謎食いの探偵   作:火西善二郎

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プロローグ

 転生、というものを体験した。

 それも大して詳しく知らない推理漫画の。

 名探偵コナン。体は子供、頭脳は大人。せやかて工藤。格闘家はコナンの世界において最強!

 知ってるのはこれぐらい。あと、何だっけ? ギンとか言うやつは実は味方でコナンの正体がバレそうになる度に敵を殺してくれるんだっけ?

 とにかくまあ、そんな世界に転生することになった。まあ事件に関わらなければいいかと高を括っていたら神に呪われ謎を解かねば餓死する体にしたとか言ってきた。そもそも頭良くないから無理と言ったら100年ぐらいかけて様々な知識を学ばされ、神界の謎を喰い、漸く転生させられる。

 『謎』という甘美なエネルギーを喰らうことにより溜まったエネルギーは俺の力となる。喰えば喰うほど、俺は強くなり、神々から貰ったり盗……借りた道具も使えるわけだ。食わなきゃどんどんただの人間並に弱くなっていき………あ、いや、戻っていくんだった。俺は人間だもの。とにかく高い身体能力、再生能力は失われ人間並みに戻り、それでも食わないとさらに弱体化して何れ死ぬ。

 

「人間の生み出す謎は神のそれとは比べ物にならないよ」

 

 と、俺を転生させると言い出した神はいう。

 全能の神々が生み出す謎は単純。死んでもすぐに復活するから、精々が悪戯感覚。

 しかし人間は違う。脆弱な体で、限られた寿命で、広く浅く広がる群れの中で、自身の心を守るため、自身の地位を守るため、他のどの生物よりも進化したその知恵を持って謎を生み出す。

 その話を聞くだけで涎が溢れる。最早俺は普通の人間の感性ではないのだろう。そしてそれを嘆こうとも思わない。その程度には染まっている。

 

「あの2つの扉………片方は謎に溢れた世界、片方は謎の少ない世界…………人が居る限り謎は消えずとも、君の空腹を満たせるのは一つだけ。さあ、どちらを通る?」

「問われるまでもない」

 

 自身の脳髄の空腹を刺激する甘美なる謎の匂い。それを間違えるはずもなく、俺は扉を開けた。

 

 

 

「あ、新世界は空からって神々の常識だから」

「ははは。死ね」

 

 

 

 

 俺は高校生探偵工藤新一! 幼馴染の毛利蘭と遊園地に遊びに行き黒尽くめの男達の怪しい取引を目撃した。

 取引を見るのに夢中になっていた俺は、背後から近づいてきたもう1人の仲間に気付かなかった。

俺はその男に毒薬を飲まされ、目が覚めたら………

 

体が縮んでしまっていた。

 

『工藤新一が生きていると奴らにばれたら、また命を狙われ、周りの人間にも危害が及ぶ』

阿笠博士の助言で正体を隠すことにした俺は、蘭に名前を聞かれて、とっさに『江戸川コナン』と名乗り、奴らの情報をつかむために、父親が探偵をやっている蘭の家に転がり込んだ。

 ただこのおっちゃん、へっぽこ探偵だからな。

 俺が博士の発明品時計型麻酔銃、蝶ネクタイ型変声機を使い推理を肩代わりして眠りの小五郎として活躍させている。

 そんな俺の正体を知っているのは、阿笠博士、元黒の組織の研究者にして俺の体を小さくした薬の開発者灰原哀、西の高校生探偵服部平次。そして俺の両親!

 必ず奴等の手篝を見つけてやるぜ!

 小さくなっても頭脳は同じ、迷宮なしの名探偵!

 真実はいつも一つ!

 

 

 

 

「謎に事欠かないな、この世界は」

 

 ビルの()()()()()眼下の街を見下ろす黒い影。

 

「流石推理漫画。俺の食料に満ち溢れている………さて、どれから食らうとするか」




かんそうまってやす
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