アインズ・ウール・ゴウンサーガ 骨釜劇団編   作:yu-2

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お久しぶりです。いろいろと忙しすぎた結果半年以上放置してしまいました。本当に申し訳ありません。お待たせしました。ここからが本編です。ここからまた少しずつやっていきたいと思うので、どうぞよろしくお願いいたします。2023年12月15日追記:魔法、スキルの表記を他のエピソードと統一いたしました。


第五話 開幕:始まりの町、エ・ランテル

 翌朝、モモンガたちは村長に断りを入れて、村の外れの森に移動する。理由は単純で、指輪を使って宝物殿に入るのを村人の誰にも見られたくないからだ。

 

「さて、この辺りで指輪を使いますか。思えば丸一日放っておいてしまいましたからね。早く顔を見せなければ。」

「そうね。丸二日私たちの顔を見てないって、あなたたち的にはつらいの?」

「今回は待機の命令を出しておりましたので、さほど苦ではないかと。ですが、丸二日避けられたなどであれば大半の僕は自害を考えるかもしれませんね。」

「ちょっと、パンドラズ・アクター!至高の御方々が理由もなくあたしたちを避けるわけないでしょうが!」

「ええ、もちろんそれは承知しておりますよ、アウラ様。ですが、問いかけられた以上可能な限り正確に答える義務が我々にはあります。どうかご容赦を。」

「そうだけど…。むーっ、なんか納得いかなーい!」

 

 一連のパンドラズ・アクターとアウラの会話は、絵面だけを見ると実に微笑ましい。だが、会話の内容はとても笑えるものではなかった。どういう形であれ、放置することはNPC達の精神に大ダメージを与えるらしい。となると、丸一日待機以外の指示なしで放置した今回のケースも、NPC達の精神に少なからずダメージを与えているだろう。これは、なおのこと顔を見せてやることが急務になった。慌てて指輪を使い、宝物殿に戻る。すると、中には待機を命じた面々が、お通夜ムードで待っていた。

 

「お前たち、今戻ったぞ!丸一日も放置していてすまないな!」

「ただいま!みんな、これからの方針とかを色々決めたから、しっかり聞いていてね!」

「「「「「お帰りなさいませ!モモンガ様、ぶくぶく茶釜さ…ま!?」」」」」

 

 入ったときはお通夜ムードであったというのに、自分たちであると知るや一瞬で切り替えることができるのは流石であるが、そんな彼らであっても、モモンガとぶくぶく茶釜の人間の姿には、流石に驚きが大きかったようだ。

 

「失礼ながらモモンガ様、それにぶくぶく茶釜様…、でございますよね?」

「ええ、そうよ。そういえば、あなたたちはこの姿を見てなかったわね。私たちが人化の腕輪を使うと、こんな姿になるのよ!」

「やっぱりそうだったっす!ナーちゃん、至高の御方々の支配者の気配は、入ったときからずっとしてたじゃないっすか!」

「そうだけど!でも、至高の御方々はみんな誇り高き異形種だったじゃない!モモンガ様、それにぶくぶく茶釜様も、どうしてそのようなお姿を?」

「ああ、これは人間たちと友好的な関係性を構築するためだ。お前たちのように人間から見て美しく作られている者達はそのような心配はいらないが、私や茶釜さんの真の姿を人間は友好接触が可能な相手とは認識しないからな。」

「なんと、そのようなことが…。やはり下等生物。至高の御方々の姿を尊きものと認識すらできないとは…。」

「落ち着け、ナーベラル。私は別に姿がどうこうということで人間への怒りはない。だが、お前のその気持ちはとても嬉しいぞ。」

「滅相もございません!」

 

 一部のNPC達の前で人間の容姿でいると、かえって問題がありそうだ。そう考えたモモンガとぶくぶく茶釜は、腕輪を外して、元の異形種の姿に戻る。急に世界が冷たくなったように感じたモモンガは、今度は人の心を失わないようにとひそかに気を引き締めた。

 

「さて、お前達には様々なことを共有させなければならない。集落、もといカルネ村で何があったのか、そして、我々がこれからどうするのかを発表する!」

 

 

 一通り報告を終えたモモンガは、NPC達をぐるりと見回す。反応は様々だ。これは、意見を聞く場を設けた方がいいだろう。そう考え、モモンガは口を開く。

 

「以上が、我々の今後の方針だ。何か質問や意見がある者はいるか?」

「モモンガ様、よろしいでしょうか?」

 

 最初に手を挙げたのはナーベラルであった。正直、待機組の、特にナーベラルやソリュシャン、ルプスレギナあたりから質問があることは想定していたため、モモンガは比較的落ち着いて対処を始める。

 

「もちろんだ。ナーベラル、何を訊きたい?」

「では、そもそもなぜ下等生物(ガガンボ)どもの社会で生きることになさったのですか?わざわざ程度の低いやつらに至高の御方々が合わせる道理などないはずです!」

「…我々の目的が支配や蹂躙であれば、どれほど人間たちに反目されようとも問題はない。だがな、ナーベラルよ。我々の目的はユグドラシルから我々がこちらにやってくることになった理由を、謎を解明することだ。ここまではいいな?」

「…はい。」

「よし。では話を続けるが、その前にお前たちに確認したいことがある。お前たちは、現状の我々の戦力をどう思う?」

「…この世界においては、比類なき力を持っていると。我々が本気を出しさえすれば、下等生物(ヤブカ)の群れの一つや二つ、物の数ではございません!」

「…そうか、それがナーベラルの認識か。他の者は?」

「正直に申し上げますと、現状という意味でなら、アインズ・ウール・ゴウン本来の最大戦力と比較すると大きく弱体化していますわ。ナーベラルお姉さまが言ったとおり、我々はこの世界においてはかなりの上澄みでしょう。そして、我々が持てる戦力の全てを出し切っていないのも、また事実ですわ。ですが、残念ながら至高の御方々の多くはお隠れになられ、ナザリックもない。さらにはナザリックにいるはずの残りの階層守護者、領域守護者もなく、アウラ様の魔獣もその大半が居らず、僅か三体。」

「オーレオール、いい加減にしなさい!どれほど不敬を重ねるつもり!?」

「いや、良いのだナーベラル。オーレオールは我々の戦力について、実に正確に分析している。では、再びお前たちに問おう。この世界の戦力について、お前達はどう思う?」

「カルネ村とスレイン法国との一件で、この世界の戦力の下限は見えました。ですが、上限は見えていません。」

「その通りだ、セバス。今回の一件で我々に見えたこの世界の戦力は、あくまでも下の下の部分だけ。上の部分にはどんな戦力があるのか、またその規模はどれほどなのか。この世界で立ち回っていくうえで最も重要なその部分が、我々にはいまだ見えていないのだ。」

「…仰る通りでございます。」

「ここまで事実を確認し、皆に情報共有をしたうえで問おう。この世界で動き回るうえでの最善は、なんだと思う?」

「…えっと、慎重に動き回ることが求められます。す、少なくとも、敵対する相手は選ばないといけません。」

「その通りだ、マーレ。私たちに求められることは、慎重さなのだよ。いざというときには、大胆な策が必要になることもあるだろう。だが、その大胆さを発揮する時を見極める慎重さがなければ大胆であることは愚かであることと変わらないのだ。それに…」

