仮面ライダーバレット   作:了見

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大変お待たせしました
活動報告の方に載せてあるオリライダーの設定もよければどうぞ。
あれの小説を書く予定ないですけど。


第9話 危険なI/壊れた中で残された者

 

アンダー教会―

教会に入った洋子は、大翔のもとへ駆け寄る。

 

「大翔様、お怪我はないでしょうか?」

 

「ん?あなたは?」

 

先日の戦いのこともあってか、大翔に調子はどうかと尋ねる洋子。

一方の大翔の方は、すっかり忘れているようだった。

 

「不足ながら、先日あなた様の援護をさせてもらったものです。」

 

洋子の説明を受け、流石に大翔も思い出したようであり、その時のことを思い返していた。

 

(あの時のドーパントはこいつだったか。)

 

「ああ、あなたでしたか、助かりましたよ。」

 

大翔は穏やかな顔で洋子に礼を言い、それを言われた洋子もうれしそうな顔をした。

 

 

 

…もっとも、その顔は穏やかなものではなく、目からハイライトは消え、不気味な笑みを浮かべていた。

 

―――――

 

家に帰った洋子は、望のことを全く気にせず、すぐにジャッジメントの象徴の"神"を崇め始める。

すぐに望もやってくるが、それには気づいてすらいなかった。

母親の様子に不信感を覚えた望は必死に洋子に呼びかける。

 

「ママ…ママ!」

 

「あら…望?」

 

どこか生気のない返事を返し、望の方を向く。

そして望は確信した、母親に異変が起きていると。

 

「ママ、どうしちゃったの?最近おかしいよ!」

 

「どうしたの?…そうだ、望もジャッジメントに入らない?あなたのことも救ってくれるわよ。」

 

望の説得もむなしく、洋子の様子は一向に変わらない。

それどころか、望もジャッジメントに入信させようとしてきたのだ。

望は大声を出して反論する。

 

「違う!こんなのママじゃない!」

 

「望、望!」

 

洋子の静止も聞かず、望は飛び出していった。

 

―――――

 

「クソ、相変わらずめぼしい情報がねぇな。」

 

裕也はあの後スワンプに帰ってきドーパントの情報を探している。

が、当然のようにまったく情報は得られず、停滞していた。

 

「裕也ー!」

 

「里奈?」

 

悩んでいると後ろから里奈が背中に抱きついてきて、その手には財布とバックが持ってあった。

そして里奈は有無を言わさずバックを押し付けてきた。

 

「ハイハイ、ずっと部屋閉じこもってるくらいなら買い物行ってらっしゃーい!」

 

「うぉ!?いやちょっと俺は…。」

 

裕也の反論もむなしく、強制的にバックを持たされて外に連行され、買い物に行くことになった。

そしてそれと入れ替わるように、純二と北郷がスワンプに来店する。

 

「入るよー。」

 

「純ちゃん、いらっしゃい…あれ、その人は?」

 

「この人は俺の上司の北郷課長だよ。ちょっとした気休めにってさ。」

 

「初めまして、北郷です。」

 

「ああ、初めまして。」

 

いままでほとんどなかった新しい客に茂は不思議がっていた。

北郷はそんな茂に一礼し、席に座る。

すると裕也のことが気になったのか、茂に問いかけた。

 

「それはそうと、さっき出て行った男の人はご家族で?」

 

「あー、課長、アイツはここに居候してるやつですよ。」

 

「ほう、居候を受け入れているとは、懐が深いですな。」

 

北郷は居候の裕也を受け入れている茂に感心しており、そのことで純二と盛り上がっていた。

一方の茂はどこか複雑な顔をしていた。

 

「ええ、まぁ…。(いるだけなんだけどね…)」

 

―――――

 

「なんか無理やりパしられた気がする…。」

 

無理やり買い物に行かされた裕也はそんなことをぼやきながらスーパーに向かっていた。

するとふと家を飛び出してきていた望を見かけた。

子どもが荷物も持たずに1人で何押しているのかと気になった裕也は望に話しかけた。

 

「おい坊主、1人でお使いか?」

 

「!…違います。」

 

突然見知らぬ男性に話しかけられ、一瞬ビビってはいたものの、望はすぐに答えた。

 

「違う?じゃあ家出か?まだガキなのに。」

 

