ジョジョの奇妙な冒険〜プロジェクトセカイ〜 作:エターナルロード
ここは宮益坂女子高校。
この地域ではいわゆる、“お嬢様高校”といわれる中高一貫校である。
そして、この学校に一人の暗闇を抱えた少女がいた。
彼女の名は、朝比奈まふゆ。
成績優秀、運動神経バツグンと、まさに文武両道を体現したような優等生であった。
しかし、これは彼女の本当の姿ではない。
彼女の精神は、常人では想像も出来ないほどに深く、暗い穴のように虚無。
不感症を患っているが、それすらも彼女にはどうでもいいという状態である。
だが、そんな彼女にもある種の心の拠り所ともいえる場所が存在する。
それが、世間では正体不明とされ、若者を中心に人気を博している音楽サークル………
25時、ナイトコードで。
通称、ニーゴである。
朝比奈まふゆは最近、とある奇妙な出来事に遭遇した。
宮女の弓道場
この学校には弓道部が存在する。
まふゆは友人に誘われ、弓道部に入部し、特に理由もなく弓道を続けている。
が、実力は中々のもので、本人に自覚もやる気も無いまま、部長という地位に座してしまった。
「皆、お疲れ様」
「まふゆー!一緒に帰ろー!」
複数の女子がまふゆの元に駆け寄ってくる。
彼女達はまふゆの学校での友人だ。
まふゆを慕い、尊敬し、"無自覚の身勝手な期待"を押し付けている、素晴らしい友人だ。
「あ……ごめんね。今日はちょっとだけ残って練習したいの」
「そうなんだ……さすがまふゆだね!じゃあ私達は邪魔になると思うから帰るね!」
「うん。またね」
「バイバーイ!!」
「はぁ………」
(あなたって……仮面を被るのが上手なのね)
「………………」
(そういう意味で言ったんじゃないわ。ただ純粋に感心してるのよ。それより今日は試したいんでしょ。あなたの能力を)
「うん……〈ジャックポット・サッド・ガール〉…」
〈ジャックポット・サッドガール〉
それが、彼女に発現したスタンドであった。
彼女の虚無に満ちた精神力はある意味では“0”と捉えることができる。
だが、実際は違う。
0であることに違いはないが、彼女の精神はもはや常人とはかけ離れている。
虚無、という概念を一言で説明するのならば、
真っ暗闇の底無しの穴、という表現が恐らく最も適切だろう。
底無し、ということは限界とか終わりといった概念が存在しない。
故に、彼女の0は限界を超えた“0”、∞である。
まふゆの元に現れたのは、人型のスタンドでは無く、弓状のスタンドである。
何の変哲もない、金属のような何かで出来ている茶色と白の弓である。
(あなたは何だって出来るんだから、わざわざ弓じゃなくても良かったのよ?)
このスタンドは自我を持っている。
稀にこのようなタイプのスタンドが生まれるのだ。
〈ジャックポット・サッド・ガール〉は、まふゆを我が子のように可愛がろうとする、母性で溢れた性格をしている。
「……こっちのほうが……良い」
(あなたが良いなら私もそれがいいわ。さ、試しに打ってみるといいわ)
「うん……」
放課後。
彼女はいつもと帰り道を変え、人気の無い裏路地に来ていた。
(そうね……試しにあの人に撃ってみましょう)
〈ジャックポット・サッド・ガール〉が指すのは、
街灯の下で堂々と喫煙をする、少し気の強そうな屈強な男だ。
だが、まふゆに矢を刺した人物ではない。
ここで、罪悪感等から躊躇う人間もいるだろう。
だがまふゆには、見ず知らずの人に弓を射たれる恐怖といった感情はわからないのである。
パシュッ!!……………グサッ!