「…モモンガ様?」

「それに、お前たちは大事な私の、アインズ・ウール・ゴウンの仲間だ。故に、お前たちを失いたくないのだよ。」

 

 その言葉を聞いた瞬間、宝物殿は静まり返った。そして、モモンガは自分の失態に気が付いた。NPC達の前で、弱弱しい態度を取ってしまった。もっと段階を置くべきであると再三念頭においていたはずなのに。しかし、次の瞬間、NPC達の反応に、モモンガは驚き、固まってしまった。

 

「モモンガ様、我々僕風情にそのような情けをかけていただき、誠にありがとうございます!我々アインズ・ウール・ゴウンの僕一同、至高の御方々により一層の忠誠と献身を捧げることをここに誓います!」

 

 NPC達の多くは泣きながら、冷静な者達でさえも肩を震わせながら、誓いを新たにしている。ここでモモンガは、自分がまた理想の仲間計画を遠ざけてしまったことに気が付いたが、もう後の祭りである。もうこれは仕方がないと、モモンガは仕切り直すことにした。

 

「さて、これでこれからの方針については納得してもらえたと思っていいか?…結構。それでは、ひとまず直近の方針の話に移る。まず、カルネ村救助組はこのまま一度村に戻り、村人たちと戦士長たちに別れを告げた後、カルネ村で少々作業をする。その後にカルネ村を発って、その道中で再び指輪を使い、待機組と合流するのだ。待機組はもう少しだけこの場で待機してもらい、救助組が指輪を再び使ったら合流だ。」

「「「「「かしこまりました。モモンガ様!」」」」」

 

 情報を共有し、大まかに新たな指示を出し、モモンガたちは宝物殿を出る。そして人間の姿に戻り、カルネ村に戻ると、丁度戦士団が帰り支度を進めているところであった。

 

「モモンガ殿!散歩から戻られたか!」

「戦士長殿。散歩をしながら話をしていたら盛り上がってしまいまして。戦士団の出発には間に合うように戻りたいと思っていたのですが、どうやら間に合ったようでよかったです。」

「それはかたじけない。ところでモモンガ殿、モモンガ殿はこれから、どのように旅を進めるおつもりか?」

 

 ガゼフの質問を受けて、モモンガは考えるそぶりを見せる。もっとも、直近の予定は決まっているので、正直に答えることにした。

 

「そうですね、我々の目的は故郷に帰ること、或いは故郷に帰る方法を見つけることです。しかし、我々にはこの地域周辺の土地勘も、情報もありません。おまけに金もないので、まずは生活を安定させるところからでしょう。近場にエ・ランテルという大きな町があるそうなので、そこで冒険者でもやりながら情報と金を集めようかと思います。」

「なるほど。モモンガ殿ほどの腕があれば、瞬く間にアダマンタイト級の冒険者になれることだろう。しかし、聞けばモモンガ殿には、この村に来る前に別行動になった仲間もいるそうだな。」

「ええ、それが何か?」

「であるならば、旅の一団としてはいささか大所帯だな。エ・ランテルは三つの国の国境近くに位置する城塞都市だ。それ故に、王都に並ぶほど検問が厳しい。商人でもないというのに大所帯である旅団は、少々警戒されてしまうやもしれん。」

「…ほう。」

 

 冷静に返すモモンガであったが、内心非常に焦っていた。エ・ランテルに検問があるとすれば、非常にまずい。モモンガ自身やぶくぶく茶釜は、リアルで人間社会で生活していた。そしておそらく、カルネ村との交流の具合を見るにカルネ村救助組の面々も問題ないだろう。しかし、問題は待機組、というかナーベラルである。彼女は良くも悪くも非常に正直な性格である印象を受ける。おまけに、あまり物事を深く考えていない傾向もある気がする。そのせいで、なんとなく彼女からボロが出てしまう未来が見え隠れする。

 

「それに、モモンガ殿の旅仲間には、確かダークエルフがいたな。こういう言い方になってしまって申し訳ないのだが、ダークエルフも含めて人間以外の亜人種に、王国は、というか、法国の流れを汲む人間の国家は厳しい傾向が強い。」

「…なるほど。」

 

 モモンガはますます焦りを大きくしていた。おまけにアウラとマーレまで危ないとあっては、本格的に人間の社会で生活するのは諦めた方がいいかもしれない。そう思っていると、ガゼフは言葉を続ける。

 

「しかし、恩人をそんなことで困らせるわけにはいかないからな。先ほど筆を借りて、こんなものをしたためてきた。」

 

 そんなことを言って、ガゼフは一巻のスクロールのような紙を取り出した。ユグドラシルのスクロールより紙もインクも粗いそれには、この世界の文字で何かが書いてある。

 

「これは?」

「王国戦士団団長である、このガゼフ・ストロノーフ直筆の紹介状だ。これがあれば、大所帯の旅団であっても、ダークエルフを連れていても怪しまれることなく、エ・ランテルにも入ることができるだろう。」

 

 ガゼフ・ストロノーフから渡されたものは、予想の数段上を行くとんでもない代物であった。そんなものがあれば、確かに王国内での移動は楽になるだろう。しかし、再三いうがこれはとんでもないことだ。ガゼフ・ストロノーフは、自分の名前が悪用される可能性をしっかり考えたのだろうか。その確認のために、モモンガは言葉を紡ぐ。

 

「よろしいのですか?こんなものを安易に発行してしまって。私がこの手紙をどのように悪用するか分かりませんよ?」

「愚問だな。モモンガ殿は、そのようなことをされる御仁ではないだろう?」

「…何をもってそのように考えたのです?」

「モモンガ殿のこれまでの人となりを見ていれば、モモンガ殿が信頼を無下にするような男ではないことぐらいわかるさ。」

「…一本取られましたね。ええ、もちろんですとも。あなたが私を信頼してくれるのならば、私は信頼を裏切ることはしないでしょう。」

 

 信頼。一見薄っぺらな、しかしその実何よりも重いものが、その言葉には乗せられていた。故にモモンガは、その言葉に真摯に応えると誓う。そこまでの覚悟を無下にできるほど、モモンガは非情ではなかったし、そうなりたくはなかった。

 

「ありがとうございます。今、私はどんな報酬よりも価値のあるものを受け取りました。」

「そこまで持ち上げないでくれ。それはいわば、前金の代わりのようなものだ。これとは別に、報酬はちゃんと支払うとも。」

「何故、そこまで私に良くしてくれるのです?私はそれほどのことはしていないでしょう?」

「いいや、しているとも。あの時、法国の六色聖典と対峙した時だ。私は、私と戦士団では、出撃したとしてもそのまま死んでいたであろうことを悟った。モモンガ殿は、私のみならず、部下の命までもを救ってくれたのだ。」

「それは、そういう契約であったからで…、」

「だとしても、だ。私はあの時に、契約以上の多大な恩を受けたと感じている。」

「…そうですか。」

 

