タフネス系乙女ゲー主人公VS一般転生モブ兄妹VS出遅れたイケメンども。 作:はめるん用
戦闘シーンでネギが登場しても「なんで?!」とならずに「どれだ……?」となる民族は日本人だけだと思うので初投稿です。
「ンッン〜♪ 久しぶりの現世の空気は“目に染みる”ねぇ〜♪ ヒヒッ、ぶっちゃけワナの可能性も疑っちゃいたが……どうやらオレサマは運が良かったらしいな?」
「そんな一か八かで現世に渡る出入り口を見つけるとは、鬼さん上半身が目玉だらけなだけあって、まさに目の付け所が違うってかい? やっぱり目薬も上等なの使ってんの?」
「モチのロンよ。ちゃあ〜んと薬屋兎どもに対価を支払って真っ当な取引きで購入した上等なヤツをな。ニンゲン、テメェも常世に遊びに来ることあんなら覚えておきな。連中、相手が誰でも商売なら話を聞いてくれっからよ? 儲け話には“目が無ぇ”連中だからな」
「兎の薬屋、ね。言葉の響きだけならファンシーなお店屋さんって雰囲気だが、常世に旅行は遠慮したいところだな」
「ヒヒッ、つれないねぇ……ッ!」
それは、辛うじて人型と言えなくもない造形。
胸の部分を突き破った肉塊がそのまま頭部としての役目を果たしているらしいが、大きさも並びも数さえも出鱈目に眼球が並んでいる。
口らしき部分が首の横にあるので会話は可能なようだが、2倍ほどに伸びた胴体や腕にも散りばめられた目玉が一斉に視線を向けてくる様子のほうが気になって仕方ない。
ベースとなった島崎は……肩の部分に顔らしきものが残っている。口の部分がすっかり歪んでしまって声は出せないようだが、微妙な動きと、顔の部分だけエーテルの色合いが違って見えることから意識はあるのだろう。この場合、正気を失っていたほうがマシだったかもしれないが。
(全身が目玉だらけ、原作知識の中で一番近いのは見た目そのままズバリ【多眼鬼】かな。キャラクターとしては人間との戦いを好む鬼で、基本的に戦意を喪失した相手には興味無し。襲ってくる相手以外は喰わない主義だったが……こんな状況で雑談が通じる程度には原作通り、と)
内側から引き裂かれた皮膚からドス黒い血のようなものが滴り落ちていることも合わせ、実に化け物らしく不気味な見た目であっても、彼方は特に気にすることもなく冷静に多眼鬼の様子を観察していた。
エーテル感知能力を地道に鍛えていたおかげで、初見で島崎が手遅れだと見抜けたこと。原作知識によりデモンシードの暴走という展開を予想して、鬼との戦闘を含めて心の準備が完了していたこと。気持ち悪いとは思いつつ、動揺して隙を晒すほどではない。
ただ。
(なん、だ……アレは……ッ!? 妖気……鬼、だと……ッ!? バカ言え、あんなの……義塾の迷宮じゃ……それに、スカウトされる前だって、オレたちは迷宮の鬼と戦ったことが……く、そぉ……寒気が、止まらねぇ……ッ!!)
世界が愛するメインキャラクターのひとりとはいえ、いまの銀城海斗に常世の鬼が放つ瘴気は刺激が強すぎたらしい。
仲間たちの手前もあって、情けない姿を見せるワケにはいかないと歯を食いしばってはいるものの、多眼鬼が本物の“人間の天敵”であることを肌で感じているのだ。
単純な格付けだけならば多眼鬼は鬼豪の下である鬼士に相当し、ステータスだけで比較するなら海斗とて勝てる可能性はゼロではない。……のだが。
(黄泉戦の加護が反応している……多眼鬼の放つ常世の風が……迷宮の鬼と常世の鬼の違い、ゲームではタダのフレーバーテキストみたいなものだったが、この世界ではちゃんと仕事してんだな)
以前、炎翁が放った覇気は広範囲の人間を蝕んだ。死者こそ出なかったものの、今でも日常を取り戻すために入院や通院を繰り返して辛い思いをしている者たちがいることだろう。
今回、多眼鬼が纏う瘴気はそれとは真逆と言ってもいい。時間経過で倉庫の中を満たすのが限界だとしても、それは人間にとって死に至る病も同然であった。鬱イベントを阻止するために彼方が足止めした浅い領域の鬼とは違う、常世の深層を住処とする鬼はそこに存在するだけで人間にとって脅威となるッ!
