タフネス系乙女ゲー主人公VS一般転生モブ兄妹VS出遅れたイケメンども。   作:はめるん用

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 意外にダメな大人を出す理由が難しいと気付いたので初投稿です。



(主人公が活躍するための)舞台裏について本気出して考えてみたら。

 異世界転生や召喚勇者が活躍するためには現地の人々、特に王族や貴族が無能でなければ見せ場が無くなるように。

 少年探偵や学生探偵などが事件を解決するためには大人の警察官たちが重要な証拠を見逃す必要があるように。

 

 鬼切姫・弐のメインストーリーで2代目ヒロインたちが関わることになるデモンシード対策部隊の隊長は真面目で優しい正々堂々とした無能である。

 

 医療スタッフほか解析班など必要な人員を派遣してもらうために、茅宮女史の紹介で知り合った対策部隊の相談役に連絡をするとき彼方はひとつ仕込みを入れてみることにした。

 ストーリーの後半が始まるころ、鈴音たちがデモンシード中毒者を制圧したときに医療スタッフに偽装した黒幕陰陽師たちへそのまま引き渡してしまう場面がある。このタイミングで警戒を促せば、そのイベントを潰せるのではないかと考えたのだ。

 

 医療班だけを先行させるのでなく解析班や警戒のための戦闘班も必ず足並みを揃えるようにお願いする。その理由付けとして戦闘中に不審な気配が複数監視していたというそれらしい嘘も添えて。

 

 この連絡を受けた相談役の女性は納得と共に了承したが、上司である隊長の判断は“人命優先”ということで医療班の準備が完了したと同時にGOサインを出してしまったのだ。

 もちろん相談役にして補佐官でもある女性は説得を試みたものの、安全に配慮するなら自分が同行すると数人の部下を連れて隊長自らのご出陣である。対策本部を空にして。

 

 

(あ〜、いたなぁそんなキャラ。疲れてて全然、頭、回ってなかったわ。現場主義と言えば聞こえはいいけど、優秀な選手が優秀な監督になれるワケじゃないっていうアレね……。まぁ、人命優先って考え方は俺も賛成できる部分ではあるんだけど……どうなんだ? これ)

 

 

 彼方は自分が冷静さを保てている理由が原作知識に由来していることを自覚している。だからこそ、デモンシードに関する情報がまだまだ少なく理解が乏しいのであれば、隊長の判断も完全には否定できない。重要な判断を決定するべき立場の人間が非常時の連絡をスムーズに繋げない状況という部分は普通に否定したいとしても、だ。

 

 善人ではあるので部下からも慕われているし、だからこそメインストーリーでは鈴音たちのことも所詮は学生と侮ることなく協力関係を結ぶことができる。

 島崎に関してなるべく客観的な事実だけを伝え犠牲者としてカウントする形で報告したときも、犠牲を最小限に留めたことを評価し労いの言葉をかけてくれるぐらいには人格も上等なのは間違いない。

 

 

 こんな具合に性格的には問題ない、のだが。

 

 

「……綺麗サッパリ、ッスね」

 

「隊長さんとその部下の皆さん、侍としても巫女としても優秀なんだろうな。常世の瘴気も全部祓ってるし、なんなら床に落ちてた鬼の体液とかも浄化しちゃったねぇ。ハハッ、こりゃ解析班の人たちは仕事に困るぞ〜」

 

 

 海斗の皮肉った呟きに戯けて答える彼方。

 

 通話や会話の内容からただのチーム同士の縄張り争いではなく重大な事件に巻き込まれつつあることを理解させられたメタルウルブスのメンバーたちから見ても、その調査の証拠となりそうなモノをまとめて除去してしまった光景はかなりの問題行動として映ったらしい。

 しかし医療スタッフはそんなことはお構い無しに手際よく、テキパキとデモンシード中毒者たちに応急処置を施して救急車両に積み込んだ。その怪我の原因は多眼鬼の攻撃を受けたひとりを除いて彼方がケルナグールしたことによるものという事実は置いておくとして、隊長の男性から一緒に治療を受けるよう誘われたのを丁寧に断ったメタルウルブスの気持ちもわからなくはないというもの。

 

 

(大人が事件を解決したらゲームにならない、か。だったら、それはこの世界の場合はどういう要素が作用している? 意図的に、正義感が暴走して現場を乱すような人選をしているならば……黒幕陰陽師と繋がっている義塾関係者がデモンシード対策部隊の人事に口出しできるとすれば、あるいは……だな。真面目に事件解決のため頑張ってる人たちが報われないねぇ)

