タフネス系乙女ゲー主人公VS一般転生モブ兄妹VS出遅れたイケメンども。 作:はめるん用
ヒロインらしい戦い方について考えながら初投稿です。
チュートリアルを終えて、
いくつかの要素が解放され、
多少の編成準備を楽しみつつ、
いくらかのザコ鬼と強敵をしばき倒し、
やって来たるはボス部屋の入り口である鳥居の前。
仲間を連れてくるか否かはプレイヤーの遊び方次第。3人4人とパーティー組んでマルチプレイ気分を味わうもよし、ストイックにソロで撃破を狙うもよし、ボスの特性にメタを張ってひたすら勝利だけを求めるもよし。
この天同の迷宮は最初に攻略しなければならないということで、一周目のボスはそこまで強くない。現状で入手可能な装備でそれなりに防御を固めれば生命力が初期値でも数発は耐えられる程度の攻撃力と、致命傷となる一撃の前には予備動作があるため丁寧に戦っていればボロ負けするようなことはないだろう。
そんな脱・初心者のために用意されたボスに挑まんとする2代目ヒロインの装備は動きやすさを重視した軽装であった。小手と脛当て、あとはサラシでギチッと締め上げたところに胸当てを、あとは義塾側で用意してくれている巫女装束のみ。武器も木刀と錫杖のみでインベントリに予備すら用意していない。
「……よしッ! 昨日は早く寝たから目覚めもバッチリだったし、ご飯もちゃんとほどほどに食ってきたしッ! やれることはやった、これで負けたらアタシが弱いってだけの話だ。そんときは次に勝てばいい。要は最後にアタシが立ってりゃいいんだから簡単なことだな! ……で、この水守くんから貰った風属性の御守りどうすっかな〜? コレってつまり、ボスが風属性を使ってくるってことだろ? 悪気がねぇのはわかるんだけどさ〜。……欠片も勝ち目が見えねェようなら頼らせてもらうとすっか」
ヒントを与えないで下さいという鈴音の提案を了承して余計なことを喋らないようにと気を付けてくれたことは大変結構。しかし言葉にしなくても行動で示してしまったのでは意味がない。
蔵人本人は真面目に応援してくれているだけなのだろうが、これでは事前情報無しでの動き方を学ぶチャンスを少しだけ邪魔をされたようなもの。わざわざ文句を言って返却するほどのことではないが、自分の力を試すことが目的の鈴音はそっとインベントリに収納することにした。
こだわりは、こだわり。
心遣いは、心遣い。
まずは自力で討伐できるかチャレンジする、どうにもならないほど負け込んだらありがたく使わせてもらう。本音を伝えるかどうかは終わってから考えればいい。余計なことを考えながら戦えるほど迷宮の主とやらは甘い相手ではないはずだ。
顔の正面で拳を合わせ気持ちを切り替える。気持ちで勝ってれば案外どうにかなる、心さえ負けなければボコボコにされたって何度でも立ち上がれる。乙女ゲーのヒロインたるもの、不撓不屈の精神は標準装備なのであるッ!
一歩、二歩、荒くなる呼吸を無理やり整えながら鳥居を潜る。
なんらかの結界らしきものを通り抜けた感覚。
その先に待ち構えていた鬼は。
「…………天狗?」
「ほぅ……此度の挑戦者は巫女がひとりか。なんとも珍しいことがあるものだ」
「うぇッ!? しゃべ……ッ?!」
「む? 私の声を認識できるのか? これまた、本当に珍しいこともあるものだ」
その風貌、武者姿の鴉天狗。
声は聞こえれど嘴が動くこと無く。
この鬼が発しているのは音では無く思念のようなモノに近い。このタイプの鬼の声を日本語として聞き取るためには鬼の混血である鈴音のように特別な条件を必要とする。これは受信するための機能の問題なので、残念ながら原作知識を持つ彼方や凪菜でも認識することは困難だろう。
「人間との会話など、随分と久方振りだが……わざわざ迷宮の奥まで行楽に来たワケではあるまい? もっとも、最近はそれらしき酔狂な二人組を見掛けるという話も風の噂で耳にしたことはあるがな。さぁ、武器を構えるがよい」
ゆっくりと薙刀を構える鴉天狗。その様子から鈴音は理解する。目の前の鬼は人間の敵ではなく、この義塾で学ぶ侍や巫女にとっての教官のような存在なのだと。結界戦でほかのチームから散々敵意を向けられたからこそ、この鬼からはそうした負の感情が向けられていないことがハッキリとわかる。
なるほど?
