キノの旅 幻想の世界へ 作:小説の国 住人No.8
「招待..ですか。失礼な事を聞きますが、ボクがそれを拒否する事は可能ですよね?」
「えぇ、可能です。ですが、こちらとしては拒否しないで頂きたいものですが..」
金髪の少女は貼り付けたような笑顔で対応してくれる。裏がありそうで怖い状況に、キノは質問を投げかける。
「では、その幻想郷とは一体どのような場所なのですか?此方としては、何かしらの情報を持って置きたいワケですが...」
「幻想郷は、忘れられたもの達の楽園です。忘れられた物はもちろんの事、人や妖怪、神までもが集う場所です。風景等も自然豊かでお勧め出来ます」
「..忘れられたもの達...ですか。中々興味深いですね」
少女の言う事にキノは興味が湧いてくる。それはエルメスも同じようで、相槌の数が心なしか増えていた。
キノもエルメスも、招待を受けても問題ないと考えていたが、少女から頼み事があると言われる。
「貴方達が、この招待を受け取ってくれれば、私達は歓迎します。しかし、それと同時に頼みごとがあるのです。これは、他の招待者にも言ってあります。これを受け取れないと言うのなら、残念ですが招待は無かった事に..」
「..内容を聞かなければ判定が出来ません。その、頼みごとを聞かせてください」
「...どうか、幻想郷を救って欲しいのです」
「....」
「これは厳しそうかな?キノ」
その頼みごとを聞いて、嫌な予感がしたのかキノは黙りこくってしまう。相変わらずエルメスは他人事のようだが、念の為キノの代わりに質問する。
「おねーさん。ごめんね、キノはちょっと考えてるみたいで。でも、こっちからも質問させてもらうよ?」
「えぇ、答えられる範疇ならば幾らでも」
「それじゃあ、先ずは一体どんな事があって、救いを求める羽目になったの?」
「それは幻想郷を見てもらった方が早いのだけれど..簡単に言えば、部外者が入ってきて、勝手に幻想郷を弄り回されたと言ったところです。恐らく、貴方達の住まう世界の人間達...いえ、人間と呼んでいいか分からないわね」
「ふーん..で?キノにそいつらを倒して欲しいってこと?」
「出来れば、殺して欲しいわ。もう二度とこんなことを起こさないように..」
ここまで話し、ようやくキノの考えが纏まったのか、会話に参加する。
「分かりました。その頼みを引き受けたいと思います。微力ながらも、出来ることは致しますので」
すると、エルメスは不満そうにキノにしか聞こえない声で語りかける。
「いいの?キノ。割に合わないような頼みごとだったけど」
「良いんだよエルメス。恐らくだけど、話の内容的にボク1人じゃ無いみたいだから..重要な所は任せるとする」
「キノったらひきょーな考え」
そんな会話をした後に、キノはまた少女に向き直る。
その少女は頼みを引き受けてくれる事が意外だったのか、少し驚いているようだった。だが、直ぐに本題へと戻る。
「まさか引き受けて下さるとは、有難い限りです。そうなると、私の自己紹介をしておかなければ行けませんね。私は八雲紫、幻想郷と外の繋がりを管理している者です。今回は、貴方達含め7人..いえ、5人と1匹と1台をサポートする事になります。どうか、お見知り置きを」
「..1匹ってどういう事???」
「...エルメスも台なんだから変わらないよ」
紫の自己紹介が終え、キノとエルメスも簡単に返す。
そして、紫に案内されて幻想郷へと足を踏み入れていくのであった。
~とある2人と1匹~
「いや..困ったね。困ってる人を見たら放っては置けないと見栄を張ったが...これは引き受けない方が懸命だったかな?」
「流石にこれは私も同感です。ティーは...相変わらず元気なようですが」
緑のセーターに腰につけた刀が特徴的な青年が山の上から幻想郷を眺め、その傍らに喋る犬、そして離れた所に手榴弾を持った少女がいた。
一部は紅葉し、そのすぐ隣で落葉する異常な光景に、口を開けるしか無いようだった。
~とある2人~
「師匠〜、少しは歩く速さを遅くしてくださいよー。こんな長い階段登ってたら疲れてきますって...」
「...時には急ぐ事が大事なのですよ」
霊魂が飛び交う階段にて、髪の長く美しい女性とハンサムな男が歩いていた。女性は早歩きで階段を登り、男は荷物を持っている分、疲れている。
女性と男が登る階段の下に地面は無く、所々に階段にあるはずの無いものが落ちている。
まるで空間が途切れたかの様な光景に、2人は何も感じることは無いようだった。