「そんな…感じです…。」

 

今一人でいるのは、お使いではなく、家出のようなもの。

そう答えた望に、裕也は不信感を覚えた。

そして少し話を聞こうとすると、

 

「望、何やってるの?早く帰ってきておいで?」

 

望を追って来たであろう洋子が姿を現し、望帰ってくるよう呼びかける。

それを見た望はすぐさま裕也の後ろに隠れた。

 

「あんた、こいつの母親か?」

 

「そうよ。さぁ、早く…。」

 

裕也は一瞬望を母親の方に帰そうかとも考えたが、目の前の母親の様子を見てすぐにその考えを捨てた。

洋子は完全に狂っている。

そしてその洋子を見て望はただ怯えている。

とすれば、自身がすべきことは一つ。

 

「おいあんた!気づかねぇのか?こいつ、怯えてるぜ。このままじゃ、こいつをあんたのところへは帰せねぇな。」

 

「うるさいわね!邪魔するなら容赦しないわよ!」

 

《ホーク》

 

裕也からの指摘を受け、怒り心頭の洋子はホークメモリを取り出すと、それを右腕に挿してホークドーパントとなった。

 

「あ、てめぇは!…誰だ?…ま、いいか。変身!」

 

《ジェット》

 

狂ったように裕也にとびかかるホーク・ドーパント。

裕也はバレット ジェットフォームに変身してホーク・ドーパントを迎え撃つ。

 

「覚悟しろ、こっから先はワンサイドゲームだ。」

 

ホーク・ドーパントは臆せず爪で攻撃するも、バレットドライバーで受け止められた。

さらにバレットは足のジェットエンジンを起動し、超高速の連続蹴りを放ってホーク・ドーパントをひるませた。

 

「ハァッ、デリャぁ!」

 

「ウゥ!」

 

たまらず空中に逃げ出したホーク・ドーパントを追ってバレットも空を飛ぶ。

こっちに来るなと言わんばかりに突進するも、バレットにはたやすく避けられ、大量の銃撃をくらってひるむ。

 

「おいおいどうした、空中戦には慣れてねぇのか?」

 

「ギャォォォ!」

 

「これで、チェックメイトだ。」

 

《ジェット マキシマムドライブ》

 

ホーク・ドーパントは再びとびかかるも、バレットに首筋を掴まれ、そのままどんどん上昇していく。

そしてある程度の高さまで行くと、バレットはホーク・ドーパントを抱え込んで地面へと急降下した。

 

「ハァァァァ!」

 

「ガァァァァ!」

 

ホーク・ドーパント必死にあがくも振りきれず、そのままフリーフォールの要領でジェットフォームのマキシマムドライブ"ジェットドロップ"により頭から落下し、爆散した。

 

―――――

 

物陰から1人、全身を黄色のマントで覆い、サングラスとマスクで顔を隠した人物が、バレットの戦いを見ていた

 

「…。」

 

「待て。」

 

決着を見届けて立ち去ろうとしたところ、一人の女性がその人物の後ろをとり、首にナイフを突きつけた。

 

「!」

 

「『あのお方』から報告を受けたときは耳を疑ったが…お前は私が殺したはずだ、なぜ生きている?」

 

「…。」

 

女性の問いかけにも答えず、その人物は黙り続ける。

 

「黙秘か。人違いだとしても、どのみち…ッ!?」

 

女性がその人物を手にかけようとする。だが、いつの間にか前方には1人の警察官がいた。

 

「あ、コラ!何をしている!」

 

「チッ!」

 

「…!」

 

警察に見つかって大ごとになるのを恐れたか、女性はそこで殺すのをやめ、驚異的な身体能力で飛び上がり、逃げ去った。

マントの人物もその場からそそくさと立ち去る。

 

「おい、待て!」

 

警察はすぐに追いかけようとするも、逃げ切られてしまった。

 

―――――

 

ホーク・ドーパントを倒した裕也は変身を解除する。

一方の洋子は、先程のダメージの反動か、それともオウル・ドーパントの催眠能力の影響か倒れたまま動かなかった。

一応目は開いていたが、その目からは完全に光が失われていた。

裕也はそんな彼女を一瞥し、望のもとへ駆け寄る。

 

「おい坊主、大丈夫か?」

 