相手は敵ではなく、指導者。
ならば鈴音が取るべき態度も変わる。
「────押忍ッ!!」
「む?」
まずは一礼ッ!
アイサツは大事ッ!
「義塾の巫女、日比野鈴音ッ! 未熟者ではありますが、気合と根性だけなら誰にも負けませんッ! ご指導のほど、どうかよろしくお願いしますッ!!」
「……ふむ、実に愉快な人間が現れたものだ。よかろうッ! 天同の迷宮を預かるこの【木枯らし天狗】がッ! 巫女殿の指南役、喜んで務めさせていただこうッ!!」
戦闘開始であるッ!!
初手、鈴音が選んだのは木刀を構えての“待ち”であった。威勢の良い口上に対して消極的とも見えるかもしれないが、なにせ彼女がまともに能力者と戦ったのは彼方が初めての相手ときたもんだ。勢い任せに突っ込んだところをカウンターで問答無用に叩きのめされるパターンを何度も体験すれば未知なる敵相手には慎重さも身に付ける。組み手は本番じゃないので多少はっちゃけてもセーフだから。
迷った上での妥協によるモノではなく、勝利のための布石として返しの姿勢を選んでいる。その程度、何百何千という義塾の能力者たちを相手にしてきた木枯らし天狗であれば一目で察するなど容易いこと。ならばお望み通りに先手を打ってやろうと薙刀に風の妖気を纏わせて縦一閃に────斬撃を飛ばしたッ!
正面からの直線的な軌道。
威力は有れど速度無し。
これまで友人たちとの模擬戦で散々に撃ち込まれてきた魔法スキルに比べれば脅威というほどでもない。迫る風の刃を最小限の動きで回避した鈴音はそのまま“2発目の刃”も地を這うようにやり過ごすッ!
「ほぅ……?」
(へっ。いかにも避けてくださいって攻撃、こんな簡単な仕込みになんて誰が引っかかるかよッ!)
誰が引っ掛かるかと問われれば、答えはそこそこの人数の義塾生たちがここで首を落とされている。主に1発目の風の刃は簡単に回避できるよう加減してあると気付けなかった侍たちが、この程度の攻撃など余裕で避けられると調子に乗ってそのままポロリのパターンが多い。
もちろん誰かさんのせいですっかり疑い深くなっている鈴音は軽い攻撃が来たからといって油断したりはしない。続いて放たれる左右の袈裟懸けによる風の刃もひとつ、ふたつと最小限の動きで丁寧に避け、
ならば打ち合う資格アリと判断した木枯らし天狗が薙刀による斬撃を繰り出した。相手の力量を確かめるため威力より速さを重視した連撃は、生半可な受け方をすれば瞬く間に霊気のガードを削り切り生命力まで奪い取るッ!
これを鈴音は木刀を両手で構え真っ向から受けて立つ。反撃の一切を捨てて、全力で斬撃と刺突のコンビネーションを捌きに掛かったッ! 暮間棗はもちろん、祁答院更紗も、無銘凪菜も、現状の日比野鈴音と比べれば格上も格上。ならばステータスの差による耐性スキルや見切りスキルの成長も適用されて当然。様子見程度の攻撃であればなにも問題などないッ!
「善き哉ッ! ならば、こういうのはどうかッ!」
「……? 風の盾? いや、コイツは……身体が、吸い寄せられッ!?」
「ほぅッ! これにも抗ってみせるとはなッ! 果たしてどこまで耐えられるのか、見せてもらうとしようッ!」
木枯らし天狗の前に出現した薄緑色の壁。一見すると防御のために張られたように見えるそれは、相手を吸い寄せ体勢を崩すための攻撃手段であった!
