」
その司の言葉に、シャルが"確かに"と頷く。
…その言葉に少し納得してしまった悠人も、
『自分もだいぶ毒されてきたなぁ』と遠い目をするのだった。
ビルの屋上で、風に吹かれながら彼女は立っていた。
その瞳は、司達と戦った時より理性が宿っているように見えたが、それは一瞬のうちに消える。
『……見つけた…!子供を…!傷つけるもの…!!?』
そう言うと彼女は飛んだ。
次の獲物を仕留めるために…
その瞳に、憎悪、怒りそして―
―苦しみを宿して