黄泉戦の加護を持つ彼方に影響無し。
鬼より変じた睡蓮もまた同様。
なれど、それ以外の者たちはそうはいかない。海斗でさえも常世の風に影響され始めているのだ、解毒が済んでも怪我や体力の消耗はそのままのメタルウルブスのメンバーたちの命が削られるまでのタイムリミットはそう長くない。
当然、デモンシードを取り込んでしまった島崎の取り巻きたちなどはもっと深刻な状況にある。半端に体内に妖力を蓄えている状態である彼らが常世の風に強く影響されるのは当然のこと。服用しやすいよう希釈したお薬ではなくいきなり原液を浴びせられているようなものだ、侵蝕は加速し鬼さんこちらするのも時間の問題だろう。
と、長々と状況を説明したが……簡潔にまとめると“鬼との能力差を埋めたら今度は特殊リミット系バトルを強要されたでござる”といったところか。
ステータスを強化したからこそ実力の近い鬼が相手では瀕死の爆発力に頼る戦い方も難しい。調整そのものは簡単だろうが、それに時間を使っている間に海斗たちが手遅れになったのでは意味がない。
せっかく原作ゲームの知識を活かしてステータスを鍛えたのに戦いが楽にならない、いったいどうしてこんなことになってしまったのか天井付近で足をプラプラさせてご機嫌に観戦している例のアレにも意見を聞いてみたいところだ。
「…………ふぅ」
「…………キヒッ!」
────両者、動かずッ!!
無銘彼方はタイムリミットまでに多眼鬼に致命傷を与えて常世に追い返さなければならない。
銀城海斗にはまだ猶予はあれど、デモンシードの服用者たちが完全に変質してしまえば、それが呼び水となり新たな常世の鬼が出現してしまうだろう。
確実に仕留めるためにも、冷静に与えられた限られた時間を使い身構える。
多眼鬼は無銘彼方が常世の空気に触れてもまったく影響を受けていないことを警戒していた。
ただ強力な加護を持っているだけではこうはならない、闘神や武神といった戦闘に特化した神霊の特別な加護を持つ能力者でなければ常世の狂気に耐えられないのだ。
久方振りの現世、想像より上等な獲物。勝敗にこだわりは無いが、簡単にトンボ返りしたのでは勿体ない。
短期戦を強いられているが故に慎重になる彼方。
長期戦を望むが故に余裕に構える多眼鬼。
心模様は欠片も重なる部分はないのに互いに迂闊に動けないのは同じというワケのわからないシンパシー。いや、共感してるかこれ? どちらかというとお互いに道を譲ろうとしたら唐突に高度なディフェンスのテクニックを披露してしまう事故に近いのではなかろうか。
尚、それを観戦している者たちの精神は順調に削れていたりして。
(これが……本物の……ガチの、戦い……ッ!! 息苦しい、でも自分の呼吸する音が切っ掛けで睨み合いが崩れるかもしれねぇと思うと……呼吸も……クソッ! 心臓の音がバカみてぇにうるせぇ……ッ!!)
だいたい気のせいであるッ!!
海斗本人はそれを試合ではない死合のプレッシャーによるものと誤認しているが……何割かは単に常世の風、つまりは高濃度の瘴気に当てられたことにより体力が削られているだけなのだッ! それはそれで充分ヤバい状態なのだが。
同じように、メタルウルブスのメンバーも。
彼方に殴り飛ばされて倒れていた取り巻きたちも。
誰も動かない。
誰も動けない。
ぽたり……と。
黒い血の落下音、ひとつ。
ぽたり……と。
黒い血の落下音、ふたつ。
そして。
「…………」
無銘彼方、ゆらりと動くッ!