放った矢は男の体に突き刺さる。
しかし、男は反応を示さない。
放った矢は光の粒子となり、まふゆの元に戻ってゆく。
そして………………
「っ!……………………え?」
まふゆは驚き、困惑する。
(ふーん………矢はあの男からは“喜び”を理解したみたいね)
まふゆには確かに分かる。
戻ってきたのだ。ほんの些細な感情ではあるが、
“喜び”の感情が………………
「これ………は………」
(これが貴方の能力………矢を撃てば、その人のその時の感情を理解できる。そして、その感情は新たな矢となり、その矢を撃てばその人にその感情を理解させる。今、あなたは喜びの矢を手に入れたのよ)
まふゆはそれを聞き、理解する。
これを使えば、感情を取り戻せる。
まふゆは心に取り戻した小さな喜びを露わにする。
それは、仮面の彼女ではない。
彼女の、心からの
小さな笑みであった。
それから一週間の日々が流れた。
まふゆは多くの人間にスタンドを放った。
その結果、喜び、悲しみ、怒り、恐怖といった感情をジョジョに取り戻していった。
それはニーゴのメンバーである、奏、瑞希、絵名にもはっきりと分かっていた。
その日の深夜
各々が作業をする中、口火を切ったのは絵名だった。
「ねぇ……まふゆ」
「どうしたの?」
「最近……あんた……なんていうか……感情豊か?……になったよね」
「そうかな?」
「あ、それ分かる♪なんか結構笑ったりするようになったよね〜♪」
「うん。それに………心から感情を出してる感じがある。まふゆ、貼り付けたような顔をしなくなった」
まふゆが取り戻した感情はまだ完全ではない。
故にまだ“普通”ではない。
欠落している部分がまだ大多数だ。
感情的にわからないことも多い。
だが、多くの時間を共にしたニーゴのメンバーにとっては大きな変化であった。
「まふゆは……最近何か自分を変えられる事があったの?」
いつもは作曲のために命を削っている奏でさえも作業の手を止め、まふゆの変化に興味を示す。
「うーん……特にないよ。でも最近は自分でも変わってきたなって思い始めてるよ。実は……最近ごはんの味が分かるようになってきたんだ」
「ほんとに!?やったー!じゃあこれからはまふゆと色んなレストランとかに行けるね!」
瑞希は大喜びしている。
「瑞希はしゃぎ過ぎ。でも……まふゆが色々良くなってるっていう点では、まぁ……その……喜ばしい……わね」
「あ、えななんったら、素直に喜べばいいのに〜」
「うっさい」
「でも……本当に良かった。私も嬉しい」
「皆……」
絵名と瑞希はワチャワチャで、奏も反応は若干薄いが、ニーゴがセカイを訪れたあの日から側にいた彼女達は、本当に喜んでいる。
まふゆも、喜んでもらえること、喜べることが嬉しかった。
もっと感情を理解して、もっと喜べればいいな
と、思わず小さな笑みをこぼしたのであった。
(ふふっ……私はスタンドだけど…なんだか私も嬉しくなっちゃうわね)
ちなみに、スタンドの事は秘密だ。
「で、なんでホラー映画を見に行くわけ?」
「だってぇ〜♪今ならビビりまくるまふゆを見れるかもしれないじゃん?」
「あんたねぇ……」
日は変わって、4人は映画館に来ていた。
発足人は瑞希だ。
確かにまふゆは、恐怖の感情も完全では無いが取り戻している。
が、本人はまだ恐怖を感じた感覚が無い。
故に…
「私も自分でどうなるか気になるんだ。せっかく瑞希が全員分のチケット買ってくれたんだから行こうよ」
「………………………」
突然黙り込む絵名に奏が問う。
「?絵名、どうしたの?」
「いや、本当に変わったなって思っただけよ」
「あはは……そうだね」
絵名の言いたい事もなんとなく分かる奏であった。
数時間後
「いや〜演出とか結構リアルで面白かったね!」
「いやいやいやいや……結構心臓にきたわよ……なんでそんな笑顔になれるわけ……」
映画を見終わり、とても満足した様子の瑞希に反して、顔色はまだ少し悪く、疲れ切った絵名。