 

 

 普通に考えれば隊長の判断は間違いとかそういうレベルではない。事件の現場で救助活動を優先するにしても証拠を気にすることなく全部消すとか犯人側のスパイを真っ先に疑われてもいいぐらいだ。

 だが医療スタッフも、部下らしき戦闘員も、誰一人として疑問を抱いている様子はない。デモンシード中毒の不良たちはそれどころではないのでノーカウントだとしても明らかに異常な光景だと断言できる。

 

 

(銀城海斗とメタルウルブスのメンバーはコレをおかしいと感じている。相談役の女の人も折り返しの電話で隊長さんを止められなかったことを謝っていた。少なくともコレが異世界の常識というワケじゃない。……偽神オモイカネ? 情報を歪める能力がある、みたいな設定だったし可能性としてはあり得るか。なら、余計なことは言わないで黙ってやり過ごすのが正解かな。つまり、茅宮先生が紹介してくれた協力者も無条件で信用してはならん、と……)

 

 

 日比野鈴音を英雄に仕立てるためのご都合主義はこうして整えられるのか、と彼方は苦笑いするしかなかった。

 しかし納得はできる。ゲームでは作品ごとに区切られる人の動きもこの世界では現代の黄龍の巫女が現れたタイミングから地続きで繋がっているのだ。1年もあればデモンシードを拡散するより先に各方面に毒を仕込むことなど容易いだろう。

 

 偽神オモイカネと陰陽師の介入アリの前提で、遅れて到着した解析班と戦闘員を率いる補佐官の女性と隊長の会話を冷静に観察する彼方。

 思い込みと決め付けによる影響が絶対に無いとは言い切れないが、そこにはハッキリと事件に対する温度差、あるいは方針や認識の違いのようなものが見える。

 

 人命優先という方針も、瘴気を放置する危険性も、隊長の言葉は市民を守る侍として間違っていないように聞こえるので補佐官も反論が難しいのかもしれない。

 それでも事件解決のための証拠物件を台無しにするのは違うだろうと言い返せば、そのために目の前の被害者の少年たちを必要な犠牲だとして見捨てるような真似をするのかと抑え込まれてしまう。

 

 正義に基づく正論? の面倒さと厄介さをタップリ堪能したところで、補佐官たちを残し隊長たちは帰還した。貴重な証人、それも当事者たちを確保したのだ。彼らの浄化と分析も事件解決のために必要なことなので、それはそれで真面目に取り組んでくれるならそれでいい。もっとも、それすら歪められる可能性はあるのだが。

 

 

「申し訳ありません。外部協力者である貴方が提供してくれた情報を無駄にしてしまいました。現場の意見を無視するような人では無かったはずなのですが……」

 

「捜査の進展がないまま犠牲者が出てしまった。責任感の強い人であれば尚更のこと、目の前の危機に素早く対応するべきという判断を下すのも間違いではないのでしょう。そのしわ寄せが解析班の方々に押し付けられる形なのは不憫ではありますが」

 

 

 彼方の労う言葉に嘘偽りは無い。なんなら「でも苦労してる大人たちを追い越して鈴音たちが決定的な重要証拠を偶然アッサリ発見しちゃうんだろうな〜」と思えば哀れさ故に涙が出てきそうになるぐらいには本心からの言葉である。

 だからといって原作知識をお出しすれば解決するかと言えば事はそう単純でもない。情報とは内容も重要だが“誰が発信したか”も大事なのだから。チート転生ファンタジーのようにほんの数日でトントン拍子に底辺からSランク冒険者になって国王とか姫様とか偉い人があの人の言うことなら真実に違いないみたいな一瞬で信頼がカンストする爆速シンデレラストーリーでもなければ簡単には信用されないのだ。

 

 逆の見方をすれば、偽神オモイカネや黒幕の陰陽師、そして義塾の裏切り者たちが鈴音の真価に気付くまでは世界が認めた2代目ヒロインという圧倒的アドバンテージが有効とも言える。所詮は学生だからとその実力を疑われている間は警戒されることもないからだ。そこに転生者である無銘凪菜も添えられてバランスも良い。

 

 

