ようこそ陰謀論者が荒らす教室へ 作:みはいるすーす
季節は春、窓外から陽光がバスの車内に差し込む中、バスの中には胸を期待と、あるいは不安で一杯にした制服姿の男女であふれかえっていた。そんな彼ら彼女らの目的地は一つ。
“高度育成高等学校”
この国のエリートが揃う学校である。
そんな学校のある新入生、長い黒髪の平凡な姿形で、しかし確固たる美貌をもった彼女、関野 暁子もまた、この学校に期待を膨らませている一人であった。
(これで、○○や○○からの洗脳電磁波からはおさらばだ!)
※関野 暁子は陰謀論者である。
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「ここが、高度育成高等学校か...」
暁子は誰にも聞こえないぐらいの音量でそう呟いた。緑溢れる中にも清潔感ある建物が点在しており、学校への通路を行く皆は、総じてこれからの生活に期待していた。
しかし、高校というには大きく、校舎というには多いその施設群は、そのほとんどが娯楽施設、商業施設なのである。これは、この学校が列島から少し離れた島に位置し、外界から隔離された造り、或いは仕組みとなっているからである。
そう、この学校の一番の特徴は、この遮断性にあるのだ。この高校の生徒である間、生徒は陸にいくことはおろか、外界と電話などでやり取りをすることすら許されない。すべてのショッピング、娯楽などの活動はこの島内で完結するのだ。
そして、暁子が進学先としてここを選んだのも、この遮断性が大きな要因である。
(ここなら○○も○○も洗脳電磁波は送ってこれまい!)
一般人の面を下げて悠々と道を行く彼女は、それはもうものすごい陰謀論者なのである。世のありとあらゆる物事を掘り下げて、(正しいかは別) あらゆる隠された真実を暴き、(正しいかは別) 世の中に数少ない真実(以下略)を知るものとして、この国に生きているのである。
そんな彼女は、洗脳電磁波 (国民を洗脳する電磁波、いろんな組織が国民に向けて日々照射していると暁子は語る) というものを信じて疑わず、じぶんも洗脳されまいと(杞憂)電磁波の届きが弱い(暁子談)それらの組織から遠く隔絶されたこの学校に来たのである。
※ちなみに暁子の被っているキャップの裏には、三菱ア○ミ製のアルミホイルが貼られている。
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「にしても監視カメラが多いね...」
暁子は監視カメラの位置に地図で赤く点をうちながら、クラス分けの書かれた掲示板へと歩いていく。
ちなみにこの行動を説明すると、陰謀論者によればこの国は国民の一挙手一投足を監視カメラやスパイロボット(鳩等の動物の眼球は監視カメラのレンズらしい)などによって監視しており、暁子はそれを警戒しているからである。
そうして掲示板の前に着いた。
「私のクラスは...Aクラスか。」
説明しよう!
この学校のクラスは他になく、実力でクラスを分けている。そしてこんな暁子が最も上のAクラスに分類されたのは、彼女が日々真実(笑)に気づいた者として権力者から消されることを危惧し、優等生で国に従順という外面を下げているからである!(ちなみにもとのスペックはかなり高い。陰謀論者なだけで)
しかし、彼女は偶然にもこの学校の隠されたシステムに気づいてしまう。
(このクラス分け、実力順だね...)
なんと、彼女は奇しくもクラス編成が実力順であるという隠された真実に気づいてしまった。 ちなみにそのときの思考回路は、
(この学校は政府が作った学校、しかも先進的とされている。
そうなればこのクラス分けの理由は一つ !! 将来、世界統一政府がこの世界の人口を10億人までに減らす。そのときに生かされる優秀な人材の選抜の実験だ!!)
そう、彼女は本当に偶然に真実を理解した...というか、思考回路は違うとも真実にたどり着いてしまったのだ。陰謀論者である彼女はクラス分けを深読みした。その結果がこれである。彼女は理解なんてしていない、陰謀論者特有の深読みの結果の推測が偶々的中しただけだ。
ちなみに世界統一政府とは今の世界を牛耳っている組織、らしい。
(まあ...私はAクラス、心配はせずとも油断は厳禁かな)
こんな感じで、暁子の学校生活は始まっていく。
※暁子は陰謀論に関することなら、一度確信したことは信じて疑わない。
主人公の名前はフィクションです。特に意図がある訳じゃないのであしからず...