 本当に、どこまでも実直で覚悟に溢れた男だ。もちろん今の状態でも親しみや愛着は感じているが、正直、完全に人間であったときに出会い、影響を受けたかったとモモンガは思った。自分にはない実直さと覚悟に、モモンガは強い憧れを感じていた。ふと目を向けると、戦士団の準備は整ったらしく、ガゼフの号令を待っている。

 

「おっと、もう準備が整ったようだな。それでは、私もこれで失礼させてもらうとしよう。モモンガ殿、次はぜひ、王都にある私の家で会おう。」

「ええ、王都に来ることがあれば、必ずお邪魔させていただこうと思います。それでは戦士長、お元気で。」

 

 別れは言葉少なに済ませて、ガゼフ・ストロノーフと戦士団はカルネ村を去っていった。モモンガは去っていく馬群を見送った後、村長に近付いた。今後のために、ある頼みを聞いてほしかったためだ。

 

「村長殿、村がこのような状態であるにもかかわらず、結局二晩も宿を取らせていただき、本当にありがとうございます。」

「モモンガ様、何をおっしゃいますか!ここはあなた方が駆けつけてくださらなければ、今日どころか昨日の朝日すら拝めなんだかもしれぬ村なのです。あなた方はこの村全体の命の恩人。村人一人一人が、貴方様に一生の恩義を感じています。」

「そこまで言っていただけると、我々もこの村を助けた甲斐があるというものです。村長殿、あなた方の厚意に甘える形になってしまって本当に申し訳ないのですが、村長殿というよりはこの村に、今一つ頼みたいことがあるのです。」

「ええ、なんなりと。命の恩人の頼みです。皆、喜んで首を縦に振るでしょう。」

「では、村の近くの森から、少々木を使わせてもらいたいのですがよろしいですか?」

「木、ですか?」

 

 村長は予想だにしなかった頼みごとを不思議がっている。しかし、モモンガにとって、木材は手に入れておきたい代物であった。何しろ、それで作りたいものがあったのだ。

 

「大掛かりな仕掛けを施した台車を作りたいと思ったのです。我々のこれからの旅には必要不可欠なものでして。」

「なるほど。そういう事でしたら、ええ、もちろんですとも。この森の木でよろしければ、好きなだけお使いくだされ。」

「ありがたい。では、早速ですが作業に入らせてもらおうと思います。作業が終わったら、その時にこそ我々はこの村を発たせていただきます。」

「かしこまりました。」

 

 村長の元を離れ、仲間の元に戻ると、皆笑顔でモモンガを待っていた。

 

「お帰り、モモンガさん。大変なものを貰っちゃったわね。」

「ただいま戻りました。ええ、本当に大変なものですよ、この手紙。どこでもということはないでしょうけど、王国内での移動は一気に楽になります。これ、我々が持ってていいものなんでしょうかね?」

「でも、受け取った以上は、こちらも誠意ある行動をしないとね。」

「ええ、もちろんです。」

「聞こえてたけど、木、好きに使っていいみたいね。それじゃあ遠慮なく、舞台を作っちゃいましょう!」

「それはいいんですけど、どうやって作るんです?我々の中で道具作成ができるの、パンドラズ・アクターぐらいですよ?」

「…そうなのよね。だから実際のところ、重労働なのはパンドラズ・アクター一人なのが申し訳ないところだけど…」

「お任せください!至高の御方々と共に並び立つための舞台とあらば、最高のものをご用意致しますッ!」

「…微妙に素が出てないか?」

「…失礼しました。私の道具に対する情熱がこのような形で日の目を見るときが来ようとは思いもしませんでしたもので…」

「そうだな。確かに、そういう意味では私も嬉しいよ。さて、舞台作りはパンドラズ・アクターに一任するとしても、そのためには大量の木材が必要だ。故に、他のメンバーは、木材を調達する役目を担うとしよう。それでは、パンドラズ・アクター、作業の準備に入ってくれ。我々は森に入り、木を見繕おう。」

「了解、モモンガさん!」

「「「「「「かしこまりました!モモンガ様!」」」」」」

 

 指示を出した後、森に入って木材にする木を選定する作業に入る。可能な限りまっすぐに伸びていて、太さも長さも一定であることが望ましいのだが、こうして森に入ってみると、気付くことがあった。

 

「この森の木、高さも太さも結構不揃いですね、モモンガ様、ぶくぶく茶釜様!」

「そうねえ、アウラ。ここで林業が行われてるというわけではないみたいだし、無理もないことではあるんだけどちょっと不便ね。」

「まあ、少なくともカルネ村の人間は、大半が森に入っただけで死ぬ危険性が一気に高まりますからね。そもそも林業なんてできないんでしょう。しかし、不揃いと言っても全部が全部使えないということはなさそうだ。」

 

 雑談の合間でも、木材に目星を付けることは忘れない。そうして選んだ木の近くに、NPC達を移動させると、モモンガは改めて指示を出す。

 

「それでは、これから伐採の作業に入る。茶釜さんと、セバスにユリ、シズは木材を手で運んでください。オーレオールは木材を運ぶ茶釜さんたちの指揮を頼む。アウラは魔獣達に木材を運ばせてくれ。運ぶ先はもちろん、パンドラズ・アクターの待機場所だ。私は魔法で木を切る。それでは各々、作業はじめ!」

「了解、モモンガさん!」

「「「「「「かしこまりました、モモンガ様!」」」」」」

 

 それぞれが支持の通りに動き出すのを確認すると、モモンガは魔法の準備をする。正直この魔法は、木を伐るために使う魔法では断じてないのだが、それでも燃費の良い魔法はこれがベストな気がしたため、モモンガはこの魔法を選択した。

 

「≪黒曜石の剣(オブシダント・ソード)≫!」

「ちょっと、モモンガさん!もっと他にあるでしょ、せっかく700個も魔法使えるんだから!」

「正しくは718個使えるんですけどね、思いのほか物を切ることができる魔法が少なかったんですよ!まさかこんなところで≪現断(リアリティ・スラッシュ)≫を使うわけにもいきませんし。」

「え、その二つだけ?」

「ええ。なんやかんやの結果として切断が起きる魔法は他にもありますけど、純粋に切断だけを目的とした魔法はこの二つだけかな。あれ、他にあったっけ?もしかしてまた使える魔法暗記し直さないとかなあ。」

「…魔法沢山使えるのも考え物なのね。まあ今はこれでも十分、というか過剰火力なぐらいだけどこれで行きましょう!」

「…なんか、すみません。」

 

 そんなやり取りをしながらも、≪黒曜石の剣(オブシダント・ソード)≫は次々と木を伐り進めていく。この魔法は本来その名の通り黒い剣が術者の周囲に浮かんで、自動で攻撃や防御を行う魔法である。そのため、木を伐採したいこの状況に沿うかは分からなかったが、どうやら木を攻撃対象と認識しているらしく、問題なく動作している。この魔法は、攻撃面では非常に便利であるのだが…

 

「案外耐久力がないんですよね、これ。だから防御にはあんまり向いてな…あ、壊れた。」

「まあ狭いし、当然剣同士がぶつかる頻度も高いわよねえ。それにこれだけ集まれば十分よ。みんな!ここからは私たちの仕事よ~!みんなで木を運びましょう!」

「「「「「かしこまりました!ぶくぶく茶釜様!」」」」」

 

