タフネス系乙女ゲー主人公VS一般転生モブ兄妹VS出遅れたイケメンども。   作:はめるん用

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 彼方くんの新生活なので初投稿です。



世界観をもっとねりねり。

 仲間として使えるキャラクターはたくさんいるのに、ラスダンに行くころには縛りプレイでもなければ四神の侍を連れて行くのがベストの選択になってしまって勿体ない。

 そんなプレイヤーたちの呟きが開発スタッフに届いたのか、弐作目では無双シリーズのエンパイア系などのゲームを参考にして陣取りバトルっぽい要素が新たに追加された。

 

 と、いっても高難易度ゲーで無双の雑兵みたいにワラワラと敵が出てきたら理不尽にボコられるだけで面白くない。あくまで育てたモブキャラたちの出番を作るためのシステムということで、ちょっと豪華なマルチプレイを楽しめるぐらいのバランスで調整されている。

 

 もちろん事故る可能性のある現世でそんなことはしない。神霊の加護とスキルの効果で作られた人工の迷宮・伽藍洞でそれは行われるので死傷者の心配は……いや、死者はでなくても入院ぐらいは描写されてたっけな。そこは普通の迷宮攻略と同じだったはず。

 学生同士のランキング戦で入院とは穏やかじゃないが、鬼との戦闘に備えるワケだからそれぐらいの真剣味がないと困るといえばそれはそう。まぁ、学生食堂とかで戦闘の様子をリアルタイムで観戦できたり、義塾のホームページで動画を見たりとかダンジョン×配信の要素は真剣なのかと聞かれると返答に困るが。

 

 

 生徒たちを競わせることで質の向上を、それはいい。問題はその陣取りバトルを真似るヤンキー集団による迷惑行為と犯罪行為の取り締まりが甘いということだ。

 

 

 簡易結界を生成する装置を使い縄張りを簡易的な伽藍洞に作り変えての喧嘩……ならまだよかった。そりゃあね、どれだけやっても相手が死なないんだもの歯止めなんかブッ壊れるしライン越えなんて気にしなくなるよねって話だ。

 倫理を無視すれば巧く考えられた循環だなとは思う。安全な暴力衝動に支配された人間はその快楽から簡単に逃れられない。もちろん被害者から生み出される負の感情は大きく、対抗するための手段としてデモンシードを求め、手に入れた力を手軽に楽しむために一般人を結界内部に連れ去って……うーん、これは酷い。

 

 さすがにゲームではあんなことやこんなことの直接的な描写はされていなかったけどね。でもこれ放置してたら絶対にR指定なトラブル起きちゃうよね。

 なんならアレよ、まだ一般人が巻き込まれていないからニュースとかになってないだけで、チーム同士の抗争とかで処刑とかそういうノリやってんだろコレ。

 

 

 そんな血生臭いナワバリバトルが盛んに行われている修羅の巷に2代目主人公である『日比野(ひびの)鈴音(すずね)』が殴り込むのが鬼切姫・弐の始まりってワケ。

 

 

 半端なマネは御法度、正々堂々とした喧嘩スタイルが自慢のレディースなチーム『プリズムダスト』に所属する武闘派ヒロインッ! しかし昼間は義塾の戦闘とは無関係の通常学習コース、いわゆる普通科に通うどこにでもいる女子学生ッ!! 

 それがイケメンとロマンスしながら平和のために戦う乙女ゲーの主人公として正しい姿なのかは俺にはわからない。だけど百を超える鬼を相手に覚悟と根性で戦いを挑み続ける死にゲーの主人公の下地としては頼もしいのではなかろうか。

 

 ちなみに日比野鈴音のお母様は前世の日本でも有名かもしれない『鈴鹿御前』という名の鬼神である。モデルをリスペクトしたのだろう、デフォルト設定だと初心者でも扱いやすい刀剣類のスキルにボーナスが付く初見プレイに優しい設定でございます。

 

 

 ま、そんなことより。

 

 

 こうした事情を踏まえた上で、挨拶巡りと世間話をしながら情報収集に勤しんでみたところ。どうやらデモンシード絡みの事件はまだ発生していないらしい。

 チーム同士のバトル『結界戦』はそれほど活発な動きを見せていないのか、商店街の皆さんから頂いたコメントも“若いころにヤンチャをしたくなる気持ちはわかるが、できればほどほどにしてほしい”という若気の至りを生易しく見守るスタンスばかり。

