結月ゆかり「私のマスターは自称神様」   作:またたび日和

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大変長らくお待たせいたしました。
増田さん視点のパート2です。
恐らく次でラスト、その後はゆかちゃん視点の話に戻ります。


閑話 我が友と二体目のアンドロイド2

僕の名は増田。我が友が崇拝する神であり、彼の友人だ。

今しがた我が友と腰を据えた話を終え、寝室に向かう彼の背中を見送ったところだ。

こんな時間に、更に時間まで作ってもらったことを本当に申し訳なく思うが、僕も知りたいことがあったし容赦してほしい。

 

この[時間を作る]という言葉は、我が友が相手だと意味合いが変わる。

世界を創造できる我が友にとって時間の停止、時間の遅延は容易ではある。ただ、久遠の時を生きる我が友には、時間を無駄に増やす無意味な行動だ。

それでも我が友は、僕との会話を優先して時間を作ってくれた。そのことに感謝しながら、その時間は有意義に使わせてもらった。

 

それが同情だろうが共感だろうが、我が友がアンドロイドを連れ帰ってきたことは喜ばしい。

だからこそ、ゆかちゃんが本当に我が友にとって有益な存在になるのか僕が見極める必要がある。

ことこういう事に関して、我が友は盲目的で楽観的な思考になるので、悪いが全く信用できない。

人外である僕のやることじゃないと思うのだけど、我が友が頼りないからなぁ…。

溜息を吐きながら朝食の仕込みをしているとリビングのドアが開いた。ゆかちゃんが起きてきたようだ。

 

相変わらず手伝いを提案してくるゆかちゃんだが、これは僕が趣味でしていることだ。

大昔に我が友が僕の為に作ってくれた料理を口にした時、僕は初めて料理に対して感動というものを覚えた。

そこから僕は料理と呼ぶ行動に興味を持ち、我が友の舌に合う料理を研究し始めた。

だが、趣味という理由だけで手伝いを拒否したわけではない。我が友に信用に足りえない第三者が手を付けた料理を食べさせたくないのだ。

…料理に薬を盛った屑がいなければ、普通に手伝いを頼んだだろうか。

 

ゆかちゃん用に味を調整してみたコーヒーを置き、反応を見てみる。

…うん、上々だな。あと二,三回淹れればほぼ完璧に好みの味が把握できそうだ。

しかし、これに合う茶請けが無いのが惜しいな。茶請けを常備する習慣は、この家には無いからなぁ…。

さてさて、普段なら雑談の一つでもするところだが、ゆかちゃん相手に振れる話題は多くない。

一番無難なのは我が友の話題だろうと、先のゆかちゃんに対する我が友の行動を茶化しながら話してみる。

 

「…めて……やめてください!マスターを悪く言わないでください!

確かに寝顔を見られるのは恥ずかしいですが、マスターは私に寄り添ってくれていたんです!それを__」

「…驚いたな。一日で随分とアイツに好意的になったものだ」

 

本当に驚いた。ゆかちゃんが声を荒げた事にではない。ゆかちゃんが我が友を守るために、面と向かって僕に止めろと発言したことにだ。

この家には当然僕も住んでいる。普通なら同居人と険悪な雰囲気になるのを避けるため、苦笑したり咎めたり、あるいは同調して空気を取り持つ。

だがゆかちゃんはそれをしなかった。例え後先考えない衝動的な発言だったとしても、彼女は我が友のために物申した。

…少し、ゆかちゃんへの警戒度を下げても良いかもしれないな。

顔面蒼白になり頭を下げようとするゆかちゃんを制止し、先の言葉遣いについて謝罪を行った。

 

そうしたら急に、僕が我が友のことが好きかどうか聞いてきた。

どういった思考の飛躍が起きてそのような質問をするに至ったのか気になるところだ。

しかし、我が友のことが好きか、か。そのような月並みな言葉で僕達の関係を語ってほしくないものだ。

…ではどういう関係かと問われたら、僕も言語化するのは難しいけどさ。

それにしても、我が友は初日で随分とゆかちゃんに喋ったのだな。

 

「私に対して他に何か言っていたか?」

「えっと…増田さんも神様で、自分は増田さんに選ばれた最初の信者だ、とか」

「まだそんな事を嬉々として語っているのか?全く…仕方のない奴だ」

 