 ぶくぶく茶釜の号令に合わせて、NPC達はそれぞれの方法で木を運び出す。そうしてパンドラズ・アクターのところに戻ってくると、パンドラズ・アクターはもの作りに特化したかつての仲間に姿を変えてモモンガたちを待っていた。

 

「お待ちしておりました!モモンガ様、ぶくぶく茶釜様!」

「なるほど、ばりあぶる・たりすまんさんの姿を借りることにしたのか。」

「ええ、これから作ろうとしているものは、そもそもなかなかに凝ったものですので。私本来のクラフターのレベルでは少々不足すると考えまして。」

「お前がそう判断したのなら、それでいい。ではパンドラズ・アクター、よろしく頼むぞ!」

「お任せください!」

 

 そう言って作業に取り掛かったパンドラズ・アクターは、見事な精度と速度で、舞台を丸ごと組み込んだ台車を完成させていく。これから劇団としても活動していくにあたって、公演の場所として、また広告塔として必要であろうとぶくぶく茶釜が思い立ち、モモンガに提案したものだ。これから多くの場所を回る予定であるが、この世界は、どの町や村にでも劇場があるほど豊かなわけではなさそうなので、どこでも劇ができるようにしたいとぶくぶく茶釜は言っていた。モモンガは劇については門外漢もいいところなので、劇に関することはぶくぶく茶釜に任せることにしている。そのぶくぶく茶釜は、パンドラズ・アクターの近くで制作の様子を見つつ、時折細かい部分に関して指示を出している。ふと、モモンガは気になったことがあり、休憩中(本人たちは非常に不服そうであるが)のNPC達に声をかける。

 

「そういえばお前たち、劇というものがどういうものであるか分かるか?」

「はい!ぶくぶく茶釜様はやまいこ様や餡ころもっちもち様とお話ししているときに時々人形遊びのようなことをしておられました!それの延長線上のようなものですよね!」

「たっち・みー様はよく特撮なる人間たちの演技を記録したものを自室や図書館でご覧になっていたようでした。あれを映像の記録ではなく、実際に人を集めてその前で行うという解釈でよろしいでしょうか。」

「やまいこ様は毎年ある時期になると文化祭なる祭典がどこかで行われると話しており、時々その祭典の演目の中に大勢の人の前で演技を行う劇があると話しておられました。」

「…正直、よくわからない…、です。」

「私も正直、劇という概念は先程初めて知りましたわ。今作られております仕掛けやモモンガ様とぶくぶく茶釜様の会話から察しますに、演技を舞台上で行うというものであることはおおよそ察することができますが、それ以上のことは何とも。」

「…そうか。」

 

 モモンガは表に出すことこそしないが、内心では問題の発生を察した。現状、ナザリック地下大墳墓のNPC達の劇というものに対する理解は、見事なほどまでにそれぞれの創造主たる仲間たちの生活や趣味に依存しているらしい。その観点から言うとそれこそ演技を生業とするぶくぶく茶釜に創造されたはずのアウラの理解度に疑問が生ずるが、よく考えればわかることで、女子会の場において、ぶくぶく茶釜があまり仕事の話題を出さなかったのだろう。一方、ユリは普段は円卓の近くに詰めていた。そのため、ある程度やまいこのリアルにおける仕事事情を把握していたのだ。円卓はミーティングルームでもあったため、仕事の多忙などの事情はよく話題に上っていた。セバスは完全に創造主の趣味の範囲の理解、シズとオーレオールも同じような状態なのだろう。これは後々劇をいざ行うとなったときに大変なのではないだろうか。しかし、それを最終的に判断するのはぶくぶく茶釜である。モモンガはそう結論付け、作業の方に向き直る。すると、素晴らしく、大掛かりな舞台が完成していた。

 

「完成ですか!茶釜さん、完成度としてはどうです?」

「上々よ!これなら、どこにでも運んでみんなで劇ができるわ!」

「私としては少々不満が残りますね。本当はもっと凝ったものにしたかったのですが、木材の強度の問題から妥協しなければならない点が多く…」

「そうか。しかし茶釜さんは大いに満足しているようだから、そこは素直に受け止めてくれると嬉しい。さて、それでは我々もカルネ村に別れを告げるとしようか!目標は国境近くの城塞都市、エ・ランテルだ!」

「そうね!いざ、エ・ランテルへ!」

「「「「「「かしこまりました!モモンガ様、ぶくぶく茶釜様!」」」」」」

 

 気合いを新たに、カルネ村に戻る。すると、カルネ村では、村長が村中に声をかけて回ったらしく、村人総出で見送りをしてくれるらしい。

 

「モモンガ様、戻られたということは、準備が整ったということですな?その前にこちらも間に合ってよかった。」

「村長殿、わざわざありがとうございます。村の皆さんも、本当にありがとう。自然がのどかで、とても居心地のいい村でした。」

「モモンガ様御一行はこの村の英雄です。またいつか、この村に来てくれると、とても嬉しいです。」

「モモンガさま、いっちゃうの?」

「こら、ネム!モモンガ様は旅の途中に、わざわざ助けるためだけにこの村に立ち寄ってくださったのよ!」

 

 見ると、エモット姉妹も来てくれている。しかし、ネムは別れるのが嫌なのだろう。目に大粒の涙を溜めている。モモンガにもやりたいことがある以上、旅立たないわけにはいかない。しかし、子供を泣かせるわけにはいかないと判断したモモンガは、慎重に言葉を選びながら話しかける。

 

「ネム、我々は旅立つが、きっとまたいつか、カルネ村を訪れることもあるだろう。だから、その時にまた会おう。」

「…モモンガさま、またあえる?」

「ああ、きっとまた会えるとも。だから、今はそれぞれの道を歩もう。」

「うん!モモンガさま、ユリおねえさんも、またね!」

 

 ネムは涙を拭いて、満面の笑みで手を振っている。見ると、ユリも慈愛に満ちた微笑みを浮かべて手を振り返している。子供が大好きなユリにエモット姉妹を任せたのは、いい判断だったようだ。

 

「それでは村長殿、我々はこれにて失礼いたします。どうか、お元気で。」

「モモンガ様、何から何まで本当にありがとうございました。モモンガ様が故郷に戻れることを、我々は心の底からお祈り申し上げております。どうか、お元気で。」

 

 こうしてカルネ村に別れを告げ、舞台をセバスとパンドラズ・アクターに引っ張らせながら、指輪を使って待機組と合流する。

 

「さて、これで全員そろったな!それでは、救助組にはもう共有したが、我々はこれより、一路エ・ランテルという都市を目指して移動する。目的はこの町を活動拠点とし、資金と情報を集めることだ。」

「あ、あの、モモンガ様。そのことで、ほ、報告があるんです。」

「ん、どうした、マーレ?」

「はい、それが…、拠点維持用の金貨が、未だに宝物殿から消えていってるんです!」

「え?」

 

