殺し屋JKと異端なDS   作:りこりこ・りこりこ

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10 Best hacker⁇

「………………」

『………………』

 

 

一騒動あった後に、後処理を全てDAに任せた。

そして、龍は一端リコリコへと帰宅し――――正座させられている。

正座している龍を上から見下ろしているのは、千束とたきなを先頭にしたリコリコの面々だった。

 

 

「……ごめんなさい」

 

 

この空気に耐えられず、いたたまれなくなって、謝罪をする龍。

千束は腰に手を当てて胸を張りながら龍を見ている。いつもの陽気な素顔は明らかに息を潜めていて、【本気で怒ってます】と言わんばかりだ。

 

そして、その隣のたきなも同様だった。

千束ほど表情には出ていない様だが、明らかに表情が無い。それがまた怖い。

 

来たばかりの時のたきなの顔はこんな感じだったなぁ~と少し後ろで酒を煽ってるミズキは思い返しながら、また酒を煽る。

寄って集って幼子をイジメてる様にしか見えないぞ~と軽口の1つや2つ、出してやろうかな? とも思わなくはないが、今は空気を呼んで酒を飲んでいた。確かに、自分も思う所が無いわけじゃない。

でも、それを言うのは自分の役目ではない。……適任は誰なのかハッキリしている。

 

 

「何が?」

 

 

千束は、龍の謝罪に対して疑問を投げかけた。

じろり、と睨む様に龍を見下ろす千束。戦った時の笑顔? とはまた違った恐怖をそこに感じる。

でも、それ以上にどことなく懐かしさも龍は感じていた。

 

 

「一体何に対して、誰に龍は謝ってるのかな?」

「ぅぅ………」

 

 

千束の更なる追及。

誰も口を挟まず、ただただ龍の返答を待ってる状態だった。

 

 

「えと……、勝手に、2人に何も言わずに分かれて行動したし、それに後の事も。結局皆に迷惑、かけちゃったり………そのほかにも………」

 

 

千束とたきなと龍の3人でのお出掛け。

買い物やスイーツ、それに水族館。本当に楽しかったんだけど、龍は突然単独行動に走った。

勿論、それには理由がある。けど、何も言わずに離れて行った事は駄目だと思っていたんだ。

結局皆を頼らなきゃ収集つかなくなったのも事実。……最初から頼らなきゃいけいないのは解っていた筈なのに。四国に居た時、待ち構えていた場所に変なのが襲ってくる~と言うテンプレとは全く状況が違う状況だから。

 

 

「ちーがーうーでーしょっ!!」

「ッッ!!」

 

 

ゴスッ!!

そう考えていた時、千束から拳骨が飛んできた。

 

痛い。凄く痛い。とても痛い。

 

でも……痛みだけじゃなくて、何だか芯の芯にまで響いてくる感覚がした。

ツッコミな要領で叩かれる事は何度かあったケド、これは全く違う種類のものだと理解できた。

それと同時に、千束はふーーっ、と一息ついて、そして同じ勢いで息を吸い込むとハッキリと言った。

 

 

「迷惑かけられた~なんか最初っから考えてないっつーの! そもそも考えた事ないっつーの! 私が、私達が言いたいのは心配をかけるなーーー!! って言いたいの! メチャクチャ心配したんだからね!!」

 

 

むんっ、と鼻息荒く胸も再び張って言い切る千束。

そして、直ぐ隣にいるたきなも一歩前に出た。

 

 

「龍の強さは私はよく知ってます―――が、だからと言って心配をかけて良い理由にも、心配をしなくて良い理由にもなりません。後から、あの事件現場に龍がいて、テロリストと一戦交えたなんて話を、事後に聞いた私達の気持ち、わかりますか?」

「………………」

 

 

その2人の言う事を聞いて、きょとんとするのは龍だ。

迷惑をかけてしまった。余計な仕事を増やしてしまった。だから謝る―――と思っていた。

 

でも、全く違った。

 

 