「あの…僕の事なんか助けてくれてありがとうございます。」

 

その言葉を聞いた裕也は、ただただ黙り込んでいた。

そんなうちに騒ぎを聞きつけた警察が駆けつけた。

 

「お前、これからどうするんだ?」

 

「ママのことは、もういいです。パパも、もういないし…。」

 

「!!」

 

裕也は、望にかけてやる言葉が見つからなかった。

目の前で母親が怪物となり、"悪"として世間から"正義"と称えられている戦士に倒されたのに、この少年はそんな状況を目の当たりにしても涙一つ流さなかった。

一番泣きたいのは、彼自身であるはずなのに…

 

黙り込む裕也に、次は望のほうが問いかける。

 

「僕たち、また会えますか?」

 

「さぁな、そういやお前、名前なんだっけ?」

 

その問いにいつものそっけない返事で返した裕也は、聞いていなかった名前を聞く。

 

「望…それが、僕の名前です。」

 

「そうか、じゃぁいつか、またどっかで会おうな。望。」

 

少年の名前を聞いた裕也は、その名を心に刻んで、その場から去った。

その背中を、望は光の灯った目で見えなくなるまで見続けていた。

 

―――――

 

アンダー教会地価の研究室―

羽京は仮面ライダーに関する資料を眺めながらその活躍を楽しんでいる様子だった。

そしてフッと笑みを浮かべると、近くにいた玲央に話しかける。

 

「君たちがあれだけ楽しんでいるんだから、僕も遊んでいいよね?」

 

「…言っておくが、アイツを殺すのはこの俺だ。抜け駆けしようものなら、貴様を殺す。」

 

玲央はかつてないほどのプレッシャーを羽京にむける。

しかしそれをものともせず飄々とした態度を崩さない羽京は笑って部屋を出た。

 

「ハハハ、僕がそんな簡単に殺せると思ってんの?」

 

1度負けた(・・・・・)貴様がよく言えたものだな。」

 

その時、さっきまでとは一転して羽京の顔色が変わり、玲央を鋭く睨みつける。

まるで、嫌なことでも思い出したかのように。

 

「…何言ってんの?アレは僕の勝ちだ。てゆーかなんで君がそのこと知ってんの?」

 

「今ちょうどいないあの女が、聞いてもいないのに話してきただけだ。」

 

「チッ…あの子が役立たずだったらすぐに実験台にしてるのに、無駄に役に立つもんなー。」

 

玲央が言った「あの女」を思い浮かべた羽京は舌打ちしてイライラしながら部屋を出た。

 

―――――

 

「ただいまー。」

 

「裕也!おかえり。」

 

裕也はスワンプに帰還し、ソファに座り込んだ。

ドーパントとの戦闘以外にもいろいろあったからか、結構疲れているようである。

そんな彼を心配してか里奈が声をかけた。

 

「何か疲れてるっぽいけど大丈夫。」

 

「何ともねーよ。」

 

望のことを思い浮かべ、裕也は感傷に浸る。

親を実質失ってしまったような彼は、この先どうなっていくのだろうか。

前を向いて生きていけるのか…

 

せめて親の二の舞にはなってほしくないと願う裕也であった。

 

「それはそうと…買い物は?」

 

「…あ。」

 

完全にやらかしたという顔。

そう、裕也はスーパーにつく前にドーパントと遭遇して戦闘→倒してそのまま帰宅という流れになっていたため、完全に買い物に行くのを忘れて帰宅してしまったのである。

なにやら不気味なオーラを放つ里奈を前に、裕也はただただ黙り込んでいた。

 

その反応を見て里奈は―

 

「ゆうぅぅぅぅやぁぁぁぁぁぁ!!」

 

当然ご立腹であり、すさまじい形相で怒鳴って、逃げる裕也を追いかけまわした。

 

「…若い子は今日も元気だねー。」

 

そんな2人を見て、ほほえましくなる茂であった。

ちなみにこの鬼ごっこは夜まで続いた。




はい、今回はなんか新キャラが2人登場しましたが、ナイフ持ってた物騒な女性の方は18、19話くらいまでは活躍なしがほぼ確定しているのはここだけの話。
※追記、出てこないとは言ってない。

誤字脱字もあればご報告お願いします。
あと設定集に色々追記したのでそっちもどうぞ。
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