 それはおかしな話である。ぶくぶく茶釜たちは宝物殿ごとこの世界に転移してきているが、ナザリック地下大墳墓は現状この世界のどこにも存在していないと思われる。その根拠として、現状ぶくぶく茶釜たちは宝物殿以外のナザリック地下大墳墓に由来する設備の一切を利用できない。

 

「モモンガさん、これどういうことかしら。なんで拠点維持用の金貨が必要なの?」

「…仮説はあります。けどこれは検証のしようもない話なので…」

「それでも聞いてみたいわ。お願い。」

「分かりました。では結論から言いますと、ギルド『アインズ・ウール・ゴウン』が存続しているからではないでしょうか?」

「ギルドが存続しているから?」

「ええ、我々はギルドのNPC達を連れていますし、ワールドアイテムに変わってしまいましたが宝物殿があります。よってギルド拠点も存在していると言えなくもない。宝物殿の中には『スタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウン』もありますから、ギルド武器も存在している。つまり…」

「これらの条件を満たしている限り、逆説的に『アインズ・ウール・ゴウン』の存在が証明され続けているから、ギルド拠点の維持費を徴収され続けているって言いたいのね。というか、どこが徴収してるのかしら?」

「さあ、あのクソ運営がこの世界のどこかにいるのか、はたまた虚空に消えていっているのか…この謎を解明する手段を我々はどうあっても持ち合わせていないので、何とも言えないんですが…」

「モモンガ様、ぶくぶく茶釜様、お二人の至高の頭脳による考察、もう少し拝見していたいところですが、そろそろよろしいでしょうか?」

「ああ、パンドラズ・アクター、それにみんなも、置いてけぼりにしてすまないな。さて、この状況に相変わらず疑問は尽きない。だが、この仮説を正とするならば、金の枯渇は即ち、我々が有するユグドラシルの大きなアドバンテージの大半、そして何よりもお前たちの放棄と喪失を意味するだろう。」

「そんな!我々の存在が、至高の御方々の財の浪費を招いているのですか?」

「浪費じゃないわ!いい?みんな。あなたたちは、私の、そして何よりもモモンガさんの大事な大事な宝物なの。そのことは、さっきモモンガさんから聞いたでしょう?」

「それはその通りっす。でも…!」

「モモンガさんも私も、あなたたちとできるだけ一緒にいたいのよ。だから、あなたたちと一緒にいるために金貨が必要なら、私もモモンガさんも、全力でそれを工面するだけよ!」

「…ぶくぶく茶釜様…」

 

 ぶくぶく茶釜の言葉が、NPC達の心に響き渡る。モモンガは、それを見ながら何度も何度も頷いていた。そうだ、ぶくぶく茶釜の言うとおりだ。モモンガにとって、NPC達は仲間と同じくらい大切な宝物。それを放棄することなど、もとより選択肢に入っていない。しかし、それならば急がなければならないことがある。

 

「茶釜さんの言うとおりだ、お前たち。お前たちは私の大切な宝物だ。故に、私は絶対にお前たちを放棄しない!しかし、そうなると早急に金貨の問題を解決しなければならないが、その解決方法は一つしかない!」

「失われてしまう量以上の金貨を補填し続ける、でございますね?」

「その通りだ!早急にエ・ランテルを目指すぞ!」

「「「「「「「「「「「かしこまりました!モモンガ様!」」」」」」」」」」」

 

 こうしてモモンガたちは、急ぎエ・ランテルを目指して移動を開始した。カルネ村でもらった地図とにらめっこをしながら、一路エ・ランテルへと進んでいく。エ・ランテル入口の検問も、ガゼフ・ストロノーフからの紹介状で難なく突破し、一同は王国屈指の大都市、エ・ランテルへとたどり着いた。

 

「予想はしていましたが、結構な大都市ですね、エ・ランテル。」

「ね。ユグドラシルの人間の街と比べちゃうと流石に小さいけど、それでも私たちが知るこの世界の人間の集落はカルネ村だけだもんね。そう考えるとこの世界の人間の街としては相当な規模じゃないかな。」

「ひとまず舞台をどこかにおいておきたいですね。公共の馬車置き場みたいな場所とかどこかにないかな?」

「確かにずっと引っ張るわけにはいかないけど…、大丈夫?どっかに置いといて盗られたりとかしない?」

 

 ぶくぶく茶釜の指摘は、本来であればもっともなものである。実際にこの世界でも車上荒らしはあるかもしれないし、モモンガたちの所有するアイテムはこの世界本来のそれよりも数段高価だ。しかし、この件についてはモモンガは大丈夫だろうという確信があった。

 

「いえ、車上荒らしの心配はほぼないでしょう。我々の重要な舞台道具はそもそも宝物殿の中です。となると盗めるのはこの舞台くらいのものですが、この舞台、男性陣が交替で運びましたけど正直それでも結構な手間です。この世界の人間が盗もうと思ったら恐らく相当な人数が必要になりますよ。」

「でもそれ、カルネ村ぐらいのレベルを想定して言ってるんでしょ?ここまで来たらさすがにちょっと平均レベルは上がるんじゃない?」

「いえ、ぶくぶく茶釜様。ここはモモンガ様のおっしゃる通りかと。道行く人々を観察していても、レベル20を超える者すら見かけておりません。そのような者共がこの舞台を盗もうとすれば、人目に付かずにやり遂げるのはまず不可能でしょう。」

「それにこの舞台を金目のものとして扱うのなら、舞台をこの状態のまま維持しなければ意味がありません。破壊して木材にして売る、などという手間を踏んでもそれに見合う採算がとれることもないでしょう。」

「セバス、それにパンドラズ・アクターも…。分かったわ。それじゃあこの舞台を置いても問題の無い場所を探しましょうか。」

 

 モモンガたちは舞台の置き場を探して歩きだす。しばらくすると、馬車の置き場を見つけた。見回りの衛兵に確かめて許可を取り、ようやく舞台を安置したモモンガたちは、再び街を見物しながら歩き始めた。

 

「ふう、これで我々も身軽になった。さてと、まずは冒険者組合とやらを目指すとしましょうか。」

「そうね。この都市を活動拠点に選んだ最大の理由だもの。」

 

 正直治安の観点から言うと、それぞれの国家の直轄の都市の方がリスクが少ないであろうということはモモンガたちも十分に理解している。しかし、モモンガたちはいわゆる地方都市に該当するであろうエ・ランテルを活動拠点に選んだ。その理由は明白で、冒険者組合がある都市の中で、最も多くの国境に近い都市だからである。

 

「我々の求める情報を得るためには王国にばかり目を向けていればいいわけではありませんからね。そういう意味では、ここが最も都合がいい。」

「そうね。早いとこ手がかりが集まればいいけど。…ねえ、モモンガさん?」

「どうしました?」

「せっかくだし、いろいろと見て回りながらにしない?しばらくこの町を拠点とするのは確定しているわけだし…、それに、始めてきた街ではしゃいで見て回りたくなっちゃうのよ、私。」

「いいですよ。実のところ、俺もわくわくしていたんです。言うなれば、ここが俺たちの新しい始まりの街です。いろいろと見て回りましょう。」

「やったー!さて、どこから見て回ろうかしら…。看板、読めないわね。」

「そうですね…。あ、そうだ。」

 

