デート・ア・ライブーー交わる無垢と冥暗   作:RASっさん

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この作品書くにあたって一番の悩みはタイトル考えることかもしれない…


ネームド十香

 この女の子、重い。総員、思考が一致。

 

 士道の混乱は最もだが、これは重要なターニングポイントでもある。

 選択肢は現れていないものの、全員で名前を引き出さなければならなかった。声には出ていないものの、彼のSOSが聞こえてきた。

 

「うっわ、これまたヘビーなの来たわね……」

 

「彼女の名前を考えるのねぇ。ちゃんと考えないとこの先、大変なことになるわぁ」

 

 そして集計されていく候補名だが、その内容は……

 

「ええと……川越! 美佐子って別れた奥さんの名前じゃない!」

 

「す、すみません、思いつかなったもので……」

 

 

「……幹本さん、この名前はなんて読むのかしらぁ? 麗鐘って──」

 

麗鐘(くららべる)です!」

 

「幹本さん、お子様いらっしゃったりします……?」

 

「はい! もう一番上の子が小学生です!」

 

「一番上の子……全員の子の名前は?」

 

美空(びゅあつぶる)振門体(ふるもんてぃ)聖良布夢(せふぃらむ)です!」

 

「……」

 

「一週間以内に改名して、学区外に引っ越なさい!」

 

「そこまでですか!?」

 

「申し訳ないけれど、お子さんたちが可哀想だと思うわぁ……」

 

「大丈夫ですよ! 最近はみんな似たようなものですから!」

 

「「それはない」」

 

 

「……みたま、そう言うあなたも『ももこ』はどうかと思うわ」

 

「えぇっ? 呼びやすくて愛嬌のある名前だと思ったのだけどぉ?」

 

 

『……』

 

 士道の目が分かりやすく死んだ。同時に今回ばかりは頼りになったみたまの助言は受け取れない気がした。

 

 このまま待つべきかどうか思い悩んだ時、妹へ天啓が降り立った! 

 

「それじゃあ琴里ちゃんは何か思いついたかしらぁ?」

 

「うーん……トメ」

 

『トメ! 君の名前はトメだ!』

 

 総員の答えに対する返答は──

 

 ガガガガガガ!!! 

 

 マシンガンのような音とともに聞こえてきたのは始動の絶叫。ついでに艦内のサイレンも鳴っておりモニターに彼女の機嫌がすこぶる斜めと表示されていた。

 

 どうにもお気に召さなかったらしい。

 

「対象のパターン青、不機嫌です!」

 

「あれ? おかしいわね……古風でいい名前だと思ったんだけど」

 

「少し古すぎたんじゃないかしら?」

 

 そんな会話が上で繰り広げられる中、士道の前の少女は青筋を出しながら攻撃の態勢を緩めていない。

 

『……なぜかわからないが、無性に馬鹿にされた気がした』

 

『……ッ! す、すまん……もうちょっと待ってくれ!』

 

 士道は一人で頭をフル回転させるしかなかった。

 ワイワイガヤガヤとカオスな雰囲気が続くインカムのことは無視して、今度は自分で考えることにする。

 

 彼女の名前……こう言う時、記念日とから取ったりするよな……? でも四月十日って何も変哲もない日だぞ? 

 あんまり花言葉とかも知らないし……

 

 ……

 

『──と、十香』

 

『ぬ?』

 

『どう……かな?』

 

 何とか思いついた名前を遠慮がちに口にした。彼なりに頑張った結果が通じたのか、少女はしばらく考えた後に──

 

「まぁ、いい。トメよりはマシだ」

 

 無事に承諾を得れたようだ。その言葉似士道も頭を掻きながら内心でやり遂げた自分を褒めていた。

 

「ふーん……まぁ、十香? だったかしら。感情も落ち着いているし、及第点ね」

 

「十香ちゃんねぇ…(出会った日が四月十日だから、十香と言うことね? 安直かもしれないけれど)…可愛い名前だし大歓迎よぉ」

 

 クルーの評価も上々で何よりである。

 みたまは何となく名前の意味に気づいていたが、ここで言うのも無粋だとスルー。

 

 その後、黒板に十香の漢字を教えてあげる士道と、それをなぞる十香の穏やかな時間が続いた。

 

 ちらっと好感度のグラフを見ると徐々に上がりつつある。接触がまだ二回目なのにこの上昇は中々の成果ではないだろうか? 

