「この度聖堂教会より聖杯戦争の収集を任されました。」
「カレン・C・オルテンシアです。どうぞよろしく」
そう言って彼女は笑いかける。
その笑顔は、美しく、万人を魅了するものだ。
しかし何故だろう?俺は何処か嫌な感じがした。
その笑顔を見ていたくない。そう思った。
そして気になったのが"聖堂協会"というものだ。
その単語を聞いたとき、アヴェンジャーが顔を少し顰めた。
何かあるのか?
カレン
「それで?貴方の名前は?」
司
「あ、僕もそう言えば聞いてないや」
!…自己紹介!それならば、ずっと考えていた"アレ"の出番だ!
司
「すぅ〜」
『?』
司
「天翔けるペガサスと書き天馬!世界を司ると書き司!」
「その名も天馬司!!いずれスターになる男だ!!」
ふ、決まった!…さて、あいつ等の反応はどうだ?
このかっこいい挨拶を聞き、感激していること間違いないだろうな!
カレン
「……ダサいわね」
その願いはこのシスターに真っ先に折られた。
司
「何!?、何処がダサいというのだ!!」
カレン
「それに声もうるさい。時間も考えなさい。自称スターくん」
司
「グッ!」
アヴェンジャー
「俺もその女に同意見だ」
司
「アヴェンジャーまで!?」
そんなバカな!?朝、昼、晩、寝るときですら考えたのに
…そうだ!シャルロットは!
シャルロットの方を向くと――
シャル
「……アハハハハ」
苦笑いを浮かべ、静かに目線をそらしていた……
司
「嘘だ…嘘だ〜〜〜〜!!」
クソっ、俺の今までの苦労が!?
そう思っているとライダーが話しかけてくる
ライダー
「そうかしら、今の挨拶好きよ!わたし!」
司
「!、本当か!!」
ライダー
「えぇ!かっこいいと思うわ!」
そのライダーの言葉は、俺には天使の声に聞こえた。
司
「やっぱりな!!わかるものにはわかるのだな!!」
カレン
「……話をしても構いませんか?」
顔を顰めながら、カレンさんは話しかける。
司
「あぁ、すまない!いいぞ!」
カレン
「…シャル、どこまで話したのですか?」
シャル
「えっと…サーヴァントと聖杯戦争のことについては」
カレン
「では、この聖杯戦争の異常をお話しましょう」
「シャルから聞いた通り、聖杯戦争は7基のサーヴァントが殺し合う戦争です」
「しかし、この聖杯戦争は7基以上のサーヴァントが確認されています。それも"マスター無し"で」
マスター無し?それってまずいのか?
カレン「マスターとは、何も、サーヴァントを現界させる為だけに存在しているのではありません。マスターとは簡単に言えばブレーキなのです。」
「貴方の右手に刻まれている令呪、それはサーヴァントに対する絶対命令権です。」
令呪?右手を見ると、赤い刺青があった。
これが、令呪…
カレン
「それを使えば、サーヴァントを絶対服従、転移などを可能にします。……邪魔になったら自害させることも――」
司
「はっ!?絶対しないからな!そんな事!!」
笑顔で何言い出すんだ!このシスターは!!
カレン
「冗談ですよ。……半分は(小声)」
なんかやばいこと言わなかったか?
カレン
「とにかく、マスターが絶対命令権を持っている限り、サーヴァントもマスターに危害を加えようとはしません。」
「しかし、今回はそのマスターがいない。彼らを抑えるものがいない。やりたい放題できるわけです。」
「実際にアヴェンジャーとバーサーカーの戦いを見た貴方はその危険性がわかるのではないですか?」
バーサーカーみたいなやつが、好き勝手…
司
「やばいではないか!?」
カレン
「問題はそれだけではありません」
司
「まだあるのか!?」
この儀式考えた奴、バカだろ!?
なんでこんなにバグの多い儀式を!
カレン
「本来の聖杯戦争よりも、召喚されているサーヴァントの数が多くてですね…ざっと数百はいますね」
司
「はっ?」
すうひゃく……数百!?
司
「どうなってるんだ〜〜〜!!!!」
カレン
「こちらも聞きたいものです。お陰でこちらも休む暇がありません。…戦いの隠蔽などの事後処理になぜ私が……」
「まぁともかく、それだけのサーヴァント相手に、こちらの戦力は…シャルロットとライダーのみ。はっきり言って手駒はもう少し欲しいところです。」
「そこで、自称スター」
…コイツ、いちいち罵倒しないと気が済まんのか!
カレン
「貴方には、シャルと一緒にこの聖杯戦争を戦ってもらいたいのです。住み込みで」
司
「………は?」
「ちょ、待て!一緒に戦うのはいい!けどなんで住み込みなんだ!?」
父さんや母さんも許してくれないだろうし、学校だってある。はっきり言って無茶だ。
カレン
「貴方を狙ったバーサーカー、彼は恐らく貴方の事を殺すべき標的に決めたはず、つまりまた貴方の前に現れます」
「もし、その時貴方の家族や大切な友人がいたら…どうなると思いますか?」
そう言われ、背筋が凍る。
想像してしまった。アイツは目撃者は一人残らず殺すだろう。もし、巻き込んでしまったら――
『お兄ちゃん!』 『司さん!』
ッ!?…駄目だ!?