 何かを閃いたらしいモモンガは、ガサゴソと宝物殿の中をまさぐっている。やがて、モノクルを一つ取り出すと、それをぶくぶく茶釜に差し出した。

 

「これを付けてみてください。ユグドラシル時代は古代文字なんかを解読するために使っていたものですけど、もしかしたらこの世界の文字にも効果があるかも。」

「ああ、懐かしいわね。どれどれ…。すごい!モモンガさん、これがあればばっちり読めるわよ、この世界の文字!」

「それはよかった。では茶釜さん、ガイドよろしくお願いしますね。それ一個しかありませんので、使ってる人はガイド確定です。」

「そうなの?まあ任せなさいな。モモンガさん、ここからちょっと歩くと薬師が集まる専門店のストリートに出るみたいよ。私たちからすればいつ必要になるかは分からないけど、一応見ておきましょう。」

「…俺は本来はアンデッドですからなおのことポーションの需要がないですけど、逆を言うと必要ないのは俺ぐらいですからね。それじゃあ、行きましょうか。」

 

 ワイワイと盛り上がりながら、道を歩くモモンガたちの背中をNPC達は見守っている。主達の楽しそうな様子には、思わずこちらまで笑顔になってしまいそうだ。

 

「楽しそうね、ぶくぶく茶釜様。モモンガ様といるときはずっと笑顔で明るいし。」

「そうだね、お姉ちゃん。モ、モモンガ様もとっても楽しそうだよ。」

「それはもしや、モモンガ様とぶくぶく茶釜様が、その、そういった関係になるということですか?」

「うわ!びっくりするじゃないの、ナーベラル!」

「…失礼しました。ナザリック地下大墳墓がなくとも、我々が在り、至高の御方々が在らせられる限り、アインズ・ウール・ゴウンは不滅です。となれば、その、モモンガ様のお世継ぎの問題も、いつかは避けて通れなくなりますから…。」

「…まあそれはそうなんだけど。それでも、モモンガ様もぶくぶく茶釜様もそう簡単に崩御なさらないわよ。それに…」

「…お姉ちゃん?」

「…正妻はぶくぶく茶釜様で決まりでも、妾なら、その、私たちにだって目はあるかもなんだし?」

「アーちゃん!それはちょっと不敬じゃない?」

「何よ、ユリ!あなたは嫌なの?モモンガ様と、そういう関係になるの…。」

「それは、そうじゃないけど…。」

「私はモモンガ様がその気なら、いつでもこの身を捧げるつもりですが?」

「わ、私だって!モモンガ様がお望みとあらば、喜んでこの身を捧げます!」

「…頑張り、ます…。」

「私もぉ、お望みとあらば、ですぅ。」

「…セバス様、パンドラズ・アクター、そろそろ止めた方がよろしいのではないかしら?このままだと話がどんどん不敬な方向に流れていきますわよ?」

「…この流れで我々が止めろと?」

「誠に言いにくいのですが、パンドラズ・アクターに全面的に同意いたします。これはもはや、我々男性の僕が話に割って入れる雰囲気ではありません。御覧なさい。マーレ様がどんどん真っ赤になって縮こまってしまわれている。」

「かといって、私もこの話には交ざれませんわ!ナザリック地下大墳墓の僕一同は、その、もっと貞淑なものだと…」

「…間違いなく今この場で最も貞淑なのは貴女ですよ、オーレオール嬢。しかしこれはどうしたものか…」

 

 ほとほと困り果てた常識人寄りのNPC達に対する救いの手は、意外にも早く差し伸べられた。モモンガたちが、物色する店を決めたようだ。見ると、この町の薬屋の中で最も立派な門構えの店の中に入っていく。パンドラズ・アクターたちは、これ幸いと言わんばかりに、淑女にあるまじき話題で盛り上がる女性陣と囚われのマーレに声をかけた。

 

「…いらっしゃい。」

 

 ぶくぶく茶釜が看板を読んだところ、この店はバレアレ薬品店というらしい。この薬品店街で最も立派な門構えから察するに、恐らくこの店が一番上等な薬屋なのだろう。入ってみると、店番の老婆がいる。全身から漂う薬品のにおいから察するに、薬師でもあるのだろう。これは話を聞く良い機会だと思ったモモンガは、声をかけることにした。

 

「…回復用のポーションを見たいのですが。」

「予算はどのくらいだい?一応うちには薬草と魔法、全部そろってるよ。」

「薬草?魔法?」

「…知らないのかい。ならここで覚えていきな。いいかい、この世には三種類のポーションがある。まず、薬草のみで作ったポーション。これには即効性がない。人間の本来の治癒機能を高めるものだからね。したがってこいつが一番安価だ。次に、薬草と魔法を使って作るもの。うちで一番在庫が多いのはこいつだ。こいつは薬草だけを使って作るのよりも効果が表れるのが早い。ただしそれでも時間がかかるから、飲むのは戦闘が終わって、時間に余裕があるときにするんだ。そして最後に魔法を使って作るポーション。こいつは錬金術溶液に魔法を注ぎ込んで作るんだ。こいつの効果はすぐに表れるし、魔法と同じような効果を持たせることができる。ただし、こいつは一番高価だよ。ちなみにあんたが今手に取って見てるのは魔法と薬草で作るポーションだ。」

 

 モモンガたちは老婆、店に自分の名前を使っているのならバレアレ氏だろうか、の話を興味深そうに聞いていた。予想はしていたが、やはりユグドラシルのポーションの作り方とこの世界のポーションの作り方とは違うらしい。モモンガは、手元のユグドラシルのポーションと、店に売っているポーションを見比べる。瓶の細工だけではなく、中身にも違いが見受けられる。ユグドラシルのポーションは赤く、沈殿物もなく澄み渡っている。対して店のポーションは、青く、少量の沈殿物があり少し濁っている。そんなことを考えていると、老婆が再び話しかけてきた。

 

「あんたら、冒険者かい?見たところ、プレートはどこにもないようだが。」

「これから登録しに行くところなんですよ。正直このポーションに非常に興味はありますが、金欠でして。流石にツケで売ってはくれないでしょう?」

「そりゃああんたら、装備に金をかけすぎたんじゃないかい?申し訳ないが、冒険者相手、ましてや冒険者志望じゃあツケでポーションは売れないよ。そもそも冒険者ってのは命がけなんだ。駆け出しが息を撒いて依頼に挑んでいって、死体になって帰ってくることがざらにある。そんな連中にツケでポーションを売っていたら、うちは商売あがったりだ。」

「でしょうね。失礼しました。この店にいいポーションを買いに来るのは、大分後になりそうだ。」

「ぜひそこまでの大物になって、うちのお得意様になってほしいもんだね。金ができたらまた来な!」

 

