不知火は疲れている。   作:覚醒不知火

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第三話 重傷と夢

不知火が負傷してから二日が経った。

 

私が不知火を鎮守府に運び込んだ時、みんなは直ぐに対応してくれた。

不知火はかなり危ない状態だったけど明石さんや手伝ってくれたみんなのおかげで私は不知火を死なせずに済んだと思う。

 

だけど・・・二日経った今でも不知火は目を覚ましていない・・・

 

 

明石さん曰く不知火は至近距離で戦艦クラスの主砲に砲撃されたようで海の上なら沈んでいても可笑しくない状況だった。

高速修復材を使ったらしいのだが体へのダメージが大きすぎたらしく、まだ意識は回復していない。

不知火は鎮守府に併設されている軍病院の集中治療室で安静にされている。

 

私はいつも道理の任務をこなしながら回復を祈る事しか出来ない。

けれど、思い出してしまう血塗れで倒れている不知火の姿を。

 

そして考えてしまうのだ。

 

最初から不知火を引き摺ってでも連れ帰っていればと・・・

 

 

 

 

ここはどこだろう?

思い出せない

私はなぜここにいるのだろう?

思い出せない

 

周りを見渡す。

ここは海の上いや下?

わからない

どちらでもある気がするしどちらでもない気がする。

 

上は明るくて暖かくてみんな(艦娘)もいる海の上。

下は暗くて冷たくてだけどミンナ(深海棲艦)ガイル海ノ下。

 

海が二つある・・・それとも視界が二つあるそんな気もする。

右目を閉じればみんな(艦娘)の世界、左目を閉じればミンナ(深海棲艦)ノ世界。

 

水面に映る自分の身体を見てみれば視界ごと海ごとに見かけが違う。

 

左の視界には桃色の髪をした私。

右の視界には真っ白な髪と肌をした私。

 

そして遠くに見える艦娘(深海棲艦)

あれは・・・

 

そうか・・・ここは夢か、だって■■■は・・・

 

■■■が目の前に歩いてくる。

彼女達は両方の視界に写る丁度真ん中に立ち。

私に声をかけてくる。

 

「■■■■■■■■■■■■」

 

その言葉を聞き私は・・・

 

 

 

「ぅ・・・」

 

意識が少しずつ覚醒していく。

 

自分が気を失った事を思い出し周囲を確認する。

 

視界に先ず映るのは真っ白な天井、端には計器類と点滴が見えた。

 

次に身体を動かそうとするがまるで重りでも付けているかのようで上手く動かせない。

左腕は動かせるが右腕は感覚すらつかめなかった。

 

首だけを動かして周囲を確認しようとすると。

 

「おっ!やっと目を覚ましましたね」

 

女の声が聞こえてくる。

声の方向を見ると白衣を着ている緑髪の艦娘?が立っていた。

 

「誰・・・ですか」

 

声を掛けようとしたが上手く声が出ない。

 

「無理に話さなくて良いですよ」

 

艦娘は笑いながら声をかけてくる。

その笑顔は普通の笑顔とではなくどこか狂気を感じる笑顔だった。

 

「私は夕張、大本営の技術部から来ました」

 

夕張は一言で自己紹介を終えると懐から一枚の紙を取り出す。

 

「単刀直入に言います、不知火貴方は今かなり危険な状態です」

 

夕張は紙での説明も交えながら声のトーンを落とし真剣に話し始めた。

自分が大変な状況と言うのは嫌でもわかるが・・

 

「貴方は艤装を纏っていない状態で砲撃を受けた。その結果艤装でダメージを吸収できず入渠施設や高速修復材でも治らない、海の上なら沈む可能性もあったような・・・嫌確実に沈むレベルの損傷を受けた。私の治療でぎりぎり最悪の事態は回避しましたがまだ死ぬ可能性があったり、運が良くても後遺症が残ります。特に右腕はもう一生動かないでしょうね」

 

・・・絶句する。

事態の深刻さを知って更に自分の行動を後悔した。

 

「でも不知火・・・貴方を救える方法が一つだけ私にあります」

 

すると夕張はもう一枚紙を懐から取り出す。

 

「突然ですが、単刀直入に言いましょう」

 

本当に突然だ。

唐突すぎて頭の理解がまだ追い付いていない。

 

「この契約書にサインをすれば貴方は助かる」

 

夕張は更に声のトーンを低くして話していたが・・・表情は笑っていた。

 

「サインしなければ助からない」

 

「・・・」

 

「契約書をよく読んでからサインしてください」

 

ベットを起こされペンと共に差し出された紙。

 

私は夢を思い出す。

あれはきっと■■■。

 

左手でペンを握り私は紙に・・・

 

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