人体の構造、そして普段の戦闘経験。それらは正面から押してくる力に対抗する手段を鍛えてくれることはあっても、後ろから前に働きかける力への対処まで教えてくれることは少ない。
近くにある侍も遠くにある巫女も、装備が軽くとも重くとも、一切合切まとめて引き寄せられてしまえば無防備になる。そして死にゲーのボスキャラというものは序盤であっても全ての行動がプレイヤーを潰すことに繋がっているもの。充分に距離が詰まったところで木枯らし天狗が薙刀を振るい、風の壁を散弾の如く弾き出すッ!
だが。
「うぉぉぉぉッ!! ……っと、芸達者なことだなアンタッ!」
「この距離で避けるか。単身で挑んできたのは伊達ではないようだな。ならば私もいま少し────むッ!?」
異変。
恐らく本人は気付いてない。
だが正面から向かい合っている木枯らし天狗がそれを見逃すことはない。目の前の人間が、日比野鈴音が、その両ノ眼に陽炎のように淡く、しかし確かに鮮やかな紅い輝きを宿し始めたことをッ!
(アレは……微かに妖力の気配? だが、この巫女から感じる霊気の気配は間違いなく人間のもの。いったいなにが────いや、この妖気は鈴鹿様の……ッ! 混血……この巫女殿は、鈴鹿様の御息女かッ!)
(これが、戦い……これが、本物の戦い……ッ! 模擬戦でもねぇ、結界戦でもねぇ、義塾でやってる模擬演武とも違ぇ! テレビやネットでみる公式戦でもねぇッ! これが、鬼と戦うってコトかッ!! ハハッ、コイツは……とんでもなくしんどいが、とんでもなく面白ェッ!!)
プリズムダストのメンバーとして戦っているときとも違う。
暮間の家で模擬戦をしていたときとも違う。
水守蔵人と道中の攻略をしていたときとも違う。
そもそもこの世界の日比野鈴音が能力開発コースに転科した理由が原作ゲームとは違う。己の無力さを突き付けられ、頼まれてもいないのに責任感を拗らせて、仲間のために自分が強くならなければいけないと思い込んで力を求めるところから物語が始まる存在しない何処かの誰かとは違う。
この世界の2代目ヒロインは自らの限界を試すためにここにいる。本物の、プロの侍(学生)と拳を交えることで暴力の恐怖とはどういうものかを叩き込まれた上で強くなることを選んでいる。その目的は自らの暴力性に向き合うという意味合いも含んでいるが、その過程は結局のところ自分がどこまで強くなれるか試してみたいというワガママにある。
ならば、強敵との戦いに昂ることを躊躇う理由があるのか?
ならば、誰かに遠慮することのない戦いに心躍ることを恥じる理由があるのか?
ならば────腹の底から湧き上がる闘争本能を受け入れて、その身に宿る鬼神の血に目覚め始めたことを咎める理由がどこにあるのか?
「なんたる奇縁。だが面白い。……巫女殿は、どうやらこの程度の持て成しでは些か物足りないご様子とお見受けするが。如何致す?」
「答えようッ! アタシは、日比野鈴音は売られたケンカは言い値で買い取る主義だッ!!」
「承知ッ!!」
愉快さを一切隠さない声色で、木枯らし天狗が首から下げた数珠を引き千切り周囲にばら撒くッ!
「怨、転、空、瀑────ッ!!」
「これは……周囲の景色、いや地形そのものがッ! ハハッ、こりゃスゲェやッ! まさに絶景かな、絶景かなってヤツだなッ!」
紺碧の空。
鈍色の山脈。
普段、見上げていたはずの雲海は眼下にあり。
そして、ひとりの人間とひとりの鬼が向かい合うは連なる岩山の天辺を切り取ることで拵えたかのような戦いの舞台。
「我が領域、裏界【深山空路】の景色がお気に召したのであればなによりだ巫女殿。────木枯らし天狗改め、鬼豪【白南風天狗】が全力でお相手仕るッ! 疾ッ!!」
「ッ! 風の妖気……追尾レーザーとか、シューティングゲームのボスキャラかよッ!?」
得物は薙刀から錫杖へ、横薙ぎと同時に放たれるは風属性の太矢。それが複数本、曲線的な動きで鈴音を穿たんと襲い掛かるッ!
