さて、俺は今色々あってギルマスとB級冒険者のパーティーを探してるわけだが…。
「ギルマス~?」
「ん?なんだスロウ」
ギルマスがなんも分かってない、みたいな顔でこちらを向く。なんでそんな顔できんだこの人。この人あたかもB級冒険者がその辺にいるかのように話してるけど普通はB級って簡単になれないし、それに加えてある問題もある。
「B級ってそんな簡単に動かしていいのか?」
これこそがその問題である。B級自体が動くことに問題はないが、ギルマスが動かすことになれば話は別になる。
これをしてしまうと市民や他の冒険者の不安を煽ることになってしまうから不用意に動かしたくはないのである。
「あ~…それなら大丈夫だ。ドラゴンの事は隠して他の用件で呼び出すことにするからな。」
…?それでもB級を動かすことに変わりはなくないか?と思うが、まぁなんらかの考えがあるんだろう、きっと。
「…ム。いたぞ、お目当てのB級だ。」
「そういや、俺あんまり他の冒険者と話したことないな。」
「ま、今回をきっかけに交流も増えるだろう。」
「いや俺ソロ冒険者に――」
「よーしとりあえずアイツ呼ぶぞ~!」
話を逸らしやがったな?やっぱりギルド側からしたら俺がソロにはなってほしくないんだろうなぁ……まぁ諦めないけど。
「おーい、アリス?今暇か?」
ギルマスが声をかけたのは女性らしい。赤くて長い髪に橙色の眼がスッゲエ綺麗…。っと、いけねえいけねえ初対面人の顔をジロジロ見るのは流石に不躾だよな。
「ん?なんだいアレイさん」
「いやちょっと用があってな?まぁちょっと来てくれないか」
「フフ、別に良いけれども…奥さんに言いつけちゃうわよ?」
「勘弁してくれ……既に尻にしかれてるんだよ……」
なんか仲良さそうで、話に入れないな。まぁ、とりあえず無言で居よ。
「それで……隣の子は例の?」
「おうよ。例のヤバいヤツだ。」
なんだぁ?二人して。やっぱり俺は有望株なのかな?
「…勘違いしてるかもしれんが、魔法使いがソロ冒険者になるなんて前例がないから注目されてるだけだからな?良い意味で受け取られることなんてほぼないぞ。」
「うん、でもとても面白いと思うわよ。」
なんでこんなにボコボコに言われなきゃいけないんだ…?ソロになろうとしたからか…?ソロになろうとしたからか……。
「とりあえず移動するぞ。ついてこい。」
「はいはーい。」
クソ……でもソロにならないと爆弾は使えなかったんだよ……周りの迷惑になるし、俺自身危険だし…。
でも使いてえじゃん…男のロマンじゃん…。
「…なんかスゴく気分沈んでそうだけど、大丈夫?あの子。」
「夢見がちなガキにはこんくらいがちょうど良いだろ。」
「そう?将来成功しそうな気がするけどね。」
「その途中で死んだら意味ねーよ。」
「あ、そうだ君。スロウくんだっけ?私の名前はアリス・イロハ。よろしくね」
「はい…。よろしくです。」
悪い意味で注目されてるのかぁ……そっかぁ……。
「ええい!スロウ、いつまで落ち込んでるんだ!さっさと本題に入るぞ!」
「はい…。」
うん…うん。とりあえず今はこっちの方に集中しよう。
「それで、私はなんで呼ばれたの?御貴族サマからのご指名の依頼でも入った?」
「あぁ、『表面上』はそのつもりだ。」
「『表面上』は?」
あ、なるほど。だからギルマスは大丈夫、って言ったのか。貴族からの依頼なら市民とか他の冒険者が不安になるようなことはないからな。
「…もしや、そこにいる少年にも関連してるの?魔法学校の介入かなにか?」
「まぁ…コイツに関連してるといえばそうだが…魔法界隈の介入はない。」
「ならどうして?」
「…一応前置きしておくが、これは誰にも言うな。お前を信頼しているからこそ、今から本題を話す。」
「なんだか随分と壮大な前置きなのね?奧さんに逃げられでも―――」
「ドラゴンが出た。」
「――なんですって?」
B級の人、アリスさんの冗談交じりの声色は急に真剣になる。冒険者として、ドラゴンの脅威を知っているからこその変化だろう。日常と仕事の区別をハッキリとつけているのはとてもスゴいと思う。
「それで、そのドラゴンを見つけたのがスロウ、って訳だ」
「……情報は確かなの?」
アリスさんの背筋が冷えるような鋭い視線がこちらを向く。ドラゴンに負けず劣らず、って感じだ。
「確信はまだ得られていないが…そのための確認として、生半可な実力のやつを送るやつにはいけないからな。だからお前に話をしている。」
「…事情は分かったわ。それで、位置は?発見時刻は?細かいところまで分かるの?」
「いや、大体は分かっているが、詳しい位置は分からない。」
「ならどうするの?」
…なんか仕事の出来る大人、って感じでスゴいな。会話に入れねぇもん。
「詳しい位置の把握のために、調査にスロウを同行させたいと思っている。」
「…?正気なの?実績のない冒険者をそんな危険な場所に連れていくなんて殺すようなものよ?」
アリスさんは危険性は重々承知してるからこそ、俺みたいなビギナーが来たら危険だ。と心配してくれてるのだろう。
まぁ俺、ドラゴンから逃げきってるけど、ドラゴンから!逃げきってるけど!
「実力面なら申し分はない。サポート魔法で援護も出来るし、いざとなったら身体強化で逃げきることが出来るからね。完全な足手まといにはならないはずさ。」
「…ムウ。」
それでもアリスさんは迷ってる、って感じだな。いくらB級とはいえ、ここまでドラゴンを危険と感じてる、ってことは前にドラゴンに遭遇したことでもあるのかもな。
「いや、それでも同行は――」
「ハア…わかったわかった。なら、こうさせてもらう。
『B級冒険者、アリス・イロハよ。ドラゴン調査に、アンディア・スロウを同行させることをギルドマスターである私が命ずる。』…これでいいか?」
うわ、出たギルマスから直々の命令だ。アレって冒険者ならほぼ絶対従わないといけないんだよな…。ギルドからの信用下がるから。立場があるならなおさら。
「…ギルドマスター直々の命令、ね。困ったわ、逆らうわけにはいけないじゃない。」
「すまんなアリス。」
「いえ、別に構わないわ。必要なことなのでしょうし。」
「スロウも、それで大丈夫か?」
ギルマスが質問してくるけど、これを断る理由は俺にはない。だから無論…。
「構わないぜ、ギルマス。」
答えは、YESだ。
「よしならば、調査の計画を今のうちに―――」
「あ、そういえばアレイさん。」
「…?なんだ?」
「この依頼どれくらいの金額が貰えるの?」
「ン?あぁ、それなら大体――」
「これ、ドラゴンの調査なのだから危険度も高いわよね?それに加えて、そちらの都合で隠すのだから口止め料もほしいわね。あとさっき命令を下したのだからギルドからの評価のアップ、それと―――」
アリスさんがギルマスに詰めて報酬の交渉をしている。ギルマスはちょっとずつ上がってく値段に比例してちょっとずつ顔が青くなっていってる……。聞いてる感じ正しいっぽいから反論もできなそうだし…。
やっぱ、女の人って怖ぇわ……。
次は本当にいつ投稿されるか分かりません。
感想とかいっぱい来たら早くなるかも…?