正直、あの時の我が友は僕の姿を見て正気を失っていた。そんな中で紡いだ言葉が本心とは思えなかった。

だからこそ、正常な状態の我が友が嬉々としてそのことを語ってくれることが、たまらなく嬉しかった。

しかし、無限とも言える遥か遠い昔のことを未だに語ってくれるのだ。仕方のない奴と評価しても間違いではないだろう。

そんなことを考えていると、ゆかちゃんから生暖かい視線を向けられているのを感じた。

微笑ましいものを見る目を向けられるほど君と親しくなった覚えは無いぞ。そう思いながら少し乱雑に朝食を置く。

 

朝食を終えたゆかちゃんとゆったりとした時間を過ごしていると、リビングのドアノブが回る音が聞こえた。

我が友が起きてきたようだ。まだまだ睡眠時間は足りていないが__

そう思いながら我が友の顔を見る。血色が悪く目の下の隈も見慣れたものだが、普段と雰囲気が違う。

これは…記憶の混濁か。何か長期間の作業をしていたな?

ゆかちゃんのことも一時的に頭から抜けているようだ。とりあえず、顔を洗って(一度死んで)こいと我が友に促す。

 

一度リセットが掛かったことで記憶の混濁は解消されたようだ。だが、睡眠不足は解消されていないようだ。

一体どれだけ作業していたんだ?何故ゆかちゃんのことを忘れていた?彼女のために何かしていたのではないのか?

僕の疑問なんて知ったことではないと言いたげに舟を漕いでいる我が友。横にしたらすぐにでも寝そうだが、悪夢で飛び起きることは目に見えている。

…ふむ、我が友のために声を荒げてくれたゆかちゃんなら、このくらいは許容できるだろうか。

半ば強引に我が友を膝枕させ、無理矢理睡眠を取れる体勢にする。本来なら密着し続けるのは控えた方がいいのだが、背に腹は代えられない。

我が友のことをゆかちゃんに任せ、僕は地球へ繋がる扉を潜り抜ける。

 

 

買い物も終わり、我が家へと帰る。二時間ほど経過したが、我が友は少しでも眠れただろうか。

半時間ほど睡眠を取れたのなら重畳なのだけど、難しいだろうなぁ…。

そう思いながらリビングのドアを開ける。テレビの音は感じ取れるが、我が友やゆかちゃんの声は認識できない。

しかし、この寝息の波長は…随分と久しぶりに感じた波長だ。

ゆかちゃんの対面に座り、我が友の顔を見る。

 

「…随分と眠りが深いな」

「あまり寝れてませんからね、今はぐっすりですよ」

 

…ああ、ゆかちゃんはこの状態の我が友がどれだけ稀有なのか分からないのか。

これだけ安眠できているのなら、今後もゆかちゃんの膝枕に頼らせてもらうのも真剣に考えないとね。

とりあえず、我が友の安眠が最優先だ。配信なんて所詮は趣味、予定通りに実行できなくても謝罪一つでどうとでもなる。

それだけ確認して、昼食の仕込みと間食の用意を手早く済ませる。

ゆかちゃんの前にカステラを置き、熟睡する我が友の観賞に打ち込む。

 

「…あ、増田さんに共有しておきたいお話があったのです」

「む?こいつがまた何か言ったのか?」

「いえ、実は__」

 

二人きりで話していた内容を聞く。もしもの時は逃げろか、我が友らしい発言だ。

我が友やその周囲を害する存在にすら慈悲を与えようなんて、本当に甘い。

だが、自分だけなら何とでもなっても、ゆかちゃんに手を出されたら烈火の如く怒り狂うのは目に見えている。

ゆかちゃんは我が友の身を案じているようだが、それは我が友を非力な人類と勘違いしているせいだ。

死ねない我が友の身を案じるなど時間の無駄だし、その辺の人間如きに我が友が後れを取るはずもない。

少しは我々の言葉を信用しろと言っておくが、色々と秘匿してる今の僕達の言葉がゆかちゃんに響くことはないだろうね。

 

 