 

 直後──

 

 校舎に凄まじい爆発と衝撃が襲った。

 

「っ!? 今のは──」

 

「士道、床に伏せなさい」

 

『へ?』

 

「いいから、早く」

 

 何が起こったのか理解できなかった士道も、一斉に割れるガラスや壁にめり込む縦断である程度は分かった。

 

『ASTかっ!? 何で急に……っ!』

 

「精霊をいぶり出すためじゃないかしら──あぁ、それとも校舎事潰して、精霊が隠れる場所をなくすつもりかも」

 

『どっちにしても……無茶苦茶すぎるだろ……っ!』

 

「今はウィザードの災害復興部隊がいるからね、すぐに直せるなら、一回くらい壊しちゃっても大丈夫って事でしょ。──にしても予想外ね。強硬策に出てくるなんて」

 

 そう言っている間にも銃声は激しさを増し、壁や天井が更に抉れてくる。

 最早、十香とASTの接敵までの時間はわずかとなっていた。士道の回収も目処に入れるべきとみたまは判断する。

 

「まずいわねぇ……一応確認なのだけれど、こちらからの回収は出来るの?」

 

「えぇ。座標も合わせているからいつでも可能よ。だから士道、選択肢は二つよ。逃げるか、とどまるか!」

 

 琴里に二つの選択を問われた士道だが、彼はこんなところで止まるわけにいかなかった。

 スクリーンには十香も同じようなことを彼に言っていた。

 

 だが彼は逃げない。

 

『早く逃げろ、シドー。私と一緒にいては、同法に討たれることになるぞ!』

 

『……逃げられるかよ、こんなところで……っ!』

 

 彼は押し殺した声でそう言った。

 

「馬鹿ね」

 

『…何とでも言え』

 

「褒めてるのよ──素敵なアドバイスを上げる。死にたくなかったら出来るだけ精霊の近くにいなさい」

 

「……おう」

 

 ……精霊の持つ防御力は並大抵のものでは貫くことができない。銃弾の一つや二つ、彼女らの形成する鎧に弾かれる。

 無論、十香もその一人であり、士道が彼女のそばに居ればある程度の攻撃は凌げると言うことだ。

 

 そのことを理解していたみたまは彼らが銃撃の中で会話している姿に一安心し、琴里の方へ声をかけることにした。

 

「琴里ちゃん、嬉しそうねぇ」

 

「そう? 私としては士道が精霊との接触を続けてくれるのは上出来と思っているわ」

 

「あらぁ〜、素直じゃないんだから♪」

 

「っ……スカウトしたこっちが言うのもアレだけど、初対面なのに全くブレないわね……」

 

「もちろんよ〜、『調整屋』さんも可愛い子にはとことんサービスしちゃうんだから!」

 

 ニコッと笑いながらちゃっかり店の名前を出すみたまの瞳にしかし琴里は感じた。

 あの目は、琴里を揶揄ったり、可愛がったりしたいと言う欲が隠れている。

 

 ……〈ラタトスク〉に集まるメンバーは変わり者が多いが、それはこれからも続くのかもしれない…小さな司令はそう思わずにいられなかった。

 

「はぁ──数値が安定してきたわ。もし可能だったら、士道からも質問してみて頂戴。精霊の情報が欲しいわ」

 

 持ち前の切り替えで士道に次のステップへ移行させる。いよいよこちらから仕掛ける番が来たみたいだ。

 

『なぁ―十香』

 

『なんだ』

 

『おまえって……結局どういう存在なんだ?』

 

『む?』

 

 士道の問いに対して、十香は端的に答える。

 

『―知らん』

 

『知らん、って……』

 

