不知火は疲れている。   作:覚醒不知火

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第五話 記憶

昼下がりの廊下を不知火は一人で歩いていた。

先程までは陽炎と共に昼食を取っていたが不知火が謝罪した直後何やら考え込んでしまった為、食堂に置いてきたのだ。

 

昼食を食べ終わった不知火は午後の演習をどうさぼろうかと考えていたが絶対に行かなくてはいけない用事を思い出し、面倒くさいと思いながらも工廠に新しく併設されたとある施設へ向かっていた。

 

不知火が暫く歩いてると別の艦娘達が前から歩いてきた。

艦娘達は敵を何隻沈めただとか長距離で砲弾を当てただの自分の戦果を自慢しあいながら私の横を通り過ぎようとする。

 

不知火は艦娘達を特に気にすることなく、横を通り過ぎた直後・・

 

『おい今日の任務は通常任務らしいぞ!』

 

『通常任務が来ただけでそんなに嬉しいですか?』

 

『いつもの■■任務と違ってちゃんとした任務だからな!嬉しくないわけがないだろ!』

 

その瞬間不知火の脳裏に記憶がフラッシュバックした。

 

「っ!」

 

不知火は左手で頭を抑えながら近くの壁に寄りかかる。

その顔は青ざめ息も荒くなっていた。

 

「おい・・・大丈夫か?」

 

通り過ぎた艦娘の一人が心配して声を掛ける。

 

その声で我に返った不知火は首を動かし周りを確認すると壁に寄りかかるのを止め足早に廊下を進んでいった。

 

「おい!」

 

心配をしてくれた艦娘の声も無視し不知火はその場を後にした。

 

 

 

「嫌な記憶を思い出しました・・・」

 

私は先程の場所から少し離れた場所で屋外のベンチに座り、少し休んでいた。

 

「最近は無かったのに」

 

最近は思い出すことなんてなかった。

だが死の淵を経験したからだろうか、忘れようとしていた記憶がまたよみがえって来たのだ。

 

「駄目だ、落ち着かない・・・」

 

私はポケットの煙草を探したが、爆発で吹き飛んだかそれとも入院するときに没収されたか、何処を探しても煙草は見つからない。

暫く心を落ち着かせる為にベンチで休んでいたらふとあることを思い出した。

 

「あの艦娘には悪いことをしましたね・・・」

 

私がよろめいた時に心配をしてくれた艦娘・・・

 

次に会った時に謝罪した方がいいかとも思ったが下手に私と関係を作る方が相手も迷惑だろうと思い、私は考えるのを止めた。

 

 

不知火はベンチから立つと目的地に向かって歩き出す。

 

不知火が暫く歩いているとある建物が見えてきた。

その建物は鎮守府の敷地内にこそ存在しているが工廠以外の施設とは離れており人も余り近づいておらず殆ど使われていない為か外には雑草が無数に生えている。

 

この半ば放置されていた建物は倉庫であり、昔は弾薬や燃料などの物資が置いてあったが、鎮守府に所属する艦娘の減少や距離の問題もあり、次第に使われなくなっていたのだ。

 

建物は煉瓦造りであり、入り口は資材を入れるための大きな物と人が出入りする用の二つがあった。

入り口の上には第三倉庫と書いてある汚れた看板があり、ここが使われなくなった倉庫であることを示している。

 

しかし使われなくなった倉庫にしては入り口の前に雑草が生えていなかったり、ドアノブが綺麗だったりとしっかり使われた痕跡があった。

 

不知火は左手でドアノブを捻り扉を開けるとそのまま中に入り、扉を閉める。

 

不知火が中に入り目にしたのは・・・

 

「やっと来ましたか」

 

幾つもの機械や水槽がある部屋で椅子に座り不知火を見つめる、白衣を着た夕張であった。

 

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