 

 ふむ。

 

 ここで原作知識を頼りに強硬手段を、つまりは正義感を振りかざして火のない所に煙を立てるような真似をすれば確実に失敗する流れじゃないか? なにも知らないフリ、なんて上等な演技ができるほど器用でもないし。

 

 なにせ黒幕には能力者関係のお偉いさんも関わってるからなぁ。

 

 最初は純粋に人々を護るため、そして侍や巫女の負担を減らすための研究だった。それがいつからか鬼の力を利用する研究に移り変わり、ついには鬼と戦えるのであれば神霊や霊気でなくたって良いではないかと狂い始めてしまう……っていうね。

 ならばデモンシードを使用した人間がどんな変化を起こすのかデータを集めるために何者か監視役がいると考えるべきだろう。そんな役目を割り振られるぐらい信頼されている人材が無能なはずがない。騙し合いだの心理的な駆け引きだの、そんなもの前世も今世も正しく一般人の俺にできるワケないだろいい加減にしろッ! 

 

 

 つまりこれは、世界が俺に「好きなだけステータスを鍛えなさい」と囁いているってことですねわかりました。

 

 防御系のスキルを鍛えるために低いステータスを維持した、これは想定通りに上手くいったので文句無し。

 しかしその後の貯め込んだエーテル結晶をドバァーッ! と使ってのレベルアップで想定外の苦労をする羽目になったのが痛い。

 

 まさかステータスの変化とスキルの使用感に誤差が生じて身体が自由に動かないとはなぁ……。

 そうだよね、普通はバランス良く鍛えるのが当たり前だもんね。俺みたいな歪なレベル上げする意味なんて無いもんね。

 

 シナリオに関わる事件の調査が初手から頓挫した? 逆に考えるんだ、空いた時間を自分のために使っちゃってもいいさ……と。そのためにも迷宮の監視をしっかりやらねばならんのだが。とりあえず、なにから手を付けたらいいのかね? 

 

 

「基本は境内の清掃で良いと思いますよ。箒で掃き出すという行為には穢れを祓うという意味も含まれていますので。風祭神社の結界はそれほど複雑なモノではありませんから、術師ではない彼方さんでも問題なく維持できるはずです」

 

 

 へ〜、そうなんだー。

 

 さすがは静流、喜多家の次期当主だけあってそういう方面の知識にも詳しい────静流ッ!? 

 

 

「家同士の横の繋がり、というヤツですよ。私も喜多の家ばかりではなく外に出て経験を積む必要がありましたし、東風先生方から彼方さんにと預かっている物もあるので丁度良かった……ということです」

 

 

 東風先生? 

 

 あ、アレか。

 

 

「そう、アレです。東風先生と西浪先生の御二人でも難儀する業物とはどれほどの物か、私も興味がありましたので。ですが、お楽しみはあとに残しておくとして。まずは必要な買い物などがありましたら、そちらを済ませてしまいましょう」

 

 

 業物……? 学園の錬金工房で購入した短剣が……? 

 

 え、それ注文の取り違いとかしてない? 大丈夫なの? でも静流がもってるなんか仰々しく布で包まれた箱らしき物体からは俺の霊気を感じるし。ほな取り違いとはちゃうか。

 なるほど、まったく意味はわからんがイイ感じに仕上げてくれたというなら有り難く使わせてもらうとしよう。ステータスを上げるなら武器も更新しないと安心して戦えないからな。

 

 頼もしい友人と、頼もしい相棒。こいつはトレーニングが捗りますよぉ……ッ! そうと決まればまず最初にやることは、夜ご飯の材料でも買って帰ろうとなったお惣菜屋さんで「美人な彼女さんだねぇ! よし、メンチカツふたつオマケしてあげよう!」と言われてごっつ渋い顔を必死に隠して愛想笑いで応じた静流を励ますことだな。いきなりめんどくせぇなオイ。




 安心して下さい。彼方くんは低レベルをキープする理由が無くなったので、ちゃんとステータスにポイントを割振るつもりです。
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