『事実なのだ。仕方ないだろう。──どれくらい前だったか、私は急にそこに芽生えた。それだけだ。記憶は歪で曖昧。自分がどういう存在なのかなど、知りはしない』

 

『そ、そういうものなのか……?』

 

『そういうものだ。突然この世に生まれ、その瞬間にはもうそれにメカメカ団が舞っていた』

 

『め、メカメカ団……?』

 

『あのびゅんびゅんうるさい人間たちのことだ』

 

 

「ASTの面々がそんな認識だと知ったら憤慨ものでしょうねー」

 

「無理もないわよぉ〜毎回組織名を名乗る理由もないでしょうし」

 

 ……確かに向こう側は十香を殺しに来ているのだし、彼女がアレらの名前を知らないのは無理もない。

 

 だけどあの組織も自社のブランド名を表記させるべきね、認知度を上げるためにも……みたまの商人魂がチラつく。

 そんな時、モニターに映る十香の値が一定の値を超えた。

 

 琴里は目の色を変えて士道に指示を続ける。

 

「っ! チャンスよ、士道」

 

『は……? 何がだ?』

 

「精霊の機嫌メーターが七十を超えたわ。一歩踏み込むなら今よ」

 

『踏み込むって……何すりゃいいんだ?』

 

「んー、そうね。とりあえず……デートにでも誘ってみれば?」

 

『はぁ……!?』

 

 いきなりの言葉に、デートなど無縁だった士道が思わず声を出してしまう。それはこの状況では悪手であり、十香も反応してしまった。

 

『ん、どうしたシドー』

 

『っ──! いや、気にしないでくれ』

 

「……」

 

 そう言っても眉を顰めている。誤魔化しも効かないみたいだ。

 

「確かに話し合いは上手くいったなら次は一緒にどこかに出かけたりするのが定石よねぇ」

 

『……でも、十香が出てきた時にはASTが……』

 

「だからこそよ。今度現界したとき、大きな建造物の中に逃げ込んでくれるよう頼んでおくの。水族館でも映画館でもデパートでもなんでもいいわ。地下施設があるとさらにいいわね。それならASTも直接入ってこれないでしょ……」

 

 逃げ道がない、そう士道は感じたが彼が臆するのも無理もない。彼にとってデートはもっと親密な関係同士が行うものと考えていたからだ。

 

 まぁ、琴里、みたまを始めとする面々からして、そんなうじうじしていないでとっとと誘っちゃえと考えているのだが。

 そのストレスを感じているのは十香も同じようで、顔が強張り始める。

 

『さっきから何をブツブツ言っている。……! やはり私を殺す算段を!?』

 

『ち、違う違う! 誤解だ!』

 

『なら言え、今何と言っていた』

 

 絶体絶命の大ピンチ、士道の頬にも汗がにじむ。

 

「ほーら、観念しなさいよ。デートっ! デートっ!」

 

「新たな青春の一歩よぉ〜。デートっ♪ デートっ♪」

 

『あーもうわかったよっ!』

 

 インカムから聞こえるデートコールを極力無視して、士道はゆっくり深呼吸して叫んだ。

 

『あのだな、十香』

 

『ん、なんだ』

 

『そ、その……こ。今度俺と』

 

『ん』

 

『で、デート……しないか?』

 

 その言葉に十香は目を見開き──キョトンとした顔をする。

 

『デェトとは一体なんだ』

 

『そ、それはだな……』

 

(あー……そこからなのねぇ〜)

 

 気恥ずかしくなっている様子を聞いていた艦内に突如警報が。残されていた時間はもうなくなったようだ。

 

「──士道! ASTが動いたわ!」

 

『は……!?』

 

「これ以上は無理そうねぇ……そろそろ潮時かしら?」

 

「えぇ。〈フラクシナス〉回収の準備を!」

 

 琴里の迅速な指示で士道はまた浮遊感に包まれながらその場を去った。映像も十香へ抜刀しながら接敵する白髪ショートヘアーのAST隊員を最後に終了した。

 