「ぼくは、余計な仕事増やされた、って思ってもいるけど。まぁその分龍に手伝ってもらうだけだ。ああ、後甘味所望」

「全く、こういう時は見た目通りのガキなんだから。お節介が服着て歩いてる様な千束(ヤツ)がいるってのにねぇ~~。ほらほら、おっさんも一言バシッと言ってやったらどお?」

「確かに、本来なら年長者である私が叱るべきなんだが……、これ以上ない程に2人が言ってくれたからな。これ以上私から言う事は何もないさ」

 

リコリコに居る皆は純粋に自分の事を心配してくれているのだと。

クルミだけは、何だか実際に仕事が増えた~と愚痴っている様だが、その表情は笑っている。

たきなが言っている事を全く否定してない。

 

そう心配してくれているのだ。

この世界に来て、自分の力を知っても尚心配をしてくれるなんて事、あっただろうか……?

四国の秀爺でさえ、力を知った後は特段気にする様子は一切なく、別にそれに対して不満があったと言う訳じゃないけど、ここまで自分の事を思ってくれてる皆を前にして、龍はまっすぐに頭を下げた。

 

 

「……その、皆。心配かけちゃって、ゴメンなさい」

 

 

だから、龍はもう一度頭を下げた。

目頭が熱くなりそうで、思わず上を向きたくなったが、どうにか堪えて頭を下げ続けた。

 

 

「よしっ!」

「はい。次はありませんからね?」

 

 

千束もたきなも、龍の心境の変化をその様子から察した様だ。

千束の険しかった表情は和らぎ、たきなは笑ってみせた。

 

 

「はーい! これで千束の説教タイム終わり!!」

 

 

千束がパチっ! と手を合わせるとそれを合図に皆の雰囲気が柔らかくなっていくのを感じた。

 

 

「そうですね。あ、後現場で何があったのか、しっかりと聞けてなかったので状況詳細を説明をして欲しいです」

「あー、その辺は龍がDAの方に行ってない、話してない以上、基本掴めてない情報だし? リコリコ(こっち)で共有しとくってのも悪く無いか………。現場のリコリスも正直放心状態だったって話だし、まともな聞き取りは出来ないだろ」

「それに1000丁の銃がめた連中の行方。十中八九、今日龍と一戦交えた連中が関わってるんだろ? 追跡できるかどうかも確認しときたいんじゃない? つーか、クルミ(あんた)さ? ここぞとばかりに幼児イジメに加わる~って予想出来てたのに。随分大人しいじゃない?」

「…………い、いや、別に? だってほら、千束らだけで事足りるだろ?? これ以上追撃するのもどうかな、って」

「ふーん」

 

 

いつもの笑顔なリコリコに戻った。

話をしている内容は正直血生臭くも思ってしまうが、それでも霧散したのがハッキリと解る。

クルミは何だか落ち着かない様子ではある……が、特におかしな事を言ってる訳じゃない。実は、クルミにはちょっとした……いやいや、結構大きな秘密があるから、龍の勝手な行動で迷惑を~~と言う場面ではそこまで強く言えなかったりする。それは誰にもバラしてないので、本人のみが知る事であるが。

 

 

「でも、マジなんだぞ~~! ほんっとに心配したんだぞぅ、このやろ~~!」

「わぷっっ」

「だからぁ~ 次からはちゃんと私にも言ってからね? 単独行動厳禁ですっ!」

「私の方もお願いします。蚊帳の外はごめんです」

 

 

千束は龍に抱き着いて、頭をグリグリとさせた。

どうにか千束の胸から脱出して顔を出した時、丁度ミカと龍は目が合う。

 

 

「……君の力は、この場に居る誰もが驚愕している。……でも、それでも今の君はまだまだ子供だ。遠慮せず頼るべきところは頼って欲しい。それと、そう心配はかけない様にな」

「は、はい!」

 

 

ミカの言葉に対して龍はただただ笑顔で頷くのだった。

 

そして、千束にもみくちゃにされている間に―――最後の最後で、気力を使い果たす。

 

 

「およ? 観念したのかい??」

 

 

もがもが、といつも通り千束から逃れようと抗っていた龍の身体から力が抜けた様に感じた千束は、龍の姿を視認。

 