 モモンガは老婆に礼を言うと店を出る。職人気質な部分はあるが、想像よりも大分柔和で話しやすい人物であった。ちなみに話に出てきたが、エ・ランテルで冒険者志望を装うに際して、モモンガたちは装備をダウングレードさせている。モモンガたちの最強装備であれば、この世界ではそれはそれは無双できるだろう。しかし、モモンガたちはスレイン法国の特殊部隊との一件で、見る者が見れば装備の格は一発で見抜かれるということを経験している。そのため、余計な波風を立てないために、装備の格を落とすのは必須だったのだ。しかし、老婆の見立てによると、現在の装備はデビュー装備にしては金をかけすぎくらいの格であるらしい。ということは、腕利きでちょうどいいくらいということであろうか。いささか高い気がしないでもないが、違和感がない程度には擬態が上手くいっているらしいことに、モモンガたちは内心胸をなでおろした。

 

「ポーションに関しては、大分面白い話が聞けましたね。なるほど、この世界のポーションはあんな感じなのか。」

「確かにいい話が聞けたけど、話を聞いた限りだと効果の面はあんまり期待できなさそうね。魔法と同じ効果って言ったって、この世界のレベルじゃあ込められる魔法の位階も正直たかが知れているんじゃない?」

「よくて第三位階、悪いと第一位階ってところですかね。正直あんまり期待はしていませんでしたが、ユグドラシル級のポーションの在庫のあてはやはりありませんか。」

「そうねえ。もっと優秀な錬金術師がいたら話は変わってくるのかもだけど。さて、それじゃあ今度こそ行きましょうか!いざ、冒険者組合へ!」

 

 モモンガたちは冒険者組合に向けて歩き出す。通りをしばらく歩くと、目的の冒険者組合を見つけたらしい。多くの冒険者たちの集まる建物なだけあって、なかなかに立派な門構えだ。中に入ると、モモンガたちは受付の嬢に話しかける。ゲームによくある、いかにもな造りのカウンターだった。

 

「…失礼、冒険者志望で、登録をしたいのですが。」

「新規の冒険者志望の方ですね。こちらにチーム名と、チーム全員のお名前をお願いします!」

 

 ここにきて、またも問題発生である。モモンガたちは、この世界においても問題なく言葉を話せる。これは原理が不明だが、世界全体でそういう仕組みになっているらしい。現地の人々が話す際に、伝わってくる言葉の意味と口の動きが一致しないことがそれを示している。しかし、この世界の仕組みが便利に働いてくれるのは口頭の会話だけで、文字に関しては読めないし、当然書けもしない。なので、これに関しては素直に代筆を頼むしかない。

 

「…実はこの辺りにはつい最近来たばかりで、我々は皆この辺りの文字が書けないのです。なので代筆をお願いしたいのですが…」

「まあ、それはそれは。かしこまりました。それでは僭越ながら、私の方で代筆させていただきますね。では、皆さま順にお名前の方を伺ってもよろしいでしょうか。」

「分かりました。私の名前はモモンガです。」

「モモンガ様、ですか。失礼ですが、姓の方もお伺いしてよろしいでしょうか?」

 

 モモンガはここにきてまた回答に困ってしまった。というのも、今までは名前を聞かれてもモモンガとだけ答えればそれですんでいたため、こういった役所に準ずる施設においては姓も必要になるということは考えていなかったのだ。必死に頭を使い、ないネーミングセンスを総動員して考える。そしてたどり着いた答えは…

 

「…ベルツリー。モモンガ・ベルツリーです。」

 

 自分のリアルの苗字を英語にするというなんとも安直なものであった。ぶくぶく茶釜を見ると、少々呆れつつも安心したような顔をしている。合格点ではないが、赤点でもないと言ったところだろう。モモンガからすれば、それだけで一安心というものである。

 

「そういう感じなら…私はチャガマ。チャガマ・ゲイルオーシャンよ。」

「アウラ・ベラ・フィオーラ!」

「マーレ・ベロ・フィオーレです。」

「私はセバス・チャンと申します。」

「私はパンドラズ・アクターでございます。」

「私はオーレオール。オーレオール・オメガでございますわ。」

「ユリ・アルファと申します。」

「ルプスレギナ・ベータっす!」

「ナーベラル・ガンマ…」

「ソリュシャン・イプシロンですわ。」

「…シズ・デルタ…です。」

「エントマ・ヴァシリッサ・ゼータですぅ。」

 

 全員の自己紹介が終わり、受付嬢は全員分の名前をこの世界の文字で書きこんでいく。

 

「全員分、代筆させていただきました。それでは最後に、皆様のチーム名を伺います。チーム名はどうなさいますか?」

「…『劇団モモカゼ』でお願いします。」

「…『劇団モモカゼ』ですね。かしこまりました!それでは、この内容で冒険者組合に登録させていただきます。それでは、全員分のプレートを取ってまいりますので、しばらくお待ちください。」

 

 受付嬢は書類を持って奥へと向かっていった。ひとまず肩の力を抜いたモモンガは、深く息を吐いた。

 

「…ふう。これで登録完了ですかね。いやあ、それにしても焦った焦った。」

「苗字が必要なのは確かに想定外だったわね。それにしてもモモンガさん、ベルツリーはちょっと安直すぎない?」

「ほかにいいのがなかったんですよ。茶釜さんみたいに芸名をワンクッションにすることは俺にはできませんし。」

「まあでも何とかなったと思いましょうか。あ、戻ってきたみたいよ。」

 

見ると、先ほどの受付嬢が戻って来ていた。手には、人数分の銅製のプレートが乗ったトレーを持っている。

 

「お待たせいたしました。こちらが、皆様の分の冒険者プレートです。最初は皆さん銅級(カッパー)からスタートして、階級が上がるごとにプレートの方も鉄級(アイアン)銀級(シルバー)金級(ゴールド)白金級(プラチナ)、ミスリル級、オリハルコン級、そして最上位のアダマンタイト級と更新されていきます。」

「なるほど。分かりました。」

「冒険者用の宿については、こちらで紹介させていただきます。依頼は随時更新されていきますので、定期的に確認してください。それでは、よろしくお願いします!」

 

 モモンガたちは宿を紹介されたため、その店に向かう。一応字が読めないのならと絵もくれたが、モノクルを付けたぶくぶく茶釜がばっちりと解読してくれたため、問題なく宿屋を探すことができた。目的の宿屋は一階が食堂、もとい酒場になっており、そこには何人か同業者であろう人間たちが集まっていた。しかし、以外というと失礼なのだが、それなりに掃除がしっかりと行き届いており、店主も予想より物腰が柔らかかった。

 

「いらっしゃい。宿かね。」

「ええ、ひとまず一泊。」

「ずいぶん多いね。皆さん同じチームかい?」

「ええ、まあ。」

「なるほど、だからうちなんだね。」

「?どういうことですか?」

「エ・ランテルにはね、冒険者用の宿が三つあるんだ。うちは本来、銀級や金級の冒険者たちが使う宿なんだが、例外的に一部の銅級や鉄級の冒険者たちも泊めることがある。それをより分ける特徴があるんだが、なんだか分かるかい?」

「…もしかして、チームですか?」

「正解。駆け出しの冒険者さんってのは大体一人か二人組でね、いろんな人と出会えるように、チームを組めるように複数人の相部屋を使って顔を売るように宿を割り当てられる。しかしお前さん方はすでに大人数のチームだ。だからチームの方の問題はないとみなされたんだろうねえ。」