しかしそこは不良少女、ゲームセンターでの経験が活きる。追尾型の攻撃というモノは、ギリギリまで引き付けてから一気に避けるのが定石。
原作ゲームでも一瞬のタメからステップやローリングによる回避が有効だったように、広がっていた風の太矢がある程度集まってくるタイミングに合わせて回避を成功させた鈴音であったが。
(なッ?! オイオイ、避けたら今度は竜巻になるなんてズルくねぇかッ!? これ、もしかしなくてもマズい流れに)
「他所見とは余裕があるなッ! どうやら加減など無用ということかなッ!」
「チィッ!!」
発動時に多数の太矢が1度拡散する。その性質を逆手に取り初動で距離を詰めれば勝機はある。
だが白南風天狗とて己の技の特性など百も承知。鈴音の回避方向を見定め、太矢が集合して発生する竜巻を軸にした位置取りに隙はない。
ふたつ。
みっつ。
鈴音が飛来する太矢を避けるたびに、それらが集い竜巻が生成され場を占領する。攻撃的な妖気を孕んだそれに触れればどうなるかなど試すまでもない。良くて大ダメージ、最悪は弾き飛ばされ空に投げ出されて真っ逆さまに落ちていくことになる。
実はこの竜巻、外からの衝撃にかなり弱い。ロックオンこそできないが、プレイヤーの攻撃に対する当たり判定が甘く簡単に破壊できるのだ。
通常攻撃でも、スキルに巻き込んでも、外れた投げナイフなどが掠めても、なんなら最も攻撃力の低い石つぶてをぶつけるだけでも壊せるのでギミックにさえ気付ければ対処もそれほど難しくない。
だが、そんな特性など鈴音が知る由もないワケで。竜巻による支配率の変動が身体的にも精神的にも大きな負担となり、回避に精一杯の状態では何事かを試して状況の打破を試みる余裕も無い。
(クソッ! どうする……ッ! いや、まずは落ち着け、落ち着いて相手の動きを見るんだ。1番、やっちゃいけないのは、思考と、動きを、止めることッ! とにかく天狗のヤツがなにしてくるか、目を逸らすんじゃねぇ……ッ!)
「頃合いか。まだまだ馳走の振る舞いはこれからだぞ巫女殿ッ!」
ばさり、と背中の羽を鳴らし高く飛び上がる白南風天狗。
そのまま竜巻の上に降り立つ、のではなく。落下の勢いのまま渦巻く風の中心を踏み付けることで竜巻を爆発させたッ!
「避け────いや、受け止めるっきゃねぇッ!!」
足腰を踏ん張り、両腕を交差させ、歯を食いしばり、全身を包み込まんとする爆風に対抗するッ!
その衝撃は全身を貫くかの如くであり霊気のガードはボロボロに剥がれてしまった。生命力までその衝撃波が届かなかったのは不幸中の幸い……などではない。
先の風の刃が避けさせることを目的としていたように。
この暴風は受け止めさせることを目的としているのだ。
生命力にダメージが無いのであれば耐えようはある。そう考えた鈴音は回避行動を選択肢から外して全身の霊力を防御に注ぎ込んだ。爆風に巻き込まれるたびに霊気のガードは剥がされるが、全てのリソースを守備に割り振っている状態であれば張り直しも難しくない。
その考えこそが白南風天狗の罠であった。
チリッ……と。額に熱と痺れる感覚。
咄嗟に木刀を構える。
瞬間、凄まじい衝撃が空から落ちてきたッ!!
「ぐぉ……ッ!?」
「良く反応したッ! だが無意味ッ!」
霊気のガードは暴風で削り切られている。そこに錫杖の打ち下ろしを受けたことで鈴音の腕は限界に近い。
狙い通りと言わんばかりに白南風天狗がトンボ蹴りを放ち、完全に鈴音が死に体となったところへ風の妖気を纏い突進するッ!