「まふゆは……どうだった?」
「うん。ちょっと……怖かったかも…」
嘘である。
正直いって、一週間前まで忘れていた恐怖という感情を思い出すには十分であった。
それもそのはず。今回瑞希が選んだ映画はホラーの中でもかなり怖い方の映画であった。
まだ不完全のまふゆの感情でも十分“恐怖”を感じたのである。
3人にはバレていないが、既にまふゆの手は謎の小さな震えを起こしているのであった。
帰り道
「あ、そういえばこの前ねすごい人に会ったんだよ!」
「誰?すごい人って」
「奏にはもう言ったんだけど…なんとね!あの岸辺露伴先生に会ったんだ!」
「いや……誰?」
「えぇーーー!?えななん露伴先生知らないの!?まふゆは?」
「あんまり漫画とかは読まないから……」
「最近……結構人気の漫画家で、更新頻度が高いのに凄い面白くて割と有名な人」
「何でも、杜王町?ってとこに住んでるんだって!」
「ヘェ~……ってまふゆどうしたの?」
「あれ」
「え?」
まふゆの指差す方向には多くの人集り。
その中にまだ人の多い昼間に堂々と盗みを働く人物がいた。
「あ!今、盗ったよね!」
「うん。私も見た」
「うっわっ……しかも人目も全く気にしてない感じ……」
「追いかけよう」
珍しく、まるで正義感にもかられたような様子でまふゆは駆けてゆく。
「あ、まふゆ!ちょっと!」
盗人がその場から離れようとする。
そして………
「あれ?居なくなった?」
「ほんとだ。さっきまでいたわよね?」
(いや、あれは……)
まふゆには見えた。
それは居なくなったのではない。
姿を変えたのだ。ほんの一瞬であった。
まふゆのスタンド、〈ジャックポット・サッド・ガール〉は、精密性に優れたスタンドであった。
若干の“道徳心”を取り戻していたまふゆは、
盗みに気づいた時点でスタンドの目を使い、その様子をバッチリ目撃したのだ。
(まふゆ、あれは間違いなくスタンドね。かなり一瞬だったけど、あいつ……いや、“彼女”が姿を変えたのは確かよ)
敵が女だということも分かった。
恐らく、自分の姿を変えるスタンドということも。
「見失っちゃった……正直私はあんまり走ったりしたく………まふゆ?」
「え?まふゆ〜?どうしたの?」
傍から見れば空気で弓を構えてるような構図だろう。
しかし……………
パシュッ……………グサッ!
「いっ…………!がはっ…………!」
遠くの方から女の痛がるような声が聞こえた。
(今、矢に“痛み”を込めて放った。これで体になんの問題はなくても、痛すぎてあんまり移動出来ないはず……)
ダッ!
「あ!ちょっとまふゆっ!どこ行くの!」
まふゆが少し移動するとそこには横腹を抑え、かがんでいる女性がいた。
「あなた……さっき財布を盗んだよね」
「くっ……!まさかアタイ以外のスタンド使いがこの辺にいるとはね……」
「とりあえず……出して」
「フンッ!アタイに攻撃を一回当てたくらいで何勝ち誇ってんだいっ!私の〈ビター・チョコ・デコレーション〉はそんなやわなスタンドじゃあないんだよっ!」
突如女がナイフを取り出し突き出してくる。
「っ!」
それを持ち前の運動神経で避ける…………が、
彼女は既に消えていた。
「どこっ!」
(恐らく既に姿を変えたようね。多分スタンドの力じゃなくて本人が素早い……という感じがするわ)
「まふゆー!」
「あんた、さっきから一体何してるわけ?」
「別に……」
(気をつけて……貴方の友達の中に奴が混じってるかも……)
(大丈夫。もしこの中にいても一個一個の動きで判別出来る。見た目だけ変えたのなら対して厄介ではない……)
「ま、待って……皆……だから……あんまり……走りたく……」
「あ、奏ごめんね。私の水・・・」
まふゆが奏に水を渡そうとすると、遠くから声が聞こえた。
[newpage]
「ま、待って……皆……だから……あんまり……走りたく……」
「え…………?」
グサッ!
