遮蔽的な空間、まるで今まで息をしていなかったような静けさを感じながら意識が起きる。
ベッドのすぐ横にある電子時計へと視線を向けると、既に8時に数字が変わる手前の時間だった。
まだはっきりとしない視界が煩わしく、目を瞑りながら息を限界まで吸う。
そして今、ようやく時間が動き出す感覚を味わいながら肺に押し込めたものをため息のように吐く。
いつもの朝だ。
部屋から出れば、リビングにいる耳聡い母はすぐに「おはよう」と言ってくる。
私はそれに応えず、テーブルに置かれている朝食の前に腰かける。
それをすぐに食べ終えると、キッチンに使った食器を置き、また自分の部屋へと戻る。
壁に掛けてある制服を手に取り、時間を確認しながら着替えていく。
そして玄関の扉へ向かい、自分の通う学校へ向かう。
いつもの流れだ。
学校への道のりは徒歩で10分ほどだ。
これは私が家から近いから、と決めたものだが、それ以外にも理由はあった。
校門へと着けば、いつも先生が二人ほど立っている。
他生徒の人だかりに紛れ、向かってくる挨拶に頭を少し下げやり過ごす。
いつもの少し憂鬱な場面。
自分のクラスへと向かい、ドアを開ければ待っているのは喧騒からの静寂。
すると少し間を置いて、何事もなかったかのようにクラスの会話は再開される。
自分の席へと腰を下ろし鞄を机の横へ下げれば、見慣れた人物が近づいてくるのが分かる。
「おはよう、優美」
「...ああ」
話しかけてきたのは一人の美丈夫の男だった。
私がそっけなく返事をすると、満足したかのように自席へと戻っていった。
私、小山優美がこの高校に通うことを決めた理由の二つ目。
それが幼馴染である彼、須川達人だ。
「学校にはもう慣れたか?」
「普通、不便はしてないよ。」
「そうか、ならいいんだ。じゃあこの学校で好きなこととかはできたりしたか?」
「特にないね、まぁ強いて言うなら読書かな。」
「はは、優美らしいな。なら他に...そうだな、何か俺にできることがあれば遠慮なく言ってくれ。」
「分かってる。」
こいつはいつもこんな調子だ。私に対して過保護気味な気がする。
達人の世話焼きは今に始まったことではなく、私たちが初めて会った時の頃からだ。
思えばその頃から既に、自己がしっかりしていて大人びていた気がする...
「...変わらないな」
「優美?」
「なんでもない、気にするな」
恵まれているな、と思う。
怠惰な性格の自分には、それこそ生活のほとんどを支えられているくらいに。
私は彼に向けて、奇妙な感情を持っている。
空洞を隙間なく埋められるような、そんな充足感。
前世では得られなかった、暖かさ。
そして、彼女自身が認識できないほど根本にある
――彼への執着心
超究武神覇彼世はグルメ時代────への帝国領地から脱走したシュ・ウティャクかつて、滅びた筈の帝国…心