(……考えることが……考えることが、多いな。今日はもう……ムリだな、コレ。頭が疲れてる。茅宮先生への報告は一度休んでからにしたほうが良さそうだ。どっか適当に……24時間営業の銭湯的なアレで寝泊まりしようそうしよう)

 

 

 重要な局面では基本的に死に戻りによりグッスリ寝て起きて体力が回復した状態でこれからについて考えることができた。

 今日の戦いは厄介な相手ではあるもののステータスを強化した恩恵もあり生き残ってしまったので体力は消耗したまま回復していない。

 

 どれぐらい疲労しているかって? 離れていく救急車両のサイレンの音を聞きながら「あれ? これデモンシード中毒者の引き渡しイベントのダメなやつやらかしてね?」と気付いたものの「あの島崎とかいうのと違って鬼の依代になったワケじゃないから大丈夫だろ」と思考を放棄するぐらいは死ぬほど疲れている。多少のガバはそっとしてあげて欲しい。

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 無銘彼方が危惧しているとおり偽神オモイカネの加護(呪詛)を得た陰陽師がすでにバッチリ暗躍しているのか、それともシンプルに声高らかに正義を叫んで頭痛が痛くなるような行動を平然と行うヤベェ連中の集まりなのか。どちらにせよアカンのでは? という正論も含め答え合わせは後日の鈴音たちに押し付けることで解決するとして。

 

 

「連中のようにデモンシードとかいう薬を使ってるチームに心当たりがある。同盟を組んでるヤツらに呼びかければ情報も集まりやすいはずだ。オレたちはそれをアンタに提供する。だから……オレたちにも、手伝わせてくれ……ッ!」

 

 

 無銘彼方、本日2回目の思考停止ッ!! 

 

 銀城海斗が提案する情報提供とやらは魅力的ではあった。もとよりシナリオ部分の原作知識には頼れないことも含め、関係者はプレイヤーの選択によりイベント開始まで居場所が固定されるようなことなく流動的な存在であることを踏まえれば、リアルタイムで位置情報を入手できる手段はとてもうま味である。

 

 しかし。

 

 しかし、銀城海斗はメインキャラクターのひとり。日比野鈴音との交流の中で成長する予定の攻略対象なのだッ! 

 

 恋愛フラグをへし折ることについてはそこまで気にしていない。ヒロインとイケメンが仲良くしているところを微笑ましく眺めるのが良いのであって、本人たちにその気がないのに仲人気取りでお節介してやろうなどとは最初から考えていなかった。人の恋路に口出しするなど推し活の視点から見ても害悪でしかないのだから。

 

 では状況的にうまテイストである海斗の提案に彼方が即答できなかった理由とはなにか? それはイベントの消化不良により鈴音の強化が滞り偽神オモイカネ戦で良くて大苦戦、悪ければ敗北する可能性が生まれてしまうことを危惧していた。

 なんでそんなことを考えるかって? それ、何故、皆様。そりゃ彼方の中では真白は装備も準備も不充分なまま常世にある北辰の迷宮を攻略しなければならなくなった、ことになっているからだ。蜂眼坊やアテルイが現場に駆け付けたことなど知らないし、真白の守護精霊となった猿天哮が周回プレイで追加されるEXバトルのボス戦仕様の強さそのままで常世の鬼たちを文字通り千切っては投げしてたことも知らないのだから仕方ないことなのだが。

 

 

「……ふーん、そうかい」

 

 

 くしゃくしゃ、とロリポップキャンディの包みを破り口に咥える。

 別に何かの演出や雰囲気作りではない。単なる糖分補給を兼ねた時間稼ぎだ。

 

 対象を悪夢の牢獄に押し込め負の感情と生命力を奪うという夢喰いの性質から睡蓮は彼方が“困っている”ことを正確に読み取っている。

 鬼の価値観では配下なんてナンボでもいていいですからね! と言いたい場面でも、了承せず困惑するということは彼方なりの事情がなにかあるんだろうな〜と余計なことは言わず黙っていた。

 

 

「理由は?」

 

「自分が住んでる街で、あんな化け物を産み出すような薬をばら撒いているような連中がいるなら────」

 

「あー、そういうのじゃなくてさ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

「な──ッ!?」

 

「情報提供、なるほど? それは確かに魅力的な提案っちゃあそうだ。地元の事情は地元の人間が詳しいんだもんな? だけどさぁ……それと、お前さんたちを信用するかは別の話だと思わない?」