「あっ………!がっ…………はっ………」
奏の声で奴は喋る。
「あんた…こう思ってたろ。見た目だけ変えたのなら厄介じゃないって……残念だったね。私の〈ビター・チョコ・デコレーション〉は細胞はもちろん心まで成りすますことが出来る。この子があまり外に出ずに、半ば引きこもりのような生活を送り、運動能力が絶望的に悪いっていう特徴も完璧に偽装できるのさ」
(中々……厄介なスタンドね。まふゆ、大丈夫?)
「うん……なんと……か……」
(危なかった……あとちょっとナイフを抑えるのが遅かったら……内蔵まで刺さってた……)
「ん?まふゆ?あんた……どうし・・・あ、あ、キャッ…ムグッ!」
まふゆが何かで刺されたことに気づき、悲鳴を上げようとする絵名の口をまふゆが覆う。
「大丈夫……大丈夫だから……」
「ンンンンっ!ンンっ!」
落ち着かない絵名にまふゆは“冷静”の矢を刺す。
すると絵名は驚きを残したまま静かになる。
「あ、あんた、早く救急車を……」
「うん…ありがとう…」
絵名は焦りながらも電話を掛ける。
(で、どうする?奴はまた同じ手を使って攻撃してくるはずよ)
「彼女は…スタンドじゃなくナイフで攻撃してきた。ということは…攻撃出来るスタンドではない。だから……ナイフで攻撃するためにもう一度私に近づくはず……そこを狙ってもう一度痛みの矢を刺し込めば……」
(いいの?あなたが撃った矢は、あなたの感情を使って撃ってるのよ?また“痛み”の矢を使えばあなたは痛覚を失ってしまうわ)
「また……取り戻せばいいだけでしょ」
(はぁ……あなたがそういうのなら止めはしないわ。でも、気をつけてね)
どこから……どこから……
「まふゆっ!今電話したわよ。すぐ来るって……ねぇ……あんた本当に大丈夫なのっ!?」
絵名が近づいて来ようとするのを身構える。
[newpage]
「え?まふゆ〜なんかあったの?」
「っ!」
グサッ
瑞希に成り済ましていた敵に矢を刺しこむが……
「くっ……」
「はんっ!やっぱり気づかれちまうか……でもよう……あんたこう考えただろ……あいつのスタンドは姿を変えることしか出来ないって。あんた、やっぱりまだ子供だよ。せっかくだから教えてやるよ……〈ビター・チョコデコレーション〉は今あんたの手を抑えているスライムみたいなやつだ。これが私の体に入ることで細胞を作り変えてるんだよ。だから、これを使えば、“防御”は出来んのさっ!」
しばらくすると“痛み”の矢は光の粒子となって消えてしまった。
「くっ………!」
「必死になっちゃってお可愛いこと……でもあんたもこれで終わりだよっ!死ねぇっ!」
女が大きくナイフを振り上げる。そして……
「私ね、さっきホラー映画を見に行ったの」
「あ………?」
「正直……凄く怖かった。でも嬉しかった。自分を怖いって思えるんだって。」
「あんた……さっきから何を……」
「あなた、こう考えなかった?矢は痛いって……」
「は?何を当たり前な……」
「あなたがさっき痛みを感じたのは矢に“痛み”を込めたから。私の〈ビター・チョコ・デコレーション〉は人の感じるものを矢にして放つ能力。痛みを込めなければ痛くないのよ。」
「っ!?まさか……」
「自分の足を見てみたら?矢が刺さってるでしょ。矢の羽根に書いてあるわ……」
「こ、これはっ!?」
「“恐怖”…………って」
「はっ……!?」
女がナイフを落とす。そして………
「うわぁぁーーーーー!!!」
(な、なんなのっ!?なんなのなんなの何なのっ!?この……感じたことも無い恐怖はっ!?)
「さっき……ホラー映画を見たときに色んな人から恐怖の感情を理解しておいて良かった」
「っ……!?」
(こ、こいつっ……!さっきと雰囲気がっ……全然っ……!)