時間が正午を過ぎた頃、我が友がゆっくりと起き上がる。

悪夢で飛び起きるいつもの仕草ではなく、快眠から目覚めた時の落ち着いた動作だ。

本当にぐっすりと眠れたようだ。清々しい我が友の顔を見るのは本当にいつ以来だろうか。

そんな嬉しさと安堵は決して表には出さず、今の時刻をさり気なく我が友に教え、昼食を食べるよう促す。

 

昼食を食べながら午後の配信について話す雑談の中、ゆかちゃんに渡したい物があると言う我が友。

ふむ、今回の寝不足の原因になった贈り物か。一体何を(こしら)えたのかな。

貴重な睡眠を削って作り上げたゆかちゃんへの贈り物とやらを、僕も楽しみにさせてもらうよ。

 

「これをゆかちゃんに。今後も僕のアンドロイドとして一緒に居てほしい」

 

無駄に綺麗に梱包された、小さなプレゼント箱がゆかちゃんの前に置かれる。

おっかなびっくりそれを開封したゆかちゃん、そこに鎮座していたのは1つのネックレスだ。

5㎝ほどの八角柱状の形をした、認識さえ難しいほど透明な水晶。そして、視界に入れるだけで畏怖するほどの膨大な内包魔力。

 

「うっわぁ…」

 

正気か!?『極対石(きょくたいせき)』の大結晶とか正気か君は!?

虫除けくらい用意して渡せば、とは煽ったけどこんなの作ってくるとかホントに正気か!?

 

極対石(きょくたいせき)、それは対極にある二つの魔力が衝突し続けた際にごく稀に生成される、膨大な魔力の結晶だ。

その内包魔力は、砂粒ほどの大きさで銀河単位で取引される程であり、その砂粒1つで数千万個のダイソン球に匹敵するエネルギーを持っている。

このエネルギー量は結晶自体の質量の他に、生成時に混入した雑多な魔力の量にも左右され、混入物が少ない物ほど無色透明になる。

理論上では、大きさは最大で2cm程になるらしいが、これは宇宙生誕から終焉までの全ての時間を費やし生成された場合であって、当然だが普通はそんなことは起こりえない。

 

ただ一つの例外として、我が友はその対極にある両方の魔力の性質を持っていて、この宇宙で唯一人工的に不純物無しの完璧な極対石を生成することができる。

だが、他の魔力が一切混ざらないようにするには、時間を止めた状態で生成を行う必要があり、我が友にとっては言葉通り時間の無駄だ。

そんな極対石を5cmにまで育てるなんて、一体どれだけの時間を掛けたんだ?

 

「うっわぁ…え?は?…え?…うっわぁ…」

 

水晶内部に無数に張り巡らされた術式を見れば、これが最初から設計されて作られていると分かってしまう。

こんな馬鹿みたいな精度の術式を組みながら結晶を作り上げていくなんて本当に馬鹿じゃないの?

しかもよくよく見ると、この結晶には研磨痕…つまり削って形を整えた痕がある。

その加工で出来た削れカスで超銀河団が幾つ買えると思ってるんだ?

こんな物のために自分の睡眠時間と精神を磨り潰したのかと考えるだけで溜息が出る。

 

「…これ、そんなに高い物なのですか?」

「いや、貴重な物ではあるが、値段が付くような物ではない。大事にしておくといい」

 

こんな代物が市場に流れたら冗談や誇張でなく宇宙大戦争が勃発する。

しかしまあ、一個人が保有している分には問題無いだろう。

これだけ強大な魔力塊を持ってる個人なんて、普通はバックにとんでもない上位存在がついていると察して手なんて出さない。

こちらが内心色々と動揺しているというのに、この二人はネックレスが似合ってるかどうかで盛り上がっている。

…そうだな、ここまで精神を疲弊させられたんだ、少しくらい意地悪な発言を我が友にしても良いだろう。

 

「…フッ、良かったなゆかちゃん、私の分は無いようだがな」

「え?ありますよ。はいっ」

 

コトリと机の上に無造作に置かれた、先程のゆかちゃんの物と同じ結晶。

随分昔に我が友に言った、僕への贈り物にわざわざ包装なんて不要だ、という言葉をちゃんと守った、剥き出しのままのそれ。

そっと持ち上げてそれを確認する。中央に印字された文字は「H」、人としての仮の姿の増田ではなく、本当の僕へ向けたプレゼント。

宇宙が消えれば、この結晶も泡沫のように消えて無くなるというのに、本当にどうしようもなく無駄なことだ。

 

