仮面ライダーバレット   作:了見

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第7話 Cの謀略/どんな手を使ってでも

 

裕也はハンター・ドーパントに敗北して重傷を負っていたところ、偶然居合わせた純二に保護され、近くの路地で休んでいた。

 

「悪いな、おっさん。」

 

「これくらいどーってことねーよ。てか、なんであんなところに?」

 

純二にそう問われた裕也は考え込む。

現場を見られた以上、純二にすべて打ち明けたほうがいいのか。

裕也としてもそう簡単に正体を明かすわけにはいかない。

下手に正体をばらされては、無関係の人々を巻き込んでしまうかもしれないからだ。

 

しゃべられる可能性があることを考えると下手に話すのは…

 

と、裕也の中である1つの考えが思いつく。しゃべられるのなら、しゃべらせなければいいと。

 

「というわけで、仮面ライダーの正体は俺だ。」

 

「すまん、1から10までさっぱりわからん!」

 

結局仮面ライダーの情報をあらかたしゃべったのだった。

 

「ちなみに言っとくが、このことをばらそうもんなら…こうだからな。」

 

裕也は純二にバレットドライバーの銃口を向けて脅した。

いきなり銃口を向けられた純二は慌てふためく。

 

「いやこえーよ!そんなことされなくても言わないから!」

 

裕也は銃口を降ろし、純二になんであの場所にいたのかを聞いた。

聞くところによると今追ってる暴力団が集まっているという情報を手に入れたかららしい。

 

倉庫で裕也がボコボコにした男たちがそれであった。

 

「その倉庫で収穫とかなかったのか?」

 

「収穫といえる収穫は、倉庫で見つけたこのガイアメモリくらいだよ。」

 

情報はほとんどなく、完全に手詰まりの状態となっていた。

なにか打つ手はないかと、手に持った2本のガイアメモリを眺めていると―

 

「あ、そうだ。」

 

何かが思いついたのか、裕也は純二に問いかける。

 

「おっさん、こいつらのアジトわかるか?」

 

「お、おう、その暴力団は何回か捜査したことあるから分かるぞ。」

 

ヤクザのアジトを知った裕也は、フッとほくそ笑む。

 

「そうか…いい作戦思いついた。」

 

「へ?」

 

―――――

 

数日後、市内の廃ビルに大柄の男たちが数人いるところに、土方は現れた。

 

「すいませんねぇ、取引が遅れちゃって。」

 

「まったくだ、なんであんなところに仮面ライダーがくるんだよ!」

 

どうやらこの男たちは、先日ジャッジメントと取引を行おうとしていたヤクザのようだ。

裕也のせいで取引が遅れたことに組長は怒りをぶつける。

 

「まぁ、今回は大丈夫です。仮面ライダーにここがわかるわけがないですよ。」

 

そういって土方は高笑いをする。しかし、

 

「ほーう、成程な。」

 

ヤクザの組長は突如『バレットドライバー』を土方に向けた。

なぜか仮面ライダーのアイテムをヤクザが持っていたことで、土方の顔から余裕が消える。

 

「!?ばかな、それは…ッ、貴様、いったい誰だ!?」

 

「こういうこと。」

 

するとヤクザの組員の体がゲル状になって溶け出し、

組長…否、裕也は変装を解き、土方の前に姿を現した。

 

「何だとぉ!?」

 

「あ、この資料結構な証拠になりそうだから送っとこ。」

 

驚く土方をよそに、裕也は取引の資料をバードフォンで撮って純二に送る。

 

「あそこで見つけたメモリを使わせてもらったよ。」

 

―――――

 

回想―

 

まず裕也と純二はあの日の夜、こっそりあのヤクザの組長の家に侵入していた。

 

「ここにもセットして、と。」

 

「おい、これ完全に違法捜査なんだが!?」

 

「あんまり騒ぐなよ、せっかくいない時を見計らって入ったてのに…お、あったあった。」

 

そこで取引の詳細な日時を記録したメモを見つけ、取引の日を探る。

ついでに監視カメラを大量に仕掛け、ヤクザたちの闇取引の証拠も抑えておく。

そしてヤクザの組員の名簿及び写真を手に入れていた。

 

「試作品のガイアメモリがまさか役に立つとはな。」

 

さらに裕也は倉庫内で見つけた"ゲルガイアメモリ"と"コントロールガイアメモリ"を使って見事土方を欺いたのだ。

 

《ゲル》

 

《ゲル マキシマムドライブ》

 

「おおー、結構そっくりだな。」

 

そうしてヤクザの組員たちの人形を作り、コントロールメモリでそれを操ることで、あたかも取引に来た相手と誤解させた。

ちなみに裕也は、特殊メイクで組長に成りすましていた。

 