 

「……確かに、アンタに比べりゃオレたちは弱いかもしれねぇ。いや、実際に弱いのはわかってる。さっきも、守られてるだけでなんの役にも立ってねぇからな。けどッ!」

 

「違うよ?」

 

「は?」

 

「俺は強い弱いの話をメインにはしてないよね? 信用するかしないかって話をしてたよね? もうね……そこの区別がつけられないってだけで一緒には戦えないんだよ」

 

「それは……でも、それは! アンタに信用してもらわなきゃいけないってんなら、なおさらオレたちの戦いを見てもらわなけりゃ」

 

「それ以前の問題かな。なぁ、お前さんがたよぅ。知ってたんだよな? さっきの島崎だっけ? アレも含めてデモンシードを使ってそうなチームのこととか。そういう連中が、まぁ、あまり褒められないようなマネをしてることとか。不良ってのは、案外そういう情報をしっかり共有してるもんだろう? なら……なんで、知ってて黙ってた? 警察でもなんでも、いくらでも相談するべき相手はいただろうに」

 

 

 アウトロー気取りの不良少年が大人になんて相談なんてするワケない、と確信してのこの発言。なかなか性格の悪い駆け引きを始めている彼方だが、いくらメインキャラクターとはいえ黄泉戦の加護を持たない海斗と一緒に行動することはなんとしても避けたかった。

 何故なら、責任を取ることができないから。現世での死に戻りが機能しない状態でも、これが例えば紅蓮と静流であれば四神の侍という立場とネームバリューから自分の行動について自分で責任を取らねばならないので問題なかった。薄情な言い方になるが、彼らの場合は鬼に敗北することを許されない人間なのだから。

 

 わざわざ自分が面倒を抱えなくても、日比野鈴音と一緒に行動させておけば世界がなんかこう……いい感じに舞台を整えてくれるはず。

 学生時代に転生していれば熱意に押し負けて了承したかもしれないが、社会人を経験した彼方としては余計な責任など背負いたくない。

 

 

「色々と都合があったんだろう。考えることもあったのかもしれない。そこは俺もわからなくはないよ。ヤンキーの姿を格好いいと思ったこともあるから。子どもだから、学生だからって免罪符を堂々と掲げて予防線を張って許される前提で、大人や社会に反発してることに気づくまでは……だけどね」

 

 

 他人に言われる正論ほど神経を逆撫でするモノはない。それが思春期の若造なら尚のこと。しかも同世代(彼方主観)からとなれば、ここで素直に頭を下げるのは“負けた気分”になるのであり得ない。

 

 勝ったな。風呂入りに行こう。

 

 割り切ったからといってストレスを感じないワケではない、デモンシード中毒者が誰かの不幸をエサにしたからといって当事者でもないのに怨むことなどない。いつもと勝手の違う戦いに疲れていたこともあり、勝利を確信した彼方は愛車の二輪に向かって歩き出したが。

 

 

「……理由なら、あるッ!」

 

「おん?」

 

「それは────コイツだッ!」

 

 

 銀城海斗が掲げたもの。

 

 それは、貸し出したまま忘れていた草薙の剣のレプリカであったッ!! 

 

 

「コレが普通の武器じゃないことぐらいオレにもわかる。斬撃属性にカテゴライズされてる武器はオレも得意だからな。アンタが本当にオレのことを信用できないって言うなら、コイツをオレに預けたまま立ち去るってのは……理屈に合わねぇよな?」

 

 

 なにも事情を知らない海斗にとって、さきほどの戦いは正真正銘の命の奪い合い。そのプレッシャーと、ただそこにいるだけでも心身を削る常世の風の影響を所持しているだけで防いでくれた刀剣。同時に一瞬だけ視えた武神・日本武尊の幻影。

 どれもこれも偶然に偶然が重なっただけであるし、特に日本武尊については無事を祈ったときの残り香のようなモノであって加護なんか欠片も関係ない。海斗がたまたまソレを感知できたのは、高い斬撃属性の適性に加えて命の危機にあって感覚が研ぎ澄まされていたからだ。

 

 そんなことを知らない海斗にしてみれば、切り札となる武器(未使用)を自分に預けたままプロ(学生)が忘れっぱなしで帰るなんてことはあり得ないッ!! 