その顔は目を閉じていて完全に意識が――――……。

 

 

「え、ちょっっ! 龍っ!??」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

某刻某場所。

 

 

「へ、へへへ」

 

 

人気のない路地裏の更に奥の奥。

拠点の1つにしている住処を背に、力なく倒れる男が1人。薄く笑みをみせながら。

 

 

「お前らぁ……何人ヤられた?」

「5人、です。真島さん」

 

 

その男、真島を追いかけてくる形で、屈強な兵士たちが一同に揃う。その中で一番先頭に立つ男が、状況を真島に報告した。恐らくは真島の次に位が高い兵士なのだろう。

 

少々場所が狭い事もあってぎゅうぎゅう詰めな所はご愛敬。

 

 

「へへへ………、まぁ残った方じゃねぇの? いつもなら俺1人ってパターンだと思った。あんなバケモン見たら尚更な」

 

 

真島はそう呟くと、路地裏の空を見上げる。

 

 

「――――アレが日本のバランスを狂わせてるヤツか。とんでもねぇバケモンだったなぁ」

 

 

バケモノ、と称している割には真島の顔は何処か嬉々としている様にも見えた。

まるで、オモチャを与えられた子供の様な……それでも正直不気味だと思うのは仕方ない。

 

笑みを浮かべながら、真島はあの時の事を思い返す。その度に、脳が凍り、戦慄し、身体全体に悪寒が走る。それでも押し寄せてくる興奮が堪らないのだ。だからこそ、笑う。

 

 

「バケモンにはバケモンをぶつけんのが一番っつーの、何かの映画でやってた気がするが………、忘れた。―――さて、どうしたもんか」

 

 

正面からじゃ、骨が折れる―――所の話じゃない。

 

何せ相手はマシンガンの弾丸を弾く。

更には挟み撃ち状態であるのにも関わらず前後から雨の様に迫る弾丸を悉く弾く。視認していない筈なのに、弾道を予測……いやいや、あの弾幕を防いでしまう。

一体何処の映画の主人公か。

 

 

「ハハッ! フォースと共に、ってかぁ?」

 

 

考えれば考える程、難関不落なバケモノ。

それを崩してこそ、バランスが保たれると言うものだ。

人間のセカイに、バケモノは不要な筈だ。バランスを本当の意味で保つ為にも、間違いなく不要な異物。

 

真島は出現当初こそ、両軍の打ち合いの間に割って入ってバランスを保っている様にも思えた。だから、不意にどちらかと言えばバランサーか? と口に出し始めた自分がいたが……味方が数名やられている。戦果としては完全に敗北した事により、認識を180度変えて改めたのだ。

 

 

相手は見た通りのバケモノ。まだ何を出してくるか皆目見当つかない相手。

 

あのバケモノが割って入ってきた時点で、存在している時点で、人間同士の争いの均衡が崩れる。端からバランスが取れてるとは言い難いのだ。

 

 

 

「さて……あん?」

 

 

真島は、スマホを弄って今日の出来事を調べようとニュースサイトをスクロールした。

あれだけの銃撃戦だ。幾ら防がれようが何されようが、こちら側には5人も犠牲が出ている。平和な日本と謳われている場所で、それだけの死傷者が出た事件。報道されない訳がない………が。

 

 

「事故?」

 

 

幾ら探しても、トップニュースには地下鉄での崩落事故としか書かれていない。

爆弾は不発だった。なのに崩落とは一体どういう事だろうか? 

 

 

「事故、事故事故事故……あ?」

 

 

幾ら調べても同じだ。

天上の一部が崩落し、電車が損傷。現在封鎖中。

銃撃戦のじの文字すらない。死傷者のしの文字もない。

 

 

どういう事だ? と頭をひねったその時だ。

 

 

『あんた達が今日やった事は全部無かった事にされてるのさ。情報統制されてる。相手にあの(・・)リコリスが絡んでるとなれば猶更だ』

「あん?」

 

 

何処からともなく、仲間の誰のものでもない声が響いてきた。

周囲を見渡す。仲間たちも同じく周囲を見渡す。

この場の誰かがしゃべった訳じゃなさそうだ……と思ったその時【手元だ手元】と声がした。

 