また無駄なことをと、いつものように呆れた風な音を出して我が友に小言を言わなければと思いながらも、その音が出せない。

我が友が、いつか消えると分かってて尚、僕のために用意してくれた品。

きっと、これを作るために一時的にゆかちゃんを忘れたのだろう。そう感じ取れるほど精巧に作られた結晶。

膨大な時間と労力を使って捧げられた物に、無駄なことだなんて吐き捨てることなんてできるわけがない。

結局、ゆっくりと我が友からの贈り物を握りながら「馬鹿じゃないの…?」と呟くことしかできなかった。

 

 

気が付いたら、我が友もゆかちゃんも配信のために部屋を移動していた。まさかここまで精神を持っていかれるなんて、完全に不覚だ。

フゥーっと息を吐くような音を出して気分を切り替え、改めて贈られた結晶を観察する。

ゆかちゃんに贈った物には敵意を持った相手に対する防衛機構が幾重にも彫り込まれていたが、

この結晶体にはその防衛機構の反転__つまり無効化する機構が彫り込まれている。

ゆかちゃんを守ると同時に、万が一我が友を裏切るようなことがあれば僕も手を下せるようになっている。

 

…いや、完全に信用はしてませんよアピールのつもりなら、そもそもこんなふざけた品なんて作るな!

本当に、我が友の言動は時々理解ができなくなる。

他の人間に話を聞いてみたいところだが、残念ながら我が友と同じ人生を歩んでいるような稀有な存在はいない。

居もしない存在を考えるのはやめにして、二人の為にお八つの準備をする。

オーブンに放り込めば出来上がるまで手持ち無沙汰になるので、我が友たちの様子を見に行く。

 

今はゆかちゃんが何やらセンサーを付けてゲームプレイの真っ最中だ。

ふむ、自分の動きに連動して画面内の敵を攻撃するのか。そう考えると、ゆかちゃんの動きは予想外に予想以下だ。

軍事用の部品に、我が友が手ずから整えた身体を駆使しているというのに、この程度の体捌きしかできないのか。

それとも、最初から戦闘用として調整してないのか…うむ、十分ありえるな。でなければあのような贈り物はしないだろうし。

 

やり切ったゆかちゃんの顔を横目に、我が友の動きを見る。いつ見ても見事な動きだ。

ただ我が友の場合、この動きを手に入れるまでの過程が普通の人間とは違う。

我が友は過去の記憶をなるべく思い返さないために、色々な存在との殺し合いをし続けた。

最強の死神、忍びの里の創設者、抜刀術の開祖を襲名した者、様々な存在と戦うことで辛い記憶を誤魔化す我が友の姿は痛々しいものだ。

それを何百何千年と続けた結果が今のあの動きだ。あの一挙手一投足の全てが我が友の悲しみによって構成されていると思うと複雑な心境になる。

 

しかし、やり切って得意げな顔をしている我が友を見ると、そんな心境も霧散するね。

動機が何であれ、鍛えるという行動が我が友の自信に繋がってるのなら喜ばしいことだ。

そう思っている間に締めの挨拶が始まったので、クッキーとコーヒーの準備をする。

それをテーブルに並べている最中、我が友から念話が入る。

 

『どうでした、今日の僕の動きは?』

『九頭龍閃を初め剣術の腕をまた上げたね。で、そんなことを言うための念話じゃないでしょ?』

『はい、このゲームの会社がアンドロイド密輸に関わってそうなので、ちょっと潰しにいってきます』

 

動きの連動…なるほど、そういうことか。さすがに我が友の動きを模倣したアンドロイドが量産されたら困るね。

我が友が積極的に潰しに動くと考えるだけで、どれだけ重大か嫌でも思い知らされる。

ゆかちゃんには他の雑多な用事を主要として伝え、我が友は地球へと向かっていった。

 

「アイツ、強かっただろう?」

 