最後はジャッジメント側の人間に成りすましてヤクザたちに「取引の日を急遽変更したい。」と伝えておく。

こうすることで、当日本物のヤクザたちが取引現場に来なくなる。

 

「もしもし、突然ですみませんが、こちらで少々不手際がおきましてね、取引の日を明日に延期します。」

 

「なんだ、またかい!これで2回目だぞ!」

 

どうやら構成員が裕也と起こしたいざこざのせいですでに一回延期となっていたようで、二回目の延期にヤクザの組長は怒り心頭であった。

 

「はぁ、そんな口を利くようでしたら、こっちの実力行使で潰してもいいんですよ?」

 

「ぐ…わ、分かった。」

 

一介のヤクザ程度で、ジャッジメントには到底かなわない。

向こうもそれを理解しているからわざわざ大金でガイアメモリを買おうとしているはず。それを利用して、裕也はヤクザを欺いていた。

 

―――――

 

「以上が、俺がここにいる答え合わせってやつだ。ちなみにヤクザたちの闇取引の証拠は完全に抑えたから、今頃お縄についてるかもな。」

 

裕也から聞かせられた事実に、土方は言葉が出なかった。

不法侵入、窃盗、盗撮。どれもネットで"ヒーロー"と称えられている人物がやるような行動ではなかったからだ。

 

「な、なんなんだよお前!」

 

「何って、ただの一般人だが?」

 

「クソックソックソォォォ!!邪魔しやがって、後悔させてやる!」

 

「急にキレやがって、うるせぇな。」

 

《カウアディス》

 

《バレット》

 

「覚悟しろクソ野郎、こっから先はワンサイドゲームだ。」

 

裕也のあまりにも淡泊な発言に自身のプライドを傷つけられた土方は激高してドーパントに変身した。

一方でそれを見た裕也も土方に愚痴を吐きながらも変身した。

 

「ハチの巣になれぇ!」

 

カウアディス・ドーパントは早速銃撃するも、バレットは以前の戦いもあってか完全に見切っており、すべてかわし切ったうえで反撃した。

が、攻撃が当たってカウアディス・ドーパントを仕留めたと思ったら、別の場所から新しい個体が現れた。

 

「残念でしたぁ!」

 

「ッ、まさか偽物?」

 

カウアディス・ドーパントの能力を察したバレットが振り向くと、そこには大量のカウアディス・ドーパントがいた。

 

「こないだの目つぶしに今度は分身。どんな手を使ってでも勝つ、まさに手段をえらばない卑怯者だな。」

 

「さらにぃ、行ってこい、お前らぁ!」

 

カウアディス・ドーパントの指示により、大量の分身がバレットに迫る。

それを見たバレットは即座にストライクフォームにフォームチェンジし、ストライクメモリを腰のマキシマムスロットにセットした。

 

《ストライク》

 

《ストライク マキシマムドライブ》

 

「ふーっ…。」

 

バレットは一呼吸ついたのち、カウアディス・ドーパントの分身に向かって走り出し、ジャンプした。

 

「ハァァァッ!まとめて塵になりやがれぇぇぇ!」

 

バレットは"ストライクラッシュ"でカウアディス・ドーパントの分身たちを次々に蹴散らした。

そしてすべての分身が倒され、残ったのは本物のカウアディス・ドーパントだけとなった。

 

分身を蹴散らされピンチになったカウアディス・ドーパントは、とっさに逃げ出そうとした。

 

「こ、こうなったら。逃げる!」

 

「バードフォン!」

 

バレットが指示すると、バードフォンはガンドレッターの前方部分に留まると、なんとガンドレッターと合体し、"バードガンドレッター"となった。

そしてそのままカウアディス・ドーパントに突っ込んでいき、タックルをくらわせて吹き飛ばす。

 

強烈なタックルを受けたカウアディス・ドーパントはその場に倒れこむ。

このままだったらバレットが駆けつけて自分を倒しにくる状況だった。

 

そんな中、カウアディス・ドーパントは遠くから玲央がこの戦いを見ていることに気付く。

助かった。思わぬ救世主にカウアディス・ドーパントは必死に助けを求める。

 

「玲央様…どうか、お助けを!」

 

「断る。」

 

しかし玲央はカウアディス・ドーパントの助けを断り、彼を冷たい視線で見ていた。

 

「…は?」

 

「『あのお方』曰く、『お前はもう必要ない、お前の様なゴミはいくらでも予備はある。』とのことだ。」

 

『あのお方』なる人物から見捨てられたことを知ったカウアディス・ドーパントは先程とは一転、絶望の表情を浮かべる。

 

「そ、そんな!」

 

「それに、お前は俺たちの戦いの邪魔をした。その他もろもろの理由で、お前はここで見捨てる。」

 

「おい!ふざけんな!まて、まてよぉぉぉぉぉ!」

 