 

 

「……くくッ。はははッ! あっはっはッ! 確かにそうだ! 侍が見ず知らずの他人に武器を預けっぱなしってのはおかしいなッ! あっはっはッ!!」   

 

 

 Q,こんなとき、なんて言えばいいの? 

 

 A,もうどうにでもなーれ☆

 

 

 慣れない戦い方をしたことによるストレスと疲労、どうにか海斗とメタルウルブスたちを守り切れた達成感、大人たちの行動から偽神オモイカネの暗躍が原作より広い範囲に影響している可能性への気付き。

 いろいろキャパい彼方は本気で草薙レプリカのことを忘れていた。常世祓いにしても真白編が終わったこともあり世界観的に唯一無二の超弩級SSレア素材である龍玉を自分が所持していることすら忘れている男だ、物忘れに対する実績も面構えも違う。

 

 

「義塾に俺の妹が交換学生として行ってる。無銘凪菜って女子生徒だ。当然、デモンシードについても知ってる。鵺の巫女である暮間の家も動いている。そいつはお前に預けておく。夏休みになるころにはまた来る。それまで使いこなせるよう頑張ってくれや」

 

 

 かなた は にげだした ! 

 

 これぞ無銘流奥義、本人不在の勝手に責任転嫁ッ!! 

 

 

 会話が面倒なら雰囲気で押し切ってぶった斬ればいいじゃない。自分を凡人だと言いながら名探偵の如く頭が高速回転するラノベ主人公じゃあるまいし、これ以上付き合いきれないと判断しての戦略的撤退。

 これはこれで“一方的にそれらしい言葉を叩き付けることで反論を許さず相手の行動を誘導した”と表現すれば少しは賢く聞こえるかもしれない。事実、これから海斗は凪菜と棗に接触する以外に選択肢は無く、自動的に鈴音と合流することになる。終わり良ければ全てよし、なのだッ! 

 

 うっかり草薙とか言わなかっただけマシかもしれないが、それはあくまで彼方側の都合でしかない。本人がそう言っていたように、刀剣類に高い適性を持つ海斗は草薙のレプリカが義塾で販売している武器とは比較にならない業物であると見抜いている。

 

 そんなものを一方的に託されて年頃の不良少年がハートキャッチされないはずもなく。

 

 

「……悪いな、お前ら。義塾のランキングで必ずトップの座を奪ってやるって言ったが……スマン、ありゃウソだ」

 

「「「「銀城さん……ッ!」」」」

 

「気に入らねぇ。なにもかも。オレたちの縄張りで鬼を呼び寄せるような危険な代物をばら撒いてコソコソ金稼いでいるヤツがいることも、そいつらのせいでバカに歯止めが利かなくなってる連中がいることも、そいつらの犠牲になってる人たちがいることも、なにもかも気に入らねぇ。なにより一番気に入らねぇのは────心の何処かで……薄々、それに、気づいてたクセに……なにも行動を起こそうとしなかった弱ぇオレ自身のことがッ!! なによりもッ!! 一番ッ!! 最高に最低に気に入らねぇッ!!」

 

 

 大人たちに褒められるような正義はなくても、自分たちには自分たちなりの仁義があると仲間内で盛り上がっていた思春期の少年にとって「でもお前らだってクズどもと同類じゃんww」という煽りは確かにバチクソ効果抜群であった。

 

 だが、それが逆にッ!! 

 

 銀城海斗の義侠心に火をつけたッ!! 

 

 

「本物の戦い……義塾のトップランカーとか言われてる連中のような派手さはない、本物の……命の、奪い合い。上等だよ……ッ! このオレが、銀城海斗がどこまで通用するのか……トコトンやってやんぜ……ッ!!」

 

 

 ついでに。

 

 

『……ほぅ。自分自身の弱さと向き合い、それでも前に進もうというのか。私の気配を感知するだけの素質もある。善き哉。仮初でも草薙の名を冠する刀剣を任された大和男子が民を守護るため戦おうと決意したのであらば、私も動かねばならぬだろうな。原作とやらで本来、この少年に加護を与えるはずだった神霊や精霊には申し訳ないが』

 

 

 無事を祈り見送ったのはそれとして、気になるものは神霊だって気になるものでコッソリ覗き見しちゃうのがサガというもの。

 レジェンド級レア神霊、武神・日本武尊。さすがにガチ加護を受け止めるだけの器はまだ無いのでちょこっとだけ参戦決定であるッ!




 (ヤンキー漫画の導入では)ないです。
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