斬 殺 サムライ・ダークネス   作:馬路まんじ……?

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24:四条シオンの能力検査

 

 

 ――妖魔伏滅機関『八咫烏』。正式名称は、政府直轄機密国防機動機関・対妖魔専門超常特別大隊というらしい。

 そんな三秒で覚えるのを諦めた場所での日常が、本格的に始まった。

 

 

「し、じょ、う、し、お、ん……!」

 

「そうそう。キミの名前は、平仮名(ひらがな)でそう書くんだよ」

 

 

 清明さんに勉強を見てもらう。

 といっても、俺の場合はまず文字を覚えるところからだがな。

 白紙の本(ノートと言うらしい)にひたすらあいうえ書き込んでいく。村では勉強なんてさせてもらえなかったから、新鮮な気持ちだ。

 

「シオンくん、文字の読み書きは出来ないけど、話し言葉はしっかりしてるよね? 難しい単語もちょくちょく言えるし。お父さんが侍だったっていうから、赤子の頃に自然と覚えたのかな?」

 

「あぁ。それもあるかもしれないが、村の女性たちに『夜は高貴な喋り方をしろ』と教えられてきてな」

 

「ん、夜……?」

 

「そちらのほうが、興奮するからと」

 

「オーケーッ、その話はやめようッッッ!」

 

 なぜか話を遮られた。あと頭を撫でられた。なんでか知らないけど気持ちいい。

 

 

 その日の午後は、『能力検査』なるモノをすることになった。

 機関内の道場みたいな場所で、まずは走らされたり色んな運動をやったり、刀を好きに振り回してみろと言われた。楽しかったのでノリノリでやった。

 

 次に、植物の種を渡されて血を一滴垂らせと言われた。

 わけがわからないまま指先を軽く斬って種に垂らす。すると、みるみるうちに芽が出て葉が出て茎が伸び、彼岸花の蕾が出たのだから驚きだ。

 

 それからは、色々なモノを手に「巫装展開」って言わされたり、巫装を出して硬いモノを斬ったり、巫装に色々ぶつけられたり、ずっと出しっぱなしにするという内容をやらされた。

 あと遠くのモトとかすごく小さなモノを見せられ、コレは何か当ててみなさいと言われたりもしたな。結構疲れた。

 

「お疲れ様っと。なるほど、やはりキミは素晴らしい」

 

 さらさらと用紙に何かを書き込んでいく清明さん。鉛筆を動かしながらちらりと俺を見てくる。

 

「本当はこの検査、入隊時にするものなんだけどね。でもぶっちゃけ、キミは上層部(うえ)から危険視されていてさ。僕責任の下、機関内での巫装展開はもちろん、歩行以上の運動行為も絶対厳禁。よって検査もナシのまま、難易度の高い現場に出せって言われたよ。この意味わかる?」

 

「わからない」

 

「わからなくていいよ。――まぁでも、『天浄楽土』の元幹部に完勝した件で、上もキミを有用に使っていくと決めたようだ。僕が見てる場なら、能力検査もヨシだってさ」

 

 用紙を書き終わると、それを俺に差し出してきた。

 

「まぁキミの才能なら、こうなるだろうって思ってたよ。シオンくんに足りないのは知識だけだから。……というわけでハイ、これがキミの能力ね」

 

 何かが書かれた紙を受け取る。……当然ながら読めないので睨めっこだ。

 そんな俺の様子に清明さんは苦笑しながら、内容を読み上げてくれた。

 それによると……、

 

 

 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 隊員名:四条シオン 等級:三等陰陽師

 入隊推薦者:特等陰陽師・安倍清明

 

 身体能力:A 戦闘技能:A(使用技法:我流・逆手二刀流剣術) 保有霊力量:B

 

 発現巫装:【黒刃々斬(クロハバキ)

 種別  :『人器強化型』

 媒介  :『斬撃武器限定・二本まで』

 異能力 :『刃の硬質化。および超視力の発現』

 

 攻撃性:A 攻撃範囲:E 耐久性:A 消費霊力量:C 操作性:A

 

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「――能力ランクはE~Aまで。Aに近いほど優れているとされている。ただ、消費霊力量だけは低いほうがいいんだけどね」

 

 ほほほう……?

 

「すまん清明さん、いくつかわからない単語がある。まず身体能力や技能やらはわかるが、霊力とは?」

 

 そう聞くと、清明さんは「それはねー」と言いながら植物の種を出した。

 

「『陰陽魚』を飲んだ者はね、魂から霊力っていう不可視のエネルギーが出せるようになるんだ。んで、彼岸花には霊力を吸うと急成長する特性があってね。ソレを利用すれば……」

 

 清明さんは指を噛み切り、俺と同じく血を一滴垂らす。

 すると彼岸花は一気に芽吹いて花が咲き、まるで弾けるように散ってしまった。

 清明さんの周囲に赤い花びらが舞い散る。

 

「こんな風に、血中に含まれる霊力濃度によって花が育つため、その成長度合いで保有霊力が計れるってワケだよ」

 

「なるほど……」

 

 花が一気に咲いて散ったのを見るに、この人の霊力は俺よりも高いようだ。

 

「霊力が多いと何かと得だよ。妖魔を威圧できたり、魂魄に害を為す攻撃から精神や魂を守れたり。あと何より、巫装の展開時間が伸びるからね」

 

「ほほう」

 

 巫装っていうのはずっと展開できるわけじゃないんだな。

 今回の検査で、出し続けてたら苦しい感じがしてきて、それで初めて知ったぞ。

 あれは霊力が切れてたのか。

 

「保有霊力量Bで持続展開時間が一時間なら、消費霊力はCが妥当だろうね。小休止を挟めば一日に五時間は使えるだろうから、十分優秀だと思うよ」

 

 これが霊力量Eで消費霊力量Aとかなら地獄だよ~と清明さんは苦笑する。

 そんな人がいるのか、大変そうだなぁ。霊力が切れまくってバテバテになっちゃうんじゃないか?

 

「ま、天草さんのことなんだけどね」

 

「ってあの眼鏡の人かー……」

 

 やたら苦労顔の陰陽師さんを思い出す。

 あの人、体質まで苦労性なんだなぁと俺は可哀想に思うのだった。

 

 

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