その手には白鞘の刀が実体化され、多眼鬼も、海斗も、誰もがついに戦いが始まるのかと身構えるッ! ……が。
「ホレ」
「は? ────うぉッ?! お、おいッ!?」
「持っておけ。気休めにしかならないだろうが、常世の瘴気からお前たちを守ってくれるぐらいの効果はあるかもしれないからな」
正面から視線を動かすことなく、彼方は草薙のレプリカを海斗へ投げ渡した。どのみち余裕のない戦いの最中で試し切りなどしている場合ではなく、ならば短剣から短刀へ生まれ変わった相棒に全て託したほうが無茶が利くので勝率も上がると判断したらしい。
実際のところ効果は無いこともない。タダの美術品や歴史的資料の一部として永々と保管されていただけの置物であればもちろん別だったが、このレプリカは歴史の表舞台で脚光を浴びるようなことはなくても侍たちの手に有り鬼を斬り人を護ってきた事実がある。
ついでに。
「────ッ!? アレは……ッ!?」
レプリカを受け取って視線を彼方に戻せば、一瞬だけだが神霊らしき武人の姿が薄っすらと背後に見えた。刀剣類に適性を持ち斬撃属性の熟練度が高く世界の理から愛され主人公である日比野鈴音とロマンスをする予定のイケメンであれば、無事を祈り見送った日本武尊の神気を感じ取ることなど容易いことッ!!
「ヒヒッ! なんだ、面白そうなオモチャを出したと思ったのに使わねぇのかよ。ま……ソッチの短刀も普通の得物じゃなさそうだがな?」
「そうでもないさ。コレ、学生が錬成した武器を打ち直してもらったヤツだからね。いちいち数えるのも忘れたぐらいには愛用しているつもりだけど」
「謙遜するこたぁ〜ねぇよニンゲン。そういう道具のほうが新品の業物よりも活躍したりするモンだし、そういう武器を使う侍ってヤツのほうがご立派な鎧兜を引っ提げてるヤツよりも厄介だったり────するからよォォッ!!」
「────ッ!?」
一閃ッ!!
多眼鬼の眼球のうちひとつが怪しく光り、まるでレーザー光線のように射出された妖気が彼方の腕を掠め斬り裂いたッ!!
原作知識により予備動作を知っていた彼方だからこその回避。それでもプレイヤーに避けてもらう前提のゲームとは違い、明確に殺傷を目的とした鬼による攻撃である。直撃して腕を貫かれなかっただけでも良い反応といっていい。
すかさず彼方は腕の怪我を治療する……のではなく、傷口に交差するように短刀を走らせた。原作の戦闘では確率で行動不能になる麻痺を付与する攻撃だったが、フレーバーテキストが真面目に仕事をするのであれば傷口が“開眼”して腕を支配されるかもしれないと判断したのだ。
「……テメェ、なにを知ってやがる?」
「さてね。教えたら答え合わせでもしてくれるのかい?」
「キヒッ♪ そうかよ。だったらお喋りしたくなるよう、少し“痛い目”を見てもらうしかねぇよなぁ……ッ!」
多眼鬼、テンション上がる。
いうてタイムリミットさえなければ彼方も回避の練習になると言ってノリノリで付き合ったであろう場面なので、本質的にはどっちもどっちなのだが。
残念ながら今回はそうもいかない、ということで多眼鬼の反応から前世の知識通りの効果があるとして彼方は距離を詰めることにした。もしも被弾したとして急に動けなくなる麻痺よりは、開眼までのタイムラグを攻め時に使えるだけチャンスがあると考えた。
しかし相手はこれまでの立場や格付けに対してやたらめったらフットワークの軽い強敵よりは能力的にマシとはいえ、それでも常世の深い領域で生きている鬼なのだ。
現世の空気を楽しむ余裕がある程度には人間との戦闘経験があれば、彼方のように眼光の特性を理解して割り切った攻め手を選ぶ侍を何人も喰い殺してきた猛者であれば。
「おぉっと、目が滑ったァ〜♪」
再び放たれる閃光ッ!!