カウアディス・ドーパントの叫びも届かず、玲央はそのまま去っていった。

それと同時にバレットも駆けつけた。

依然としてピンチのままのカウアディス・ドーパントはバレットにとあることを明かす。

 

「ま、まて、仮面ライダー!1ついいことを教えてやるよぉ!俺のメモリには特殊な細工がされている、下手に俺を倒せば、大爆発しちまうぜぇ?」

 

そう、カウアディスメモリには変身者が倒されてメモリブレイクされた場合、周囲を巻き込む大爆発を起こす機能がついていた。

この秘密を明かすことで、バレットよりも優位に立とうとした。

 

「だからなんだ?」

 

「は?」

 

「大爆発するというのなら、上空に吹っ飛ばしてから倒せばいいだけの話だ。その場合、貴様は確実に死ぬがな。」

 

メモリのからくりを知らされたバレットは、まるで土方が死んでも問題ないかのように答えた。

その不気味さに恐怖を覚え、カウアディス・ドーパントはおびえながらも裕也に問いかける。

 

「そ、そんなこと言って、本当は殺すのが怖いんじゃねぇのかぁ!?」

 

「怖い?冗談は顔だけにしろ。俺が―」

 

声のトーンがだんだん低くなり、カウアディス・ドーパントの恐怖心を煽る。

その様は、とても"ヒーロー"のようではなかった。

 

 

 

ただ目の前の敵を倒すだけ―

 

 

 

敵である以上手段は選ばない。

 

 

 

たとえそれで、敵が―

 

 

 

「貴様を殺すのを、ためらうとでも思ったか?」

 

「ヒ…ヒィィィ!」

 

バレットの気迫に恐れをなしたカウアディス・ドーパントは変身を解除し、降参の土下座をする。

 

「分かった!降参だ!だから命だけは!」

 

「そうか。」

 

土方の降参を聞き入れたのか、バレットは後ろを向いて立ち去ろうとする。

 

(ヒヒ、油断してやがる…この俺がただで終わると思うなよ!)

 

当然土方は持っていたナイフでバレットを刺そうとするも、

 

「ふん!」

 

「がぁ!?」

 

密かに駆け付けていた純二に後ろから抑え込まれ、そのまま手錠をかけられた。

 

「土方 京介、銃刀法違反の現行犯で逮捕!」

 

「な…そんな、警察なんかに…!」

 

「お前には聞きたいことが山ほどある。たっぷり絞ってやるから覚悟しとけ!」

 

純二は土方の胸倉をつかんでそう怒鳴りつける。

見下していた警察に手錠をかけられたことで、土方は完全に心が折れ、観念した。

 

―――――

 

土方も暴力団も警察に検挙され、あとは純二たちに任せて帰路についていた裕也。

しかし突然立ち止まると、鋭い目つきで後ろを睨みつける。

 

「さて…誰だ、てめぇ?」

 

裕也は後ろの壁に隠れている、自分を監視していた人物に声をかける。

その人物は姿を現すと、飄々とした様子で話し始めた。

 

「ありゃ、気づいてた?さっすがー!」

 

「俺をストーカーするようなやつなんざ、見当はつくんだがな。」

 

「察しがいいね。僕、羽京(うきょう)、よろしくね。」

 

「狙いはあのガイアメモリか?言っとくけどあれしばらくしたらぶっ壊れたぞ。」

 

実はあの後あの2本は、試作品のガイアメモリだった故かバレットドライバーの出力に耐えられずに、事件の後は起動せずにそのまま壊れてしまった。

 

「あー、やっぱ試作品だとそんなもたないか。ありがと、その結果だけ聞ければいいよ。じゃあね。」

 

「それで俺が逃がすとでも?」

 

「ううん、思わない。」

 

その答えの後、裕也は即座に羽京に銃撃を放つ。

しかし直後、羽京は頭部に巨大なトサカ、両腕と一体化した羽をもつ翼竜のようなドーパントとなり、その羽で裕也の攻撃を防いでいた。

 

「なっ?」

 

「ばいばーい、またどっかで会おうね。」

 

とくに裕也に反撃することもなく、羽京はそのまま飛び去って行く。

 

「チッ、今日は帰るとするか。」

 

ちなみに純二に正体を明かしたことは、里奈と茂にはちゃんと伝えた。

 





バードガンドレッター
バードフォンとガンドレッターが合体したバイク。ガンドレッターのヘッドライト部分の上にバードフォンがそのまま巨大化して合体したような見た目となっている。自動走行が可能で、ドーパントに攻撃もできる。ただし消費するエネルギーが膨大なので、使用する際は注意。(てか今のところこの後これが出てくる予定ない。)

次回の話は、僕がある意味1番書きたかった話を書く予定です。結構ダークな内容になりそうなのでご了承ください。あとこの時期ガチで忙しくなるんでさすがに今までより更新頻度はおちます(週一くらいにはしたい)。
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