咲希や冬弥、父さんたちが危ない!?
カレン
「理解したようですね、今の貴方の現状を。それで?返事は?」
司
「……わかったよ。ただし!バーサーカーを倒したら、直ぐに家に帰ってやる!」
カレン
「えぇ、構いませんよ」
司
「…じゃあ一旦帰らないとな」
カレン
「何故?」
司
「だって服とか、必要なものを持ってこないとだろ?」
カレン
「あぁ、それなら大丈夫ですよ。シャルロット、ライダー。」
シャル
「はいはい!」
カレンがシャルロットに呼びかけると、シャルロットとライダーは大きなバックを持ってきた。
シャル
「このバックに全部入れてきた!」
ライダー
「少し重かったけど、こういうのやったことがないから楽しかったわ!」
司
「………」
中を見てみると俺の服や下着の寝巻きすべてが入っていた
そういえば、家の修理が終わった時――
『ライダー!準備できた?』
『えぇ!少し重いけど、大丈夫よ!』
何か運んでいるような気がしたが、気の所為だと無視していたな、俺
カレン
「さて、貴方の部屋もすでに用意してあります。」
「シャル、案内を」
シャル
「わかりました!」
……この女、抜かりねぇ!!
〜司部屋〜
「ここが今日からの君の部屋だよ」
案内された部屋は一人で暮らすには少しでかく感じた。
ベットもキングサイズ、床にも高そうな絨毯がある。
司
「…案内ありがとうな!シャルロット!」
シャル
「シャルでいいよ。今日から一緒に住むことになるんだし、そっちのほうが呼びやすいでしょ。」
司
「そうか。ならば俺も司でいいぞ!」
シャル
「わかったよ、司。…これからよろしくね」
司
「あぁ!よろしくな!」
それから少しだけシャルは部屋の事などを教えてくれた。
シャル
「…じゃあ僕は隣の部屋だから、何かあったら言って」
「おやすみ、司」
司
「あぁ!おやすみ!」
シャルは部屋を出ていった
そうしてベットの上に飛び込み、
今日一日の事を思い返した。
司
「…はぁ」
アヴェンジャー
「後悔しているか?」
突如、アヴェンジャーが現れる。
司
「うぉ!びっくりするからやめろ!!」
アヴェンジャー
「…で?質問の答えは?」
司
「…お前、契約するとき言ったろ」
「"契約したら最後、貴様は戦い続けなければならない"」
「"その覚悟が貴様にはあるか?"って」
「もう覚悟はできてた。それに、スターになる男が自分の選択を後悔などするはずがないだろう!」
アヴェンジャー
「ほぅ、後悔しないか」
司
「…で気になったんだが、お前本当の名前なんだ?」
「歴史上の人物なんだろう?サーヴァントって。アヴェンジャーなんて名前の英雄、いないと思うんだが…」
アヴェンジャー
「…いいか、サーヴァントにとって真名は弱点だ」
司
「?…どういうことだ?」
アヴェンジャー
「英霊とはな、知られていればいるほど力が強くなる。いわゆる知名度補正だな。織田信長や沖田総司、日本人は誰でも知ってるだろう?」
「日本で召喚されれば勝ちが確定するほど強大な力が出すことができる。しかし、それと同時に自分の死因や弱点が後世に伝わっているということも意味する。」
司「?それの何がまずいんだ?」
アヴェンジャー
「…簡単に言えば、どんなに強い英雄も自分の死因となった攻撃を受ければ問答無用で死ぬ。」
「毒で死んだものには毒を、頭部に一撃をくらい死んだものは頭部を、といったようにな」
司
「へぇ~」
アヴェンジャー
「…故に貴様には真名は言わん。まだ俺は貴様を真にマスターだとは認めていないからな」
「真名を知りたくば、成長してみせろ」
司
「…いいだろう!絶対お前を認めさせて、名前を言わせてやる!」
アヴェンジャー
「…」フッ
そう言い放つとアヴェンジャーは消えてしまった。
アイツ、今少し笑ったか?
いや、気の所為だな!
時計を見てみると時刻は深夜の2時
もう寝ないとな…
…暫くは帰れない。咲希、俺頑張るよ。
そして絶対に――
司
「お前を笑顔にするショーを、見せてみせる!」
〜?〜
そこには、一人の少年と全身に鎧を纏った男がいた
鎧の男は、少年に話しかける。
「…マスター」
「……」
「どうやら、例のサーヴァントに動きがあったようです」
「……そっか。行くよ、ランサー。あいつの事、知ってるかも」
「了解しました。マスター」
二人は歩き始める。その瞳に確固たる意志を宿して。
「絶対に見つけ出して倒してやる。そして、帰るんだ。家に、家族の元に。」