 これで〈ラタトスク〉で初めての精霊との実践が終了したのだった。

 

 

 

 

 

 ◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯

 

 

 

 

 

 みたまはタブレットに映し出された精霊のデータを眺めていた。そこには今日相対した精霊…基、十香の好感度や精神状態をグラフなどにまとめてある。

 

 解析官の仕事も受けている彼女はそのデータを見ながら、精霊が士道と出会う前の状態を比較していた。

 

 端的に言って圧倒的な変化である。精霊が持っていた人間に対する不信感が緩和されており、士道限定ではあるものの好感も持ち始めた。

 精神状態が安定したことで攻撃性も減っているし、今回の被害は現界した際の校舎破壊くらいだろう。

 

 この調子で完全封印まで行けば、精霊の暴走は心配ないだろう……そう結論へ持っていけるのは簡単だった。

 

(まぁ、問題は士道君の恋愛に対する経験不足くらいかしらぁ? デートに誘うのも戸惑っていたし……ウブな反応で可愛いわねぇ)

 

 だが、彼の出した成果はみたまの評価では十分な合格ラインであった。

 このまま行くと、十香ちゃんが普通の女の子として過ごせるかもしれない……それはきっと素敵なことで、一つの希望ではないだろうか。

 

 そんなことを考えていると上の司令席から琴里が声をかけてきた。

 

「それで? 取り敢えず今日はこんなところだけど、貴方の目には適ったかしら?」

 

「そうねぇ〜……」

 

 色々と振り返りながら、みたまの出した答えは至ってシンプルだった。

 

「……67点ってところかしらぁ?」

 

「え゛っ……何よ、その微妙な数字」

 

「先ず、艦内のサポートはアレでよかったのかしらぁ? 何回か彼、死にかけたわよねぇ?」

 

「…………」

 

 辛辣な評価に文句を言おうとしたが、サッと目を逸らすあたり図星なのだろう。他のクルーもビクッと体を震わせる。

 隣の令音はコクリ、と小さく頷いた。

 

 みんな優秀ではある……その言葉通り、データの解析やリアルタイムでモニターする技術は目を見張るものだ。

 そして組織の一体感も感じる。琴里を中心にみんなの信頼関係が良好なのも十分理解した。

 

 だが、士道のフォローはまだまだなのは正直な評価だった。

 

 ……よく考えてみるとバツ四と金蔓、呪い系女子、低次元愛好家そして逮捕スレスレと、大変限定的シチュエーションに陥っているメンツに常識的思考があるかは怪しいところだ。

 故に、不安になる組織ではある。だが──

 

「後は、精霊を完璧に封印できていないのも理由ねぇ……でもこちらはまだ段階を踏んでいる途中だから、そう言う意味ではこの評価も途中経過よぉ〜」

 

「なるほどね……となると、貴方は次回も参加してくれるってことでいいのかしら?」

 

「そうなっちゃうわねぇ。でも正直すごいと思うわ……〈ラタトスク〉とは長い付き合いになるかもしれないわねぇ〜」

 

 みたまの発言通り、実際もう入ってもいいと考えている。士道の覚悟なども十香との会話で感じるところがあったからだ。

 彼女の仕事は精霊が封印されてからが本番のようなものだが、それでもこの組織に入ってもいいと考えていた。

 

 

 それは何故か、と他に聞かれると……彼女の根底に眠る感情だろうか。

 

 

 何もかもに絶望し、何もかも手遅れになった女の子は──少しくらい、目の前に見えた奇跡を追いたくなったかもしれない。

 

 




現時点での情報はこんな感じですね。

八雲みたま…『調整屋』をやっている女の子。〈ラタトスク〉にスカウトされて協力関係になろうとしてる。スタイル◎ 可愛い子が大好き。仕事の腕は申し分ない。過去が重そう。

五河士道…何も知らなかった主人公。みたまの事は良くも悪くものんびりとしたお姉さんと思っている。

五河琴里…頼れる助っ人としてみたまをスカウトしたが、彼女からの視線が妹へのそれでちょっぴり警戒している。
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