どうだい、我が友は凄いだろうとゆかちゃんに自慢するように話す。

どんな内容であれ、我が友が評価されるというのは自分のことの様に嬉しいものだ。

我が友の動きを見て興奮冷めやらぬゆかちゃんと我が友について雑談する、中々有意義な時間であったと個人的には思う。

うん、久しぶりに我が友談義ができて僕は大満足だ。

 

そんな会話を二時間ほど続けた辺りで、我が友が戻ってきたかと思えば、机に突っ伏して嘆いている。

何やら色々とやってきたようだが、我が友がそこまでするほどのことなのだろうか。

こだわりがあるのは分かるけど、それは本当に必要な苦労なのかと常々思う。

無駄な苦労で精神を擦り減らす無意味な行動は未だに理解できず、少しきつい口調で姿勢を正すように促しておく。

我が友は不貞腐れた顔をしているが、こちらへそれを向けられても困る。

 

我が友が外へ出ている間に交わされた僕との会話をゆかちゃんに尋問する我が友。

だが、ゆかちゃんとしては言い出しづらい内容なのか、誤魔化すような動作を行っている。

そんなに言えないような内容の話はしていないよな?そう思いながら他人事のように聞いていると、ゆかちゃんが困った顔で目線をこちらへ向けてきた。

おいやめろ我が友に少しでも誤解されるような挙動を僕相手にやるんじゃない!

 

「むー、二人で内緒の話ですかー」

「何だ、嫉妬か?」

「そうですね、嫉妬で狂ってしまいそうです。僕のゆかちゃんですよ増田さん」

「それは恐ろしいな。安心しろ、お前の物に手は出さん」

 

誤解をしないでおくれよと言葉を紡げば、心底安心したように我が友が破顔する。

何とか普段通りの音の振動を出せた自分を褒めてほしい。

ああ、本当に恐ろしいね。我が友は軽い口調で言ってるけど、僕にはその言葉が恐ろしくて堪らないよ。

あの時の会話が無ければ、先の会話も単なる雑談の一つとして流していたのだろうね。

 

 

『もしも僕が、君の大事な人間を取ったら、君はどうする?』

『どうしたんですか急に?』

『いや、なんとなく気になってね』

 

僕の言葉で、自分を裏切った相手に神罰を下すようになった我が友に、少し意地悪な質問をする。

我が友を裏切ったり謀った連中には当然の末路だし、僕もそれをするのは当然と思っている。

だからこそ、我が友が神と崇める僕がもしそんな行動をとったらどんなことをするのか興味が出た。

 

『んー…我らが神(増田さん)には何か考えがあるのではと思い、特に何もせず成り行きを見守りますかね』

『特に考えは無く、君を困らせたい興味本位の行動だと言ったら?』

『つまり、我らが神は私がそれを嫌悪していると知っていながら、悪意を持ってそれを行ったらどうするかと?』

『端的に言えばそうだね。今までの連中の様に、僕も拷問の果てに殺し尽くすのかな?』

『まさか。命まで捧げた崇拝する神の言動に文句など言いません。ですがそうですね、もしそのような言動をなされたなら__

私は二度と、我らが神を[増田さん]とは呼ばなくなりますし、こんな崩した言動は決してしなくなります』

 

我が友の言葉に、僕は言葉を返すことができなかった。

偽名で呼ばれなくなる、ただそれだけではない。増田とは僕が我が友の[人間の友達]として名乗った、神としての名声も地位も全て捨てた化身の名前だ。

その名で呼ばれなくなるというのは、我が友の為にしてきた言動の全てを否定される、信頼を全て失うことに等しい。

我が友に面と向かって「もうお前のことを信じない」と言われると、仮の話とはいえ色々と堪えるな。

本当にそんな言葉を言われないように、言動には殊更注意しようと心に誓う。

 

 

そんな僕の思考なんて知る由も無い二人がほのぼのとした会話を繰り広げている。

我が友がゆかちゃんに、もっと素直に生きなきゃと言っているが、それは誰よりもまず君に贈られるべき言葉だよ。

全く、言ってる本人が全然素直な生き方をしていないのはどうなんだろうねホント。

…スカートを覗いてるのは…まあ、一応素直な生き方ではあるのかな?

二人のやり取りを傍目で見ながら、僕は夕食の準備に取り掛かる。




妖怪我が友スキー
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