それは彼方を狙うモノではなく、その背後────デモンシードの中毒症状が悪化し始めた不良少年を貫く軌道ッ!!
「チィッ!?」
「お? イイ反応するじゃねぇ〜の。じゃあよ? オレサマの、この【目貫】の本数を増やしたらどうなっちまう────かなァァッ!!」
弾くッ!
弾くッ!!
ひとつ、ふたつ、多眼鬼の遠距離攻撃スキルである目貫をどうにか短刀で弾こうと試みる彼方。上昇したステータスと豊富なスキルが多少は馴染んで噛み合ってきたこともあり、超速の閃光にもどうにか反応できていたが……やはり、数を撃たれれば限界はある。
みっつ。ギリギリで回避が間に合わず。もちろんそれは多眼鬼がそうなるように狙って放ったモノ。上半身が目玉だらけの姿は伊達ではなく、この短時間で彼方がどの程度動けるのか大凡のアタリをつけたのだ。間に合うオトリを先に置いて、あとは本命を少し掠らせればそれでいい。
これで2箇所目。対処法は知っているし簡単ではあるが、霊気を纏わせた短刀に付着する血液が自前ばかりという状況はまったくよろしくない。侵蝕してくる妖気を切り払うために必要とはいえ、このまま傷が増えれば運動量にあわせて出血量もかさんでしまう。
(……仕方ない。ここが俺の分岐点になる、か。いいだろう、弱者の戦い方ってヤツを目に物見せてやるさ……)
弓のように。
獣のように。
技量と俊敏を兼ね備えた筋肉の動き。多眼鬼を軸にほんの数メートルほど旋回し、そのまま勢いを落とすことなく正面から飛び掛かるッ!!
(キヒッ、ヒヒヒッ! なぁ〜るほど? 避けられないなら正面から弾けるように位置取りをすればいいって“目論見”か。確かにィ〜? 明後日の方向に目貫を放とうとすりゃ正面がガラ空きになるわなァ。周りでブッ倒れてるニンゲンを見殺しにするつもりか。なかなか渋い戦いすんじゃねぇ〜の。でもよ)
意図的に選択肢を潰した。可能性を潰して、人質が機能しないような戦法に切り替えてきた。どうやっても間に合わないのであれば反応する必要はない。
戦意を失った相手や喰らう予定の無い相手は無闇に殺さないという自分ルールを持つ多眼鬼にとっては、まるで自分のポリシーを見透かされたかと錯覚するほど不気味で効果的な立ち回りであった。
だからこそ、遠慮する必要はない。
「────まだまだ見通しが甘ぇんだよニンゲンちゃぁ〜ん! キヒッ♪ 卑怯者と罵ってくれても構わんぜぇ〜、こちとら鬼神や鬼仙みてぇなデタラメな強さは持ち合わせていねぇモンだから、よォッ!!」
多眼鬼の使うスキル・目貫はレーザー光線のような攻撃だが、それは見た目の話であってレーザー光線そのものではない。
あくまで妖気をそうした形状で飛ばしているだけなので、ほんの少し力加減を変えてやれば……軌道を歪ませて彼方の背後でうずくまる取り巻きを狙うことだって可能なのだッ!
さぁ、どうする? と。
弾くならば間に合うだろうが、それで隙をさらせば正面から土手っ腹を撃ち抜いてやるぞ? と。
敵意でもなければ悪意でもない、純粋に現世で侍と戦うことを楽しむ多眼鬼は次弾装填のため文字通り“目を輝かせて”彼方がどう動くのかワクワクしながら待ち構える。
そして。
「────ひぎゃぁッ?!」
ついに、妖気の閃光が胴体を撃ち抜いたッ!!