「なるほど、勉強になりました。」

「いいんだよ。しかし、それにしても多いな。申し訳ないが、部屋を男女で分けてもいいかい?」

「ええ、もちろん。私の方からそう頼むつもりでいました。」

「すまないね。部屋は二階の突き当たり、奥から二部屋使いな。一部屋銀貨一枚、前払いで頼むよ。」

 

 モモンガは金を払うと、仲間たちを先に部屋に進ませる。どうもこの店主が、自分にだけ何かを伝えようとしている気配を感じたためだ。

 

「悪いね、残ってもらって。一応これも伝えておこうと思ってね。」

「なんでしょう?」

「実はね、うちに振り分けられる基準はチーム以外にもあるんだよ。お前さんたちはむしろ、そっちの方をこそ満たしてそうだったからね。」

「…それは、一体?」

「自分でも分かってんだろう?強さ、だよ。時々、この町の冒険者組合の組合長はどんな新人が来るか見てるんだ。もちろん普段は忙しいからいつもじゃないけどね。で、今日はたまたま、お前さん方がお眼鏡にかなったってことだろう。お前さん方はきっと上に行く。わしはそう思うね。」

「…そうですか。」

「こっちの用件はそれだけだよ。それじゃあ、今日は部屋でゆっくり休んで明日からの仕事に備えな。最後に、ようこそ、冒険者の世界へ。」

 

 店主は言いたいことを言うとさっさと店の奥に引っ込んでしまった。しかしモモンガもゆっくり休みたかったため、部屋に入るべく階段を上っていく。二階に着くと、突き当りでセバスが待っており、こちらの姿を確認すると一番奥の部屋のドアを開けた。どうやら一番奥が男子部屋らしい。モモンガはひとまず体を休めるべく、部屋の扉をくぐって中に入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 モモンガたちは、可能な限り慎重に行動してきた。しかし、モモンガたちがこの世界で起こしたいくつかの行動は、既に小さな波紋になってこの世界に影響を与え始めていた。

 モモンガたちのチェックインと同時刻、スレイン法国、法都シクルサンテクスにて

 

「なんと、王国に新たなる神が降臨されたとは!」

「喜んでいる場合ではない!我々にとっては考え得る限り最悪のファーストコンタクトだぞ!何としても我々の悪印象を払拭し、スレイン法国にて神になっていただかなければ!」

「待て、そもそもそのお方は本当に神になってくれるのか?人類の味方かどうかから詳細に判断しなければならないのでは?」

「それを含めて、王国に対する監視の目を増やさなければなるまいな。」

「であるならば、今の任務が終わり次第、漆黒聖典を動かしましょう。」

「漆黒聖典を?しかし、大丈夫ですか?」

「問題はありますまい。寧ろ、彼らであればぷれいやー様により正しくこの世界の現状を示してくれましょう。」

「ああ、どうかスレイン法国に新たなる神がやって来てくださいますように…」

 

 

 同時刻、リ・エスティーゼ王国、エ・ランテル、バレアレ薬品店にて

 

「あの男が持っていた、去り際にしまったポーション、あれが本物であれば、間違いなくあれは神の血のポーション!ああ、一刻も早く手に入れたい。この目で確かめたい!」

「おばあちゃん、どうしたの?」

「ンフィー!ちょうどいいところに来た!お前、明日冒険者を雇って薬草を取りに行ってくれるかい?」

「いいけど、なんで急に?」

「雇って、ここに連れてきてほしい冒険者がいるんだよ!あの男は冒険者になると言っていた。ということは、間に合っていれば明日から依頼を受けるはず!明日すぐに指名依頼を入れれば、最速でここまで来てくれる!」

「よく分かんないけど、冒険者が目当てなの?なんで?」

「その男が持っているポーションに興味があるのさ!新しめに登録した大人数のチームを探して、そのチームに指名依頼を入れるんだ!明日、可能な限り最速で頼んだよ!」

 

 

 同時刻、リ・エスティーゼ王国、王都リ・エスティーゼにて

 

「そうか、戦士長、大儀であった。その魔法詠唱者は、いつか王都に呼んで王国から正式に礼をしようと思う。」

「陛下、ありがとうございます。かの御仁はご謙遜なさるでしょうが…」

「それでもこれは私が直々に礼を伝えねばなるまいて。早速貴族たちを集めて、日取りを決めるとしよう。」

「貴族、ですか…」

「言わんとしていることは分かる。しかしあ奴らはあれでもこの国の重鎮たちだ。今の私には残念ながら、彼らを無視するほどの求心力はないのだ。」

「…かの御仁には可能な限り礼を尽くしたいのですが…」

「はてさて、あ奴らはそんなことをどこまで考えてくれているものかな…」

 

 

 同じく、王都リ・エスティーゼにて

 

(戦士長の装備には戦いによる傷がなかった。戦士団も同じく。法国の特殊部隊を相手にしたのに?ということは、戦士長を含めて戦士団は全く戦いに手を出さなかった。いえ、手を出せないほどの次元だった…?)

「ラナー様?どうなさいました?」

「ああ、クライム!ごめんなさい。少し考え事をしていたわ。戦士長殿がお会いしたすごい魔法詠唱者の方、いつかお会いしたいわね…。」

「ええ、戦士長が嘘を吐くことはないでしょうが、本当ならばとんでもないお方です。ぜひお会いしたい!」

(戦士長の話によるとその魔法詠唱者はエ・ランテルを拠点にして冒険者をするらしい。エ・ランテル…。位置が悪いわね。王国内であるだけましという程度でしかない。これはお父様を動かして、何としても一度この目で確かめておかないと…)

 

 

 モモンガたちの陽光聖典交戦と同時刻、アーグランド評議国、首都ドラゴンズブレスにて

 

「…この大きな魔力は…。上位の始原の魔法(ワイルド・マジック)に匹敵するほどの高位の魔法行使…。第十一位階、いや、超位魔法というんだっけ?…いずれにしてもこれが意味するところは一つ。…また、やってきたんだね。今度はどうか、この世界に調和をもたらす存在であるといいなあ。」

 

 すでに起きたこれらの波紋は、今はまだ、それぞれが小さい。しかし、これらはすべて、同じ世界、同じ水面の上で起こった波紋である。故にいずれ互いに重なり合い、より大きな、そして複雑な文様を形成していくだろう。モモンガたちの、そしてこの世界の物語は、まだ、始まったばかり。




やってしまいました(猛省)。はい、二万字も書いたのに本編が全然進みません。まあそれ以前にどうしてこんなに放っておいてしまったのかという話でもあるんですが、それについて弁明いたしますと、単純にいろいろと忙しかったというのもあるんですが、話を考えていても思い浮かんでくるのが終盤の展開ばっかりで、序盤中盤の話の構想が全くまとまらない状態が続いてしまっていました。正直進捗状況を活動報告に乗せるくらいのことはやっておいたほうが良かったのかなと反省しています。ここからまたやり直して少しずつでもやっていこうと思っています。応援してくれる方、どうか応援のほどよろしくお願いします!今回もご意見ご感想おまちしています!
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