自分のスマホの画面に目を向けてみると―――画面が突如変わった。

そして、次の瞬間にはみょうちくりんな何世代も前のブリキのロボットの被り物? をしている姿が映し出されていた。

 

 

「なんだテメェ」

『お前が真島だな? 僕はロボ太。お前を手助けする世界一のハッカーだ!』

「…………」

 

 

真島は何も言わず、何も見なかった事にする様に、スマホをスリープモードにした。

勿論、ロボ太? の姿も掻き消えて耳障りな声も届かなくなる。

 

 

「はぁ!!? 切った!? おい!! おいコラ!!」

 

 

某場所にて、ロボ太本体? が盛大に喚いたのは言うまでもない。

ただ、真島にはその恫喝は届かない。

 

 

「世界一のハッカーだ? んなもんあのバケモンに何の効果があるってんだよぉ。どういう訳か、瞬時に妨害電波(ジャマ―)まで飛ばして来るヤツだぜ? どう考えても足手まといだろ」

『だぁぁぁぁ!! 最後まで聞けって!! お前にとって損は無い話なんだぞ!!』

「隠れてパソコン前にしてポチポチしてるだけなヤツが、マジもんを前に同じ事言えんのか? 一息つく間もなく、速攻でそっちまで行っちまうかもよ? ………俺にも出来んだしな」

『ッ………』

 

 

いつの間にか取り出されていたダガーナイフを画面越しのロボ太へと向ける。

それを見て、ロボ太は思わず息を呑んだ。

 

ハッカーにとって、この世界での身バレは当然な死を意味する。

ロボ太だってそれは重々承知だ。

 

何せ、()世界一のハッカーだった《ウォールナット》も、身元が住処がバレたから死んだ。………自分が殺す様に仕向けたのだ。

だが、だからと言って手を引くなんてあり得ない。何のために真島と接触したか解らないから。

 

 

『お前が言うそのバケモンの正体(・・・・・・・)について、とか。聞きたくないか!?』

「……あ?」

 

 

そして、1つのカードを切る。

事前に、ロボ太に提供された情報の1つをここで使う。

 

 

『ほんの少し前まで、日本————特に田舎の方では奇妙な噂が立ってた。真島。アンタの様に悪巧みをする奴等は挙って、その場所をこう呼んで恐れおののいた。【死国】と』

「……ほーう? 続けなハッカー」

 

 

真島の興味がロボ太に向いた様だ。

ついさっきは、簡単に電源遮断(スリープ)したと言うのに、今はニヤニヤと笑みを浮かべながら画面の中のロボ太を見ていた。

 

 

『片田舎を拠点として悪党狩りを続けていたヤツが、上京してきたって話だ。十中八九……いや真島、アンタ程の男がバケモノだと称するなら、ほぼ間違いないだろう。僕の方で得た情報とも合致する』

 

 

死国の話は真島も耳にしている。

ただ、そもそもな話日本全体が異常な程に犯罪発生率が低い事と、雇われとはいえ相応の手練れで編成されたテロリストたちがもれなく全員姿を消している。

だから、四国を死国と呼ぼうが何をどうこうしようが、本丸を抑えてしまえば同じだと真島は気にもしていなかったのだ。

 

 

『力押しでやるのがヤバいって言うなら、僕みたいな頭の良い世界一のハッカーの手が絶対に必要になってくる!! そのバケモノとリコリスが手を組んじゃったら青天井で難易度が跳ね上がるんだぞ!!?』

「ふーん……」

 

 

真島はその話を聞きながら、再び路地裏の空を眺めた。

手元ではロボ太がピーチクパーチクと続けているが、これ以上の情報は耳に入ってきてない、と言わんばかりな様子だ。

 

他の仲間たちも真島に従う所存であり、ハッカーがどうとかは何も考えていない。

ただただ、信じるのはこの目の前の真島と言う男だけだから。

 

 

 

「――――面白れぇな」

 

 

 

そして、真島は決めた。

此処から先、どう動くのかを。

 

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