ようこそ陰謀論者が荒らす教室へ   作:みはいるすーす

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 二度連続で誤字を犯す注意散漫の鑑。本当に訂正ありがとうございます....


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 夏休み、海上にて、豪華客船を丸々貸しきってバカンスが行われていた。夏休みも学校外にいけない生徒にとっては、この上ない楽しみなのである。

 客船の内部は豪華絢爛、美しいチークの床、マホガニーのカフェテリアにビアンコカララとシャンデリアの食堂、形も深さもさまざまな屋内プールに果てはレンガ張りのエステまで。この学校の生徒の多くがこれまで経験してこなかったような、楽園のような初経験だった。

 

 しかし、不幸にも暁子の初経験は船酔いだった。最新の減揺装置をもってしても、暁子には通じない。

 

 

 「うぅぼぁあ~」

 

 

 おおよそ女子高生の出していい声ではないが、ともかく暁子には船旅は辛いもののようだ。

 

 

 (しかし、こんな船を貸しきるとは...まさかタイタニック号沈没事故のように保険金が私たちにかけられていて...いて....ダメだ、思考が纏まらない。)

 

 

 お得意の深読みもできない、それほどまで暁子は苦しんでいた。今なら胃の中身も自分の真なる思想も全てゲロってしまうかもしれない。暁子はとりあえずベットで横になろうと、ロビーから客室に向かおうとする。

 

 しかし立ちふさがる壁がいた。葛城である。

 

 

 「...大丈夫か、関野。」

 

 

 良い漢の葛城は暁子が心配らしい。しかし、暁子にとってはタイミングが悪かったかもしれないが。

 

 

 「...大丈夫だよ。」

 

 

 「そ、そうか。まぁ、船が到着するまでの辛抱だ。現地に到着すれば、思う存分休めるだろう。」

 

 

 「...そんなわけないじゃん。」

 

 

 「...何だと?」

 

 

 「きっと、何かあるよ。絶対。」

 

 

 ほらゲロった。思わぬ葛城の配慮が邪魔だったこともあって、暁子は少々気が立っていた。加えて船酔いから来る思考の纏まらなさが、彼女がいつも気を付けている演技を忘れさせてしまったのだ。

 そして、実際何があるのかは暁子も知らない。しかし、陰謀論者は“何かある”前提で思考するのだ。陰謀論とは“裏に何かある”という意識から来るこじつけであり、それっぽい回答が思い付けば、それを真理として疑わなくなる。フリーメーソンとの関係があると決めつけてから、検索エンジンでひたすら血眼で自分の求める答えの要素を探す。実際そんなものである。

 

 暁子もまた例にもれなかった。しかし、彼女は今何も考えられる状態ではないので、“何かある”程度にしか言えない。全くもって論も何もないのだ。

 ただ、少々気が立っていた暁子の表情は硬いままだった。しかも、首を曲げるのすら億劫なのか、葛城を微塵も見ていない。しかし、葛城から見たその横顔は、これまでになく真面目な横顔に見えた(節穴)

 葛城は聞き返す。が、

 

 

 「関野、それはどういうこ...」

 

 

 「葛城さん! こんな女の言うことを気にする必要なんてないっすよ。どうせ疑い深い性なんですよ!」

 

 

 思わぬところで戸塚が邪魔に入った。戸塚には暁子の言葉なんてとるに足らない存在であったようだ。どうせ疑い深い性なだけだろ、と。

 

 そして、これまでで一番暁子の本性に迫った発言であった。戸塚は葛城、坂柳はおろか、堀北生徒会長すらも圧倒的上回って、暁子の真実に最も接近したのだ! 

 戸塚有能説がここにきて浮上する。

 

 

 「いや、だがな戸塚...」

 

 

 しかし、戸塚の名推理はいとも簡単にスルーされた。現代のダーウィンである。葛城は戸塚を一旦静かにさせると、再び暁子に話しかけようとした。が、暁子は既にどこかに行ってしまっていた。葛城の会話が戸塚にそれた瞬間、これ幸いと客室に逃げたのである。

 

 

 「...」

 

 

 葛城が言葉の遣り所を見失っていると、途端に船内放送が流れる。

 

 

 『生徒の皆様にお知らせします。お時間がありましたら、ぜひデッキにお集まりください。まもなく島が見えて参ります。暫くの間、非常に意義のある景色をご覧頂けるでしょう。』

 

 

 「意義のある...」

 

 

 やけに引っ掛かる言葉が、暁子の発言と共に脳内で廻る。そして、暁子の話を聞いていたのは葛城と戸塚だけではなかった。

 

 

 「ふぅん」

 

 

 葛城に劣らぬ体格の金髪の男、高円寺 六助が、何故か上裸の状態で少し機嫌良さそうにこちらを見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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