「……キヒッ、ヒ、ヒヒ……ッ! て、めぇ……やり、やがった……なぁ……ッ!」
「卑怯者と罵ってくれて構わないよ。ほかに手段は無かったからね、確実にお前を仕留めることを選ばせてもらった」
多眼鬼の予想通り、彼方は人質となる取り巻きたちを見殺しにすることを選んだ。但し、それは多眼鬼が予想したように仕方なく選択肢を潰したのではなく……意図的に囮として、積極的に活用するという形でだ。
貫かれたのは背後にいた取り巻きのひとり。直線上に並べば、自分の動きをコントロールするためにそちらを狙うだろうと予測した。
案の定、対処しなければ後ろの人質に当たるぞと目貫を歪ませて放ってきた。あとはそれを完全に無視して懐に飛び込めばいい。死んだらそいつの運が悪かったのだと開き直って。
これには柱の上の冥界童女もニッコリである。心の内はともかく、非情さを伴う決断を、覚悟を行動で示した彼方を見守るその表情は母性と慈愛に満ちた穏やかで優しい微笑みであった。心の内はともかく、推しが苦難の道を自らの意志で選び踏み越えようとしているのだから喜びの感情が顔に出るのも仕方ないことなのだろう。心の内はともかくとして。
「侍がぁ……鬼を、相手に……ニンゲンを、見殺しにする……たぁ、なぁ……侍が、そこまで……手段を……選ばねぇ……のは、まさに“目からウロコ”だぜ……テメェ……ニンゲンに、しては……なか、なか……おもし……れぇ、じゃねぇ……か…………キヒッ!」
(エーテル粒子化……常世に紐付いているから死ねばそのまま還るのか……どうせなら撒き散らした瘴気も一緒に片付けてくれれば良かったのに。しかし、こっちもぶっつけ本番だったが効果あって助かったな)
体内のエーテルや霊力がデモンシードの服用により妖力に侵蝕されることで鬼となる。なら、全力で無理やり霊気を流し込めば普通に攻撃するより効き目があったりするのではなかろうか?
都合良く愛用の短刀は自分の血で汚れている。学園の授業ではもちろん、表向きの法術の使い方として血液を触媒にする手段は存在しないが、そんな秘匿など転生者である彼方には無意味でしかない。
「いでぇ……いでぇよぉ……しぬ、しんじまうよぉ……」
「なぁ、アンタ。あれ、放っといて大丈夫なん……ですか?」
「痛いのは生きてる証拠だ。それぐらいは我慢させときゃいい。それに簡単には死にはしないさ。デモンシードの副作用で半端に鬼になりかけてるからな、生命力も再生力も人間とは違う。元の純粋な人間に戻れるかは……これから連絡する医療スタッフたちの頑張り次第、だろう」
「鬼に……。あと、その。島崎のヤツはどうなって……?」
「たぶん、常世で復活するんじゃないかな」
「え?」
「アレはもう完全に人間じゃなくなってたし。詳しい説明は省くけど、常世との繋がりができちゃってたから、向こうで復活すると思うよ。結界も無いのに人間がエーテル粒子化したのは、ここじゃない何処かに復活地点が設定されてしまったから……なんだな、コレが」
「マジかよ……マジかぁ……あいつ、自業自得とはいえ……もう、人間じゃねぇ、っていうか……帰ってこれねぇ、のかよ……。それで、オレたちは、その……どうすれば」
「しばらく大人しくしておけ。鬼の瘴気も消えてない。とにかく、なにをするにしても応援を呼んでから……いや、正確には応援が到着してから、だな。あ〜、ひと仕事終わったらハラ減ってきたわ……」
戦闘の疲れからか、銀城海斗の言葉遣いが明らかに同年代相手のそれとは違う雰囲気になっていることに気付かないままタブレット端末を取り出す彼方。
アルバイトとして引き受けたからには報告の義務があるので勝手に帰るワケにはいかないが、それとは別に今夜はもうこれ以上面倒なことに巻き込またくないと願いながら。もちろん巻き込まれるのでご安心を。
世界の理
『あぁん? モブキャラが鬼になってイケメンとエンカウントしてるってぇ? そんなもん放置でいいだろ、メインキャラクターがストーリーに関係ないモブを相手に負けるはずかないんだから。どうでもいいわ寄り道ですらない有象無象のイベントなんか』
冥界童女
『やっぴー☆ 好き勝手していいって許可が出たので今日も推しの活躍を存分に楽しめましたぞ♪ デュッヘッヘww』