「つまり……あなたは私に出会った時点で負けていたのね」
「く、来るなぁーーーー!!!」
「そんなに怯えなくてもいいじゃない……私はただ……財布を持ち主に返してほしいだけ」
「ひっ……!やめて……!近寄らないで……!」
(ねぇまふゆ……私こういう奴は“痛み”と“恐怖”を当時に味わなければ改心しないと思うの)
「でももう矢が……」
(大丈夫……私、矢を使わなくてもいい方法知ってるわ。それに……)
まふゆを傷つけたこいつをズタズタにぶちのめしてやりたいの………
「っ!」
始めて見たサッドガールの激しい怒りの感情に恐怖を失ったまふゆは驚きを隠せなかった。
(よいしょっと……)
突如、弓だったサッドガールは人型になる。
(いったでしょ?あなたが望めばどんな姿にもなれるって。まぁ今回は私が望んだのだけどね。さて……“あれ”をまふゆにやらせるのは読者の皆さんの中には不快に思う方もいるでしょうから……代わりに私がやるわね)
「?何のこと?」
(まふゆは気にしなくていいわ。それじゃ……)
「ひっ……!やめ……!」
(オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラーーーッ!!!)
「ブハッ!!」
「何……?今の?」
(ちょっとやってみたかったのよ。これ。)
「まふゆ〜!!大丈夫っ!?救急車来たよっ!早く乗ってっ!」
「あぁ……うん」
(全く……痛くないんだけどな)
痛みを感じないが救急車に運ばれていくのは少々いたたまれないまふゆであった。
後に、まふゆがボコボ………倒した女は命に別状は無いそうだが、常に怯えていて、精神病院に運ばれることになったそうだ。
ここまで来たら続ける
まふゆが運ばれた病院。
一連の出来事を絵名は思い返していた。
「…………………………………………」
(あの時のまふゆ……何だか様子がおかしかった………)
突然謎の構えをとったり、気付いたらお腹から血を出していた。
そもそもここ最近のまふゆの様子もおかしかったが、だが今日はそれとは違った。
おかしかったのはまふゆだけじゃない。
私達が見つけた窃盗犯もいつの間にか病院に運ばれてた。
あの時、多分、何かが起きてた。
それが何かは分からない。
でも絶対何か"見えない力"が働いていた。
元々、まふゆの変化については少し興味があった。
決めた。
調べてみよう。まふゆの事。今日の事。
私達の知らない所で何が動いているのか、いや、まふゆは知っているのかもしれないが。
どっちだっていい。
まふゆに近づける事に変わりはないのだから。
「えななん?」
「っ!あ…瑞希」
名前を呼ばれて我に返る。
「まふゆは………どうだった?」
「傷はそこまで深くないから、命に別状はないって。まぁ、本人がずっと大丈夫そうにしてたからね」
瑞希がいつものテンションでは無いのは、やはりこういう状況だからだろう。
「そっか……良かった…」
「あっはは……えななんも…こういう時は素直だね」
「……………………」
まふゆが死んだ訳ではない。
大した怪我でもなかった。傷跡は残るだろうが。
だがやっぱりこういうのはしんみりとした空気になってしまう。
「瑞希はさ…今回の事、どう思う?」
「え?」
「いや、その、率直な感想……みたいなのを聞きたくて」
「感想って……うん、まぁいいや。ボクは…怖いなって思った。何だか不吉な感じがして、あんな映画見たあとだから、これ以上まふゆに…ボク達に何も起きないように、って……」
「そっ……か………」
そう言われると、何だか自分まで怖くなってきた。
でもさっき決意を新たにしたばかりだ。
怖気付いてしまっては、元も子もない。
でも、それがきっと正しい感想なのだろう。
私だって……少しは怖い。
でも、それ以上に知りたい。そうしたい。
「あれ?そういえば奏は?」
「まふゆのそばにいるって。えななんもホラ、行こう。多分もう目覚めてるだろうから」
「そうね……」
その後、まふゆはめちゃくちゃ大丈夫だったので、医者には止められたが、まふゆはその日のうちに退院することになった。
中々アグレッシブな事をするまふゆに驚きながらも、安堵と喜びの感情でいっぱいの瑞希と奏。
より一層、不可解な絵名であった。
END