◆第四章予告
クラシック三冠目の菊花賞に向け、シルクたちは夏合宿に向かう。
充実した時間を過ごすが、合宿最終日、意図せぬ事故に遭遇し山中の廃墟に閉じ込められてしまう。
刻一刻と迫る土砂崩壊の危機の中、そこで彼女たちは競走界の裏に蠢く悪意を知る。
脳裏をよぎる謂れなき記憶に混迷するシルク。
エリモの献身は仇となり、二人の間に不協和音を生む。
そして到来する、彼女達を追い立てる恐怖の人影。
果たして無事生還なるのか。
次回、『さまようものたち』
近日投稿予定。
★史話解説(3)~第六十四回日本ダービー~
シルクジャスティスは三歳の十月に京都の新馬戦でデビューするも十一着に終わり、その後もなかなか勝てず、ようやく初勝利を得たのは四歳三月の未勝利戦だった。
デビューから八戦目の毎日杯で三着に入ると、続く若草ステークス、京都四歳特別を連勝し、滑り込む形で日本ダービーへ進む。なお京都四歳特別からジャスティスの引退する二〇〇〇年の金鯱賞まで藤田伸二が騎乗することになる。
対するエリモダンディーは三歳六月の新馬戦から白星を挙げ、年明けの福寿草特別、若駒Sで連勝し、すみれS二着とクラシックへ向け名乗りを上げた。しかし皐月賞ではサニーブライアンの逃げの前に得意の追い込みは不発に終わっている。
そして迎えた日本ダービー。レースがスタートすると、サニーブライアンが皐月賞同様大逃げし自分のペースに持ち込む。サイレンススズカ以下先行馬は掛かり気味となり、四コーナーを回ってからシルクやエリモ含む後続勢が襲い掛かるが、バテることなく逃げ切り勝ちを収めた。このときフジテレビ実況の三宅アナが放った「これはもう、フロックでも、何でもない! 二冠達成!」は名実況として競馬ファンに語り継がれる。
着順は以下の通りであった。
1.サニーブライアン
2.シルクジャスティス
3.メジロブライト
4.エリモダンディー
5.ランニングゲイル
6.エアガッツ
7.マチカネフクキタル
8.トキオエクセレント
9.サイレンススズカ
10.セイリューオー
11.スリーファイト
12.ショウナンナンバー
13.テイエムトップダン
14.ビッグサンデー
15.マイネルマックス
16.フジヤマビザン
17.ゴッドスピード
二番人気に支持されたシルクジャスティスは後方から鋭く追い込むレース振りを見せたが、一馬身届かずサニーブライアンの二着に終わった。
サニーブライアンはその後故障に悩まされ、三冠目の菊花賞を回避したばかりか、復帰も叶わずそのまま引退することとなる。
日本ダービーは終わった。
だが、一同の心をたとえようのない不安がよぎる。
黒霧は競走界賭博化で何を狙うのか。
それに抗うシルクの胸中にある真実はいずこか。
献身的に思えるエリモの言葉の真偽とは。
そして不穏な動きを見せ始めた島原たちの意図は。
真相は未だ闇中より、姿を見せない……。