直撃。
ここまでの戦闘で初めてまともに受けた攻撃。だが手加減無しの一撃は鈴音を吹き飛ばすには充分な威力であり、手放された木刀は戦場の外へと弾き出され回収など望めない。
並の能力者であれば諦めて次を見据える場面。
そう、並の能力者であれば諦める。
だが日比野鈴音は並の能力者ではない、世界の理が選んだメインヒロインにして無銘彼方によりちょっと間違ってる侍の生き様を常識のように植え付けられてしまった2代目スーパーヒロインなのだッ! たかがメインウェポンを失った程度で戦意喪失などあり得ないッ!!
(……良い眼をしている。さすがは鈴鹿様の────いや、この考え方は不躾だな。人間の強さとは心の強さ、それは本人の意志と努力により培われるもの。それを血の色や濃さだけで語るのは、巫女殿に対する侮辱でしかあるまい)
しゅらり、と。
白南風天狗が再び錫杖を構える。
ぎしり、と。
日比野鈴音が応えるように拳を握る。
始まる攻防、先ほどまでと同じように。
風の太矢。
避ける。
竜巻。
避ける。
飛翔する白南風天狗。
暴風。
受ける。
暴風。
まだ受ける。
(これで終わるか、それとも起死回生の一手を見せるか。さぁ、どうする混血の巫女殿よッ!!)
上空からの錫杖による打ち下ろし。
対するは。
「────ラァァァァッ!!!!」
拳による打ち上げであるッ!!
武器が無ければ拳で殴るがヒロイン式ッ!!
「ぬぅッ!? だが、まだ終わらんぞッ!!」
「上等だオラァァァァッ!!」
白南風天狗のトンボ蹴り、それを弾くは日比野鈴音の肘によるかち上げであったッ!! 拳が砕けたなら腕を打ち付けるがヒロイン流ッ!!
「むぅぅッ!? その気迫、見事ッ!! ならば最後まで抗ってみせよッ!!」
この一撃、いまの鈴音では受ければエーテル粒子化は免れない致命の一撃。風を纏った弾丸の如き突進が肉体ごと命まで穿たんと放たれたッ!!
「────うるぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!」
「ぎぃ……がぁッ?!」
拳が砕けたのなら。
腕が千切れたなら。
人の身体の中でも特に重く最も頑丈な武器である頭を叩き付ければいいッ!! それがヒロイン道ッ!!
これにはさすがの白南風天狗も動きを止めた。まるで目の前で火の玉が爆発したかと錯覚するほどの驚愕と衝撃。自分自身の突進の推進力に加えて、鈴音が全身全霊で踏ん張りを利かせたことで岩山に激突したも同然なのだ。いくら人間に比べて頑丈な鬼豪の肉体といえど痛いものは痛いし視界だってクラクラする。
だが、白南風天狗以上に鈴音のダメージは深刻だった。拳と腕が完全に破壊されていることからもわかるように、鈴音は暴風を受けたさいに剥がれた霊気のガードを張り直していない。全ての霊力を攻撃のためだけに使っていたのだ。
その状態での頭突きである。反動による損傷は、脳髄を含めて臓器の全てがシチューのようにドロドロに崩れるほど。気合や根性といった精神論ではどうにもならない、人体の構造としての限界。もはやうめき声すら出せぬまま、鈴音のエーテル粒子化が始まる。
そして。
「……末恐ろしいとはこのことか。いま、この場で加護を与えても良いと思えるほどに。もっとも、その手に勝ちを掴むまでは素直に受け取ってくれそうにもないが」
武器が無ければ拳で殴れ。
拳が砕けたなら肘で殴れ。
腕が壊れたなら頭で殴れ。
それでも駄目なら?
答えは簡単、死の間際まで眼で射殺せッ! それがスーパーヒロインの生き様であるッ!!
りざると♡
✕すずね VS しらはえてんぐ◯
なぎな VS ???
ましろ VS ???